2006年07月11日

あえて日本の軍事力強化を支持します

 北朝鮮の騒動の中で日本の自衛力の拡充についての社説が出ています。今日はそのうち産経新聞の社説をとりあげよう。

(Jul/11/06 産経新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【防衛庁長官発言 「攻撃力」の是非の論議を】

  • 額賀福志郎防衛庁長官は「国民を守るために必要なら,独立国家として限定的な攻撃能力を持つことは当然だ」と述べた。
  • 麻生太郎外相も「核を搭載したミサイルが日本に向けられるなら,被害を受けるまで何もしないわけにはいかない」と語った。
  • 北の暴走を抑止する政治的メッセージである。同時に,あるべき日本の防衛力とは何かを考えさせる重要な問題提起といえる。
  • 政府は昭和31年2月,誘導弾攻撃など急迫不正の侵害に対し,他に防御手段がない場合,「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」として,必要最小限度で「誘導弾等の基地をたたくことは法理的には自衛の範囲に含まれ,可能」との見解を鳩山一郎首相答弁で示している。その意味で額賀氏らの発言は,この政府見解を踏襲したに過ぎない。
  • ただ,この首相答弁は3年後,次のように修正された。伊能繁次郎防衛庁長官が「このような事態は今日においては現実の問題として起こりがたい」として,他国に攻撃的な脅威を与える兵器を持たないと表明したからだ。
  • 日本はこのあと,「専守防衛」の立場をとり,敵基地などへの攻撃能力は米軍に依存してきた。
  • だが,47年前は「起こりがたい」とされたことが今,現実味を帯びている。核開発を公言する北朝鮮は中距離弾道ミサイルで日本を恫喝(どうかつ)し,「破局的結果」にまで言及している。
  • 額賀氏は攻撃力について「まず与党の中で議論し,コンセンサスをつくる必要がある」と語った。攻撃力保持の問題について,国民が自分たちの問題として,論議するときである。
(引用終了)

 正論です。ただし,今まで新聞などのメディアで報道されてきた内容が全部事実だった場合に限りますが。日本独自の調査機関が今回のミサイル発射騒ぎを察知して対策をとっていたというのならともかく,今回も情報の大部分はアメリカ様からのものであって,98年のテポドン騒ぎのときと構図が変わっていないというのが気になります(あのときも結局はオルブライトが訪朝して米民主党が北朝鮮ビジネスに手を付けるきっかけになった,つまり日本でのテポドン騒ぎはいいダシに使われた)。これまでの情報は全部信用できるのですかね。
 
 ま,こんなことを言い出したらキリがないので信用できるとして話を進めると,社説のとおり額賀さんも麻生さんも間違ったことは言っていません。それよりもこのような発言ができるようになった背景についての理解は必要でしょう。2人ともポスト小泉候補ですから(額賀さんの総裁選出馬の可能性については原田武夫通信より。ただし安倍潰しが目的ですが),アメリカが後ろで言わせているわけですね。これは今までどおりだから驚く事でもないのですが,要するに,ようやくアメリカ様のお許しが出て,日本も他所を攻撃しても許される軍隊を持ってもよろしいということになったってことだと考えればよいのでしょう。
 
 自衛のための軍隊から,先制攻撃まで含めた基地爆撃が可能になる軍隊への昇進は,間違いなく日本の自衛力アップにはつながるでしょう。この際,情報が正しいかどうかはどうでもいいことかもしれません。特定の人々にメディア支配をされている現状で,正しい情報なんて当てにするほうが間違っているのかもしれませんし。あとはアメリカ様のこのお許しを利用して,周辺国に対して毅然とした態度をとりつづけるべきですね。「侵略」が目的ではないのだし(北朝鮮に眠る鉱山などのおいしい利権は日本の企業まで回ってこないでしょうし)抑止力としての軍事力の増強はやはり必要悪として重要だと思います。ここは現実的な評価をしておくべきでしょう。
 
 もっと先にことを考えれば,副島隆彦らが言う通り,核装備も日本は考えていくべきかもしれません。これ以上ない抑止力を得る事になりますから。NPTを批准していないインドがアメリカ側(中国に対してという意味)にいるというだけで核軍備が許されているわけですし,今すぐには無理としても数年先ということで考えれば不可能とはいえないでしょう。念入りなロビー活動と外交努力によって目的を達成してもらいたいものです。
posted by 時をかける僧侶 at 21:57| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月07日

憂国の立場から日本のエネルギー戦略を考えてみる

 まじめなエントリが続いていますが,東京新聞のエネルギー戦略に関する社説が興味深かったのでコメントしておきます。

(Jun/07/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【エネルギー白書 資源戦略が欠かせない】

  • 今年の「エネルギー白書」は世界エネルギー情勢が急迫の度を強めたことを明記した。日本は新たな資源戦略を構築し展開する必要がある。
  • 急成長を続ける中国は日本を抜いて世界第二位の石油消費国となり,原油価格高止まりの要因となっている。
  • 価格以上に重大なのはロシアやカザフスタン,ベネズエラ,イランなどの資源国が石油や天然ガスなどを外交の武器つまり戦略商品として扱う姿勢を強めていることだ。
  • エネルギー資源の大半を海外に頼る日本は,あらためて戦略的な対応が迫られている。だが,白書によると日本のエネルギー事情は依然として危うい状況のままだ。
  • 石油の中東依存度は第一次石油ショック前の一九六八年の約91%をピークに八七年には約67%にまで低下したが,現在は再び約90%に戻った。
  • 一次エネルギー自給率は原子力を含んでも約16%。これは米国約72%,仏約50%,独約39%だけでなく,韓国の約18%をも下回る。
  • 日本が誇れるのは世界最高水準のエネルギー高効率国になったことだろう。
  • 日本は省エネ技術に加え,独自に地域協力や資源国への社会資本整備などを通じた関係強化を進めて安定供給を実現しなければならない。
  • 国内では民生・運輸部門を中心にした省エネルギーを推進する。石油備蓄,原子力利用も現状以上に高める。白書の方向は妥当であり,今後官民挙げて推進すべきだろう。
(引用終了)
 
 社説のわりには東京新聞独自の意見は最後の部分ぐらいなので,社説のクオリティ自体は全く対した事ないわけですが,他紙が採り上げない,しかし重要な話題であるエネルギー戦略について社説を展開していたので引用してみました。

 日本はエネルギー自給率は16%しかないらしい。食糧自給率が40%前後であることも考えると,日本が今後一流の先進国として存続するためには,通商政策を含んだ外交政策の舵取りが最重要である事は容易に理解できます。加工やら省エネは上手だとは言っても,もとの資源や食糧の供給をストップさせられたら立ち行かなくなるからです。じゃあこれら資源国とだけ仲良くしていくだけで十分なのか?ここは考えどころです。

 世界の先進国は他国の富を自国に移転するために外交をします。もちろん民族の誇りを維持するためだけに外交(戦争)する国はありますが,それは発展途上国の話であって,先進国の「国益」とは「経済的な富」のことを指しますから,善意悪意の区別こそあれ様々な手段を講じて他国の富を自国のものにしようと努力しています。これが外交の本質です。
※悪意というのは通念上,こりゃあいかんだろっていうやり方のことです。竹島は韓国領ではないと数十年前に自国教科書に書きながら,今になって韓国領であると主張するような言いがかりなどがその例です。

 日本にとって移転させたい「他国の富」というのは資源であり食糧という死活的なものなわけで,これらを合法的に,そしてできれば互いにウィンウィンの状態でゲットしたいのですが,これを邪魔してくる国が必ず現れます。代表的な国は中国や朝鮮半島の国々,ロシア,そしてアメリカです。

 中国の理屈は分かりやすすぎます。彼らは中華思想の国。同じ東洋人である日本人が中国人よりも良い生活をしていること自体が許せないので,理屈の通らない言いがかりをつけては日本を苛めようとします。これに脊髄反射して中国批判に熱心なのがポチ保守の方々ですが,中国が本気になって台湾を攻撃して占領してしまうと,日本に入ってくるはずの石油タンカーが日本に安全に入ってこれなくなり,無茶苦茶ピンチにさらされます。中東依存度は90%なんですから致命的です。だから,ポチ保守のようにアメリカの権威を笠にあんまり親台嫌中の態度を続けていると,マジで国家存亡の危機にたたされます。中国とは仲良くする必要はありませんが,怒らせてはいかんのです。
 
 蛇足ですが,だいたい,台湾を守るためにアメリカが本気で中国と戦うと思いますかね?伊藤貫『中国の「核」が世界を制す』PHP(右カラムにリンクがあります)という卓越せる良書を読めば,そんな空想を抱いている余裕は日本にはないことがわかるはずです。日本は自国の利益を守るために軍備を補強する必要があって,これをしなければ中国の支配圏に組み込まれてしまう事を覚悟しなければならない時期にすでに来ているのです。
※侵略目的がどうたらこうたら批判されたら,あんな自尊心だけが無駄に高い国民と,黄土やら大気汚染やらの土地を奪うつもりなど全くないことを公表しておけば大丈夫でしょう。侵略目的をはっきりと否定して国連にでも報告しておけば,基本的には中国も怒るに怒れないはずです。

 話がそれました。
 中国以外に日本のエネルギー政策の邪魔をしてくる国として見落とせないのが,同盟国(?)アメリカです。このブログでも何度も話題にしているとおり,アザデガン油田の対応を見ていればアメリカの意図は明らかですね。日本という金づるが,崩落間近の通貨ドルを支援する枠組みから抜け出すことはアメリカにとっては絶対に許せないことなのです。そもそもアメリカを飛び越えて中国との国交を回復しようとした田中角栄が失脚させられたように(キッシンジャーがジャップと呼んでいた事が明らかになりましたね)冷戦構造が終わったとはいえ,日本がアメリカに相談することなくエネルギー戦略を構築する事はタブーになっています。そこへきてこのアザデガン油田問題。イランは自国の原油の決済をユーロ建てに変更しようとしているわけで,日本がアザデガン油田にどこまでもこだわるのなら,下手をすればアメリカとの関係がより悪化して,次に政権を担うであろう米民主党から再びジャパン・パッシングの洗礼を浴びる事になりかねません。これは悲観的な見方ではなく,事実から冷静に導き出せる冷静な予測ですよ。念のため。
【キッシンジャー氏「ジャップは裏切り者」 日中国交正常化に不快感 米極秘文書】(May/27/06 Sankei Web)

 日本が今後も国益のためにエネルギーを他国から移転しようと思えば,これら超大国の機嫌を損ねずに進めていかないといけません。日本独自の防衛力の向上が見込めない現状では,安全保障をアメリカに頼らざるを得ない状況もしばらく続けないといけませんが,これが長引くようでは中国の支配圏に入る事を容認してしまうわけで,急がないといけません。ああ,それなのにそれなのに。国民投票法案の成立がまた遠のきました。今のうちにやれることやっておかないといけないんですけど・・・。ホントに日本は良くなっていくんでしょうか?不安ばかりが募ります。

 エネルギー政策の話が,日本の軍備強化の話になってしまいましたが,根っこは同じですからお許しを。
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2006年04月12日

うるさいぞアリコアリコと連呼して 日本の愚民も洗脳完了?

