2006年06月09日

オーナー企業の強み

 葬式が続いていつものようにダラダラとエントリが書けません。気になるニューズを一つ選んでコメントをしておきます。

(Jun/09/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【上場業務改革の“足かせ” すかいらーく株非公開化 「株主,リスク理解難しい」】
 外食大手のすかいらーく(本社・東京,東証1部)は8日,経営陣による自社買収(MBO)で上場株式を取得し,非公開にすると発表した。外食市場は少子高齢化で先細りが予想されるため,現在約5万人を超える株主の意向や株価に左右されない体制に改め,経営に柔軟性を持たせる狙いがある。株式の上場維持には,「村上ファンド」のような敵対的買収への対応策も含めてコストがかかることから,オーナー企業などを中心に非公開化の動きも増えている。(略)
 都内で会見した横川竟(きわむ)会長兼最高経営責任者(CEO)は,「既存店の改修には相当の投資が必要で,赤字もありうる。株主にそうしたリスクを理解してもらうのは難しい」と述べ,上場が迅速な業務改革の足かせになっているとの認識を示した。すかいらーくは,竟氏と実兄の茅野亮氏ら兄弟4人が共同で設立した企業で,オーナー色が強い。今年3月,竟氏が3年ぶりに会長に復帰し,非上場化の環境が整ったとみられる。
 横川会長は,上場廃止後の新会社の経営陣に残る予定だ。非公開後は不特定多数の株主による監視がなくなり,経営の規律が下がる懸念もある。(略)
 株式の非公開化は,敵対的買収に対する強力な防衛策となるだけでなく,短期的な利益を求める株主に左右されず,経営の裁量権を握れるメリットがある。
 上場維持には,四半期ごとの情報開示などにコストや事務的な負担を求められるため,資金調達方法が多様化する中,企業によっては株式上場の意味合いが薄らいでいる。
(引用終了)

 個人的にはすかいらーくの発表は評価しています。店には行った事ないですけど。理由は,この読売の記事にあるとおり。オーナー企業なんだから,別に不特定多数の株主の監視が嫌なら上場廃止するのは非常に健康的な考えだと思います。皆が皆上場を目指すべしという市場原理主義や現在のベンチャー思想から考えれば逆行でしょうけど,そういう選択肢が排除されることがないうちにやってしまうのは実に賢明です。
 
 記事にもあるとおり,株式の非公開化は「短期的な利益を求める株主に左右されず,経営の裁量権を握れるメリット」があります。どっかのファンドみたいに,一気に大量に株式を取得されてすぐに利益を上げないと叱られるという構造は,今の制度上どうしても残りますから,オーナー企業ほど上場なんて割に合わないのでしょう。そもそも株を上場するからには,どうぞ買ってくださいという意味合いがあるわけで,買われて困る(経営に過度に口出しされる)のが嫌なら上場なんてやめちまった方がいいという結論になるのもうなずけます。

 これがサラリーマン社長が率いる会社なら,こう簡単にはいきません。歴代の偉いさんお歴々の目が黒いうちは,どうしても「不名誉」だと解釈されてしまうでしょうから。会社の規模が大きければ大きいほど不特定多数の株主も多いと思われるので,そのあたりの調整も難しいでしょう。オーナー企業だからこそやりやすいという面はやはりありますね。

 僕は個別の株式投資はやりませんので情報には疎いのですが,そういうオーナー企業で上場している会社ってまだまだありそうな気がします。やはり上場取りやめの方向で進んでいくのでしょうか。何にせよ,守れるものは今のうちに守っておいた方が良いということには変わりありません。来年5月から施行される会社法で買収の対象になってしまう前に動いておかないと・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 23:56| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月07日

憂国の立場から日本のエネルギー戦略を考えてみる

 まじめなエントリが続いていますが,東京新聞のエネルギー戦略に関する社説が興味深かったのでコメントしておきます。

(Jun/07/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【エネルギー白書 資源戦略が欠かせない】

  • 今年の「エネルギー白書」は世界エネルギー情勢が急迫の度を強めたことを明記した。日本は新たな資源戦略を構築し展開する必要がある。
  • 急成長を続ける中国は日本を抜いて世界第二位の石油消費国となり,原油価格高止まりの要因となっている。
  • 価格以上に重大なのはロシアやカザフスタン,ベネズエラ,イランなどの資源国が石油や天然ガスなどを外交の武器つまり戦略商品として扱う姿勢を強めていることだ。
  • エネルギー資源の大半を海外に頼る日本は,あらためて戦略的な対応が迫られている。だが,白書によると日本のエネルギー事情は依然として危うい状況のままだ。
  • 石油の中東依存度は第一次石油ショック前の一九六八年の約91%をピークに八七年には約67%にまで低下したが,現在は再び約90%に戻った。
  • 一次エネルギー自給率は原子力を含んでも約16%。これは米国約72%,仏約50%,独約39%だけでなく,韓国の約18%をも下回る。
  • 日本が誇れるのは世界最高水準のエネルギー高効率国になったことだろう。
  • 日本は省エネ技術に加え,独自に地域協力や資源国への社会資本整備などを通じた関係強化を進めて安定供給を実現しなければならない。
  • 国内では民生・運輸部門を中心にした省エネルギーを推進する。石油備蓄,原子力利用も現状以上に高める。白書の方向は妥当であり,今後官民挙げて推進すべきだろう。
(引用終了)
 
 社説のわりには東京新聞独自の意見は最後の部分ぐらいなので,社説のクオリティ自体は全く対した事ないわけですが,他紙が採り上げない,しかし重要な話題であるエネルギー戦略について社説を展開していたので引用してみました。

 日本はエネルギー自給率は16%しかないらしい。食糧自給率が40%前後であることも考えると,日本が今後一流の先進国として存続するためには,通商政策を含んだ外交政策の舵取りが最重要である事は容易に理解できます。加工やら省エネは上手だとは言っても,もとの資源や食糧の供給をストップさせられたら立ち行かなくなるからです。じゃあこれら資源国とだけ仲良くしていくだけで十分なのか?ここは考えどころです。

 世界の先進国は他国の富を自国に移転するために外交をします。もちろん民族の誇りを維持するためだけに外交(戦争)する国はありますが,それは発展途上国の話であって,先進国の「国益」とは「経済的な富」のことを指しますから,善意悪意の区別こそあれ様々な手段を講じて他国の富を自国のものにしようと努力しています。これが外交の本質です。
※悪意というのは通念上,こりゃあいかんだろっていうやり方のことです。竹島は韓国領ではないと数十年前に自国教科書に書きながら,今になって韓国領であると主張するような言いがかりなどがその例です。

