2006年06月25日

電子マネーEdyの話

 日曜日なのでゆるい話題を。

 最近,電子マネーにちょっぴり興味をもっています。ええ,新しいモノ好きなもんで。電子マネーについてはちょっと前までは非常にネガティブなイメージを持っていたのですが,ロクに調べもせずに良からぬものだと思い込んでいたことを反省しまして,よくよく調べてみると,なかなか面白そうな仕組みじゃないかと気がつきました。偏見っていけませんねえ。

 さて,電子マネーの仕組みについてはここではツラツラ詳しくは書きません。簡単に書くと,店やら駅に設置された専用端末で前もって現金をチャージしておいたカードなりケータイなりを,それが使える店で読み取り機にかざすだけで決済が簡単にすまされるというヤツです。メジャーなところで,SuicaとかEdyがあるようですが,まだ萌芽期ということでどっこいどっこいの普及率のようです。JR東日本を使っている人はSuicaはなじみがあるでしょう(西日本はICOCA)。関西の私鉄ではこの他にPiTaPaってのもあります。普及率では劣りますが仕組みは同じです。

 電子マネーというぐらいですから,いろんな店で使えないと「マネー」ではなくて単なる「プリペイドカード」でしかありません。PiTaPaはまだプリペイドカードの域を出ませんが(乱立する関西私鉄のどこでも使えるというのは便利ですが)SuicaやEdyはけっこうあちこちで使えるようになってきたようです。

 僕はこの中で特にEdyに注目しています。理由は簡単で,ANA(全日空)のマイレージカードにEdy付きクレジットカードがあって,上手に使えばカード利用額に応じてマイルが貯まっていくからです。「陸(おか)マイラー」と呼ばれるマニアックな人達は海外にフライトすることなく,陸上であらゆる手段を使ってマイルを貯めて,無料航空券で海外旅行を楽しんでいるらしいですが,やはり達人達はEdyを駆使しています。まさに僕や両親のように2年に1度海外に行くか行かないかの人間にとってウェルカムな状況が揃ってきたなあと思います。

 ま,意識せずに現金払いばっかりしているといつまでたっても海外行きほどのマイルは貯まらないでしょうねえ。だから無理やりマイルが貯まるようにいろいろ手続きをしています。僕個人の支払いは微々たるものですが,親父の場合は光熱費が普通の家プラス寺の経費分の支払いがありますので,2年分が1年分で貯まります。とくに電気やガスなどはカードで支払い,カード決済ができない水道代もコンビニでEdy払いにすれば,クレジットを使ったEdyチャージの段階でマイルが貯まるので,獲得マイルの効率で言えば実質同じになります(コンビニに行く手間はかかりますが)。

 さらに,寺は職業上さまざまな書籍資料を年間に購入するのですが,これをカード払いにしていますので,ええ感じでこっちもコンスタントに貯まっています。ネットで買うときも「楽天ブックス」を使えば楽天ポイントまでもらえますので(楽天ポイントはEdyと同率でマイルに変換できます)こっちで買う事が多いです。楽天は基本的には好きではないんですけど,三木谷が逮捕されようと何されようと,あの仕組みは残るでしょうからいいや!と。

 さらにさらに住職は電気製品が好きで,電気屋によく出かけますが,近所にオープンした「ケーズデンキ」はEdy払いができます。夢のような環境ですね^^

 Edyは最大5万円までしか使えませんが,ひとり5枚(おサイフケータイも含む?)まで持てるらしいので,25万円までの支払いなら,ANAカードでクレジットを組むよりお得になりますね。ま,まだそんな使い方をしたことないですけど。

 さて,以前のエントリ(→ リンク)でクレジットカードのことを書いたとき,税金やら国保・年金の保険料がカードで支払えるようになったらいいですねというコメントをいただき,僕も大いに賛成しました。でも,実はカード決済できなくてもコンビニで支払えるようにしてもらうだけで(ポイント獲得という意味では)事足りるということがわかりました。そう。Edy決済できるコンビニ(am/pm,サークルKサンクス)で支払えばいいのです。

 これも調べれば一部の地域ではすでにできるようです。西宮市は国保も固定資産税もダメですが・・・。所得税もサラリーマンの天引き制度という悪の権化が居座っている状況では無理でしょう。金持ちの税金が25万円で済むわけないですしね^^; ま,所得税以外の支払いのコンビニ払いを西宮でいち早く初めていただきたいものです。

