2006年05月02日

50年債そんなに需要はないだろう 利上げ局面で保険入るか?

 気になる社説を読売で見つけたので,今日はこれについて書いておこう。

(Mar/01/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[超長期国債]「金利上昇の衝撃が少しは和らぐ」

  • 長期金利が一時2%をつけるなど,上昇傾向を強めている。
  • 財務省は,償還期間の長い超長期債の発行を増やすことを考えている。金利がまだ低いうちに,20,30年債などの割合を増やしておけば,将来の利払い費を少しでも節約できる。
  • 日本では初めてとなる50年債の発行も検討中という。生命保険会社などに需要がある。
  • 今年度の新発国債は30兆円弱だ。さらに,償還期限が来て借り換える国債が約110兆円もあり,総額140兆円近い国債(財投債を除く)が発行される。
  • 10年債が24兆円,超長期債の20年債が約10兆円,30年債も2兆円を予定している。残り100兆円余りは中,短期国債だ。金利上昇の影響を受けやすい構成と言わざるを得ない。
  • 財務省は今年度予算で,国債の利払い費として8・6兆円を計上している。前提となる長期金利は2%だ。
  • 財務省の試算では,金利が1%上昇すると利払い費は初年度だけで1・6兆円増える。翌年度は2・8兆円,3年目には4兆円に拡大する。借換債の金利負担が年ごとに増すからだ。
  • そこで,超長期債が注目され始めた。仮に50年債が発行されても,利率は2・7〜2・8%程度と関係者は見る。この水準で金利が固定できれば,国も一息つける。
  • ただ,超長期国債の発行を増やしても利払い費の抑制効果は限定的だ。
  • 金利上昇の衝撃を避けるには,やはり国債残高を減らすのが一番だ。消費税率の早期引き上げなどで税収を確保し,財政再建を果たすのが最優先の課題である。
(引用終了)
 
 大企業の景気回復と世界的な金利上昇の影響で長期金利が上がってきています。昨年末時点で813兆円も国には借金がありますが(→ 財務省),予算ではさらに30兆円の国債を発行するだけではなく,国債754兆円のうちの110兆円が借換えを迎えます。そのうち100兆円を短期国債で借り換えるということは,来年また同じ問題に直面するわけで,完全な自転車操業に陥っていると言えるでしょう。そこで自転車をちょっとでもゆっくりこいでいられるように,財務省は50年債の発行を考えているとのこと。

 社説のとおり,50年ものデュレーションをポートフォリオの一角にしのばせることができるのは生保ぐらいでしょう。とはいえせいぜい30歳までの人間が終身保険に入るという場合のALM上の債券取得ぐらいしか僕には思い浮かびません。定期付き保険だって50年ってのはないでしょうし。だとしたら,需要は一部にはあっても期待できるほどはないんじゃないかなと思います。ま,保険屋の経営については僕も素人なので,実際はもっともっと需要があるのかもしれませんが。

 読売の社説も書いていて途中で気付いたのか,最終的には税収を確保して国債残高を減らせという,お決まりの結語となっています。それができないから次善策で小細工を弄しているわけですが,例えば残高を減らすと言っても利払い費の分8.6兆円を減らすというだけでもものすごい苦労がいります。詳しくはこのサイト(→ リンク)を読んでもらえばわかると思いますが,とにかく小泉将軍が社会保障を削りまくって新規国債をようやく30兆円以内に収めることができたというぐらい,何をどうしても普通のやり方では簡単に残高が減るようなことにはなりません。

 こうして理屈で考えると,インフレを起こして「実質的な」負担減少を狙うしかないところまで来ているんじゃないかと思います。ま,モラールハザードを惹起させちゃあいけませんから公式にそんなことを書くわけにもいきますまい。だから,どうしても消費税率を引き上げてとか,歳出を削減してとかいう議論しか公式にはできないのでしょう。

 と,まじめに考えるとこのような理屈にしかならないのですが,実はものすごく簡単に借金の残高を減らせる方法があります。もちろんそれは禁じ手でして,今それをやっちゃうと日本も悪の枢軸国の一員に名前を連ねてしまうことになりかねませんけど。言うまでもなくアメリカ国債の売却です。一部を売るだけでもずいぶん身軽になると思うんですけど,もう首相になれない候補者,例えば谷垣大臣とかやってくれないかな。

(追記)
 最後のは冗談ですよ。エネルギーと食糧を輸入に頼っているような国がそんなことしたら先の大戦の二の舞いになることは明らかなわけで,泣く泣く,というか最早観念するより他にはなく,日本人が倹約して貯めたお金をアメリカ様にどんどん貢いでいきましょう。
posted by 時をかける僧侶 at 19:07| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本財政問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月27日

証券化ホントに売れるの国の資産 誰がデューデリするんだろうね

 東京新聞の今日の社説はなかなか面白い。

(Mar/27/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【政府資産売却 国の不良債権が分かる】

  • 自民党の財政改革研究会が総額百十二兆円に上る政府資産の売却案を発表した。
  • 国立競技場などの命名権を売るなどの他,国が保有する金融資産を証券化して,証券化商品(ABS)を市中に売却する。金融資産売却は百兆円超をめざす,という。
  • 政府が実施するメリットは,いくつか考えられる。買い手に想定されるのは金融機関だが,代金を国債で払えるようにすれば,国は受け取った国債を消却できる。
  • 国が保有する債権,すなわち貸した金の相手は主に,公団など特殊法人や独立行政法人だ。その債権を売り払ってしまえば,特殊法人は政府と縁が切れて民間の存在になる。つまり,証券化は金融面から絞り込む究極の特殊法人改革にもなる。
  • 注目すべきなのは,これが国の不良債権を明らかにするきっかけになる点だ。買い手はABSの購入に際して,担保になる債権の価値を評価する。それが不良なら当然,値段を安く値切る。国が債権を市場の評価にさらすことで“ブラックボックス”の封印を解く可能性があるのだ。国民が知りたいのは,財政の真の実態だ。
  • 財務省は「貸付金を減らしても,見合いの財投債が減るだけで,新たな財源にならない」と提案に否定的だ。
  • この機会に,専門家があらためて具体化を検討してはどうか。
(引用終了)
 