 日本にとって移転させたい「他国の富」というのは資源であり食糧という死活的なものなわけで,これらを合法的に,そしてできれば互いにウィンウィンの状態でゲットしたいのですが,これを邪魔してくる国が必ず現れます。代表的な国は中国や朝鮮半島の国々,ロシア,そしてアメリカです。

 中国の理屈は分かりやすすぎます。彼らは中華思想の国。同じ東洋人である日本人が中国人よりも良い生活をしていること自体が許せないので,理屈の通らない言いがかりをつけては日本を苛めようとします。これに脊髄反射して中国批判に熱心なのがポチ保守の方々ですが,中国が本気になって台湾を攻撃して占領してしまうと,日本に入ってくるはずの石油タンカーが日本に安全に入ってこれなくなり,無茶苦茶ピンチにさらされます。中東依存度は90%なんですから致命的です。だから,ポチ保守のようにアメリカの権威を笠にあんまり親台嫌中の態度を続けていると,マジで国家存亡の危機にたたされます。中国とは仲良くする必要はありませんが,怒らせてはいかんのです。
 
 蛇足ですが,だいたい,台湾を守るためにアメリカが本気で中国と戦うと思いますかね?伊藤貫『中国の「核」が世界を制す』PHP(右カラムにリンクがあります)という卓越せる良書を読めば,そんな空想を抱いている余裕は日本にはないことがわかるはずです。日本は自国の利益を守るために軍備を補強する必要があって,これをしなければ中国の支配圏に組み込まれてしまう事を覚悟しなければならない時期にすでに来ているのです。
※侵略目的がどうたらこうたら批判されたら,あんな自尊心だけが無駄に高い国民と,黄土やら大気汚染やらの土地を奪うつもりなど全くないことを公表しておけば大丈夫でしょう。侵略目的をはっきりと否定して国連にでも報告しておけば,基本的には中国も怒るに怒れないはずです。

 話がそれました。
 中国以外に日本のエネルギー政策の邪魔をしてくる国として見落とせないのが,同盟国(?)アメリカです。このブログでも何度も話題にしているとおり,アザデガン油田の対応を見ていればアメリカの意図は明らかですね。日本という金づるが,崩落間近の通貨ドルを支援する枠組みから抜け出すことはアメリカにとっては絶対に許せないことなのです。そもそもアメリカを飛び越えて中国との国交を回復しようとした田中角栄が失脚させられたように(キッシンジャーがジャップと呼んでいた事が明らかになりましたね)冷戦構造が終わったとはいえ,日本がアメリカに相談することなくエネルギー戦略を構築する事はタブーになっています。そこへきてこのアザデガン油田問題。イランは自国の原油の決済をユーロ建てに変更しようとしているわけで,日本がアザデガン油田にどこまでもこだわるのなら,下手をすればアメリカとの関係がより悪化して,次に政権を担うであろう米民主党から再びジャパン・パッシングの洗礼を浴びる事になりかねません。これは悲観的な見方ではなく,事実から冷静に導き出せる冷静な予測ですよ。念のため。
【キッシンジャー氏「ジャップは裏切り者」 日中国交正常化に不快感 米極秘文書】(May/27/06 Sankei Web)

 日本が今後も国益のためにエネルギーを他国から移転しようと思えば,これら超大国の機嫌を損ねずに進めていかないといけません。日本独自の防衛力の向上が見込めない現状では,安全保障をアメリカに頼らざるを得ない状況もしばらく続けないといけませんが,これが長引くようでは中国の支配圏に入る事を容認してしまうわけで,急がないといけません。ああ,それなのにそれなのに。国民投票法案の成立がまた遠のきました。今のうちにやれることやっておかないといけないんですけど・・・。ホントに日本は良くなっていくんでしょうか?不安ばかりが募ります。

 エネルギー政策の話が,日本の軍備強化の話になってしまいましたが,根っこは同じですからお許しを。
posted by 時をかける僧侶 at 22:24| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月05日

無知な煽動ほど恐ろしいものはない

 この話題を続けるのはこれが最後にしたいところですが,銀行の決算および納税の問題について,ちょっと見逃せない記事を見つけてしまったので紹介します。

(Jun/01/06 ゲンダイネットより引用開始)
【大手銀はなぜ法人税を払わないのか】
 消費税アップが議論になっているが,そんな中,今年度の税収見込みが大幅に増える見込みなのが分かった。(略)
 この調子だと,消費税アップも封印されるようにも見えるが,そうはならない。空前の高利益を上げている大銀行がちっとも法人税増収に寄与しないのだ。
 06年3月期の大手銀6グループの連結最終利益は3兆1000億円。ふつうに考えると1兆円くらいの税金を払っておかしくないが,与謝野馨金融大臣は「銀行は法人税もまだ支払えない。半人前だ」と言っていた。
 銀行は不良債権処理で巨額の欠損金を抱えているものだから,利益が出ても法人税を払わないで済む。欠損金は最長7年間繰り越すことができるため,銀行によっては当分,法人税を払わないですむところもあるのだ。
 銀行側は「不良債権処理の引当金を積んだ時点では損失にならず,法人税を払ってきた」と言う。払っていないのではなく,「過去に払いすぎたんだ」という理屈なのだが,庶民にしてみれば,腑に落ちない。金融ジャーナリストの須田慎一郎氏もこう言うのだ。
「確かに税法上はそうなるのかもしれないが,銀行は公的資金をもらい,土俵際ギリギリのところで特別に救済されたわけです。危機を脱し,儲けたときは何らかの形で社会に還元する必要があると思います。分かりやすいのは税金を多く納めることですが,今の銀行はそれを免れている。しかも,支店をドンドン少なくし,利用者に不便をかけて平気な顔をしている。許認可制で,新規参入がほとんどないのをいいことにATMの手数料も横並びで儲けている。このままだと,銀行は猛烈なしっぺ返しを食らいますよ」
 大手銀はようやく住宅ローンの金利を一斉に下げることを決めたが,当たり前だ。
(引用終了)

 読んでみてどう思われるでしょうか?僕は,これはひどい言いがかりだ!と思いました。

 日刊ゲンダイはそこそこ好きで良く読むのですが,この記事は無知な庶民をして銀行に批判の矛先を向けさせようとするだけの,煽動が目的の記事であって,とても首肯できるものではありません。おかしな点を挙げると,

  1. 空前の高利益を上げている大銀行がちっとも法人税増収に寄与しない。
  2. 払っていないのではなく,「過去に払いすぎたんだ」という理屈なのだが,庶民にしてみれば,腑に落ちない。
  3. 須田「分かりやすいのは税金を多く納めることですが,今の銀行はそれを免れている。」
  4. 大手銀はようやく住宅ローンの金利を一斉に下げることを決めたが,当たり前だ。