 さていろいろEdyがらみで書いてきましたが,本格的に普及するかどうかは提携してくれる店が増えてくれるかどうかにかかっていますね。あと利用者がどんどんこの特典に気付いて使ってくれない限り,今のようなマニアックな人達だけのマーケットになってしまうのかもしれません。僕としては2年に1度の海外旅行の費用を安く抑えれたら何でも結構なんですけどね。
※海外に行けなくても国内は15,000マイルあれば無料航空券がもらえますから,親父に比べて支出の少ない僕はこっちを狙っています^^。


(付記1)
 今回のエントリは→ 『ANAカード「地上」最得活用術』小学館というムックを参照しました。このムックは僕がちょくちょく読んでいる隔週誌『DIME』が編集したものです。ちょうど『DIME』の11号(今売っているものの前の号)でクレジットカードの特集があり,興味深く読みました。これからの世の中,政府とコネクションのない国民はむしりとられていくばっかりですから,ダメージを減らすためにいろいろ考えていかないといけません。たとえセコイと言われても・・・^^;;

(付記2)
 Edyにこだわらずにマイルにこだわるのであれば,TSUTAYAのティーポイントを利用する方法もおすすめです(上で紹介した楽天と同じシステム)。近所にam/pmやらサークルKサンクスがなく,ローソンしかない人にはお勧めです。Edyチャージできないのでこの分のマイルは貯まりませんが,TSUTAYAはローソンと提携しているので,ローソンで稼いだティーポイントをマイルに変換できるわけです。ただし公共料金の支払いではポイントになりませんから,純粋にコンビニで買い物した分にしかつきません。なお,ポイントのマイルへの変換率は楽天と同じです(金額ベース10,000円で50マイル)。

(付記3)
 クレジットカードからのEdyチャージはパソコンやおサイフケータイでできます。店では現金チャージしかできず,もちろんマイルは貯まりません。パソコンでチャージするには「PaSoRi(パソリ)」という小型端末機(USB接続)が必要ですが,Edyに興味がある方には必須アイテムでしょう。Suicaも読めますがチャージはできません。やっぱEdyがシェア占めそうな予感がしてきます・・・。
※余計なお世話ですが,パソリはソニーから買うよりもamazonから買う方が400円ほど安いですよ〜。
サイト(アフィリエイトの調子がおかしいのでプレーンリンクです)
posted by 時をかける僧侶 at 20:55| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月24日

株逝きてあわてふためく素人を 横目で笑う悪趣味な僕

 世界で株安が進行中らしい(今日は日経225は反発)。

(May/23/06 asahi.comより引用開始)
【世界で同時株安進む インフレ懸念,金利先高感強まる】
 世界で株安が進んでいる。(略)原油高をはじめとする資源価格の高騰からインフレ懸念が生まれ,金利の先高感が強まり,「株式投資が不利になる恐れがある」と考える投資家が増えてきたためだ。(略)
 22日の各国の株価指数(終値ベース)を5月上旬のそれぞれの高値と比べると,米国が4%,英国,ドイツがいずれも9%の下落だった。米国では5月10日にニューヨーク市場でダウ工業株平均が00年1月以来の高値をつけたが,17日には3年2カ月ぶりとなる大幅な下げを記録した。
 新興国の下げはさらに大きく,下落率はブラジル13%,インド16%,ロシアは26%に達した。インドでは22日の下落幅が一日で10%を超え,取引所が一時取引の全面停止に追い込まれた。(略)
(引用終了)

 新興国と言われるBRICs諸国の下落は「暴落」と呼んでもいいものでしょう。これらの国に行った事もない日本の投資家が経済誌や新聞に煽られて投資した挙げ句,うろたえまくっているようです。特にインド向け投資を煽る記事はあちこちで見てましたから,エライことになってるんでしょうねえ。僕は相変わらず「わからないモノは買わない」主義を貫徹していますのでノーダメージですが。