 現在起こっている社会の動きについて,自分の頭で理解していくために有用な方法は,様々な新聞の社説を読んでみることだと思います。一方的に賛同しすぎてはいけないし,先入観が強くていつも斜めから読んでしまってもいけない。そのバランス感覚を育みながら,自分の思想の軸を作り上げていく。そういう作業を毎日していきたいものです。今回は昨日の読売の社説が面白かったので採り上げます。

(Apr/11/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[生保の情報開示]「契約者重視の経営へカジを切れ」

  • 保険料は、多くの家計にとって税金と同じくらい重い負担だ。それがどうやって算定されるのかは、契約者が最も知りたい情報の一つに違いない。
  • 明治安田生命保険が、「3利源」と呼ばれる利益の内訳を、今年3月期決算から業界で初めて公表する方針を決めた。契約者の疑問に答え、経営の透明性を高める動きである。
  • 3利源は保険金の支払い、資産運用、経費の3分野について、予想と実績の差から生まれる損益のことを指す。
  • これまで、生保業界は「メーカーで言えば製造原価に当たる」と、公開を頑(かたく)なに拒んできた。だが,公開を決めた背景には、明治安田の追い詰められた状況もあった。
  • 昨年、約52億円に達する巨額の保険金不払いが明らかになり、金融庁から新商品の販売停止という厳しい行政処分を受けていた。
  • これに対し、生命保険協会の横山進一会長は3利源の公開について、「弊害あって一利なし」と否定的だ。公開すれば各社の数字が比較され、「この会社は3利源の利益が多く、保険料は高過ぎる」と、保険料引き下げ要求が噴出することを恐れている。
  • 3利源が経費の削減努力など、経営をチェックする重要な判断材料の一つになることは確かだ。誤解が生じないように、生保は公表する際に数字の意味を丁寧に説明すればいい。
  • 生保業界以外では、同じような保険を扱う日本郵政公社の簡易保険や一部の共済が3利源をすでに開示している。
(引用終了)

 僕は金融機関に勤めていたので「3利源」についての話にはなじみがあり,マル秘中のマル秘事項だという理解をしてきました。明治安田は自らのスキャンダルの汚名挽回を期して,このマル秘情報を公表するらしい。

 他の生保にとっては迷惑以外の何者でもない,明治安田の暴挙ということになるのでしょう。生保協会の会長の一言に全てが現れています。これを保守的と見るかどうかは契約者のリテラシーに依るのでしょうけど,僕としてはそこまでする必要はないのではないかと思います。

 理由は3つ。1つ目は,やるなら全生保に法令で義務づけさせないと,公表しない生保が後出しジャンケンで優位に立ってしまう恐れがあるから。アリコとかアメリカンファミリーが率先してやりますかね?やるはずないでしょう。そして手の内をさらけ出してしまった国内生保の弱点を突いて,ますます外資系カタカナ生保が幅を利かすようになってしまうでしょう。だから,やるなら義務づけて,やらない生保には国内で販売させないという方針にしないといけません。まあ,アメリカ政府に怒られるから,こんなことは無理でしょうけど。

 2つ目の理由は,保険のプロが各社の経営状態を知るための分析材料として「3利源」情報が使えるのはウェルカムですが,素人の契約者がこれらの数字を見てどんな判断を下すのか,かえって危険ですらあるなあと思えるからです。数字の独り歩きしてマスコミがそれを煽り,疑心暗鬼に陥った素人契約者が泣きつくのは,耳障りの良い広告をバンバン打ち出している外資系。広告をいっぱい出してくれて情報コントロールを受けざるを得ないマスコミがその片棒を担いで,最後にはアリコにいっぱい契約が流れる・・・。

 最後の理由。ちょっと陰謀論っぽいですが,アメリカの対日年次改革要望書でしつこく書かれてきた,日本の生保市場,とくに郵政の簡保資金を効率的に外資系に流すための一手なのかもしれないからです。すでに簡保は開示しているらしいのですが,日本の保険市場をごっそり持っていこうと考えている人達が海の向こうにいるとしたら,彼らはスキャンダルで青色吐息の明治安田をスケープゴートにして何もかもいただいてしまおうと考えているかもしれません。ま,これはいつものごとく考えすぎではありますが,可能性としてはゼロではないだろうなあと思っています。

 保険までもアメリカ人の裁量のままになってしまうことを危惧するのであれば,何でもかんでも情報開示を求めるべきではないと僕は思います。ま,改革が好きな首相ですから,意味も分からず竹中大臣が言うとおりに進めてしまうんでしょうけど。農協の共済だけは最後まで抵抗してくれるかなあ。

 さて,このエントリではアリコを目の敵にしましたが,ちゃんと根拠はありますよ。まずはこれ。

(Feb/10/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【AIGが16億ドル支払いで和解へ…不正会計問題 】
 不正会計問題が発覚していた米保険最大手AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)は9日、制裁金など総額16億4000万ドル(約1950億円)を支払うことで米証券取引委員会(SEC)、ニューヨーク州当局などと和解した。
 1社が規制当局に支払う和解金としては、過去最大規模という。
 和解金のうち8億ドルは誤った財務情報で損失を被った投資家に支払われる。AIGは内部監査を強化することでも当局と合意した。
 AIGに対しては、保険金支払いに備える保険準備金を過大に見せかけたり、引き受け業務で発生した損失を隠したなどの疑いが浮上。SECが調査に乗り出し、ニューヨーク州の司法当局も昨年5月にAIGを提訴していた。
 AIGのトップに38年間君臨したモーリス・グリーンバーグ前最高経営責任者(CEO)はこの問題をめぐり昨年3月に退任したが、不正経理は認めず、今回の和解にも加わっていない。今後はグリーンバーグ氏らへの責任追及が焦点となる。
(引用終了)

 ガンガン広告料を払ってくれるAIG(アリコなどの元締め)の文句を日本のメディアが書けるわけがなく,テレビも扱おうとしませんでした。この1ヶ月前にホリエモンがたった50億円の帳簿の付替えをしただけで逮捕されて大騒ぎになったのにね。他にも下のようなブログを参考にすると,いろいろ見えなかったものが見えてくるようになりますよ。

【アリコだけではなかった!外資生保の実態!脱税、免責告知違反、ダミー会社、不払い、ケイマン諸島・・・】(Oct/01/05 在京マスゴミ最大のタブー、アリコ粉飾決算)

(雑記)
soudattanokajpg.jpg 生保業界に詳しい佐藤立志氏の『そうだったのか!「医療保険」の本当のところ』光文社は,まずまずお勧めです。
 この人はブログも書いているので,ちょくちょく僕も見に行ってます。ご参考まで。
http://www4.diary.ne.jp/user/429793/
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2006年03月29日

アザデガン続報待てども早や月末 イランの明日に備えよニッポン

 今日も時間がないので軽く。

(Mar/23/06 Sankei Webより引用開始)
【アザデガン油田開発,米が日本に凍結要請 イラン核問題】
 イランの核兵器開発の動きに対する国際的な反発が強まる中で,米国政府関係筋は,ブッシュ政権のゼーリック国務副長官やジョセフ国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)らが,日本政府に非公式な形でアザデガン油田の開発を少なくとも中断するよう要請したことを明らかにした。米国議会でも同様の要請を行う動きが目立っている。米国側は日本側に対し,国連の対イラン経済制裁の成否にかかわらず,同油田開発停止を強く求めており,日本側の対応次第では,日米関係に深刻な摩擦を生むおそれが出ている。
(引用終了)

 この続報を待っているのですが,出てきません。イランからの石油輸入に多く頼っている日本にとって,石油ショックによる自国経済破壊をとるか(また量的緩和に逆戻りか?),アメリカにシッポを振るポチ政策を続けるか,大きな岐路に立っています。イランはイラクがやったように石油代金決済をドルからユーロに変更するようですし,ドル機軸体制を破壊するこの行動をアメリカが指をくわえて見ているわけはありませんので,イラン空爆ということにでもなれば日本への石油タンカーも立ち往生することになるでしょう。そのときの準備は本当にできているんでしょうか。

 そういえばここ数日,日本の原子力政策を巡る動きがかなり活発化しています。主要新聞は社説でプルサーマルがどうだとか核燃料サイクルがああだとかいろいろ書いていますが,これって石油に替わるエネルギー開発を急いで進めないとダメですよという密かなメッセージなんでしょう。アザデガン油田のことには(アメリカとの関係悪化が出てくるとまずいので)極力触れずに代替エネルギーについて,うじゃうじゃ書くという方針なんでしょうか。それにしては稚拙すぎるので見当違いかな。

 ま,原発だけで石油エネルギーの100%を代替できるわけでもないですし,プラスチックにしろ薬にしろ,石油(原油)から作られるものまでは核ではどうにもならないわけで,必然的に石油ショックは誘発されそうな気がします。これじゃあ景気が回復している大手企業もダメージは相当深くなるでしょうし,景気の悪い零細企業は新たに発生する事になる不良債権処理に追われる銀行の意地悪でさらにバタバタと倒れていく事にもなるかもしれない。・・・うーん。なんて悲観的な論調。

 今書いたことは想定される中でもかなり望ましくないケースではありますが,現実的にアメリカがイランを空爆したとしたら,我々の生活環境がいっぺんに変わってしまうことがありうるということは頭の片隅に置いていただきたいところです。
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月23日

アルカイダ出せば国民騙せると こじつけだらけのイラン情勢

 彼岸参りも終盤近し。今日も惰性というか残りの力を振り絞ってエントリを。
 トピックスに何を選ぶかを迷いましたが,やっぱりアメリカの軍事行動について無視するわけにはいきません。

(Mar/22/06 Sankei Webより引用開始)
【イランがアルカーイダ支援? 米当局者が情報入手と米紙】
 米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は21日,米政府対テロ当局者の話として,イラン政府が国際テロ組織アルカーイダの活動を支援していることを示す情報を米政府が得て,警戒を強めていると報じた。
 同当局者によると,極秘扱いの衛星写真や通信の監視などにより得られた情報を分析した結果,イラン政府がアルカーイダの主要メンバーを保護したり,イラン外でのテロ活動を支援したりしていることを示す証拠が得られた。組織の具体的な活動内容について,同紙は触れていない。
 米政府は2003年のイラク戦争開戦前にもイラクとアルカーイダの関係を強調する情報をメディアに流した経緯があり,同紙は「アルカーイダがイランで自由に行動している兆候はない」とする別の関係者による分析も紹介した。
 イスラム教の多数派であるスンニ派中心のアルカーイダが,スンニ派と反目するシーア派が支配するイラン政権の協力を得る可能性を疑問視する専門家も多い。だが,核兵器開発疑惑をめぐって米国との対決姿勢を強めるイランが,アルカーイダを利用する可能性への懸念も米政府内で強まっている。
(引用終了)

 イランを攻撃するための理由探しですね。まずは国民の反応を見てみようという観測気球的記事でしょう。イラクのときと同じ手法(しかも後にガセネタと判明)ですから,賢明な国民なら無視したり「バカにすんな!」と逆ギレしたりするんでしょうけど,BSE牛の食べ過ぎで脳みそが腐りかけているアメリカ国民なら,また同じような反応を起こしてイラン攻撃支持ってことになるかも。ま,この後に行われるであろう世論調査の結果を見て,次に流すニューズを考えるんでしょう。