 これらの主張は全ておかしい。検証します。

 1点目。これは前エントリでも紹介したし,記事の中で銀行側の発言のとおり,銀行はすでに低利益(大赤字)のときにも多額の法人税を支払っています。税法の決まり通り支払っているわけです。「過去に税金で救済されたんだから支払ってもいいだろ!」というのは感情論としてはわからなくもないですが,やりすぎです。こんなこと許したら全国の赤字企業も納税しないといけなくなっちゃいますし,法律上支払う必要のないカネを社外に流出させたとなれば銀行経営者は株主代表訴訟にリスクに晒されるでしょう。

 2点目。庶民の側に立てば何を言っても許される,というゲンダイ記者の底が透けています。税効果会計がわかっていない庶民(ほとんどの庶民が該当するでしょう)にしてみりゃ,銀行が大赤字のときになぜそんなに納税したのかについても腑に落ちていないはずです。こういう記事を書くから,僕は扇動的だと思うのです。銀行が勝手に決めた手数料率について云々言うのはかまいませんが,国民の代表が集まって決めた法案に基づいて納税する必要がないとされた会社の行為についてとやかく言うのは明らかに間違った行為であり,それを知ってて無知な庶民を煽動しようとしているのなら有害です。

 3点目。銀行は納税を免れているわけではないということは金融ジャーナリストなら知っていなきゃいけない事実です。法令に従って,先に払いすぎているか,納税を繰り延べしているだけです。免除なんてされちゃあいませんし,これを免除だと言われれば,全国の赤字企業も全部納税を免除されていることになります。感情論だけで銀行を批判している,最もダメな例です。

 4点目。これが一番悪質,というか噴飯物。住宅ローン金利がどのように決まっているのかについて全く無知な記者が書いているから,こんな結びになるんです。銀行が住宅ローンの金利を下げたのは,「猛烈なしっぺ返し」が怖いからじゃありません。市場金利(新発の10年債の市場利回り)が下ったから,それに連動して下げただけです。しっかり勉強しろよ。

 以上のように,感情論としては同情できても,あまりに無知な煽動記事であり論理が屈折しまくっているので放置できませんでした。日刊ゲンダイは多数のサラリーマンが不満のはけ口を求めて読み捨てる夕刊タブロイド紙ですから,世論形成にはかなり力があるのです(原田武夫氏のセミナーで聞きました)。こんな煽動記事で間違った銀行批判の世論が作られては,日本人は世界から笑われます。願わくは,この記事のおかしさに気付く人が多数現れんことを。

 最後に僕の主張をまとめておこう。

  • 銀行は大赤字のころも法令通り納税したが,庶民にとっては払いすぎの行為に見えた。
  • 直近決算で大幅な黒字になっても銀行は納税していないが,法令通りの行為であって,脱税しているわけではない。
  • これを銀行が黒字でも納税していない,と脊髄反射するのは税効果会計を知らない証拠。
  • 庶民は,銀行だけの論理で一方的に決められているATM利用手数料や振込手数料が割高であることを批判すべき。
posted by 時をかける僧侶 at 21:54| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月03日

銀行決算は「役務取引等利益」に注目すべし

 前回に引き続き,銀行の決算について僕が関心をもった点を見ていきます。

 前回は「銀行は空前の利益をあげているのに税金を納めていない」という扇動的な間違いを指摘しました。今回ネタにするのは”手数料”。

(Jun/02/06 innolifeより引用開始)
【公正取引委員会,銀行金利・手数料全面調査】
 公正取引委員会は,都市銀の金利と手数料など,消費者金融全般に渡る調査に着手した。公正取引委員会は昨日から10の都市銀の独占規制と公正取引法違反可否に対する調査に電撃的に着手した。(略)
(引用終了)

 おっと,これ,日本の話じゃありません。韓国の話です。日本には都銀10個もないです^^;

 気を取り直して日本の話に戻します。銀行がどれだけ手数料収入に力を入れているかという例を見てみよう。例えば三井住友銀行。
 三井住友グループ全体の連結決算を見ると(→ リンク先の「1.損益」参照),粗利益2兆901億円のうち「役務取引等利益」は6,195億円と,全体の29.6%を占めている事がわかります。ちなみに前年度は粗利益2兆250億円のうち5,161億円で25.5%でした。随分熱心に比率を上げてきたことがわかりますね。

 金額ベースでも1,000億円以上伸びていて(粗利益全体では650億円しか伸びていません),なんと前年比で20.1%もの伸びになっています。さて,ここで冷静になって考えていただきたいのですが,なぜ「役務取引等利益」つまり”手数料”がこんなに急激に増えているのか?ということです。銀行の経営努力の結果?そりゃあ甘いっすよ。

 個人の客として銀行の窓口やATMに赴くとき,昔だったら考えられないことに手数料がかかり,驚く事が多いです。例えば,「両替手数料」とか「入金手数料」。ま,そりゃあサービスでノーロードでやれとまでは決めつけたくないですが,時間外とはいえATMに入金するのに手数料がかかるなんて・・・。税金で助けてもらったからこそ現在があるという恩を完全に徒で返すような仕打ち。それなのに銀行経営者が口を開けば「今でさえも収益力においては外銀とは比べ物にならないぐらい低い」。

 はいはい。収益力が劣るのは,外銀と比べて日本の銀行員の年収が飛び抜けて高いことが原因なんですが,それには触れずに預金者にしわ寄せですかい。ああそうですかい。世の中デフレが進んでいるはずですよね?手数料なんて真っ先に引き下げて然るべきでしょうに。企業の残高証明が1通2,100円って何ですかい?僕が銀行員だったころは210円だったぞ。10倍になっとるやないけ。やっぱり98年の金融危機のときにもっと銀行潰しておくべきだったね。

 あと,このブログでも何度も何度もとりあげている投資信託の販売手数料。山崎元『投資バカにつける薬』講談社を読めばかなり詳しく販売手数料がなぜ高いのかについて書かれていますが,真相は談合に近いですね。投資信託は銀行で買うもんじゃないです。”日経225をベンチマークとしてこれを上回る成績を目指す”とか謳っているような投信はすっぱりやめて,どうせ買うならETFという上場投信を証券会社で買いましょう。

 ま,そうは言っても銀行はガンガン行っているシステム投資の資金回収のために各種手数料を引き下げるわけにはいかないという内部事情も僕はわかっているつもりです。でも,だったらそのようにきちんと言って預金者に頭下げてお願いしないといけないことです。預金を低金利に留めておいて手数料を値上げして,投資ブームに乗っかって投信販売手数料を高目に設定してこその高収益なんだから。