 試しに「野村インド株投資」というファンド(→ ファンド概要書(*PDFファイル))を見てみたら,「当ファンドは,現在,お買付の申込みを一時停止させて頂いております。」だって。投資は自己責任とはいえ,あんだけ煽ったら自分らにも責任はあるでしょうに。新聞はヨイショ記事を書いて広告をバンバンもらって儲け,証券会社は3.15%の販売手数料と2.1%の信託報酬を抜き(厳密に言えば運用会社が報酬をとっているわけですが),煽られて手数料を分捕られて散々な個人凍死家だけが取り残されて・・・。ま,どっちにしろ騙される方も悪いか。

 日本株についてはこんな指摘もあります。

(May/20/06 フジサンケイ ビジネスアイより引用開始)
【株下落で異変 個人,“追い証”回避 外国人,売り越し基調】
 大型連休明けの東京株式市場の株価下落が続いている。(略)
 下落の要因について,市場関係者は外国人の売り越し基調に加え,個人投資家の資金回転が鈍っている点を指摘する。
 東証が毎週発表している株投資家別売買動向(東京,大阪,名古屋三市場の各一部,二部)によると,五月第二週(八−十二日)の売買代金に占める外国人のシェアは57・9%と,昨年平均(45・1%)に比べて12・8ポイント上昇したが,売買代金は二週間ぶりに売り越し基調に転じた。(略)
 一方,個人投資家は29・5%までシェアが低下し,昨年平均(38・0%)に比べ9・5ポイント下回り,慎重姿勢が強まった。株式を担保に借金する形で取引する信用取引を行っている投資家が,株価急落によって含み損が拡大。「口座に追加資金を振り込まなければならない“追い証”を嫌い,投げ売りする傾向が出ている」(大手証券)とされる。(略)
(引用終了)

 個人投資家のシェアっていつの間にか30%切っちゃってたんですね。記事で指摘されている現状はライブドアショックの影響でしょうから,今回のタイミングでさらにシェアが落ちていくのかもしれません。投げ売りって強烈な下落を生むんですねえ。

(May/22/06 REUTERSより引用開始)
【個人投資家マインドが急低下,株価急落で】
 ロイター個人投資家5月調査によると,日本株式に対する個人投資家の投資スタンスの強さを示すロイター個人投資家DI(「強気」の割合から「弱気」の割合を引いたもの)はプラス24と前月の76から急低下,この調査を開始した今年1月以来,最低の水準となった。円高,金利高や米国でのインフレ懸念などで株価が急落したことが影響したようだ。投資しようとしている金融資産としては,預貯金との回答が急上昇した。(略)
(引用終了)

 DIは急低下したとはいえ,まだプラスです。強気の見方をしている人が多いということです(つまり押し目買いのチャンス)。預貯金に投資(?)というのは一時撤退ということなのでしょう。市況がよくなればいつでも戻れるぞという感じでしょうかね。

 ま,特殊な要因がいろいろと重なった(詳しくは先ほどの『フジサンケイビジネスアイ』の記事(略したところ)を参照ください)ということなので,まだまだ上昇の余地はあると見ている投資家が多いのでしょう。いずれにせよ,僕は株はやらないのでどっちに行こうが全くかまいませんが。

 今回エントリはここまでがメイン。あとは蛇足ですが,ちょっと暴露話を・・・。続きはここから!
posted by 時をかける僧侶 at 21:22| 兵庫 ☔| Comment(1) | TrackBack(1) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月16日

素晴らしき知性に会いし週末の 興奮いまだ醒めやらずかな

damasu.jpg 先日(5/13)原田武夫氏のセミナーに参加してきました。氏は去年の春まで外務省で北朝鮮外交を担当しておられたスーパーエリートで,機知に富み,我々の気付かない物事の本質をしっかりと見抜いていらっしゃるスゴイ人でした。氏の考えは『騙すアメリカ 騙される日本』ちくま新書をあらかじめ読んでいたので理解しやすかったのですが,このセミナーではここからさらに踏み込んだ話をされていたので,非常に勉強になりました。

 セミナーの中身を晒すことはいろいろと問題が出てくるのでやめておきましょう。個人投資家向けのセミナーという位置づけでしたが,単なるお金もうけの話というよりも,より高度な情報を披露して,より高いところから(アメリカの対日政策を読みに読んで)今後の相場を占っていきましょうというものでした。いやー,すごかったな。