 で,間違いなくアメリカは日本の自衛隊にイラン攻撃まで着いてこいって言うでしょう。そのとき日本はどう出るかな?ま,答えは決まってるけど,永田ガセネタメール騒動が長引いたら,このガセネタに乗っていけなくなるぞう。どっちにしても,イラク戦争に自衛隊を派遣した元になったガセネタ(大量破壊兵器とかフセインとアルカイダの関係とか)について,官邸の圧力のせいだろうけど新聞は指摘しないんだから,情報オンチの国民はまたしても騙されるんだろうけどね。
posted by 時をかける僧侶 at 19:15| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月19日

外人にアゴで使われ搾取され それでも懲りないポチの面々

 今週はお彼岸週間なので簡単に。新聞は記事の書き方を知らないなあという話を軽くしておきます。

(Mar/19/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【対日投資を4年で倍増,税軽減でGDPの5%目標】
 政府は外国企業が日本企業を買収したり,日本国内に工場を建設したりする対日直接投資額を2010年末までにGDP(国内総生産)比で倍増させる目標を設定する方針を固めた。
 従来,不十分とされた外国企業の呼び込み策を積極的に推進することで,経済活性化や雇用創出につなげるのが目的。6月の対日投資会議(議長・小泉首相)で,現状より税を軽減する措置などを盛り込んだ新たな「対日投資促進プログラム」を策定し,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)にも明記する方針だ。
 対日投資額の残高は,06年末に13兆2000億円に達すると見込まれ,GDP比で約2・5%に当たる。2010年末にGDP比5%程度(約30兆円)にすることを目標に掲げる。
 日本への直接投資は1990年代後半から増えてきたものの,国内で根強い外資脅威論から,法制度や税制面で外資を呼び込む体制づくりが遅れていた。国内への直接投資額のGDPに対する割合は,アメリカが12・8%,フランスとドイツも欧州連合(EU)内投資を除いても,7%台に達している。
 政府は03年に初めて外資導入の目標を設定。経済成長に合わせて外資導入を促進するため,GDP比の目標を打ち出すことにした。
 同時に,対日投資プログラムを見直す。具体的には,株式交換方式の合併・買収の場合,日本企業同士では認められている株主への課税繰り延べを外国企業との合併・買収でも認める方向で検討し,07年度からの実施を目指す。株主にとっては合併・買収時点で税金の支払いが発生する外国企業よりも発生しない日本企業との合併・買収を選ぶ要因となり,外国企業の進出の足かせになっていた。
(引用終了)

 決してベタ記事で載せるだけで良い内容だとは思いませんが,このような売国的な内容を伝えるのであれば,読売とか産経の自称保守派はトップ記事にしないといけません。「従来,不十分とされた外国企業の呼び込み策を積極的に推進することで,経済活性化や雇用創出につなげるのが目的」なんて,政府の発表の通り書いてしまうところに全くジャーナリズムのセンスを感じませんね。こんなことだから特殊指定を解除,なんていう話が出るんですよ。記者クラブでの談合記事なら政府の広報をネットで見るだけで済むんだから,談合記事だらけの新聞をわざわざ毎朝届けてもらう必要はないでしょう。もっとセンスを磨きなさい。例えば次の記事を載せた後にこの記事を持ってくるとか,そういうちょっとした工夫で,読者に「ん?何かおかしいな」と思わせることができますよ。

(Mar/02/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【米通商年次報告 日本企業の防衛策懸念 敵対的買収「対日投資妨げる」】
 米政府は1日,今年の通商課題などをまとめた2006年版の「通商年次報告」を議会に提出した。日本に対する問題点では新たに「投資」を取り上げ,敵対的買収に対する企業側の防衛策が,米企業の対日投資を妨げることに懸念を示した。
 日本に対する指摘は昨年と同じ17分野。昨年までの「鉄鋼」に代えて新たに「投資」を加えた。
 その中では昨年,ライブドアがニッポン放送に敵対的買収を仕掛けたことを紹介し,「これをきっかけに,大きな資本を持つ外国企業に日本企業が乗っ取られる危険性が広く語られるようになった」と分析。その上で「株式交換による企業買収は敵対的な行為ではない」「(買収に対する)防衛的な手段がなぜ必要なのか疑問がある」などと指摘した。
 具体的な防衛策では,06年度に施行される会社法が,1株だけで株主総会での議決を拒否できる「黄金株」(種類株式)の譲渡制限を認めていることなどを問題視している。
 また「牛肉」分野では,日本の米国産牛肉の輸入について「日本に国際基準に沿った輸入条件を認めるよう強く求める」とし,日本の輸入条件の緩和に全力を挙げる方針を示した。日本が米側の検査漏れで今年1月に輸入を再停止したことには触れていない。
 日本以外では,中国を「世界貿易機関(WTO)のルールに十分従っていない」と厳しく批判し,知的財産権保護の取り締まり強化などを求めた。改善がない場合はWTOへの提訴も辞さない強い姿勢を示している。
(引用終了)

 初めの記事の「従来,不十分とされた外国企業の呼び込み策」というくだりを思い出してください。誰が「不十分」だと言っていたか,少なくともその点についてはこの記事でわかるでしょう。上場企業の全株式のうち24%を外国人がもっているんですよ(2005/3月末時点)。まだ増やさないといけない理由なんてさっぱりわかりません。ホリエモンのおかげで1年先延ばしになった,日本にある子会社を使った三角合併だって5月からの新会社法施行で始まっちゃうんですよ。国民が無知だからって,ちょっとバカにしすぎてやいないかい?日米同盟のためのカネは十分支払っているんだから(グアムへの基地移転費問題など),日本の資産をアメリカに分捕らせるようなことを提言する政府を黙って後押しするようなことはやめてほしいもんですね。だいたい,この対日投資の話なんて「年次改革要望書」でずっとアメリカから圧力を受けてきた内容でしょう?要望書の存在自体もうやむやにしているから詳しく書けない,なんてのは理由にもならんと思うけど。日本の「国益」を守るために,自らを真性保守だと思っているのなら正しい事を書いてください。でなきゃ,僕はこれからも読売・産経はポチ保守だと呼び続けることになるでしょうよ。
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月03日

ドルを買い支えてこのかたウン十年 もはや退けない我が国の未来

 前々エントリ「どれだけの負担をしろとおっしゃるの? ヤクザな国を喜ばすには」にNISSHAさんからいただいたコメントについて,僕の意見をまとめておこう。

 まず初めにお断りしておきますが,僕はNISSHAさんの,あるいは国民の大多数がこう考えているであろうという思想を否定するつもりはありません。この点,NISSHAさんも僕の意見を否定しておられるわけではないと言明されており,互いの立場や異論を尊重した議論ができることに,まず感謝したいと思います。

 では,コメントを見ていきます。

《NISSHAさん》ドルが基軸通貨であることによって、アメリカが儲かるというかというと、ポール・クルーグマンによれば、そんなことは「まったくない」そうです(注1)。
 確かに、「お札を刷って債権者に渡」すことができるのは、アメリカの特権ですが、「債務がなくなる」ことはありません。なぜなら、「お札を刷って債権者に渡」せば当然、ドルの価値が下がり、つまりドル安状態になるからです。すると、債権者は、目減りした分を見逃してくれるかというとそんなことは無いわけで、当然、利子率を上げてきますから、アメリカの債務は減りも増えもしません。
注1 Krugman,Paul.,“Who's Afraid Of The Euro ? ”,Fortune,1998/4

 まず,ご指摘のクルーグマン教授の論文に目を通さずに自説を展開する非をお許しください。
 アメリカも,いくらでもお札を刷って債務をチャラすればいいとは思っていないでしょう。ご指摘のとおりドルの価値が下るのは明らかですから。ただし,インフレになるのが悪いかというと一概にはそうとは言えないと思います。利子率の上昇以上に経済成長率が上るような経済のかじ取りができるのなら逆にウェルカムでしょうし,株や債券,土地(住宅含む)などの資産インフレを誘導できるのであれば,これによってさらに消費活動を活発化させることもできますので。実際に借金してでも自己の欲望をかなえるアメリカ国民の経済行動に支えられたり,考えられないようなイールドカーブが示現していたり(長期債大人気!)と,アメリカ経済は今のところ順調に推移していると言えます。

 ただし,この繁栄には大きな前提があります。クルーグマン教授やNISSHAさんは否定されるかもしれませんが,ドルが基軸通貨でなければ,このような繁栄は実現しなかったはずです。金本位制の下であれば,他国との貿易において赤字が発生すれば自国のゴールドが流出することになり,国富の毀損が生じますが,ドル本位制であるからこそ,ドルを刷って渡すだけで済んでいるわけです。これがユーロ本位に変われば,赤字を決済するためにアメリカはドルを売ってユーロを買うわけですが,慢性的な赤字が続くのであれば大変です。ドル安は物作りの苦手なアメリカ経済において「悪い」インフレを惹起しますし,当然,一地域通貨となったドル建て資産に海外からの投資が集まるという保証はありませんので,資産インフレなんて起ころうはずがありません。根本的に赤字体質を変える,というのも難しいでしょう。現実,他国のファイナンスなしでは自国経済を維持できないわけですから。

 以上のことから,僕はやはりアメリカ経済が活発で世界中から投資資金が集まっているのは,ドル本位制(基軸通貨制)であるからだと思います。また,NISSHAさんがご指摘のとおり,ドルを刷って放っておいたら必然的にドル安になるはずですが逆にドル高になっているのは,アメリカの経常赤字をファイナンスし続けている国が存在するからです。しかもこの国は自国通貨ベースではなく,ドルベースでファイナンスしています。債務者の国の通貨ベースでファイナンスするなんていう常識外れの愚行がまかり通っているのは,まさにドルが基軸通貨として認めさせられている証拠です。

kurojiboukoku.jpg どこの国のことかは多言を要しないでしょう。日本および中国です。中国については香港を合わせれば日本を越える外貨準備が積み上ってきていますが,日本のようにコントロールがきく存在ではないので,別次元の安全保障外交論で論じる必要があります。そこで日本について見ると,三國陽夫『黒字亡国ー対米黒字が日本経済を殺す』文春新書などに見られるように,日本は政府も企業も自国通貨高を恐れて,貿易黒字で得たドルを円転せずドルのままアメリカ国内への再投資に向かわせています。
 企業は円転しても国内はデフレで投資先が容易に見つからず,自社株買いぐらいにしか使えませんので,北米など海外に進出して現地で従業員を雇い(現地の雇用政策の一助になるので大きな反対が起こりにくいという利点もある),現地通貨での売上金回収・給与支払いを進めています。
 政府は「売らせてくれない」アメリカ国債が減価するのも嫌だし,アメリカの圧力もかなりきついので,ドル円レートが一定レベルを下回れば為替介入を余儀なくされています(介入についてアメリカが怒ってみせるのは有権者向けのパフォーマンスであり,日本以外にアメリカの赤字をファイナンスしてくれる国はないことぐらいは彼らも知っています)。今のようなドル高のときにアメリカ国債を売って,そのカネで日本の公債を消却するとか景気対策に使うとかできればいいのですが,隷従するしか道はない日本がアメリカの意向に逆らうことはできません。