 大手新聞の社説も一通り読みましたが,手数料に言及して厳しく問い詰めている新聞は皆無でした。だいたいが貸倒引当金の戻入でトヨタを上回るとか上回らないとかの社説ばっかり。預金者に還元せよと書いている新聞は産経などがありましたが,どうも的を射ない。何かまともなことを書いている社説はないかと探していたら,北海道新聞がちょびっとだけ書いていました。

(May/25/06 北海道新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【大手銀行決算*最高益は誰のおかげか】

  • 公的資金の支援の下で,バブル期をはるかに上回る空前の利益が確保された。
  • 日本の金融再生への大きな節目と言っていい。ただ,各グループが自力で収益力を向上させ,復活を果たしたというわけではない。
  • 税金である公的資金の注入をはじめ,ただ同然の預金金利など,長期にわたる国民の犠牲の上に今日があることを,あらためて肝に銘じるべきだ。
  • 投資信託や個人年金保険販売などの手数料収入の急増もあった。
  • 大手各行は手数料収入など非利息収入を拡大する戦略を強め,預金金利の低さに不満を募らせる預金者にリスク(危険)を伴う投資信託への乗り換えを勧めてきた。
  • 投資信託を販売し,顧客の資金を預金口座から投信口座に移せば,手数料収入や信託報酬を効率よく確保することができた。
  • だが,銀行は,もっと顧客に目を向けるべきだろう。銀行の株主への利益還元水準は一般の企業より低い。
  • 預金金利の低さに比べ,各種手数料の高さもバランスを欠いている。
  • 顧客の信頼を取り戻すことが,いっそう重要になってこよう。そのためにも,預金金利引き上げや手数料引き下げなどの利益還元策を競って考えるべき時ではないか。
(引用終了)
 
 「リスク」を(危険)とカッコ書きするなど,地方紙ならではのお茶目な勘違いがあるにせよ,「預金金利の低さに比べ,各種手数料の高さもバランスを欠いている。」ときちんと書いています。願わくば,僕のように具体的な数字をあげてもっと説得力をもたせてくれれば,より良かったかな,と。

 さて,いろいろ書いてきましたが最後に大事なことを書いておきます。僕がなぜ銀行をこうやって責めるのかと言うと,彼らに「自己反省がない(あるいは足りない)」と感じられるからです。ただそれだけです。日本経済の血液の流れをサラサラにするのが彼らの仕事なのに,知識のない預金者を騙すような形で手数料をふんだくって高収益を挙げるなんていう破廉恥な事はして欲しくないのです。反省して謙虚になって頭を下げるべきときに下げる事ができるのなら,僕もこんなこと書いたりはしません。覚醒してほしいものです。



(参考)
 三井住友グループ以外の「役務取引等利益」の額は以下のとおり。

【三菱UFJグループ】
1兆997億円(前年度9,248億円,増加率18.9%)

【みずほグループ】
5,559億円(前年度4,726億円,増加率17.6%)
posted by 時をかける僧侶 at 20:36| 兵庫 ☁| Comment(2) | TrackBack(3) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月01日

銀行は本当に納税していないのか?

 大手銀行グループが3月決算の短信を発表して,儲けすぎ批判が起こっています。3,4日前の各紙社説に一斉に載ってましたが,全部紹介しても面白くないので,社説ではなくちょっぴり意地悪な記事を採り上げることにしよう。
 
(May/24/06 ZAKZAKより引用開始)
【空前の好業績も…大手銀ナゼだ,法人税納税ゼロ】
 23日,出揃った大手銀行6グループの2006年3月期決算。景気回復の追い風を受け,グループ合計の連結最終利益は前期比4.2倍の3兆1212億円に達した。バブル期を上回り,17年ぶりに過去最高を更新する空前の好業績となったが,主な利益の源泉は貸し倒れ引当金の戻り益という“負の遺産”。しかも,法人税を納めていないというのだから,与謝野馨金融相が「まだ半人前」と皮肉ったのも当然だ。
 不良債権を手当てするための貸し倒れ引当金。この戻り益の“恩恵”が最も大きかったのは三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)。旧UFJ銀分を中心に6982億円もの引当金が不要になり,それがそのまま戻り益になった。
 「景気回復で貸出先の業績が立ち直り,不良債権が“不良”でなくなったためだが,市場では,流通大手のダイエーやマンション大手の大京など不振企業を多く抱える旧UFJそのものが“宝の山”になったなどと皮肉っていた」(大手証券アナリスト)
 ほかに,みずほFGは1805億円,りそなホールディングスも114億円の“棚ぼた”的な臨時利益を得た。
 この機を逃すなと,三菱UFJとみずほは6月から7月,三井住友FGも来年3月までに公的資金を完済することを表明している。
 もっとも,公的資金を完済するのはいいが,大手銀は法人税を納めていないというのだ。「儲け過ぎ」との批判が強まるなか,税金すら払っていないことに,「なぜだ!」との声が飛びそうだが,「大手銀は過去の不良債権処理で生じた繰り返し欠損を利益と相殺でき,法人税の多くが免除されている」(同)。(略)
(引用終了)

 ZAKZAK(産経グループ)は”法人税納税ゼロ”に焦点を当てていますが,これはやや会計に無知な読者を煽っているような危険な香りがしないわけでもありません。確かに今期は納税していません(しなくていい)が,過去の決算を見ると赤字なのに納税しています。僕にはカラクリを詳しく述べるほどの時間と能力(僕の簿記は2級レベル^^;)がないので簡単に書くと,

  1. 商法,証券取引法,税法で決算書の作り方が異なる(それぞれ債権者向け,投資家向け,徴税者向けの資料)。
  2. とくに税法では「損失」確定の要件が非常に厳しい(税法用語では「損金」です。念のため)。
  3. 実際に倒産していない企業への融資はたとえ不良債権であっても税法上「損失」にはならないが,不良債権として考えたときの貸倒引当金はその他の法律上では「損失」として扱わなければならない。
  4. つまり「税法上は黒字,実質は赤字」ということが起こりうる。
  5. 税法上黒字であれば納税しなければいけないが,投資家たちは実質の赤字の額を見て「納税する必要がない」=「社外に資金が流出しない」と誤解してしまう。
  6. これでは正確な企業価値が測れないので,企業に「税効果会計」の適用を義務づけて,帳簿を見れば4のような事態がわかるようにした(グローバルスタンダード)。
  7. 銀行の場合,過去,実際の帳簿は赤字だが税金はたっぷり支払っている。
  8. ただし,将来貸付先が本当に倒産して損失になったときには税法上も「損金」になるから,以前支払った税金は「支払う必要がなかったもの」として戻ってくる(繰り延べできるのは5年以内だが)。
  9. 逆に貸付先の業況が良くなって不良債権ではなくなったとき,納税は正しかったものとなる一方で,税効果会計の適用であらかじめ損失を計上していたものが利益として戻ってくる(税金が戻るのではなくて帳簿上の利益が増える。今回のケース)。
  10. つまり,すでに納税はすませてあるが,戻ってきた利益で黒字になろうとも(すでに納税は終わっているので)新たに納税する必要はない。