24hdeokanemoti.jpg 新聞が伝えない「情報」については僕もネットなどでいろいろと知っているつもりでしたが,やはり外交官の目の付け所というか,その道のプロにしてみれば,別段新聞が書かなくてもあらゆる公表された情報をつなぎ合わせる事で本質がわかると言います。誰でも知っている大きなニューズを年表にして,現在起こっている事をあてはめていくと,次に何が起こってくるのかがだいたいわかるらしい。「こんなニューズが出た。さあどうなるか」という視点ではなく,「なぜ今このニューズが出たのか(出るだろうと思っていたがなぜ今か)」という考え方を常にもっていること。それが正しい「情報」を見いだす鍵となるそうです。

 一例を留めておきましょう。
 いまなぜ消費者金融のグレーゾーン金利についてとやかく言われているのでしょうか。出資法で決められた上限利息と利息制限法で決められた上限利息に大きな差があって問題になっていたという事実は,金融機関に勤めている(いた)人間にとっては別に真新しい事実ではありません。サラ金でお金を借りた事がある人も知っていたかもしれません。問題は,「ではなぜ今話題になるのか?」という正しい問い掛けができるのかどうか,ということ。

 はっきり書きます。「年次改革要望書」において,アメリカから要望されているからです。すなわち,サラ金という非常に旨味の大きいビジネス(大手サラ金の社長のほとんどがForbs誌の金持ちランキング上位にいます)をアメリカに門戸開放しろということが既に要望されているからです。そのためにいろんな事実が積み上っているわけです。なぜアイフルが業務停止になったのか?・・・そういうことなんです。これ以上は書けません。興味のある方は有料情報(→ 原田武夫国際戦略情報研究所)で実際に読んで(聴いて?)みてください。

kitatyousengaikou.jpg 原田氏は元外交官。『拒否できない日本』文春新書を出された関岡英之氏や政治評論家の森田実氏なども年次改革要望書の内容について警鐘を鳴らして日本人の覚醒を促しているわけですが,彼らと原田氏の決定的な違いは,「ではどうするか?」の向かい方にあります。日本の外交力のお粗末さを身をもって実感している原田氏は,外交力によってアメリカやその他諸国の(日本に対する)外交政策を防ごうということを考えていません。徹底したリアリストだなあと感心してしまいますが,だからこそ個人投資家という立場で,自分たちの資産を守るために他国の外交政策,たとえば年次改革要望書などを分析することによって,他人よりも一歩先に投資行動を起こそうという考えを持っています。関岡氏や森田氏は日本の外交力をもっと鍛えて迎え撃つべしという主張になるかと思いますが,そんなことは不可能だと悟っていると考えてみるとわかりやすいかと思います。

 もちろん,元外交官だからといってすべての情報が正しいとも限りませんし,彼が大金持ちの戦略家とグルになって日本の末端の個人投資家をハメ込むことを考えているのかもしれません。そこのところは,ご自分で彼の主張を読むなり聞くなりしていただいて判断してください。僕は彼の知性と冷徹なまでの分析力に圧倒されました。すごい人はあちこちにいるもんなんですねえ。
posted by 時をかける僧侶 at 19:03| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月08日

いつまでもカモられ続けてどこ行くの? 団塊世代よ目覚めておくれ

 おいおい,国民よ目を覚ませ!またしても銀行・証券会社に儲けさせるつもりか?というような記事があったので,早速ケチをつけておこう。

(May/07/06 MSN毎日インタラクティブより引用開始)
【投資信託:狙いは「団塊の世代」 毎月分配型など好評】
 07年から大量退職を迎える「団塊の世代」(1947〜51年生まれ)を狙った投資信託が人気を呼んでいる。大手証券会社は・・・(略)・・・運用収益を小遣い感覚で受け取れる「毎月分配型」とするなどの工夫を凝らす。大手3社とも販売が好調で,関心の高さを裏付けている。
 野村証券は昨年5月,本格的に世界で分散投資する団塊向けの投資信託「マイストーリー分散型」を発売した。純資産残高は今年4月末で5000億円を超えた。
 運用の配分比率は債券75%,株式25%が基本。債券の半分は米国,欧州など格付けの高い国債などで,残る半分はロシア,ブラジルなど新興国の高利回りの国債などで運用する。株式25%のうち,8%は外国株式とするなど,「世界のさまざまな債券や株式を組み合わせ,日本の株や債券だけで運用するより,景気変動に左右されにくい資産運用ができる」のが特徴という。
 分散投資型の投信としては,大和証券が北米,欧州,オセアニアの3地域に分散投資する「ダイワ・グローバル債券ファンド」を03年10月に発売し,純資産残高が1兆円を超えた。日興コーディアル証券も世界各国の株式と債券,不動産を組み合わせた「日興・メロン・グローバル財産3分法ファンド」を昨年10月に発売し,同残高は2000億円を超えた。
 運用収益を野村は奇数月,大和と日興は毎月受け取る「毎月分配型」を選べることも,年金生活者向けに好評という。
(引用終了)