 後半部分に書いているとおり,財務省が否定的である以上は証券化による政府資産売却の実現は困難かもしれません。金融の知識がなければ社説を読んだだけでは証券化のメリットはわからないわけですが,スキームなどの具体的なことをここで説明してもつまらないのでそれはすっ飛ばして,政府が考えているロジックをおさらいしてみます。

  1. 「おいしい」資産の証券化は,ABSが政府の簿価以上の価値で評価される。
  2. 金融機関は手持ちの国債と引き換えにABSを取得する。
  3. 政府はABS売却代金で国債を消却する。
  4. 資産が簿価以上で売却されるため,予定以上の国債消却ができる。
  5. 小さな政府の実現に一歩近づく。

 「マズイ」資産の証券化は国も積極的にやらないでしょう。社説が書くように,隠していた不良債権が明らかになっちゃうから。バラ色案件だけを証券化するか,バルク売却とか抱き合わせ販売みたいな形で証券化していくのではないかと思います。

 さて,ここからは僕の私見になりますが,「おいしい」資産についても,喜ばしい事ばかりではありません。同時に「ある事」をやっておかないと金融機関が買う事も難しくなると思います。BIS規制で求められる自己資本比率の算定の過程で,このABSのリスクウェイトを決定しておく必要があります。これをしないと,銀行の自己資本比率は(おそらく)低下します。生保だってソルベンシーマージン比率は低下するんじゃないかな(すみません,算出の仕方はよく知りません)。金融庁はBISに働き掛けて,なんとか影響が限定的になるようにしないといけません。

 ちなみに自己資本比率とは,「資本/資産」のことですが,金融機関の場合は分母も分子も様々な調整がかかります。例えば分母の資産には預け金とか貸出とか国債とか株式などがあるわけですが,そのうちのどれぐらいをリスク資産と見なすかという算定方法が資産ごとに決まっています。100の貸出と100の国債ではリスクが違うという考え方で,貸出はリスクウェイト100%で100そのもの(住宅ローンなどは減ったりします),国債は0%なのでいくら持っていても0。分母が小さい方が,つまり資産が小さい方が自己資本比率が上るので,銀行は8%以上の自己資本比率を維持するために,100になってしまう貸出を貸し剥がしなどで回収して0にしてくれる国債ばっかり買いました。蛇足ですが,分子の資本にしても株などの含み損を容赦なく差し引かなきゃいけなかったので,ますます貸し剥がしに熱が入ったのでした。

 それはそれとして,量的緩和解除がなされましたし,ゼロ金利解除も今年中かと言われている現在,銀行の手持ちの国債の時価評価額は激しく毀損していることと思われます。ま,不良債権の償却とか株の含み益でチャラになっているのかもしれませんが,このリスクウェイト0の国債を手放してABSを買ってしまうと,分母が大きくなりますからマズイんです。100兆円の金融資産売却を目指すなんて豪語している以上,無視できる話じゃないと思うのです。ま,頭の良い官僚さん達のことだからとっくに対策は練ってるんでしょうけどね。一般紙レベルではさすがにそこまでは書きませんかね。

 なお,2007/4からは新BIS規制が適用されるようですが,詳しい内容は知りません。ひょっとしたらこういう場合のABSのリスクウェイトは優遇されているのかもしれません(新BIS規制対策は同期が担当していたような・・・)。そうだとしたら,このエントリは杞憂ってことになりますね(^^;
posted by 時をかける僧侶 at 22:30| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 日本財政問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月16日

年金と保険のしく知らないと 聞こえてくるよ負け組の足音

 本題に入る前に。
 ホリエモンが強制捜査を受けているらしいが,明らかに明日のヒューザーの小嶋社長証人喚問を世間の目からぼかすためでしょう。何年も前の風説の流布疑惑を今出すわけだから狙いは明らかです。飯島か世耕か指示した人間は知らないけど,まったくうまくやるもんですね。各メディアも知ってか知らずかヒューザーそっちのけでホリエモンの特集番組流してる。同じようなことしてきたソフトバンクとか楽天には捜査は入らないんだろうけどね。しょせんはホリエモンは使い捨てだったってことで。

 さて,気を取り直して前エントリのつづき。こんな記事もありました。

(Jan/04/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【年金未納なら医療費は全額自己負担に,厚労省が検討】
 厚生労働省と社会保険庁は3日,国民年金の長期未納者と長期未加入者について,国民健康保険(国保)を使えなくする措置を導入する方向で検討に入った。
 国保が使えなくなると,医療機関に受診した場合の患者負担は全額自己負担になる。年金の未納・未加入者に対する事実上の罰則規定を設けるものだ。実施の具体的な基準を詰めたうえで,早ければ2007年度から実施したい考えだ。(略)
 国民年金の納付率は05年度上半期(4〜9月)現在で,61・2%(社保庁調べ)にとどまっており,4割弱が未納だ。(略)
 一方,国保の滞納世帯の割合は04年6月現在で18・9%で,年金よりも納付率は高い。国保が利用できない場合,医療費が全額自己負担になり,影響が大きいという意識が強いことが原因と見られる。このため,年金未納者らへの“ペナルティー”として,国保利用を制限する案が浮上してきた。(略)
(引用終了)