 というような感じです。

 ですからZAKZAK記事の最後のアナリストの発言は嘘八百。法人税が免除されているのではなくて,あらかじめ支払っていたのだから二重で支払う必要がないのです。本当にアナリストに聞いたのかどうか疑わしいですねえ。僕の程度の会計知識でもわかることなんだけど。

 おっと。実は大手銀行の利益の源泉についても踏み込んで書きたかったのですがタイムオーバーになりました。続きは次回に書く事にします。
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月30日

産経の上っ面だけの姿勢こそ 糾すべきだと我は説きけり

 遺伝子組み換えのエントリ(ここここ)について,再び[koji_doi]氏からトラックバックをいただいております。
【神代とか、変なものを振り回さないでほしい】(May/27/06 新・非公正ブログ)

 僕の説明が拙かったのでしょう。どうも趣旨が伝わっておらず,細部に対していろいろとご意見をいただいたようです。反省すべきところは反省したいと思います。

 振り返ってみますと,僕が一つ目のエントリで言いたかった趣旨は「産経新聞は日ごろから日本の伝統云々にうるさいくせに,長年の月日を経たコメ文化を軽視して花粉症対策としての遺伝子組み換え米の生産を推奨するというのは如何なものか?」ということでした(今回のエントリの後半部分で詳説)。遺伝子組み換えに対する個人的な意見を書きましたが,別にそれをもとに反対運動として昇華させようとか推進派に理解してもらおうという気は今も特にありません。僕は3年間鹿児島で畜産業者に融資していた経験があり,組み換え飼料問題には直に見聞きしてきましたので,遺伝子組み換え技術に偏見を持っているわけでもありません。ただ産経新聞の上っ面の社説を批判しただけです。

 ま,その説明の肉付けの部分で,勇み足というか「定義」に対する認識不足から,僕は遺伝子組み換え技術を「人為的で自然破壊的な科学技術」と呼んでしまいましたら,[koji_doi]氏からお叱りを受けました。「人為」「自然」の定義が曖昧だということで。

 おっしゃるとおりですので,補足しておきます。僕が使った「人為」というのは「神為」(そんな言葉があるかどうかは不明ですが)に対する言葉であり,種の壁を超えてしまうような所作をヒトが為してしまうという意味です。「自然破壊的」というのも同意で,創造主だけが種を扱いうるという自然のルールをたかだか人類が破壊してしまうということです。ま,自然のルールとか言い出すと,そんなこと誰が決めたのか?とまたお叱りを受けそうですが。ヒトが種を扱っちゃいけないというルールがあるわけでもないのは承知していますが,これは公理だと考えてください。正しいとか正しくないとかではない,宗教倫理からくる公理です(科学的でないことは重々承知しています)。

 この定義でいくと,品種改良と遺伝子組み換えは実質的にも同じではありません。前者は種の壁を超えるような技術ではありませんから。同様に単なる品種改良は「自然」に手を入れてはいません。


 その他の[koji_doi]氏のご指摘はそれほど問題ではありません。価値観,もっと根源的には宗教観の違いですから,宗教家の論理で突っぱねたとしても納得は得られないでしょうし,かみ合わない議論で疲れるでしょう。
 それでも敢えて書いてみましょうか?例えば僕が,花粉症は人類の退化による病症(昔は花粉症なんてなかった)だと書いたら,[koji_doi]氏はこう反論されました。

(前掲ブログより引用開始)
昔は花粉症なんてなかっただって? なんでそんなことがいえるのか。医学の技術向上は治療技術の向上だけではなく病気の同定技術の向上をも含んでいるということを氏は理解できていない。要するに、花粉症は昔は気の病とか風邪とかで片付けられていた可能性が高いのだ。
(引用終了)
 
 ほぉ。それでは昔も春先に街に出れば気の病で老若男女がマスクして歩き回ってたと。あちこちでくしゃみの音が聞こえていたと。お気の毒に。おじいちゃんにでも「昔もみんなあんなにくしゃみばっかりしてたの?」って聞くだけで事実は判明しそうなものですが。


 ま,冗談はおいといて,花粉症に打ち勝つための遺伝子組み換え技術の話に戻りますが,まずは僕の主張をエントリから引用します。
 
(僕の二つ目のエントリより引用開始)
「オレが花粉症になったのは花粉が悪いのだ。この花粉に打ち勝つために遺伝子操作をした食物を作って何が悪いのだ。」という思想は,僕のような宗教家にとっては見逃す事のできないものです。ま,純粋な科学者にとっては不思議でも何でもないのかもしれませんが,宗教家は「花粉症になるのはオレに問題があるのだ(昔はなる方が少なかったんだから)。オレの普段の行いを改めるべきなのだ」と考えるものなのです。
(引用終了)

 これに対する[koji_doi]氏の反論はこのようなものでした。

(前掲ブログより引用開始)
これが患者の自業自得であるかのような主張には断じて賛成できない。というか、ふざけるなという感じである。患者らは好き好んで花粉症になったわけではない。こんな発想が宗教家のスタンダードな考え方であるというのだろうか。やはり私はいかなる宗教家をも許容することはできない。
(引用終了)

 誤解されると他の宗教家に申し訳ないのではっきり書いておきますが,これは僕の宗教観です。スタンダードではありません。ま,強いて言うなら東洋の思想に多い考え方ですね。因果応報というやつ。気を病むから病気と書くのだという説教もそうです。好き好んで花粉症になる人はいなくても,花粉症になる原因(気も含む)を持っていたら必然的になるでしょう。同じ花粉が飛んでいる状況にいるのに,重症になる人と軽症で済む人,全く問題のない人に分かれるのは,ヒトの方になんらかの原因がありませんかね?サンプルも年々増えているわけですし,「こんな性格の人は花粉症になりやすい」という統計結果でも得られれば,別に遺伝子組み換えの米を使わなくても自分を変える事で克服できるのではないかと思います。ま,自分を変える事が嫌だから薬に頼ったり違う遺伝子に頼ったりするんでしょうけど,僕ら宗教家から見ればその姿は間違いなく「退化」にしか見えません。


 続いての問題点ですが,まずは僕の主張。

(僕の二つ目のエントリより引用開始)
退化した人類のわがままにつきあわせるために自然物に手をかけることこそ,僕は恥ずべき姿勢だと思います。自己反省と謙虚さを持ち合わせているかどうかということに尽きますね。
(引用終了)