 ホントにいいカモだなあ,まったく。

「マイストーリー分散型」を調べてみれば,ファンド・オブ・ファンズらしい(→ 参考サイト)。つまり,ファンドに分散投資するというヤツで,何が不利かというと手数料が割高であるということ。実際,信託報酬は0.798%,販売手数料は0.21%となっていて,次のダイワと比べれば割安なんですけど初年度は勝っても負けても1%のコストは覚悟しないといけません。債券75%だと言っても世界的に金利上昇局面なわけで,かえってパフォーマンスは落ちるだろうし,これって毎月分配(野村のこのファンドは奇数月分配)のキャッシュフローをひねり出すために無理やり組み込んでるだけじゃないの?って思ってしまいます。ロシア,ブラジルなどのエマージングマーケットでは普通は株式売買を主にすべきでしょう。債券なんて流動性の面で危なっかしくて,いくらプロでも勝ち続けるのは難しいんじゃないの?僕なら1%の手数料は割高だなあと思いますね。

 次。「ダイワ・グローバル債券ファンド」(→ サイト)はもっとえげつない。同じくファンド・オブ・ファンズで,信託報酬はなんと1.3125%で販売手数料は2.10%(1000万円未満)。初年度にいきなり3.4%強のコストがかかります。面白いことに,リンク先にグラフの下に薄い字で「基準価額の計算において信託報酬は控除されております。」なんていう但し書きがあったりして,実は販売手数料と信託報酬をオンしたらマイナス利回りなんじゃないの?と勘ぐりしちゃいそうなわざとらしい上昇グラフになっていたりします。僕なら絶対に買わないね。

 最後。「日興・メロン・グローバル財産3分法ファンド」(→ サイト)はとにかくややこしい。クラスAとBの2種類があってそれぞれで手数料は異なるようですが,総じて割高だと思われます。「信託報酬」という名前ではなく「管理報酬」と書いてあって,その下に但し書きで「その他受託報酬がかかります。また,メロン・グループ以外の運用会社が運用を行う他の投資信託への投資にかかる運用報酬等が課されます。」だって。コストがわからない商品に大事な虎の子を預けるかね?舐めてやがるね。
 クラスAは1億円以上からしか投資できないので一般の団塊世代サラリーマンには無縁だとして,クラスBは「管理報酬」2.31%もとられますし,販売手数料は買うときは無料ですが後払い(7年以上ホールドなら無料だが,例えば1年以内なら4.0%もとられる!)という巧妙なワナが・・・。

 結論。横文字に弱い団塊世代サラリーマンは「なんだか凄そう」っていうイメージと,銀行や証券会社の外務員の巧みなセールストークに負けて,運用利回りのほとんどの部分を金融機関の手数料として奉納しそうな勢いです。ま,他人のカネの話なんてどうでもいいんですけど,今まで銀行にどれだけ辛酸を舐めさせられていたかも忘れてしまったというのは非常に情けない(根本的には正しい情報を表に出さない金融機関が悪いんですけど)。なぜ自分たち団塊世代の退職金を金融機関が狙っているのか,考えたことあるのかな?答はただ一つだけでしょう。手数料ふんだくって儲かるからです。難しい話をさも簡単そうにしゃべられれば「この人に任せよう」みたいな雰囲気ができてしまって,気がついたら高額手数料を引かれて思ったようなパフォーマンスが得られないという結果はもう2,3年先には現実化してくると思われます。

tousibakajpg.jpg 若い連中はインターネットを駆使してコストを抑えて,自分の投資知識や経験を積める金融商品(株とかFXなど)に目を向けています。ここまでやれとは言いませんけど,年に3%も報酬払って運用利回りが5%じゃあ,レバ1倍でFXやってた方が成績いいと思いますよ。他人任せのコストはまだまだ割高だなあと実感した記事でした。