 全文が気になる方はリンクからご覧ください(引用文が長いと読む方もしんどいでしょうからところどころ略しています)。
 前回は高齢者が支払う保険料を年金から天引きしてしまえという乱暴を批判しました。年金運用に失敗した厚生労働省や財務省(旧大蔵省資金運用部,いわゆる財投)の責任は一切問われず,大幅に減額された年金を押し付けられる「戦後死に物狂いでがんばって日本の繁栄を下支えしてくれた」老人達の尊厳を損なう「天引き」という一方的なやり方は,国が公権力でやるようなことではないという原則論からの批判でした。それに比べると,引用した記事の中身,とりわけこの施策が実施されるとしたら,それに伴う様々な影響をじっくりと考えていく必要がありそうです。

 以下のようなシナリオが考えられます。

  1. 国民年金の保険料を払えるのに払わない人間には国保を利用させないという罰則なので,恐怖におびえる未納者・未加入者はこぞって加入・納入する。
  2. 一方,国保が使えないというデメリットを甘受すれば国民年金にも加入する必要はなくなると考える人が出てくる(僕もそうなるかも)。
  3. そういう人たちは民間の医療保険に加入することになるが,こっちは保険料が高いが先端医療技術による医療行為を保険で受けることができる(国保では無理)。
  4. 結果,少子高齢化でボロボロになっていく国民年金・国保は「国民皆制度」が維持できなくなり破綻する。
  5. 民間の医療保険はますます盛況になって,金持ち(二極化された後の上層部)は健康を維持できるが,そうでない人たちは・・・ということになる。
  6. 財政投融資は保険料を集めて運用していた日本国債を売らざるを得なくなる。
  7. 郵貯・簡保も民営化されてしまって国債を買ってくれるとは限らない。
  8. 長期金利暴騰(国債暴落)。銀行破綻。ペイオフ発動・・・

 最後はちょっと煽りすぎたかな(^^;
 結局,いま強権発動してもいいことにはなりそうにないと僕は考えます。お役人の偉いさん達が自分たちの誤りを認めないばっかりに,ゆがんだ制度を余計にゆがませようとしているわけですから,2のような考えが出てきても彼らは文句は言えなくなるはずです。超お金持ちが国民年金の保険料を滞納していたら差し押さえ,という制度ができつつありますが,税金とは性格が違うのでよほど酷い場合でない限り簡単には差し押さえなんてできないでしょう。

 やっぱり金融敗戦でアメリカ流グローバルスタンダードを受け入れた以上,国民皆保険・年金制度は機能しなくなるのは当然で,あがけばあがくほど傷口が広がっていきそうな気がします。貧富の差が開くのがアメリカ流です。もう無茶言わんから戦後の日本型社会主義のような幻想は捨てて,新しい仕組みを構築しましょう。

黄金の人生設計.jpg 僕も保険・年金に関しては無知に近いのですが,最近読んだ本で日本の年金・保険の制度をさらっと学習しました。橘玲『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』講談社+α文庫です。住宅ローンの怖さとか教育費の真実とか,かなりいい勉強になりました。興味のある方はどうぞ。

 さて,では一般のサラリーマンはどうすべきなのかを考えないといけません。働き盛りのサラリーマン世代は間違いなく自分が拠出した金額以上の年金はもらえませんし,国民保険も大変な病気・事故には適用してもらえなくなるでしょうから,いろいろと対策を練る必要があります。それだけでなく,サラリーマンを狙い撃ちにした大増税も実施されますので,所得を増やすというのは「いっぱい納税します」という意味にしかなりません。納税するのは国民の義務であり当然進んででもすべきなのですが,今のような無駄金(感謝もされない中国へのODAだとか役人の高額な退職金だとかドル暴落を支えるための米国債購入だとか)が多くてそれを改められない現状では,すすんで高額の納税をするのもバカらしいです。それならどうしましょう,ということで考え出された方法が一つあります。

サラリーマン法人の本.jpg この話をすると長くなるので結論だけ。「サラリーマン法人」を作ることです。敷居はやや高いですが効果は抜群です。政府税調が昨年6月に公表したプランによれば,いままで給与所得の3割ぐらいがサラリーマン経費として控除されてきたのが,7%ぐらいに引き下げられる予定です(平均的な年収630万円のサラリーマンに認められる経費は年間42万8千円のみ)。背広・コート・ワイシャツなどを買っても控除できる金額は年間2万8千円まで(年間ですよ!)とか,どう考えても国民思いではない一方的な大増税,あれです。この理不尽な増税を「サラリーマン法人」なら合法的に回避できます。詳しいことが知りたい方はいろいろと調べてみてください。僕は,小池洋,高橋節男『サラリーマン法人で年収150万円UP!―年収を増やす魔法のテクニック』双葉社を読んで知りました。

 ま,そんなわけで,まだまだ泣き寝入りするのは早い。いろいろと知識武装して苛政に立ち向かいましょう。
posted by 時をかける僧侶 at 23:53| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本財政問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月14日

天引きで自由をなくす新制度 未納が悪いと簡単に言うな

 いまから坊さんの集まりがあるので手短に。日本のアメリカ化の進行度合を計るのにもってこいの記事です。

(Jan/07/06 日本経済新聞より引用開始)
【国保保険料,年金から天引き 2008年度から新制度 厚労省 高齢者の未納防止】
 厚生労働省・社会保険庁は2008年度から,公的年金の受給者が国民健康保険に加入している場合,国保の保険料を年金から天引きして徴収する仕組みに変える。年金を受け取った後,国保の保険料を改めて納める仕組みでは加入者の手続き忘れなどで未納が起こりやすいためだ。年金から直接天引きし,拡大する未納を減らし,医療保険の財政悪化を防ぐ。
 政府は医療制度改革の一環として08年度から75歳以上の高齢者が入る新医療制度を作り,その保険料を加入者の年金から天引き徴収する。これにあわせて,新制度の対象とならない74歳以下の国保加入者に対しても年金からの保険料天引きを始める。老齢年金だけではなく障害・遺族年金を受け取っている加入者も対象とする。
(略)
 国保保険料の年金から保険料を天引きが始まると,年金受給が始まる65歳以上の人は原則として全員が年金から保険料を天引きされ,65歳以上の人の未納はなくな見通し。未納の減少で国保保険財政が好転するほか,市町村は未納者への自宅訪問など徴収事務のコストを削減できる。
 国保は退職者や自営業者ら会社員・公務員以外の人が加入する。低所得の加入者増に伴い保険料の納付率が年々下がり,04年度は全国平均で90・09%と90%割れ寸前まで下がっていた。
(引用終了)