 これに対しては,

(前掲ブログより引用開始)
自己反省をいくらしようとも謙虚であろうとも病気になるときには病気になる。花粉症に限らず病気とはそういうものではないか。もちろん病気になる確率の高いライフスタイルというのはあるだろうが、だからといってその結果を自業自得のものとして「自然」に運命を委ねることを強いられる謂れはない。患者たちの多くは切実に病気からの決別を欲しているはずである。そのための新しい技術を開拓して何が悪いのだ。
(引用終了)

 僕は何も「自然」に運命を委ねよとは言ってません。対症療法として薬も飲んだ方がいいし最新の医療技術を頼ればいい。新しい技術も開拓していただかないといけません。対症療法だけがわかればよい無反省で無宗教の方ならこれだけでいいでしょう。
 しかし,なんらかの宗教観を持っている人はその先を考えます。例えば僕なら自分の宗教観に従えば「自己反省をいくらしようとも謙虚であろうとも病気になるときには病気になる」とは考えません。反省が足りないから,または謙虚だと自分が思っているだけで全く気持ちが足りないから病気になるのだと考えます。そして,病気になってしまったのは仕方がないから対症療法で治療して,根本原因は別途で探り,さらなる自己反省を続けてこちらの原因を潰していく努力をするわけです。

 その過程で,宗教によって「先祖供養が足りなかったのではないか」とか「朝の礼拝をサボっているからではないか」とか「先月上司に怒られてムシャクシャしたからではないか」とか考えて,本当にそれが原因なのかどうかはわからないにせよ,反省すべきところをきちんと反省していくという形を大事にするわけです。まさにそれが宗教なんです。無宗教の方にはオカルトで議論の対象にすらならんでしょうけども。


 いよいよクライマックス。[koji_doi]氏の主張を続けて引用しよう。

(前掲ブログより引用開始)
そう。人類は昔から「自然物に手をかけて」暮らしてきたのだ。田畑の開拓はその最たるものである。氏の崇め奉る「コメ文化」とは組織的な自然改変の文化でもある。その結果として弥生人は急速に人口を増やして縄文人文化を席巻することとなった。これが氏のいう「神代の時代」(笑)におきたことである。氏にはその辺の認識ができていない。彼の定義する「恥ずべき」営みを否定することこそ、人がこれまで歩んできた歴史を否定するものである。恥ずべきはどちらの側か、結論は明白だな。
(引用終了)

 僕の中途半端だった定義が誤解を生んでいますね。すみません。先ほど述べた定義に従えば,人類は昔から「自然物に手をかけて」暮らしてはいません。それと大きな見落としがありますが,氏が言うところの「自然物に手をかけ」て暮らしてきた昔の人達は,ちゃんと大地に感謝を捧げて神を敬って生きてこられましたよ。種の壁を超えぬとはいえ創造主(一神教の場合の解釈)がお創りになったものを改変させてきたわけですから,許しを得て営みをさせてもらった報恩に感謝したり,豊作を祈願したり,秋には収穫祭りをして神と共に喜んだり,その場面に応じてふさわしい関わりを保ってきました。神代の時代(しつこい?)から人々は自然を畏怖してあちこちに神社や祠を建てて,荒ぶる神を鎮めて幸の神を招来して生きてきたわけです(意味もなく祭りで騒ぐだけってのは自然への畏怖を忘れた現代人の感覚です)。
 産経新聞の話に戻せば,あの新聞はそもそもこういう日本神道に根ざした文化風習を大事にせよと言ってきたわけですから,無責任に遺伝子組み換えを推進するな,とこう僕は言いたかったのです。皇室を敬えと偉そうに書く新聞が皇室のバックボーンである神道の教義を顧みずに,神宿る自然物を「人為」で改変させよと述べたから僕は「おかしくないかい?」と書いたのです。産経新聞は,皇室のお飾りの部分だけを利用して皇室の心を踏みにじっています。これじゃあ軍国主義時代と変わらないねと言われる余地が十分にありますよ,と。蛇足ですが。


 最後のモンサントの件はあまりゴチャゴチャこちらも書かなくてもいいでしょう。ターミネータジーンはモンサントだけの専売特許ではないし,好むと好まざるに関わらず遅かれ早かれそっちの方向へ向いていくでしょうから。

 ということで,本エントリは,最後に[koji_doi]氏のご意見を引用して,それに対する僕の意見を付けて終わりにします。

(前掲ブログより引用開始)
それと、倫理の話と経済の話と科学の話と、次元の違う話をごっちゃにするのは良くないと思う。
(引用終了)

 次元が違うとお考えになるのはご勝手ですが,それではただの専門○○。様々な見地から物事を俯瞰することも大事だと思います。もちろん,僕の知識・理解が浅い事は自覚していますよ。
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2006年05月28日

更新パス

 今日は若手坊主の会合に参加して更新する時間がありませんでした。次回がんばりま〜す。
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月26日

ライブドア司直の動きのその裏で 進みつつある事実こそ知れ

 時間がないので少しだけ。

(May/017/06 毎日新聞より引用開始)
【[ライブドア株]外国人保有48% 過半数に迫る】
 外国人株主によるライブドアの持ち株比率が,今年3月末時点で過半数に迫る水準に達していたことが16日,明らかになった。昨年9月末の時点では約20%だったが,粉飾決算事件の発覚後,個人株主が大量に売った同社株を海外投資ファンドなどが買ったことから,今年3月末には,約48%に跳ね上がった。
 ライブドア株については,これまで今年3月末時点で米国や香港の投資会社4社が発行済み株式の約3割を保有していることが判明していたが,他の投資ファンドなども再編などによる値上がりを期待して購入を増やしたとみられる。
 ライブドアをめぐっては,業務提携している有線放送大手,USENが株式交換による経営統合を計画しているが,実現には株主の3分の2以上の同意が必要。比重が増す外国人投資家の支持を取り付けるうえで,USENは自社の収益向上策やライブドアとの経営統合後の戦略を厳しく問われることになりそうだ
(引用終了)

 ホリエモンやら宮内やらの裁判が行われています。それもまあ大事っちゃあ大事なんですけど,この事実をどのように見るか,ということも大事です。僕は,ライブドアの”おいしい子会社”の切り売りのタイミングを狙った外人勢の仕込みはほぼ終了したなあという感触です。過半数には達していないとはいえ,残りは売り遅れた(売れなかった)個人投資家がほとんどなわけで,彼らはこの先も株を売ろうにも売りにくいので,結局はどこかがM&Aを提案したらその金額でダンするしかないはず。もはや勝負あったなと思います。