 基軸通貨ゆえのこの特権をアメリカが容易に手放すとは考えられません。その特権をおびやかす存在を許さないために,世界一の軍事力を擁しているわけで,基軸通貨ドルを守ることはアメリカの外交政策の一極を占めるものだと言えます。

《NISSHAさん》アメリカは、大幅な経常赤字を抱えてはいますが(額面上では世界最大の赤字)、GDP費ではせいぜい1.5%程度であり、「これはイギリスの平均と同じくらいで,カナダの 2.2% より小さいし,オーストラリアの 4.2% とは比べものにならないくらい低い」数値です。GDP費1.5%の赤字で財政破綻するなら、これらの国々はとっくに財政破綻しているはずです。

 なるほど。相対的に見るとおっしゃるとおりですね。ただ,不勉強で申し訳ないのですが,モノとサービスの赤字と資本取引の赤字で区別すると別の見方ができると思います。オーストラリアの赤字と同列には議論しにくいのではないかと個人的には思います。データがさっぱり手元にないので説得力に乏しいわけですが・・・(そもそもアメリカは経常赤字を分けて考えていないと,藤巻さんの本で読んだような気がします)。

《僕》アメリカがイラクに攻め入る1年前,フセインが石油の決済通貨をユーロに変えると宣言し,フランスのシラク大統領がこれを容認した

《NISSHAさん》イラク攻撃の1年前といえば、イラクは国連による経済制裁の最中ですから、石油の輸出はせいぜい「食糧と石油の交換プログラム」に基づくもので、国連の管理下にありますから、フセイン政権に決済通貨云々を決める権限は無かったはずです。ただ、フランスとイラクの関係には、きな臭い部分があり、経済制裁終了後の石油利権や、かつてイラクがフランスから購入した兵器の代金の返済などをめぐって、フセインがフランスにイラク攻撃に反対するよう仲介を頼んでいた部分はあるようです。

 前半部分のご指摘はおっしゃるとおりです。それだけであれば,フセインが騒いだだけという結論に終わったはずですが,ご指摘のとおり,フランスのシラク大統領がイラクの石油利権と引き換えに国連に働き掛けてフセインの宣言を支持したのです(情報ソースは前出の『ボロボロになった覇権国家』)。だからこそ,アメリカは国連の決議を無視してまで戦争を起こさなければ,基軸通貨の覇権がユーロに傾いていってしまうと危機感を抱いたのだと思います。

《僕》しかし,前のクリントン政権による好景気で反戦気分の高い世論をフセイン攻撃にもっていくには材料が不足していた。そこで9.11やビン・ラディンを利用して,イラクと関係が深いというウソを捏造したり,大量破壊兵器を隠しているというウソを捏造して国民世論を戦争賛成に転じさせて,イラクへ攻撃を開始した。

《NISSHAさん》因果関係が逆です。冷戦終結後、久々の「平時」を謳歌していたのが、クリントン政権の時代でした。ブッシュJr.が政権についたときも、そのまま「平時」が継続するはずだったのが、9.11で冷や水を浴びせられたわけです。9.11でアメリカが受けた衝撃は、パールハーバーにも匹敵するといわれますが、これを境に、アメリカの世論は再び「戦時」に戻ってしまったのです。そもそも、テロは9.11以降に現れた特異な現象ではなく、イエメン事件やケニア・タンザニア在外アメリカ大使館爆破事件など、9.11以前にも対米テロはいくつか起きていました。それらのテロに深く関わっていると目されていたのがビンラディンだったのですが、「平時」モードのアメリカではそれほど関心は持たれなかったようです。
 かつてケナンが、「アメリカは一度挑発を受けると、歯止めが利かなくなる」様を頭の小さな巨獣に例えましたが、9.11後のアメリカの行動はまさにこれで、ブッシュJr.政権に、ネオ・コンのような理想主義者たちがいたことも、対アフガン、対イラク武力行使の要因かもしれませんが、むしろ世論に対して応えた、という面のほうが大きいといえます(注2)。
注2 ケナン,ジョージ.F.,『アメリカ外交50年』2005年4月,岩波書店

 9.11以前の対米テロに関心がもたれなかったのは「平時」モードだったからではなく,単純に他国におけるテロだったからでしょう。パールハーバーにせよ9.11にせよ,アメリカ本土が攻撃されたから「戦時」モードにチェンジしたのでないでしょうか。また,マスコミによる世論誘導を上手に操作したことも一助だと思います。その意味で,「戦時」モードへ転換させたのは決して偶然ではなく人為的なものだと僕は思っています。余談ですが,パールハーバーの奇襲攻撃はローズベルトは事前に知っていました。それを卑怯な奇襲だという世論に昇華させて対日戦争は正当化されました。9.11も同じです。いまやビンラディンとイラクに密接な関係などなかったことが明らかになっていますが,当時は世論誘導によってイラク攻撃を正当化しました。
※さらに余談ですが,このようなガセネタに乗って当時の小泉政権は自衛隊のイラク派遣を決定しました。ガセネタメールで民主党は謝罪(?)しましたが,小泉政権は開き直ってますね。日本のマスコミも民主党のバカばっかり相手にして,小泉政権のガセネタについては誰も指摘しません。ま,マスコミに期待しても無駄なんですけどね。

《僕》大ざっぱに言って,ドルの基軸通貨制を放棄するのか,国内経済の悪化(軍需産業や石油メジャーなどは儲かるでしょうけど)を容認するのか,この両天秤で考えれば前者を採らざるを得ないだろうということです。

《NISSHAさん》前述したとおり、アメリカにとっては、基軸通貨制は財政赤字と秤にかけるほど価値のあるものではありません。
 「石油価格高騰は、貿易赤字だけでなく、アメリカの航空産業や自動車産業にも深刻な打撃を与え、国内経済を悪化させます。」と述べたように、いわゆる軍需産業なども、石油価格高騰の影響を受けます。実際、9.11でも石油価格は高騰しましたが、ボーイング社などは、かえって、軍からの発注をカットされるなど、大打撃を受けています。

 前述のとおり,僕は基軸通貨制こそがアメリカの外交政策のキモだと思っています。アメリカの赤字体質はもはや変えられません。中国の対米黒字の増加をなんとかするために元の切上げを迫っているアメリカですが,放出されるであろうドルの受け皿の当てがあるからこそこういう動きが出るのでしょう。陰謀論かと思われるかもしれませんが,僕はこの問題を解くカギは日本の郵政民営化にあると睨んでいます。ま,余談ですが。

《NISSHAさん》「他国がいやがる事をするのが「外交」」という理解は極端だとは思いますが、少なくとも外交が駆け引きである以上、「汚れ役」を相手国に押し付ける場合もあることは確かです。しかし、ここで忘れてはならないのは、「汚れ役」を押し付けても、それを引き受けてくれる国が存在するということです。

 うーん。僕は日本がアメリカに「汚れ役」を押し付けれるほど力を持っている(いた)とは思いません。アメリカとしては,日本が「独自に」再軍備して,また自国を脅かす存在になってもらったら危険なわけで,自ら「汚れ役(?)」を買って出て,アジア戦略を遂行するために日本の首根っこを押さえつけてきたのだと理解しています。僕は今でも,日本独力による再軍備と核保有推進論者です。実現には相当な時間がかかると思いますが,これをやらずば,闘い散っていったご先祖様に申し訳がたちません。現状もアメリカの指示通り動くにしても,相応の報償を分捕ることが日本外交だと思っています(やっぱり極端かな)。

《NISSHAさん》アメリカは、伝統的に他国の安全保障に介入するのを嫌ってきた国ですので、冷戦勃発後も、他国と安全保障条約を締揃する際の基準として、ヴァンデンバーグ決議(1948年)を採用し、相手国に「軍事的に相応の自助努力」をすることを求めました。ですから、敗戦国であるドイツも日本も、再軍備を余儀なくされました。また、アメリカは「ただで」軍事力を提供してくれるわけではなく、アメリカの駐留費用は、相手国の負担となります。日本では、その費用が便宜上「思いやり予算」と名づけられていますが、NATO諸国を始めとする、アメリカと安全保障条約を締揃している諸国は当然に支払っている費用です。確かに、額面上は「高い」と言えるかもしれませんが、その分の費用を自国の核開発などに充てたところで、アメリカの「核の傘」に匹敵する抑止力を得られるか、というとそんなことは無いわけで、まぁ、抑止力の「リース料」と考えれば、安いのではないでしょうか。

 世界最大にして最狂のヤクザ国家アメリカに匹敵する抑止力はもちろん持てません。でも,国防の根本的な部分を考えてみてください。リース料を支払って本当にアメリカの兵隊さんは日本国民の命を守るために自分の命を投げ打ってくれるのでしょうか?ワシントンにいる人達がそのように指示しても,末端の兵士たちが命令どおりに動きますかね?イラク人捕虜を辱めたり,拷問したりを平気でする人達ですよ?人任せの国防という考え方は,現状仕方がない部分があるにせよ,ずうっとこのままでいいとは僕は思えません。

 かといって,一部のネット右翼のような,「中国・韓国はけしからん!奴らを成敗するために再軍備せよ!」という考えには賛同できません。あくまで抑止力としての日本再軍備であり,没落してゆくであろうアメリカとの縁切りのタイミングを量りながら,近くのアジア諸国と平和を保つ外交をするべきだと思っています。僕だって僧侶のはしくれ,人を殺したいという気持ちはありません。でも腕力にまかせた他国の外交に屈するわけにもいきません。常識論としての再軍備はこれからも提案していきたいと思っています。

《NISSHAさん》アメリカ側としては、日本側のある程度の負担は当然と考えている面があるので、日本側が「まだ足りないって言うのですか?じゃあどこまでしてあげればいいんですか?日本が潰れるまでですか?」と思ったとしても、「では、アメリカの代わりは存在するのか?」と聞かれてしまうと、返答に窮するわけです。確かに、日本に基地があることで、アメリカにもメリットがあるので、アメリカ側もある程度の「わがまま」は聞いてくれますが。

 アメリカの代わりは存在しないでしょう。だからこそ,独力による再軍備なんです。極論を言えば,アメリカまで届くミサイルさえ持たなければアメリカも許してくれると思います(単純かな?)。日本で軍需産業が盛んになり,国防関連の雇用も増えれば消費も戻るでしょうし,国防技術の洗練を通じて新たな産業が起こる事も考えられます(アメリカでのインタネット普及みたいなイメージ)。ま,少子化は一層進むかもしれませんけど。
 でも,最初の話に戻りますが,アメリカは基軸通貨ドルを守るための外交の一環として,日本の資金力を最大限に利用するはずで,現段階で日本が自由に振る舞う事は戦略上許されないでしょう。日本は売れないアメリカ国債を毎年買わされ,基地移転費用なども負担させられることになりますが,それもこれも日本の資金力を利用したドル制度維持のための戦略上,仕方がないことなのだろうと僕は思っています。で,仕方がないのだけど,ちゃんと日本にも分け前をきっちり寄越せ!というのが外交だと考えています(例えばタックスヘイブンに本社が設立されてあるほとんどの在日外資系証券会社などにも日本国内での稼ぎについては正式に課税させろ,とかね)。