 日経は「低所得の加入者増に伴い保険料の納付率が年々下がり」なんて無責任に書いていますが,そういう国にしてきたのが小泉・竹中でしょうが。日本人の精神構造を考えずに無責任にアメリカ流の自己責任をぶたないでいただきたい。「老齢年金だけではなく障害・遺族年金を受け取っている加入者も対象とする」とあるように,有無を言わさぬ天引きで弱者をさらに徹底的に痛めつける政策を押し付けてくるのが国のやることでしょうか。竹中大臣が信奉する新自由主義における政府の役割は弱者保護のはずです。

 競争社会が過度に進めば自然と勝ち組と負け組に分かれます。それはいけないことではない。問題なのは必然的に発生する負け組をいかに救ってもう一度土俵に立たせるかという政策です。これが競争社会における本来の国の役目です。一方で,アメリカのように失敗することは悪いことではないという文化が根付いている国においては,特別国がいろいろと気をもむ必要性は薄いのですが(最低限の社会保障で十分立ち直れるということ),失敗=人生の落伍者という図式がきれいにできている我が国において,アメリカの施策をそっくりそのまま真似てればいいというものではありません。

 もともと農耕民族なんですから,欧米と同じような競争を持ち込んで同じような弱者保護政策だけでカバーできると考えるのは非常に浅はかです。負けた方は簡単に社会復帰できないのが日本であり,日本人の精神構造は「失敗は許されない」という一念が強く影響しているのです。だから年に3万人も自殺するんです。負けた方はそこで人生おしまいだから,生きていても仕方がないという考えになるのです。

 ではどうするべきなのか?これについては時間がきたので,また今度に意見をまとめたいと思います。
posted by 時をかける僧侶 at 17:31| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本財政問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月06日

少子化の勢い止まらずこの国の 元気のなさはどこまでいくの

 年末年始にかけて少子高齢化時代に向けた提案が各紙でなされていました。今日はそのうち,事実を並べただけの読売の社説を引用しておきます。僕も考えていることをまとめておきたいのですが,考えもまとまっておらず時間もないので今回はパス(仏大レポートに追われているので手抜きです ^^;)。

(Dec/23/05 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[人口減少]「予想より早かった転機の訪れ」

  • とうとう日本の人口は,ピークを越えて下り坂に入った。
  • 「自然増加数」は,1万人のマイナスだ。在日外国人を含めても4000人減ったと見られている。
  • 出生数が昨年より4万4000人減り,前年の減少幅を3万人も上回った。主因は少子化の加速である。
  • 内閣府が今月公表した「少子化社会白書」は,日本の現状を「超少子化国」と表現した。
  • 少子化対策として,政府は,10年前に「エンゼルプラン」,5年前に「新エンゼルプラン」,そして今年度は「子ども・子育て応援プラン」を打ち出した。だが,施策の総花的な寄せ集め,という域を出ていない。
  • これまでのプランに,効果があったのか,なかったのか。総点検して,施策の選択と集中を図るべきだ。
  • 人口減少は今後さらに加速する,という厳しい前提に立って,社会保障制度を基礎から再構築する作業も,急がなくてはならない。
(引用終了)
 
 この社説こそ「総花的な寄せ集め」なのですが(つまり僕でも書けるってこと)まあそんなことは置いておこう。
 箇条書きの3点目がこの問題のキモになっていることがおわかりになると思います。ややこしい日本語になっていますが,去年生まれた赤ん坊の人数は前年対比で14,000人の減少で,今年はその減少幅を3万人上回った44,000人減少ということです。確かに生まない傾向が加速していると言えます。どこで歯止めがかかるか分からないものの,この急激な減少幅の増大は不気味です。

 ただ,本屋を歩いていると,人口減少は必ずしも悪いことばかりじゃないといった論調の本に出くわすのです。例えば下のような本がそうです。
人口減少で日本は繁栄する.jpg人口減少ミ会の未来学.jpg人口減少ミ会は怖くない.jpg「人口減少経済」の新しい公ョ.jpg
 一冊ぐらい読んでみようかと思ってパラッと立ち読みしたら,どうも少子高齢化による人口減少について肯定的なものではない。ヨーロッパでペストが流行って人口が減少した後にルネッサンスが始まっただとか,江戸時代もそうだとか,要するに一時的な人口減少の後には文化的な華が咲くんだという話になっていました。僕が望む答えはそんなことではなくて,少子高齢化は違う角度から見ればメリットもあるのではないかという説明が欲しかったので,かなり残念。やっぱり少子高齢化はデメリットしかないのかなあ。
posted by 時をかける僧侶 at 23:22| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本財政問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月29日

役人を太らせるために借金し 憂いも尽きぬ国の行くすえ

 朝食をとりながら読売新聞を読んでいると,出生率が1.26に低下したというトップ記事が目に留まりました。ページを繰ると団塊の世代にあたる公務員の退職金が足りないというニューズがあり(下記に引用),暗い記事ばかり続いている状況を考えると,いよいよ国の財政問題は待ったなしのようです。こんなことはずいぶん以前から識者によって指摘されていたので今になって驚くようなことではないのですが,いろいろな懸念が現実化してきたことは対策を怠ってきた結果であり,楽観視しすぎた結果でもあります。そして,先送りも最早許されないような状況にまできています。ということで,今日もやっぱり財政問題を採り上げます。