 今後のライブドアの鍵を握るUSENの大株主に村上ファンドが出てきましたし,これからはまさに文字通りハゲタカたちの荒し場になるでしょう。ホリエモンたちの末路としてはドラマチックなことこの上ない。ま,そうは言っても僕は未だにホリエモンらがやったことは巷間言われているほど悪い事はしていないと思っていますが。
※あくまでも比較論の立場で,ということですよ。法律違反はまぎれもない事実ですが,より悪質な粉飾決算で訴訟を起こされているアリコとか,300億円近い架空売上を計上して脱税したNECの子会社だとか,ライブドア事件とは比べ物にならないぐらいの金額による不祥事についてライブドア以上の取扱がされた報道がないもんですから,こう考えたということです。

 ちなみに個人投資家がライブドア絡みで儲けようとしたら,あの方法しかありません。僕はしないつもりなので詳しくは書きませんけど・・・。
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2006年05月24日

株逝きてあわてふためく素人を 横目で笑う悪趣味な僕

 世界で株安が進行中らしい(今日は日経225は反発)。

(May/23/06 asahi.comより引用開始)
【世界で同時株安進む インフレ懸念,金利先高感強まる】
 世界で株安が進んでいる。(略)原油高をはじめとする資源価格の高騰からインフレ懸念が生まれ,金利の先高感が強まり,「株式投資が不利になる恐れがある」と考える投資家が増えてきたためだ。(略)
 22日の各国の株価指数(終値ベース)を5月上旬のそれぞれの高値と比べると,米国が4%,英国,ドイツがいずれも9%の下落だった。米国では5月10日にニューヨーク市場でダウ工業株平均が00年1月以来の高値をつけたが,17日には3年2カ月ぶりとなる大幅な下げを記録した。
 新興国の下げはさらに大きく,下落率はブラジル13%,インド16%,ロシアは26%に達した。インドでは22日の下落幅が一日で10%を超え,取引所が一時取引の全面停止に追い込まれた。(略)
(引用終了)

 新興国と言われるBRICs諸国の下落は「暴落」と呼んでもいいものでしょう。これらの国に行った事もない日本の投資家が経済誌や新聞に煽られて投資した挙げ句,うろたえまくっているようです。特にインド向け投資を煽る記事はあちこちで見てましたから,エライことになってるんでしょうねえ。僕は相変わらず「わからないモノは買わない」主義を貫徹していますのでノーダメージですが。

 試しに「野村インド株投資」というファンド(→ ファンド概要書(*PDFファイル))を見てみたら,「当ファンドは,現在,お買付の申込みを一時停止させて頂いております。」だって。投資は自己責任とはいえ,あんだけ煽ったら自分らにも責任はあるでしょうに。新聞はヨイショ記事を書いて広告をバンバンもらって儲け,証券会社は3.15%の販売手数料と2.1%の信託報酬を抜き(厳密に言えば運用会社が報酬をとっているわけですが),煽られて手数料を分捕られて散々な個人凍死家だけが取り残されて・・・。ま,どっちにしろ騙される方も悪いか。

 日本株についてはこんな指摘もあります。

(May/20/06 フジサンケイ ビジネスアイより引用開始)
【株下落で異変 個人,“追い証”回避 外国人,売り越し基調】
 大型連休明けの東京株式市場の株価下落が続いている。(略)
 下落の要因について,市場関係者は外国人の売り越し基調に加え,個人投資家の資金回転が鈍っている点を指摘する。
 東証が毎週発表している株投資家別売買動向(東京,大阪,名古屋三市場の各一部,二部)によると,五月第二週(八−十二日)の売買代金に占める外国人のシェアは57・9%と,昨年平均(45・1%)に比べて12・8ポイント上昇したが,売買代金は二週間ぶりに売り越し基調に転じた。(略)
 一方,個人投資家は29・5%までシェアが低下し,昨年平均(38・0%)に比べ9・5ポイント下回り,慎重姿勢が強まった。株式を担保に借金する形で取引する信用取引を行っている投資家が,株価急落によって含み損が拡大。「口座に追加資金を振り込まなければならない“追い証”を嫌い,投げ売りする傾向が出ている」(大手証券)とされる。(略)
(引用終了)

 個人投資家のシェアっていつの間にか30%切っちゃってたんですね。記事で指摘されている現状はライブドアショックの影響でしょうから,今回のタイミングでさらにシェアが落ちていくのかもしれません。投げ売りって強烈な下落を生むんですねえ。

(May/22/06 REUTERSより引用開始)
【個人投資家マインドが急低下,株価急落で】
 ロイター個人投資家5月調査によると,日本株式に対する個人投資家の投資スタンスの強さを示すロイター個人投資家DI(「強気」の割合から「弱気」の割合を引いたもの)はプラス24と前月の76から急低下,この調査を開始した今年1月以来,最低の水準となった。円高,金利高や米国でのインフレ懸念などで株価が急落したことが影響したようだ。投資しようとしている金融資産としては,預貯金との回答が急上昇した。(略)
(引用終了)

 DIは急低下したとはいえ,まだプラスです。強気の見方をしている人が多いということです(つまり押し目買いのチャンス)。預貯金に投資(?)というのは一時撤退ということなのでしょう。市況がよくなればいつでも戻れるぞという感じでしょうかね。

 ま,特殊な要因がいろいろと重なった(詳しくは先ほどの『フジサンケイビジネスアイ』の記事(略したところ)を参照ください)ということなので,まだまだ上昇の余地はあると見ている投資家が多いのでしょう。いずれにせよ,僕は株はやらないのでどっちに行こうが全くかまいませんが。

 今回エントリはここまでがメイン。あとは蛇足ですが,ちょっと暴露話を・・・。続きはここから!
posted by 時をかける僧侶 at 21:22| 兵庫 ☔| Comment(1) | TrackBack(1) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月22日

お土産がいっぱいあれば薮さまも きっと大変お喜びでしょう

 拉致問題について小泉首相は大ポカをやらかしました。三度目の訪朝サプライズを牽制するためにブッシュ・横田会談がもたれたわけですが,主権国の首相を差し置いて宗主国様が動くということのインパクトが大きかったのでしょうか,小泉政権はあわてて宗主国様へのお土産を準備し始めたようです。

(May/18/06 東京新聞より引用開始)
【米産牛肉 輸入再開,来月にも決定】
 米国産牛肉の輸入再開問題で日米政府は十八日に都内で開く専門家会合で,輸入再開の条件について大筋合意する。政府は六月中に輸入再開を決定する公算だ。ただ決定後,日本の専門家による対日輸出施設の事前査察などが必要。このため実際の輸入再開は今秋以降にずれ込む見通しだ。(略)
 六月下旬には小泉純一郎首相が,ブッシュ大統領と会談する予定。しかし,米国の圧力で輸入を再開したと消費者にとらえられれば,大きな反発が予想される。日米政府は首相訪米と関係なく,米国側が輸入条件を守ることができる体制を実務的に整える方針だ。
(引用終了)