《NISSHAさん》時をかける僧侶氏の考え方を否定するつもりは毛頭ありません。ただ、見方を変えて、「気前のいい同盟国」とアメリカを捉えたほうが、精神衛生上はよろしいのではないか、と私は考えます。
 ここでの議論は、私にとっても考えをまとめるいい機会となりました。

 ありがとうございます。僕も僧侶のはしくれ。他人さまの考え方,生き方を否定するつもりは全くありません。実りある議論ができれば,これ以上の刺激はありません。「こうあるべきだ」論のぶつけあいこそ,日本が活力をとりもどす原動力になるはずであり,この力さえ失って「他人の言うとおり動けば楽だ」という考えに傾倒してしまわないように,心ある人たちがペンをとり(ブログを作ったり発言したり)身近なところから日本復活の種を蒔き,見事成長させる事ができればいいなあと思っています。
posted by 時をかける僧侶 at 18:39| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月27日

どれだけの負担をしろとおっしゃるの? ヤクザな国を喜ばすには

 前エントリについてご批判コメントをいただきました。なかなか鋭いツッコミが入ったようですが,僕自身勉強になるのでじっくり見ていこうと思います。

《僕》いやいや,もうイラン攻撃は決まってるんだって。

《NISSHAさん》何を根拠に仰っているのかわかりかねますが、

 もちろん新聞・テレビの報道だけ見ていてもこの動きはわからないでしょうね。僕も言葉足らずでしたが,いくつかの事実をもとに論理的に類推すると「イラン攻撃は決まっている」という結論にならざるを得ないということです。僕がそのように考えるようになった強力な情報を一つあげよ,と言われるならば,前エントリで紹介した北野幸伯『ボロボロになった覇権国家(アメリカ)』風雲舎になります。著者のロジックはこうです。

  • アメリカは双子の赤字を抱えているのに破綻しないのは,ドルが基軸通貨だからである。お札を刷って債権者に渡せば債務がなくなる。しかしこの特権がなくなれば(ドルが基軸通貨でなくなれば)アメリカの財政破綻は間近に迫るようになる。
  • アメリカがイラクに攻め入る1年前,フセインが石油の決済通貨をユーロに変えると宣言し,フランスのシラク大統領がこれを容認した。つまり基軸通貨を巡って,ドルからユーロへのシフトが懸念された(実際,このあとのイラク戦争のときは,それまでは「有事のドル買い」が定石だったが,このときばかりはドルが売られた)。アメリカは激怒した。
  • ブッシュ大統領はイラン,イラク,北朝鮮を悪の枢軸と呼び,世界中のマスコミを巻き込んで,彼らを退治することが正義であるというプロパガンダを張った。
  • しかし,前のクリントン政権による好景気で反戦気分の高い世論をフセイン攻撃にもっていくには材料が不足していた。そこで9.11やビン・ラディンを利用して,イラクと関係が深いというウソを捏造したり,大量破壊兵器を隠しているというウソを捏造して国民世論を戦争賛成に転じさせて,イラクへ攻撃を開始した。
  • 戦争後,イラクにアメリカ支持政権が民主的に(笑)発足したが,なぜかシーア派を怒らせるような憲法をアメリカが押し付けた。当然,隣の国でシーア派が95%を占めるイランが怒り,反アメリカに凝り固まったアフマディネジャド政権が誕生したばかり。
  • さらにはラムズフェルド自身もイランの核兵器開発には10年かかると認めているのに,やたらと核問題を採り上げる。証拠もないのにテロ支援国家だと決めつけて,相変わらず世界中にプロパガンダを張っている。そのうち世界中でイラン攻撃は仕方がないという雰囲気が醸成される。
  • ここまではアメリカにとっては予定通りの展開。そもそもアメリカが「本当に」イラクに手を焼いているのであれば,わざわざイランを怒らせるようなことをしなくてもいい。ではなぜ?イランを攻撃しないといけない理由があるから。アメリカにとってはイラン無血開城だと困る理由があるから。
  • あとはアメリカ国内で9.11級の事件が起これば(起こせば)イランへの攻撃の理由は確実に作れる。難癖つけれる事件が起これば,それがイラン攻撃の契機になる。

 イスラエルの動き,そしてイランの後に攻めるであろうサウジアラビアの動きにはこれからも注視が必要でしょう。

※著者のメルマガ「ロシア政治経済ジャーナル」も読んでおいて損はないと思います。
 特に次の二つのバックナンバーは上記説明の該当部分になります(本書にも書かれています)。
http://blog.mag2.com/m/log/0000012950/90295319?page=8#90295319
http://blog.mag2.com/m/log/0000012950/90298305?page=8#90298305

《僕》イラン攻撃ということになれば石油価格は高騰するでしょう。でもアメリカが基軸通貨ドルを守るにはこれ以外に仕方がない。攻撃せずにユーロ体制への移行を指をくわえて見ていてはアメリカは双子の赤字で破産しますから。

《NISSHAさん》アメリカは石油の純輸入国ですから、石油価格が高騰すれば、アメリカ経済も打撃を受けることになります。「双子の赤字」とは、財政赤字と貿易赤字の両方の事を指すのですから、石油価格高騰は、貿易赤字だけでなく、アメリカの航空産業や自動車産業にも深刻な打撃を与え、国内経済を悪化させます。

 当然です。そんなことは十分承知のうえでしょう。大ざっぱに言って,ドルの基軸通貨制を放棄するのか,国内経済の悪化(軍需産業や石油メジャーなどは儲かるでしょうけど)を容認するのか,この両天秤で考えれば前者を採らざるを得ないだろうということです。

《僕》あとアメリカは世論を誘導するためにいくつか事件を起こせば準備完了という時期に来ているんですよ。

《NISSHAさん》イラクに対するコミットメントそのものについてアメリカの世論が消極的になりつつある今、イランへの武力行使を口にすれば、今年の中間選挙では確実に票を失うことになるでしょう。

 逆です。何か口実を作ってイランがアメリカにとって脅威であるという世論が作られれば(もうすでにそんな記事も出てますよ。例えばこれ。)イランへの武力行使表明は中間選挙にプラスに働くでしょう。

《僕》何でもアメリカの言うことを聞いておけってか?怒らせないように怒られないように事前に意向を忖度して優等生しなきゃいけないってか?
《僕》要するにアメリカが日本に提供してくださっているリスクと犠牲に日本は何も応えていないのはけしからんと,そう言いたいのだな?思いやり予算は?基地の治外法権は?CIAのスパイ容認は?

《NISSHAさん》本来、日本が自国の問題として解決しなければならない、安全保障の問題を、アメリカにおんぶにだっこで頼りきりだった以上、アメリカの要求する負担に応えることは当然です。アメリカは、慈善事業として日米安保条約を締結しているのではないのですから。
 そもそも、第二次世界大戦で世界を敵に回しながら、その後の60年で世界トップクラスの経済力を身につけ、中国を始めとする核保有大国とも、外交上対等な立場で交渉ができるようになったのは、安全保障の問題を始めとする、主権国家ならば当然に負担しなければならない義務を放棄し、「汚れ役」を全てアメリカに押し付けてきたことが背景にあることを忘れてはなりません。
「対米追従」が善であるとは言いません。しかし、日本が、日本に対して求められている負担を省みることなく、空想的な平和な世界に浸っている限り、日本にはアメリカを批判する資格などないのではないでしょうか。

 あまりにも優等生すぎるご回答だったので面食らいました。
「「汚れ役」を全てアメリカに押し付けて」って,外交ってそういうもんでしょう?他国がいやがる事をするのが「外交」です。百歩譲って「アメリカの要求する負担に応えることは当然」だとしても,僕は,思いやり予算だとかアメリカ国債買入だとか狂牛肉輸入だとか郵政民営化だとか会社法改正だとか,アメリカの繁栄のために日本人が汗水流して得たお金を注ぎ込むのは十分やってきたと思いますよ。まだ足りないって言うのですか?じゃあどこまでしてあげればいいんですか?日本が潰れるまでですか(笑)?

 僕は逆にここまでやってあげてるんだから批判ぐらいさせろ,こういう立場です。牛だっていい加減な検査だってわかってても輸入再開してやったじゃないか。こっちは閣議決定無視してまでシッポ振りながらフライングして再開してやったんだぞ,と(笑)。外資規制かける案を退けてまで郵政公社を解体するんだぞ,と。ホリエモンが余計なことしなければ三角合併で外資が日本企業を簡単に買収できるようにさせてやれたんだぞ,と(1年伸びただけ)。アメリカ幕府さまのために,いろんな手を使ってバカな日本国民を欺いてきたんだから,ちょっとの愚痴(批判)ぐらい言わせてよってね。

 外国と仲良くするのはNGOとかNPO,あるいは個人レベルでやってくれますよ。でもね,国益かけて戦ってんですよ,国は。アメリカを見てください。問題の会社を処分したのに牛肉を輸入再開しないのはけしからんって言ってるでしょう?本質的な部分の解決なんて何らされないくせに。でも,それがまともな外交なんですよ。今までアメリカ人も食べないようなくず肉を吉野家に売りつけて,いかにも日本人が喜びそうな味付けをさせて,見事に日本の国力を削いできたじゃないですか。彼らに「卑怯を恥じる」だとか「惻隠の情」を期待してはいけませんよ。だからこっちだって,今さら武士道をもちだして優等生である必要はありません。日本でも諜報員を養成してアメリカにスパイを送り込んでスキャンダル握りまくってやれ。アメリカ国債を大量に売り立ててやれ。ま,表向きはしばらくアメリカ様に跪く必要はありますがね。没落することが決まっている国と一蓮托生なんてまっぴらごめんです。
posted by 時をかける僧侶 at 22:50| 兵庫 ☁| Comment(3) | TrackBack(2) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月17日

この国もここまで堕ちたか情けなや 献金欲しさに国を売るとは

 ようやく現政権のデタラメぶりを新聞が書くようになってきました。官邸のマスコミ操作は限界点を越えてしまったということかもしれません。いままで小泉マンセーを繰り返してきたマスコミ達は相変わらず自らを省みる事などせず,さっさとレームダック政権を糾弾する側に立ちつつあります。いいよなあ,そんな姿勢で高給もらえるんだから。

 で,民主党が4点セットとか言って自民党を攻めているので,それはそれで勝手にやっといてもらって,僕はその他の現政権のデタラメについて見ていこうと思います。今日のテーマは,これ。

(Feb/14/06 共同通信より引用開始)
【外資企業の献金緩和 資金確保で自民検討】
 自民党は14日までに、外国人や外国法人の持ち株比率が高い企業からの政治献金を事実上、禁止している政治資金規正法の規定を緩和する方向で検討に入った。外資系企業による日本企業の買収が容易になる改正会社法が2007年に施行され、規制対象となる企業が増える事態を想定。資金ルートを確保する狙いがあり、公明党や民主党の同調を求めて今国会にも議員立法で改正案を提出、06年度中の施行を目指す。
 党改革実行本部(太田誠一本部長)が法改正に向けた問題点の洗い出し作業に着手。ただ、党内には「外国資本の意向が党の政策決定に影響を及ぼしかねない」との慎重論も残っている。
(引用終了)