(Dec/29/05 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【都道府県・政令市「団塊の世代」退職金1兆4千億円】
 1947〜49年に生まれた「団塊の世代」の都道府県・政令市職員は,2009年度に定年退職のピークを迎え,同年度に自治体が負担する退職手当は5万1245人分,総額1兆4029億円に上る見込みであることが28日,読売新聞社の全国調査で分かった。
 支払い義務のある手当総額は今年度(7468億円)の1・88倍に達し,過半数の自治体が現時点では全額支給の財源を確保できるかどうか分からないと回答しており,団塊世代の大量退職が地方財政に打撃を与える実態が鮮明になった。(略)
 退職者は47年の早生まれが定年を迎える06年度から急増。07年〜09年度にさらに増加し,この3年間に35都府県市がピークを迎える。団塊世代を大量採用した理由は「高度成長期の行政需要の多様化などに対応するため」(山形県など)という。
 退職者は10年度以降,緩やかに減少するが,70年代前半の第2次ベビーブームに合わせて採用した教職員の定年が目立ち始める14年度から再び増加。23道県は14年度がピークとなる。
 退職手当の財源(複数回答)は,「一般財源」が44都道府県市で最多。10府県市は,総務省が06年度から発行条件を緩和する地方債「退職手当債」を予定している。ただ,07年度に退職者数のピークとなる富山県を含む18府県市は「財源は未定」とした。
 財政面以外でも,ベテラン職員が培ったノウハウの継承への不安などを訴える声も上がった。
(引用終了)

 一般財源でなんとかなるところは良いとして,問題は「退職手当債」を発行する自治体と「未定」の自治体。「未定」って言っても最終的には地方債を発行したり,都道府県から支援をもらう(そのために都道府県はさらに公債を発行する)ぐらいしか方法はないだろうから,やっぱり問題は公債(借金)ということになります。国が国債の新規発行を30兆円以内に抑えようとしているそのウラで地方債発行額はどんどん増えるわけです。そして,その公債を引き受ける(買う)のは地方銀行だとか地域の信金・信組・農協が主要プレーヤーになりますから,彼らの財務状況もどんどん厳しくなっていくことになるでしょう。そしたらそこに預けている我々の預貯金は・・・。

 暗くなりそうだからこんな話やめたいんですけどね。でもこの議論は避けて通れません。景気回復して金利が上がったなら債券なんてどんどん価値が下がっていきますが,地銀や信金,農協は地域経済を支えるためには地方債を購入せざるを得ないということもありますから,彼らは天に祈るような気持ちで引き受けるのでしょう。資産査定のリスクウェイトも低く抑えれるし(要するに貸出を増やすよりも自己資本比率が上がるということ)見た目もごまかせます。でも,そもそも流動性の低い(=売りにくい)地方債を持っているということ自体がリスクなんですよね,本来は。金利が上がってるので損切りしたくても買い手がいないのなら暴落するのを黙って見ているしかないわけ。バブルがはじけた後の不動産みたいなもので,債券バブルがはじけて新たな不良債権がどんどん財務状況を蝕んでいくことになりかねません(もちろん売買目的の債券ではないので時価評価は制度上緩いんですけど)。
 こういう時は景気回復による資産インフレを期待して株を買えばいいわけですが,以前に竹中大臣と木村剛の進言で銀行は底値で株を放出させられてるし(外人がその底値で買っている)今から買いに入ってもどこで外人が引くかわからん状況ですから踏んだり蹴ったりです。

「退職手当債」の話に戻ると,これってそもそも,公務員の退職金のために積み立てていたファンドの今までの運用失敗した分を税金で補いましょうということと同じ意味ですよね。真面目に勤めあげた公務員の方には失礼な話かもしれませんが,結局はこういうことです。負担は次の世代に先送りして,お役人さまに豪遊していただくということなんですけど。これって納税者の理解をすんなりと得られますかね?

 ま,納税者でもこのあたりの仕組みを知っている人なんて少数だし,その少数の人たちも地方選に熱心に投票しにいくとは思えませんから,簡単に発行されるんだろうなあ。借りる側から見たらホントにありがたい話ですよね。
 ただでさえ財政赤字が膨らんでいる地方公共団体が多いんだから(減っているのは田中知事の長野県ぐらい?)ここでさらに借金を増やすなんて,借り手(ここでは地方公共団体のこと)はインフレを期待しているとしか思えません。借りるだけ借りて(公債を発行するだけ発行して)あとはインフレで金利が上がってくれるのを待てば,借り手は固定金利だけ支払っておればいいし,返さないといけないお金の価値がインフレでどんどん減っていきますから。で,割を食うのが公債を買っている銀行とか郵貯,生保。外人はほとんど買っていませんから傷つくのはまた日本人だけ・・・。

 もう暗い話はここまでにしよう。
 今年のラストエントリのつもりですし,改めてここに書いておきますが,僕は何度も負けるのは嫌なのです。戦争に負け,バブル破裂という経済戦争に負けた日本が,いよいよ国民の資産まで失おうとしています。重要な情報を提供してもらえず騙されたままもう一度一億総懺悔なんて考えただけでゾッとしませんか?どうにかして自分の周りの人間だけでも,資産を守っていきたいと思う毎日です。来年もその思いで動いていくつもりです。具体的に考えているのは・・・

  • 海外に口座開設
  • 海外の株取得(日本で売ってるファンドじゃないよ)
  • 住宅ローンの金利長期固定化

 一歩一歩実現していきます。
 ではまた来年お会いしましょう。
posted by 時をかける僧侶 at 22:00| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本財政問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月27日