 最後の小泉・ブッシュ会談を失敗するわけにはいかないっていうことでしょう。基地移転費用の負担の額もグアム分だけしかまだ決着していない中で,これから6月下旬まではさらなるお土産が用意されそうな予感がします。去年の秋も日米首脳会談の前に急いで輸入再開を決定して,ブッシュに褒められた直後に再度の停止。そのときはアメリカが悪いと強気の発言をしていた首相ですが,アメリカの業者のマインドが全く変わっていない現状で(次の記事参照)なぜ態度をコロッと変える事ができるのか,さっぱりわかりません。

(May/16/06 毎日新聞より引用開始)
【<米国産牛肉>輸入品に骨が混入 香港で3例目】
 香港政府は16日,米国の食肉加工施設から輸入した牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の感染防止のため禁止している骨が混入しているのが見つかり,同施設からの輸入を即時停止したことを明らかにした。香港で米国からの輸入牛肉に骨混入が見つかったのは今回で3例目。(略)
 香港では今年3月と4月に,米食肉処理施設からの輸入牛肉に骨混入が確認されている。過去2回の施設は米政府から対日輸出の認定を受けていたが,今回の施設が認定されていたかどうかは不明。
(引用終了)

 記事の日付に注意していただきたいのですが,16日に香港で違反が見つかった直後の18日の会合で輸入再開の方針を決めたわけです。っていうか,そもそもこの香港の記事はベタ記事扱いだったので,忙しいサラリーマンはタイトルすら目に入っていないのではないかと思われます。必要以上に騒ぐのは無意味だとは思いますが,アメリカの業者の不手際が全く改善されていないという本質が変わっていないのに,よく輸入再開なんて決定できるなって感じです。逆に言えば,こっそり再開しないといけないぐらい小泉政権は追い込まれているということが言えるのかもしれません。

 で,この流れを受けて昨日今日と毎日新聞と読売新聞が社説を書いているので見ておきます。どちらも論理が倒錯したおかしな社説になってます。

(May/22/06 毎日新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【米牛肉輸入再開 今度こそ輸出の条件を守れ】

  • 日米の専門家会議は,米国の食肉処理施設は米国産牛肉の対日輸出条件を守る体制が整いつつあるとの認識で一致した。
  • 米国産牛肉の輸入を再開するためには,米国側が,米国は条件を守る体制を整えたと日本側を納得させる必要があった。
  • 米国産牛肉の輸入再開は,日本の消費者の食の安全の問題であり,小泉純一郎首相訪米のような外交日程とからませる性格のものではない。しかし,日本の専門家が米国の報告に納得したのであれば,輸入を禁止し続ける理由はない。
  • 政府は米国の条件順守体制について日本の消費者とじっくり意見交換し,米国の施設を査察して条件順守を確認できれば,輸入を再開すべきだろう。
  • しかし,日本の専門家が米国の報告を受け入れたとしても,日本の個々の消費者が納得したわけではない。
  • 米国の牛肉輸出関係者は,日本の政治家や行政にではなく,消費者に目を向けなければならない。
  • 米国の行政当局や牛肉輸出関係者が短期間に,意識や体制を変えられるのか,疑問は払拭(ふっしょく)されていない。
(引用終了)

 実は毎日新聞が触れていない大きな問題があります。「日本の専門家が米国の報告に納得したのであれば,輸入を禁止し続ける理由はない。」という部分をしっかり検証していないのです。いいですか。輸入再開に慎重だったプリオン調査会の委員の半数が今年3月末に辞任しているという事実を,おそらく毎日新聞は意図的に隠ぺいしているのです。
【プリオン調,委員の半数が辞任「牛肉輸入再開に責任」】(Apr/04/06 YOMIURI ONLINE)
※もっと詳しく知りたい方はこちら。
【プリオン専門調査会は瓦解か?】(Apr/05/06 Speak Easy)
【狂牛肉輸入推進委員会】(Apr/04/06 きっこの日記)

 反対派(慎重派)を除外してイエスマンの茶坊主にすげ替えてる専門家集団の動きに触れず,「日本の専門家が米国の報告に納得したのであれば・・・」なんて書くのはインチキです。結論先にありき,そのものです。自ら「米国の行政当局や牛肉輸出関係者が短期間に,意識や体制を変えられるのか,疑問は払拭(ふっしょく)されていない。」なんて書くくせに,専門家がゴーサイン出せば輸入再開せよ,なんて僕だったら恥ずかしくて書けませんね。

 読売も同じ論理倒錯が見られます。アメリカ産牛肉問題で脳みそがプリオンに犯されたかのような社説を書きまくってきた同社ですが,今回さらに恥を広げています。

(May/21/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[米国産牛肉]「危険部位混入の失態繰り返すな」

  • 日米の専門家会合が再開条件で大筋合意した。6月には正式決定の運びという。日米関係の懸案の一つに,解決のめどが立ったことは歓迎したい。
  • 米国側は今後,日本向けに輸出する牛肉について,品質管理に万全を期さねばならない。
  • 日本側も,米国任せにせず,日本向けの牛肉処理施設の検査を自ら行うなど,厳しく目を光らせることが肝心だ。
  • 日本側は会合で,35施設を日本の検査官が事前に査察することや,輸出再開後に米国の検査官が実施する抜き打ち検査に,日本の検査官が同行することなどを要求した。米国側は,受け入れに前向きの姿勢を示しているという。日本側の要求は当然だ。この要求が最終的に受け入れられるよう,今後,細部を詰めなければならない。
(引用終了)

 「日米関係の懸案事項が減るから歓迎する」なんて,まともな神経の持ち主なら書けないね。なにが愛国なのよ。
 「米国任せにせず,日本向けの牛肉処理施設の検査を自ら行うなど,厳しく目を光らせることが肝心」というのも無茶苦茶。事前にどこの工場を視察するかを告げて許可が下りて初めて検査できたとしても,テスト前に試験問題と解答を教えているようなもので,全く効果は上らないでしょう。そして,最後の文章を読めばお分かりの通り,アメリカ側への要望が通らないうちに輸入再開を決定するということまで露呈しているわけで,我々国民としては,なぜ今輸入再開なのか?という疑問がさっぱり解明されません。な〜んだ,しょせんはブッシュへのお土産じゃん!ってのがバレバレ。支持率30%しかなくなって酒浸りでローラ夫人に三行半を突きつけられそうになっているオヤジに,牛肉と3兆円と医療制度改悪と新会社法のお土産セットを揃えて,最後の花道を飾るってか。日本の首相って仕事も楽でいいなあ。
posted by 時をかける僧侶 at 20:15| 兵庫 ☁| Comment(1) | TrackBack(1) | アメリカ産牛肉問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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