 日本を代表する大企業の大株主に外人ばっかりが並んじゃったから,法改正して今までどおり献金してもらおうという法案です。非常に浅はかなことは言うまでもないと思いますが,「会社は株主のもの」という資本主義の前提に立てば,これがいかに売国的な法案であるかということも分かってもらわなければなりません。今週に入って外人達が日本株を次々と売っているようで,この傾向が続けば法案を成立させる意味が薄れてくるかもしれませんが,そのような事態にならなくても,こんな趣旨の法案が出されるという事態は危機的であると言わざるをえません。なにが,国益ですか。なにが愛国心ですかってなもんだ。君が代歌って日章旗を掲げてたら愛国心が芽生えるとか,しょうもないこと言ってないで,実損を出す前に実質的な愛国心をもり立てて国益を守るべきでしょう。

 「会社は株主のもの」という事実について簡単に論理をまとめておきます。献金するかどうかを決めるのは取締役会。誰を取締役に任命するかを決めるのは株主総会。株主総会での議案は多数決で決められるが,出席者の多数決ではなくて株式数の多数決。結局は大株主の意向が大きく影響するというわけです。会社の運営は株主次第だから,会社は株主のものです。少なくとも法律上は。この例で言えば,青い目の株主があの代議士に献金しておけと命じればやるしかなく,やらなければ取締役はクビになるしかない。サラリーマン取締役ばっかりの日本企業ですから,株主提案に正面切って反対できるサラリーマンは少ないでしょう。もちろん株主たちも少額の献金なんかには目はつけないでしょうけど,青い目の彼らは一丸となって,規制緩和を唱える代議士にジャンジャン献金することを命じることになり,粛々と献金は続くのでしょう。

 ちょっと悪く書きすぎましたか。でもよくよく考えていただきたい。ライブドア事件を皮切りに「会社は株主のものではない」とか言って息巻いている人種が多くなったのですが,僕も心情的にはそのとおりだと思うにしても,本気でそう言うのならこの法案を通してあげればいい。株主のものではない会社がする献金なんだから,問題ないでしょ。少なくとも法案に反対する理由はなくなります。今までどおり献金させてあげようよっていう法案なんですから。外人が支配する会社が日本の政治家に献金して,日本にとって不利な法律を作ったとしても問題ないという判断なんですから。ま,株主の意向を無視して,従業員の多数決で献金の是非を決められるっていう法律があるんなら教えてもらいたいもんですけど。

 さらに悪く書きすぎました。反省。ま,出家の身の僕が声を荒げて法案に反対してもしょうがないけどね。

 日本人って本当におめでたい人たちが多いなあ。ゼロ金利で得べかりし利息が154兆円もあったというのに(税金注入してもらった銀行がそんだけ儲けたっていうのに),またゼロ金利のキャリートレードと巨額の貿易黒字に抗するためのドル買いでアメリカに還流した資金で日本の企業が乗っ取られようとしているというのに,どうでもいいホリエモンとかライブドアの報道ばっかりで満足しているんだもん。異常なゼロ金利が続いているからこそ素人が株をやって,しかも株のキャピタルゲイン課税が10%で済むなんていう国のマネーゲーム奨励のおかげで,ホリエモンみたいな新人類が出てきたという事実をテレビでは誰も指摘しない(ネットでしか見られない)。いいのかなあ,こんな国で。神仏を敬う事も知らず,欲に埋もれた衆生がどんな目に遭おうと出家者にはどうでもいいことですけどね。
posted by 時をかける僧侶 at 21:29| 兵庫 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月13日

貧困をデータで見れば見えてくる これでいいのか明日のニッポン

「貧困率」という言葉をご存知でしょうか?今日はこの貧困率の話をしよう。

 まず定義を見ていきますが,Wikipediaでは次のような定義を載せています(WIKIですから投稿ですが)。
貧困率(ひんこんりつ)とは,国家内の所得格差を表す指標の一つで,「年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない国民の割合」を示している。2002年の厚労省調査では,日本の一世帯当たり年間所得の中央値は476万円,この半分238万円以下が貧困率の対象である。OECDの最新のデータによれば,日本の貧困率は15・3%で,調査対象国中,メキシコ,米国,トルコ,アイルランドに次いで5番目に高かった。逆に,西欧諸国は大半が10%以下で,特に全調査国中最も低かったデンマークを筆頭に北欧諸国が低い。日本は,かつての調査では北欧諸国並みの水準で,「一億総中流」と言われたが,わずか10年余りの間に驚異的に貧富の差が拡大した事になる。

「平均値」ではなく「中央値」であることに注意してください。格差の度合いを調べるのですから「平均値」は適さないのです。メディアは不用意に「平均値」を使って我々の頭を混乱させようとすることが多いのですが,統計学は平均だけで成り立っているのではありません。数字データは説得力を持つ一方で,情報を受けとる側の知的水準が低ければ容易にだますこともできますから,こういう基本的な点については注意が必要です。

 貧困率の話に行く前にもう少し,平均値と中央値の違いについて見ていこう。
 例えば金融広報中央委員会が公表している「家計の金融資産に関する世論調査(平成17年)」(→サイト)では,きっちりと平均値と中央値を分けて公表されています。一部を引用すると,

  • 金融資産の平均保有額は1,085万円,中央値は400万円。前年対比では,平均保有額が前年を上回った一方,中央値は前年を下回る結果となった。

 こんな感じです。違い,わかりますか?このサイトは丁寧にも次のような注記が書いてあります。
 金融資産保有額の平均値が1,085万円と聞くと,「自分はそんなに多くの貯蓄をもっていない」と多くの世帯が実感とかけ離れた印象をもつ。平均値が,少数の高額資産保有世帯によって大きく引き上げられてしまっているためである。例えば,10世帯のうち9世帯が100万円を持っていて,残りの1世帯が1億円を持っている場合には,平均値は1,090万円になってしまう。当然,調査を受けた10世帯のうち9世帯は,調査結果が1,090万円と聞けば,その値に驚くだろう。今回調査では,保有世帯(金額無回答を除く)が1,836世帯,非保有世帯(保有額=0万円とみなす)が776世帯であったが,これらのうち約7割が平均値よりも保有額が少なくなっている。
 上記のような平均値の持つ欠点を補うために,ここでは平均値と並んで中央値を用いて一般的な家計像を捉えることとする。ここで言う中央値とは,調査対象世帯を保有額の少ない順(あるいは多い順)に並べたとき,中位(真ん中)に位置する世帯の金融資産保有額のことである。例えば自分の貯蓄額が中央値(今回は400万円)である世帯からみると,保有世帯のちょうど半分の世帯が自分の貯蓄額よりも多くの貯蓄を保有し,ちょうど半分の世帯が自分の貯蓄額よりも少ない貯蓄を保有していることになる。従って,中央値は世帯全体の実感により近い数字になると考えられる。

 格差が厳しい社会を調べる基準が平均値じゃあマズイってことがおわかりになったところで,貧困率の話にいきます。

 先ほどのWikipediaの定義にもあったように,最新データによれば日本はOECD諸国のうちワースト5位の貧困率です。僕が毎日参考にしているサイト「Nevada経済情報」のWorld Report(Jan/01/06)によれば,上位諸国はこんな感じです。

  • 1位 メキシコ 20.3%(過去最悪の21.7%から減少中)
  • 2位 アメリカ 17.1%(過去最悪の17.9%から減少中)
  • 3位 トルコ 15.9%(過去最悪の16.4%から減少中)
  • 4位 アイルランド 15.4%(10.6%から上昇中)
  • 5位 日本 15.3%(過去最悪を更新中)
  • 6位 ポルトガル 13.7%(過去最悪の14.6%から減少中)

 率直な感想としていかがでしょうか?
 メキシコ,トルコのハイパーインフレの話は有名ですから解説はいりませんね。アイルランドも人口が400万人程度の国ですから,大国と比べるのは無意味です。となると,アメリカと日本。貧富の格差がメチャ激しいアメリカと日本の差が縮まってきているぐらい,急速に日本の貧困率が上昇してきているようです。

(Jan/22/06 NIKKEI NETより引用開始)
【「貯蓄なし」世帯,最多の22.8%・金融広報中央委】
 金融広報中央委員会(事務局・日銀情報サービス局)の家計の金融資産に関する世論調査2005年版によると,貯蓄を「持っていない」と回答した世帯(2人以上)が22.8%を占め,1963年に調査を始めて以来最高になった。04年から0.7%上昇した。一方で日本の富裕層は世界で2番目に多いとの指摘もあり世帯間で2極化が進んでいる。
 貯蓄をまったく持っていない世帯は1996年以降,継続的に10%を超え03年以降は20%台に上昇している。推計では05年時点で貯蓄のない世帯数は約800万にのぼる。全世帯ベースでは23.8%が「貯蓄を保有していない」と回答。この項目で調査を始めた04年から0.9%上昇した。
(引用終了)

 これが現実です。日本は世界で比べれば豊かではなくて貧しいのです。一部の人間だけが豊かなだけで,一般国民は耐震偽造のマンションに住み,低金利なくせに手数料だけはバカみたいにとる銀行に騙され,BSE牛の肉をうまい早い安いと言って食い,財務諸表すら読めないのにローソク足だけ見て株を買い,後で見もしないトリノのテレビを一生懸命録画しているんです。次世代はというと,国語も満足にしゃべれないくせに英語を学び,円周率は3で,アボガドロ数は0.6×10^23で原子論すら習わない。そりゃ貧困だろーよ。

 このエントリで僕が言いたい事は,いまのままでも十分格差社会なんだから,これ以上の格差の拡大政策は進めるべきではないということ。薄っぺらいアメリカ讃美主義を続けてたら日本人の良い部分が全てダメにされて,日本人の大多数がアメリカの黒人みたいな扱いを受ける社会が生まれ,ご先祖様や建国の神々に対して申し訳ないという気持ちすら消えてなくなってしまうでしょう。そんなんでいいんですか?イランに難癖つけて戦争しようっていう国にどこまでも尻尾ふって付いていっていいんですか?大多数の貧民をあごで使う支配者達にとっては理想の国なんでしょうけど,ホントに「愛」がないなあって思うのは僕だけなのかな?