日銀のバランスシートを見てみたら なんとびっくり国債がいっぱい

 財政改革の話題が世間にかまびすしい。新規発行国債が30兆円切るとか景気回復で税収が増えるとか,無駄が減って歳出が減るとか。ま,あくまで予算なので今の時点で詳しく論評することは避けて,財政赤字にスポットライトを当ててこの問題を考えてみようと思います。
 財政破綻問題は個人的にものすごく注目しているので,今日はちょっぴり専門的な見地から,といっても財務諸表が読める程度の知識でのぞきます。財務諸表?そう,今日は日銀の貸借対照表(バランスシート)を見ていきます。この他にもいろんな角度から論じると面白いので,ちょくちょくこの話題についてもエントリしていくつもりです。では早速,日銀のニューズから。

(Dec/20/05 NIKKEI NETより引用開始)
【日銀の保有国債,政府に売却を発表・来年度中5.5兆円】
 日銀は20日,保有する国債のうち5兆5000億円分を来年度中に政府に売却すると正式に発表した。今年度売却分(当初計画6000億円)も1兆4000億円追加し,合計2兆円とする。財務省の要請に応じるもので,政府は買い入れた国債を消却して発行残高を圧縮,利払い負担の削減につなげる。
 日銀によると,15日の政策委員会で決定した。来年度中に政府に売却するのは2007―08年度に償還期限を迎える利付国債。財務省は財政の健全化に向けて来年度中に総額12兆円の国債を償還期限前に買い入れ消却する計画。その半分近くを日銀から買い取るのは,債券市場の需給に影響を与えず相場の安定を維持するのが狙い。
(引用終了)

 小さな記事ですが内容はそれなりに濃い。1998年の小渕首相時代に大量発行した国債の行方を気にしないといけない時期になってきたということですね。財務省もタイムリミットが近づいてきたので本腰を入れ始めたのでしょう。手元資金があるうちに対処しておくということで,評価できることです。金額自体は巨額の国債に比べれば小さなもんですが,市場を通さない手法だし,やらないよりはやっておいた方がいいのは確かです。

 ではここで日銀のバランスシートを見ておきましょう。情報ソースは日銀そのものから(→日銀のサイト)。旬毎にバランスシートを発表しているなんて,サイトに行ってみないとわかりませんでした。もちろん速報値ですけどこの情報開示の姿勢はすばらしい。ただし今回は最新のデータ(12月20日現在)ではなく上半期のものを引用します。中間決算処理をしていて監査の承認も受けているものだからです。

平成17年 9月末  (単位:兆円)
  資産の部       負債・資本の部
金地金   0.4   銀行券   73.5
買現先   4.7   預金    40.5
買入手形 37.0   売現先   27.7
国債   97.9   債券損失引当 2.2
外国債券  4.7   その他    1.6
その他   3.4   ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー   負債計  145.5
資産計 148.1   資本計    2.6

 単位は「兆円」ですからお間違えなく。日銀のバランスシートなんて見たことある人は少数だと思いますが,すごく興味深い事実が見えてきます。例えば,

  • 銀行券(お札)の信用を担保しているのは日本国債である。
  • 手形を買って市中に資金を出しているが,量的緩和政策のため預金(銀行からの当座預金)にたまったまま。
  • (数字だけ眺めれば)売現先で調達した資金で短期国債を購入している。
  • 債券取引損失のための引当金は2兆円程度。
  • 資本はわずかに3兆円弱しかない。ちなみに資本金は1億円だけ。

 債券取引の引当金のくだりのようにちょっと意地悪く書いた点もありますが(引当金を積む基準を満たしていれば別に悪いことではないので),他は概ね事実に則した指摘です。どうですか?びっくりしましたか?

 金地金が4,000億円しかありません。日本円に限らないことですが,このようにいまや先進国の通貨に金との兌換制は見られませんから,通貨の信用は別のもので担保されないといけません。円が円として信用されるための背景ですから無茶苦茶大事です。
 日本の円では,数字をご覧になれば明らかなとおり,財務省が発行している国債の価値に依存しているということが分かります。っていうか,刷られたお札以上の国債を買っていて,それで通貨の信用としているという状況ですね。この状況の始まりがいつかは知りませんが,日銀のサイトで得られるデータで追える範囲においてはずっと続いています。ここのところ超低金利が続きました。つまり国債の価値が超高い状況が続いていました。日銀のバランスシートで見れば価値の高い国債に依存している「円」は円高であったとも言えます。実際,平成14年1月にはUSD/JPY(ドル円)の高値@135.15(ひまわり証券のビッドレートベース)をつけて,現在は@117.00付近ですから2割近くは円が強くなっていました。安値だった@104.00台で見たらもっとわかりやすいでしょう。ちなみにこれは,デフレ=通貨価値が上がるという式で理解することもできます。

 何が言いたいか,お分かりでしょう。円の価値は国債次第ということ。これは感覚的なものではないですよ。それを分かっていただくために日銀のバランスシートを引っ張り出して来たのですから。インフレになったら円が安くなるという根源的な証拠でもあります。ですからこの機会に,国債管理政策は円の威信にも関わってくる問題であるという認識を是非もってください。

 それから,わざわざ債券取引の損失引当金が2兆円しかないなんていう書き方もしていますが,これは,そんな金額で足りるのかい?どれだけヘッジできてんだい(そもそも日銀って債券先物市場などでヘッジできたんでしたっけ)?という気分を出したいがために書いたものです。無防備なわけはない(と思う)のでバッファはどこかに仕込んでいるのかもしれません。僕には見つけられませんでしたが。ま,この引当を越えるほどの損失が発生した場合,当然のことながら資本を食いつぶすことになりますので,日銀が債務超過になっちゃうってことも考えられます。時価評価しなくていいというルールがあるので,目に見える債務超過にはならんのでしょうけど。日本の円ってこんなに危うい状況なんですね。
※一般の会社なら倒産一歩手前ですが,日銀はお金を作れますから潰れません。円の価値は急落するでしょうけど。
 
 僕はこのように日本の経済基盤,金融の状態を理解しています。この見地から,国債管理政策を投げ出す形の小泉流の郵政民営化に反対しましたし,外貨投資を試したりしてきたわけです。
※小泉流の郵政民営化とは,財務省なら現行制度でもできるのにやらない財投改革の責任を郵便局に押し付けて,さらに国債を大量に保有している郵貯・簡保を民営化することで国債管理の責任を民間に押し付けるものです。マスコミは抵抗勢力と小泉大明神の対決という脚色でしか国民に語りませんでしたが。

 もちろん,経済は生ものですし理屈通りに動く確証はありません。でも,だからと言って全てをレッセフェールするのは無責任ですし,守らなければならないもの(僕にとっては日本の国,国民の富,家族たちなど)を守るのが男の役割だと思っていますから,その時その時でベターと思われるものをいろいろ試行錯誤しているのです。ま,あんまり財政破綻とか国家破綻を語ると総悲観論になってしまって気分は晴れませんし建設的ではありませんから,これからも極力暗い話は避けて「どうすべきか」というところを探っていきたいなとは思っていますが。

 やっぱりここでも国債を抜きには語れないことがおわかりいただけたと思います。日銀のバランスシートから円の価値を語るというエントリはここまでにしておきましょう。



(雑記)
 円の価値が他通貨と比べて安くなって何が困るの?という質問に答えましょう。
 日本の食料自給率は40%ないんですよ。人口は減っていきますけど,食料すら輸入に頼らざるを得ない国の通貨が安くなったら国民生活に与えるインパクト(インフレ)は強烈です。ただでさえ原油高になっただけでCPIがプラスに転じたニューズが今日出たばっかりですから(→記事)。そのかわり国内農業の重要性が再認識されることでしょうけど。

 欧米の先進国はそんなこと百も承知だから国内農業をしっかり保護するし(日本だけが保護政策とっていて非難されていると思い込んでいるアナタ,マスコミに洗脳されていますよ),だからこそ通貨安戦略をとって経済を復活させることができるんだけど,日本は事情が違うから人為的に円安にはもっていきにくいんです。だから地震とかテロとか,はたまた国債暴落というきっかけで「自然に」円安にならないといけない。でも円安にさえなれば資産効果も期待できるし,内需も活発になるし,借金の負担は減少するし,いいことの方が多いと思われます。次回はこういう話もできればいいなあと思っています。
posted by 時をかける僧侶 at 22:31| 兵庫 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本財政問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月16日

キジを見せカラスを売るのは詐欺ですよ道路も同じ本質は同じ

 道路財源の一般財源化が決まりそうです。方向性としてはすでに決まっていて,全部を一般化するには法改正がいるが,改正せずにできる範囲の500億円ぐらいはすぐにやってしまおうということらしい。この動きに対して,ちょっと古い記事になりますが正論を紹介します。

(Nov/13/05 産経新聞より引用開始)
【道路財源の一般財源化,「納税者裏切る行為」 自工会・石油連盟,反対署名活動/税率下げ要求】
 小泉純一郎首相が指示した道路特定財源の一般財源化をめぐり,自動車や石油関係の業界から反発する声が高まっている。両業界とも「道路以外への転用は納税者に対する裏切り」(日本自動車工業会)などとして,一般ドライバーに対して反対を呼びかける署名活動などに乗り出している。政府・与党は年内に一般財源化を決める見通しだが,こうした関連業界との調整は難航しそうだ。
 税収の使途を原則として道路建設に限定する道路特定財源は,ガソリンにかかる揮発油税のほか,車検時に徴収する自動車重量税などで構成されている。小泉首相はこの道路財源について,使途を限定しない一般財源に組み替えるように指示し,政府・与党では一般財源化に向けた議論が本格化している。
 道路財源は,道路を使用する人が道路整備費用を負担するという「受益者負担」の原則に基づいており,いわば“目的税”との位置づけだ。このため,使途を限定しない一般財源化に対しては日本自動車工業会が先月,「道路整備以外への転用は,政治に対する納税者の信頼を裏切るものだ」として反対する姿勢を表明した。その理由の一つとして,税負担をめぐる地域格差の問題を指摘した。(略)
 石油連盟も今月十日には「道路整備以外への転用は,制度の趣旨に反し,自動車ユーザーの理解を得られない」と一般財源化に反対する声明を発表した。その理由の一つにあげているのが暫定税率の問題だ。
 揮発油税と地方道路税からなるガソリン税は本来,ガソリン一リットル当たり二八・七円。ところが,道路建設を促進する目的で昭和四十九年四月に暫定分が上乗せされ,現在の税率は揮発油税が二倍になるなど合計では同五三・八円まで負担が重くなっている。このため,石油連盟は「財源に余裕があるならば,暫定税率を引き下げ,自動車ユーザーの負担を軽減すべきだ」と主張する。(略)
(引用終了)