 日本人100人中15人は中央値の半分にも満たない所得で生きているという惨状は,「改革」で回復できるのか?十分痛みに耐えたんじゃないのか?あと何万人の自殺者を出したら気が済むのか?坊主をやってて自殺者が多いのはつくづく身にしみて分かっています。でも遺体の前で,家族が号泣する横でお経を唱えなきゃいけない坊主の気持ちは,坊主でなきゃわかるまい。金持ちは一部の人間だけでいいから,大多数の人間に最低限の暮らしだけでも保障してやってくれ。希望すら持てなくなるような境遇は見逃さないでくれ。国民年金保険料が払えないからといって国民保険が使えなくなるとか,ヤミ金でホクホク顔の大阪の公務員が公園のルンペン達を面白そうに追っ払う映像は流さんでくれ。株で20億儲けた人間が2億円納税するだけで許される世界は見直してくれ(汗水流して20億儲けたら納税額は10億円・・・)。ホリエモンのケツばっかり追わんとヒューザーをやってくれ。トリノなんかよりもイランの映像を回してくれ。頼むから,外人にばっかり儲けさせないで,日本人が日本人として暮らせるような国にしようよ・・・。

(Jan/15/06 NIKKEI NETより引用開始)
【対日投資,10年で4倍に・政府が新目標】
 政府は日本企業への出資や買収などによる対日直接投資の一層の拡大に向け,新たな目標を打ち出す。2011年末の投資残高を2001年末に比べて4倍の26兆4000億円とすることを目指す。01年末からの5年間で倍増する現目標の達成にメドが付き,増加傾向を維持したい考えだ。
 小泉純一郎首相が20日召集の通常国会の施政方針演説で,大幅な投資増大を目指す方針を表明する。それを受け,政府は首相が議長を務め関係閣僚がメンバーとなっている対日投資会議を2月に開き,新目標を正式決定。今春にも規制緩和など投資促進策をまとめる段取りだ。
(引用終了)
posted by 時をかける僧侶 at 22:17| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月12日

アメリカも負けちゃいないぜ赤字額 属国いじめて知らぬ顔っすか

 アメリカ財政の話。
 日本の巨額の財政赤字の現状,それに対する的外れな財務省の増税方針などなど,日本の財政問題には皆さんいろいろと思うところがあると思いますが,僕は趣味で為替投資をやっているので,アメリカの財政状況にも敏感になっています。今週の金曜日にはアメリカの財政赤字が過去最悪を更新しましたが,その前に日経が次のような社説を載せていました。

(Feb/08/06 日本経済新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【楽観許さぬ米財政再建】

  • ブッシュ米大統領が2007会計年度の予算教書を提出した。
  • 米政府は政策的経費(裁量的支出)を切りつめた「緊縮型」と説明するが,増大する国防費や国土安全保障費は聖域扱いで,目標通りに財政赤字を減らせるかどうかは楽観を許さない。拡大を続ける経常収支赤字とあわせて米国の双子の赤字は,引き続き世界経済の大きなリスクの1つである。
  • 最大の不透明要素はイラクでの米軍駐留経費など国防関連支出の動向だ。国防費と国土安全保障費を除く裁量的支出は前年度比0.5%減らすが,国防費などの増額で裁量的支出全体では同3.2%増加する。しかもイラク駐留経費は今後数百億ドル規模で増額を迫られる可能性がある。
  • 1990年代後半に米国は財政再建を果たした。これは経済再生による税収増と同時に,冷戦終結に伴う国防支出削減という「平和の配当」が貢献した。
  • 足元の米経済は3%台の成長を続けているが,国防支出の聖域扱いが続く限り財政再建の道のりは険しいだろう。
  • さらに戦後のベビーブーム世代の現役引退が始まり,米国でも医療費など高齢化に伴う社会保障関連支出は増え始める。
(引用終了)
 
 アメリカの財政破綻が実現してしまったら,ざまあみろでは済みません。日本がたくさん買わされている米国債はパーになるし,アメリカの住宅バブルははじけ飛ぶだろうし(アメリカの住宅ローンは元本のほかに金利分まで貸し出す契約が増えている)大手企業の債券価格だって暴落するでしょう。しかし,そうなっていない大きな理由があります。ドルは基軸通貨であるということです。

 基軸通貨であることで,ドルは計り知れないメリットを享受しています。ドルは刷るだけで通貨になるので,赤字の分だけ刷って国債にしておけば,日本の国や企業のように忠実な金持ちが高金利につられて買ってくれる。また実需においても,19世紀にイギリスが植民地インドから富を搾取したのと同じ方法で,現在はアメリカが日本の富を搾取しています。つまり,インドのイギリス向け債権をポンド建てにさせることでインド国内への資金還流を回避させ,インドにデフレを強いる代わりにイギリスは未曾有の富の蓄積を実現したという方法を,アメリカが日本に対して実施しています。この悪循環が断ち切られない限り日本のデフレの抜本的解決なんてありえないのですが,基軸通貨がドルである以上はなかなか交渉も難しい。

 政治的にも,実力者が「アメリカ国債を売りたい」なんて言おうもんなら一気に潰されます(橋龍など)。郵政民営化で日本の勤労者のお金が合法的にアメリカに持ち出されて,アメリカの軍事費に使われるための国債買入に当てられることになりましたが,日本国民の多数が賛成したのだから自業自得。余談ですが,ホリエモンのマネーゲームを批判する日本のポチ保守たちが,去年の秋にはアメリカのマネーゲームや戦争のために日本の勤労所得の成果を海外放出させることを「改革」だと礼讃していたわけだから,何をかいわんや。勤労の精神を破壊しているのが自分たちだと気付いていない浅はかさ。僕はみじめだと思いますね。

 話を戻します。アメリカはドルが基軸通貨だから,こんな多額の赤字が発生していても内心ケロっとしていられます。でも実際は焦っている部分もあります。不穏な動きがあるからです。日本は属国だからガツンと叱り飛ばせば言うことを聞きますが,中国が聞かない。中国は日本の次にアメリカ国債を大量保有している国ですからできるだけコントロールしたいのでしょうけど,ま,無理な話。そもそも人民元の切上げなんてしたらアメリカ国債を大量に売る事になって,大変なのは実はアメリカなんじゃないの,っていう話もあるぐらいで,アメリカとしては産業界から苦情を言われて大変だからポーズだけ示しているにすぎません(これは単なる僕の見方です)。

 それから石油代金の支払いがドルベースからユーロベースになるかもしれないっていう話も不穏な動きの一つ。ま,これについてはイスラムのムハンマド(マホメット)の風刺画問題が出てきましたから見直しの気運は高まるかもしれません。ま,CIAあたりが仕組んでるんでしょうけど。

 アメリカとしては基軸通貨ドルを守らないと,すぐにでもインフレになってえらいことになって国民が暮らしていけなくなりますから,いざとなればどんなことでもやってくるでしょう。戦争なんて当たり前に起こすだろうし核爆弾を落とすかもしれません。もちろんそうなったらいけないから,世界中でアメリカをなだめるために,今後もドルで行きますみたいな宣言が行われるんでしょう。まあ勝手にやればいいけど。

 金本位制が崩れた後の基軸通貨の崩壊という経験は資本主義の歴史の中で発生していないわけですから,ドルがそうなっちゃったらどうなるかは予想もつきません。ユーロが取って代わるのかどうかもわかりません。イスラムを刺激しているようではユーロの信用もなかなか根付かないでしょうしね。日本の円をアジア共通通貨にするべえという提案もあるようですが,あれだけ中国韓国と揉めさせられてたら無理でしょう。やっぱり金とか石油の現物資産をベースにした通貨体系に移行していくのがベストなんだろうなあと,若干とりとめのない結論を出して,今日のところは終わっておこう。
posted by 時をかける僧侶 at 01:57| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月07日

西川くんケタの多さに気絶する 郵貯解体ハゲタカいらっしゃい

 更新1回サボっちゃいました。で,今日もレポートが忙しいので手短に,ひさびさの郵政の話。

(Jan30/06 REUTERSより引用開始)
【日本,外国企業に国内市場の一段の開放を=米財務副長官】
 米財務省のキミット副長官は,日本は国内市場を外国企業向けに開放するため一段の努力が必要だとの考えを示した。
 同副長官は,世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の公開討論で,「かなりの進展がみられるが,我々の前にはまだまだ機会がある」と述べた。
 また,「すでに日本に進出している企業にとって状況は良くなっているが,日本市場へ新たに進出する企業に機会を創出するという意味ではまだやるべきことがあると考える」と語った。
 さらに,特に郵便貯金について,日本企業と日本に進出する外国企業にとって公平な機会が与えられることを望むと述べた。
(引用終了)

 ダボス会議では日本はほとんど存在感なしって感じだったらしいのですが,言われる部分はちゃっかり言われて帰ってきたようです。よりによって「郵政のカネをよこせ」ってさ。

 渦中の郵便局もいろいろ動いているようです。

(Jan30/06 REUTERSより引用開始)
【郵政公社,郵便局で外債・外株・海外REIT・国内SRIファンドを販売へ】
 日本郵政公社は,海外債券や世界REIT(不動産投資信託)など新たに4種類の投信を郵便局で取り扱うことを決め,きょう,商品の公募をスタートした。
 公募する商品は1)海外債券ファンド(定期分配型),2)海外株式ファンド,3)世界REITファンド(定期分配型),4)国内株式SRIファンド──の4種類。(略)
 郵便局での投信販売は2005年末から上向いてきている。1月の販売額(手数料込み)は27日現在235億円を超えており,2営業日を残した段階で,単月で最高の販売額となった05年12月の販売額記録を更新したもようだ。
(引用終了)

 ま,僕はファンドなんて買う気全くなしだから勝手にしてくれていいんだけど,ホンマにおじいちゃんおばあちゃんがREITの仕組みを理解できて買ってくれるとは思えんね。投資好きな年寄りはそもそも郵貯にそんな機能を求めてはいないだろうし(証券会社がガッチリ掴んで離さんでしょう),ババひかされるのは相変わらず,「隣の奥さんが株で儲けてる」のを羨んで始めた素人投資家ってことになるんでしょう。自分の家の住宅ローン金利が上ってひぃひぃ言うのが先か,ファンドで儲けるのが先か。どっちにしても郵便局はファンドを売った手数料でホクホク。ま,せいぜい郵便局を儲けさせてやってよ。

 最後にこの記事のちょっと前に出された読売の社説を載せて終わります。

(Jan/25/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[日本郵政会社]「西川社長,自らの提言を読み返せ」

  • 民営化後に持ち株会社へ移行する「日本郵政会社」が発足し,社長に西川善文・前三井住友銀行頭取が就任した。
  • 郵政民営化が成功するかどうかは,計画の中身や,4社のトップに誰が就くかにかかっている。
  • 郵便貯金や簡易保険を通じて集められた巨額の資金は,財政赤字の穴埋めのほか,特殊法人に流れて非効率な事業を支えてきた。法人税免除など郵政事業への様々な優遇措置が公社による民業圧迫につながっていた。改革の狙いは,こうした構造を改めることにあった。
  • 西川社長は日本郵政が発足した後の記者会見で,「政府の介入があるとか,制約があるということは,絶対に排除しなければならない」と事業拡大へ向けた強い意欲を表明した。
  • 全国銀行協会の会長時代には,郵政改革への提言をまとめ,「民営化の移行期間中は,一定の業務制限が必要だ」と厳しい注文を,政府に何度も突きつけていた。
  • 計画を策定するに当たり,ぜひ提言を読み返してもらいたい。事業拡大に走るよりも,スリム化,効率化に力を入れることの重要性がわかるはずだ。
(引用終了)

 読売としては,郵政会社の社長という,昔の銀行協会の会長とは立場が全く異なるポストについた西川某に,銀行協会時代の提言を守れと言いたいらしい。相変わらず指摘の仕方にはセンスが見られません。業界団体で昔郵貯を批判していた人間が真逆のポストにつくことこそまず指摘しておくべきでしょうが。銀行は未曾有の利益を上げたっていう報道があったばっかりでしょう?そこの業界団体の長だった人間が庶民階級の金庫「郵貯」を解体する急先鋒であるというおぞましさを採り上げるべきでしょうが。この新聞は救いようがないね。
posted by 時をかける僧侶 at 13:52| 兵庫 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月26日

アメリカの景気は良いのか悪いのか 巻き込まれないよう逃げ道探そう

 今日はアメリカ経済の話。

 FX取引をしていると,嫌でも他国の景気や政治,軍事動向などが気になりますので,国際感覚を身に付けるのには大変有益です(外国語はしゃべれませんが)。そんな中,何度かこのブログでも採り上げたように,僕はアメリカの景気動向に最大限注意を払っています。日本の大地震が先か,アメリカ発の第二次ブラックマンデーが先かというような,考えてもわからないようなことに時間を使うことはしませんが,自らの資産防衛の方針を決定していくためには,大消費国アメリカの景気動向を無視するわけにはいきません。

 昨日ネットを徘徊していたら,田中宇氏のレポートを見つけました。→「アメリカ発の世界不況が起きる」
 この内容はけっこう濃いので,興味のある方は一読をお勧めします。この論理を信じるか信じないかの最終判断は我々読者に任されるわけですが,僕は以前からアメリカ経済の頭打ちを想起させるニューズをいくつか掴んでいましたので(ウラ情報とかじゃなくって普通の新聞記事),田中氏の指摘には概ね賛成です。結論から書けば,アメリカ経済の暴発要素はあちこちに転がっていて,いつ爆発してもおかしくないということ。いくつか記事を紹介します。
 
(Jan/18/06 NIKKEI NETより引用開始)
【米軍のイラク駐留経費,毎月45億ドルに拡大】
 米国防総省は17日,2005会計年度(04年10月―05年9月)のイラク駐留経費が毎月45億ドル(約5200億円)に上り,04年度に比べ1月あたり約3億ドル増えたことを明らかにした。米誌コングレス・デイリーが伝えた。
 この経費には毎月10億ドルを超える調達費や軍施設の建設費,情報収集活動にかかる費用などは含まれていない。イラクの反米勢力による攻撃の激化などが経費の増大につながったとみられる。
(引用終了)

 アメリカにとって,イランの大統領がイスラエルを挑発している真横で軍を撤退させることは敗北を意味しています。大量破壊兵器もなく,ビンラディンとイラクが何の関係もないことが明らかになってもなおイラクの一般市民を爆撃し続けたアメリカ軍は,ますます退くに退けなくなって泥沼にはまっているようです。ざまあみろで済ますことができればいいのですが,属国ニッポンは気味の悪い大国・中国と一緒になってアメリカ国債を買いまくっていますので,売るに売れない不良債権(券)がたまっていく一方であり,アメリカの景気の影響をモロに受けざるを得なくなっています。

 田中宇氏のレポートでは,アメリカの景気に重大な影響を与えるのは主に住宅ローンであるとしてかなり詳しく説明されています。ここでは同じことを繰り返しても仕方がないので,その他の重大なニューズを紹介しておきます。

(Jan/21/06 共同通信より引用開始)
【「米経済に大打撃」と警告 新型インフルで副大統領】
 チェイニー米副大統領は20日,鳥インフルエンザウイルスが人間同士で感染する新型インフルエンザに変異し米国で大流行すれば「米経済は大打撃を受けるだろう」と警告した。米ラジオ局とのインタビューで語った。(略)
(引用終了)

(Jan/18/06 NIKKEI NETより引用開始)
【米保険業界,鳥インフルエンザ大流行なら15兆円支払いも】
 米保険業界の団体,保険情報機構(III)は17日,鳥インフルエンザが米国で流行した場合に同業界が被る予想被害額をまとめた。米厚生省が想定する最悪シナリオの場合,業界の保険金支払い負担は1330億ドル(約15兆円)に達する見込み。財務基盤の弱い保険会社は,経営が行き詰まる恐れがあると警告している。
 米厚生省は鳥インフルエンザが1918年に全世界で流行した「スペインかぜ」に匹敵する感染病となった場合,米国内の死亡者は190万人に達すると試算している。(略)
(引用終了)

 えらいこっちゃなあ。まあアメリカにとってみれば,もしインフルエンザが流行したとしたら,罪のないイラクの人々を苦しめた天罰ってことになるんでしょうけど,日本みたいに国民全員が公的医療保険に入っているわけではないので,経済的な被害はさらに甚大でしょうねえ。さらにこんなニューズも。

(Dec/06/05 NIKKEI NETより引用開始)
【米自動車大手に「救済は不要」・大統領補佐官】
 ハバード米大統領補佐官(経済担当)は5日の記者会見で,経営不振に陥っている米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターに対して,米政府による救済策は不要だとする考えを明確に示した。
 補佐官はGMが今いくつかの大きな問題を抱えているとしたうえで,「その主因は彼らが燃費のあまり良くない車しか生産できていないことだ」と指摘。低燃費の車の研究開発で日本勢などに出遅れたことが,現在の苦境の背景にあるとした。
(引用終了)

「小さな政府」を日本に押し付けている手前,政府による私企業救済なんて,潰れる前から言えるわけないですもんねえ。実際に2社が破綻したら,LTCMの時みたいに最終的には奉加帳方式で救済するんでしょうけど。このようなセリフが竹中大臣に細かな指示を出しているハバードの口から出るということには注意しておかなくてはいけません。

 まだまだいろんなニューズはありますが,基軸通貨ドルを発行する皇帝の国の景気動向を今後も無視するわけにはいかないでしょう。ま,こんな状況だからこそアメリカの赤字ファイナンスのために日本に郵政民営化を急がせたわけでしょうけど,ますます日本はアメリカから逃げることはできなくなっています。個人としての財産防衛がどこまで機能するのかは,実際に危機が起こってからしかわかりませんが,いろいろと手を尽くしておきたいなと思います。



 おまけ。最後にこんなニューズを。

(Jan/16/06 NIKKEI NETより引用開始)
【米ウォール街,昨年のボーナスが最高に・当局推計】
 米ウォール街の金融機関の昨年分のボーナス総額はこれまで最高だった2000年分を20億ドル上回り,215億ドル(約2兆4600億円)に達したもようだ。ニューヨーク州の当局が推計した。米ネット株バブルの最盛期をもしのぐ水準に膨らんだ。(略)
(引用終了)

 うへっ。
posted by 時をかける僧侶 at 22:11| 兵庫 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月10日

いよいよ年次改革要望書の季節になりました

 今日はまずこのニューズをお届けしよう。詳しい中身はまだアップされていないので引用するほどのこともなく,見出しとリンクだけ。
【日本政府に規制改革要望提言書を提出】(Dec/07/05 )

 いわゆる「年次改革要望書」ですね。
 僕がこの文書の存在を知ったのは関岡英之『拒否できない日本』文春新書を読んでからです。ほとんどの人がそうだと思いますが,そもそも大新聞・テレビが採り上げてこなかったこの文書はすでに1993年に宮沢・クリントン合意で翌年から日米交換の形で出されてきたものだったらしい。実際はサブタイトルが「アメリカの日本改造が進んでいる」となっているとおり,アメリカからの一方的な内政干渉であり,これを糾弾するのが怖いマスコミは一斉に口をつぐんで国民に知らせなかったというわけです。産経・読売のポチ保守言論は中国・韓国から干渉されたらピーチクパーチク騒ぎ出すくせに,白人からの干渉だったら知らん顔。白人コンプレックスむきだしでみっともないですよね。ま,朝日も毎日も知らん顔してのは同じですけど。

 この本は今年の「ベスト新書」に選ばれてもおかしくないものです。このブログで気になった方は是非買って読んでみてください。手ごろなところでは今月号の文芸春秋に関岡氏が寄稿しているので概要を読むこともできます。

 大新聞とテレビしか情報入手のチャンネルを持っていない大多数の人たちは未だにこの文書の存在なんてしらないでしょう。中身にはすんごいことが書いてあるんだけどなあ。例えばこれが出された当初は建築基準を緩和せいとか(今になって問題が起こってるやん)一昨年になってからは郵政民営化しろとか牛肉買えとか,来年は医療改革せいとか言ってるわけ。ちょっと引用しようか。

(先のリンクより引用開始)
「米国企業が日本市場に供給している先端医療機器および医薬品の膨大な数を考慮すると,日本政府が検討している医療政策および医療改革にこうした企業が十分かつ有意義な意見具申の機会を得ることは,重要である。その中でも特に特に重要なのは,日本の医療価格設定政策が,革新性を評価するにことが重要であるを与えるということである」
(引用終了)

 変な訳だなあ(サイトにアップするんだからもっと校正しとけよって)。もったいぶった書き方ですけど,要するに日本の医療市場にもっとアメリカに口出しさせいということ。日本に変わって我々がいいように改革してやるってこと。タミフルで大もうけしているロシュとかギリアドがさらに儲かる仕組みにせいってこと。
※参考記事 → 【ラムズフェルド、鳥インフルエンザで大儲け】(Nov/14/05 暗いニュースリンク)

 ま,こんな感じで毎年アメリカ様は属国に対して干渉してくるわけですけど,この関係はしばらく続くでしょう。そして刃向かえないかよわい羊は従うしかないでしょう。在日米軍の再編で日本の自衛隊はアメリカの指揮系統に置かれちゃったわけだし,厚木には原子力潜水艦が入ってくるわけだし,グアムへの米軍引っ越し費用は日本がもたされるわけだし,郵政民営化で国債が売られてアメリカ国債を買わされるだろうし(その資金でアメリカ国民の年金破綻が防げる),鶏の糞に糖蜜かけたエサを食べた牛が吉野家に並ぶわけだし・・・。いつの間にかいろんな不平等条約を結ばれて,ホントに情けない国になっちゃったなあって感じですね。

 でも諸々の事件の本質をつかむことが出来ればリスクは回避できますよ。肉食べたり外食しないで有機野菜食べてりゃ大丈夫だろうし,医者にかからんように毎日体操してりゃいいし,郵便局の口座解約してハワイ旅行したついでに口座開いたらいいわけだし。竹中大臣が昔自慢していたように1/1に日本に住所がなければ住民税払わなけりゃいいわけだし,坊主になりゃ戦争も免除されるだろうし(ちょっと不安ですが)。向こうがその気ならこっちも対策練らないとね。

 そんなカネねえよって方。そんなときこその投資じゃないですか。何もラクして金儲けするのが投資というわけではありません。僕は生活を豊かにするために投資しているのであって,少々高くても有機野菜を食べたいし,海外で口座開いて日本の破綻リスクを切り離したい。そんなときこそ日本売り(笑)高金利通貨買い。
 こんな状況で円を買うっていうことはファンダメンタルズで考えればありえないことです。外人がいっぱい日本の株を買ってくれていますが,円安が進んでいるせいで彼らのリターンも抑えられています(彼らはドルベースで収益考えますから)。ここへきて第三クォーターの日本の名目GDPがマイナスっていう報道が出ましたし,そろそろ売ってくる準備をしているとも考えられます。相場の勢いがありますから日本人が高値でつかむことになるんでしょうけど・・・。
 資産を守ろうと思えば外貨とか海外のファンドに投資しておくべきですね。ただしテクニカルで見れば中国元の切上げなどで円も買われることはあるでしょうけど,今年の7月のときのように一時的なものですぐに戻ってくるんじゃないかな。ま,投資は自己責任ですが。
※参考記事 → 【GDP改定値、年率1・0%増に成長率を下方修正】(Dec/09/05 YOMIURI ONLINE)

 ほかにもいろんな興味深いニューズがあったのですが,また次回に。
posted by 時をかける僧侶 at 18:40| Comment(1) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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