 まったくもって正論。でも正論は必ずしも為政者の耳には届きません。今のような独裁体制で,かつマスコミが用心棒として機能している間は,馬でも鹿と言わざるを得ない信念の弱い政治家ばっかりで,これでは日本が良くなるわけがありません。ですから業界の人たちがいくら反対しても決める権限をもっていない以上は無駄でしょう。でも無駄だからといって行動を起こさないというのはもっといけない。ポーズだけに終わったとしても,反対しない=賛成と解釈されたのでは次の手が打てないからです。「あの時,反対意見を出さなかっただろう?今更反対するな」と言われてしょんぼり反論できないようでは業界人間の意義がありません。
 僕の心境も同じ。個人のブログでぴーちくぱーちく吠えたところで影響力はもちろんありません。影響力を及ぼすにいたった立派なブログもたくさんありますが,趣味というか片手間でやっている僕のブログでは世論が動くことはありません。でも,だからといって反対意見を述べない,あるいは意見表明しないというのは,政策に賛成していると見なされるわけですから,それが嫌な僕はこうやって自分の意見を公表しておくわけです(アドレスさえ打ち込めば誰でも僕の意見を検証できる)。もちろん飲み屋で友人とそういう話をしてもいいんだけど,頭の中が整理されていない状態で時事問題の意見を交換してもまとまりがないし,得るものも少ない。いったん文章の形で残しておいて自分の頭を整理すれば,いざ自分の意見を誰かに言う必要が出てきたときには,より深く自分の意見が相手に伝わるものです。僕も銀行員時代はこの手法で人脈を広げました。何事も段取りが大事だということでもありますし,そのためにブログを利用するというのもいいかなと思うのです。だから僕はブログを続けているわけですね。

 前置きはこれぐらいにしよう。
 道路財源は特別会計で管理されています。これについての問題点は

  • 国会議員の審議を経ずに官僚達の権限で予算が決められる。
  • 大目に徴収するもんだから大幅な黒字になるが,予算消化のために無駄なものを作り続ける。
  • 官僚とつるんだ道路族が幅をきかせる。

 こんなところですか。小泉政権は,古賀誠などの道路族の力をそぐことと日本の財政悪化に歯止めをかけることのために財源を一般化しようとしています。それはそれで理念としては間違ってはいないのですが,本質を見誤っています。結果的に本質をついてくる論者と言論で戦うことができず(姉歯事件の証人喚問で自民党の情けなさは露呈しましたね),力づくで法案を通すしかなくなっているわけですが,このエントリで僕が本質を書いておきます。

 本質はズバリ,用途を決めて集めた金を集まりすぎたからっていって違うことに使っていいのかという点。業界の人たちはまさにこの本質論で戦うわけだけど,権力で言論を押さえ込む手法が好きな,というより言論では戦えないことをしっかり自覚している(笑)小泉首相はかわしてきます。彼らを抵抗勢力と呼んで,マスコミにもそう呼ばせて,正しい情報が伝わっていないのに自分は勝ち組だと勘違いしているB層の方々は問題の本質すら理解できずに,ころっと小泉マンセーを叫んで,抵抗勢力の力はしぼんでいきます。そうなっては元も子もないので,比較的分別がいいというか要領がいいというか,業界の人たちもゴリゴリと抵抗することはしないでしょう(郵政民営化に反対した議員がどうなったかを考えればさもありなん)。この程度の反対意見を述べて,せいぜい一般人から署名を集めておしまい。最後に「遺憾である」旨の記者会見を発表すれば,反対したけどダメだった,でも戦ったんだというイメージが残せます。ま,これはこれでよろしい。

 絶大な政治力で必ずしも正しいと思われることがなされないのは現実論として仕方がありません。問題は我々が本質を知らないままでいいのかということ。少なくとも僕は,政府の情報操作で本質を知らされないまま自己責任と言われて納得できるようなお人よしではありません。じっくり物事を考えれば本質は見えてきますし,本質論から考えれば特定財源の一般化なんてありえない話だと誰でもわかるはず。本質を知れば政府の本当のねらいもわかります。つまりなぜ政府は本質論を避けてまでやりたいのかということがわかります。ちなみにこの事例で言えば政府がやりたいのは道路族云々という話と赤字財政についてでしょう。

 もちろん,本質にこだわりすぎずにそっちの対策をとった方が国のためになるという場合はあります。一般化はありえないと書きましたが,例外はあるのです。ただし特定財源,徴収を受けた国民が納得した場合です。この事例で具体的に見ると,

  • 用途を変えていいわけはないという原則は保持。道路のメンテナンスのために支払っている税金で国債買ったりODA出されたりしていいはずがない。キジを見せてカラスを売るような詐欺は許されない。
  • だから官僚のさじ加減で決まるような杜撰な特別会計を一旦解散(?閉じるってこと)する。余ったお金はドライバーに返金。車両税を減免する形にすればいい。
  • もちろん国の財政悪化の歯止めに貢献したいというドライバーがいればその意見は尊重して減免しなくてもよい。
  • そのうえで道路のメンテナンスについても一般財源の中でやるという形で,あらためて財源を一般化する。この時点であれば車両税とかガソリン税などは一般化しても全く問題はない。カラスを見せてカラスを売るのだから。

 キジを見せた以上はキジを売らないといけない。カラスを売りたいのならカラスを見せよという当たり前のことですね。これを政府はごり押しでキジを見せて集めた金でカラスを売りつけようとしているわけ。詐欺です。だから,キジを買うつもりでお金を出した人に一旦お金を返して,カラスを売るのでもう一度お金を出してねという手順を踏まないと,本当に詐欺になるのです。

 実はもう一つ解決策があります。特別会計の予算も国会審議にしてしまうことです。これなら国民の代表である国会議員の決議で特別法なり何なりを作って財源委譲はできるでしょう。国民のチェックが入ったわけですから。
 でもなぜか今回はその手すら使いません。理由はわかりませんが,面倒なだけなのですかね。官僚が抵抗しているんでしょうか。こっちの方が簡単なように思えますけどねえ。まあもうちょっと調べないとわかりませんが。

 とりあえず今日はここまでにします。この問題はけっこう奥が深いからこの先もちょいちょい見ていきたいと思います。
posted by 時をかける僧侶 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本財政問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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