(おまけ)
 山崎元『「投資バカ」につける薬』講談社を読んだ後にこの記事を読みました。タイムリーすぎてビビりました。
posted by 時をかける僧侶 at 21:24| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(4) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月26日

銀行の二枚舌には気をつけろ 白と黒とは紙一重なり

 面白い記事を見つけたので,今日はこれを題材にしよう。

(Apr/19/06 日刊ゲンダイより引用開始)
【全銀協 我田引水の統計データ 日銀速報との違いは明らか】
 4月11、12日に発表された2つの金融データを見て、改めて大手銀行の“数字のマジック”に驚かされた。
 ひとつは全銀協発表の「全国銀行126行の預金・貸出金速報」(05年度末)で、もうひとつは日銀発表の「06年3月の貸出・資金吸収動向速報」である。一体どこがおかしいのか。
 全銀協は「銀行の貸出金が7年ぶりに増勢した」として、その根拠に次の数字を挙げている。05年末の貸出金残高は前年末比2.2%増の409兆3777億円、都銀6行では1.4%増の189兆9489億円と久々の貸出金増。この現象は「個人の住宅ローン需要への銀行の対応、企業向け資金需要に応えたもので景気回復の証しでもある」と胸を張っている。まるで貸し渋り、貸しはがし、強制的債権回収などなかったかのような書きぶりだ。
 ところが、全銀協の言い分は、はからずも翌日に発表された日銀速報でインチキぶりがばれた。速報の数字は全銀協発表とはまったく逆で、今3月の都銀6行の月中平均貸出金残高は208兆8300億円で、前年同月比1.1%減となっているのだ。速報値は直近の数値を取るのが常識だ。
「3月末のデータを使った日銀の速報値のほうが実態を表しています。全銀協が05年末の数字を引っ張り出して04年と比較するというのはどうか。自分たちの都合のいい数字を選んでいるとしか思えません」(証券アナリスト)
 発表した時期が日銀速報と一緒だったため、全銀協は恥をかいた。銀行の統計データは疑ってかかれということだ。
(引用終了)

 僕も銀行にいた人間なので手口はよくわかります(苦笑)。統計なんてそんなもんです。数学的に間違った事を発表するのは罪ですが,勘違いしやすい事実を発表して煙に巻くというのは常套手段。騙される方が悪いという理屈です。でもこれをやっちゃってバレたとき,つまり今回この記事のように指摘されちゃった場合,意図を見透かされて大恥をかくことにもなります。あとでどんな言い訳をしてもね,見苦しいだけになってしまう。

 記事で触れられているように,12月末では前年比プラス,3月末ではマイナスだったのを,全銀協は貸し渋りとか儲けすぎ批判とかをかわすためにわざわざ12月末データでプラスを強調しました。公的資金という名の税金を投入してもらって命からがら態勢を立て直した銀行のほとんどは,税金投入の交換条件だった貸出残高増加を達成できないまま今日に至り,それでいてシレっとした顔で公的資金を国に返し(全額ではないですが),預金者から金利・手数料を搾取したりして空前の利益を上げています。利益の大半は貸倒引当金の戻入(つまり倒産確率が高いと思って積んでいた引当金が実はそんなに必要じゃなかったので戻したということ)と株価の回復であって,記事中「個人の住宅ローン需要への銀行の対応、企業向け資金需要に応えたもので景気回復の証しでもある」の影響はあんまりありません。それが証拠に3月平残ベースでは前年比マイナスになっているのだから。

 それと,記事では触れられていないけど大事な点があるので追記しておこう。
 いわゆる末残・平残の問題です。記事をよく読んでみるとわかるとおり,全銀協が比較データとして用いたのが「12月末残」で,日銀は「3月月中平残」です。時期の問題は上記で採り上げたので,ここでは末残・平残の問題にしぼります。

 まず末残。これは瞬間風速です。3月1日から30日まで貸出が0だったとしても,31日に1億円の融資を実行すれば3月の末残は1億円になります。たとえ4月1日に返済されたとしてもね。銀行では実績作りでよくやります。そういえば農協の貯金獲得も同じでしたね。僕も農協の人達と一緒に「協力貯金」の営業に回った事が何度かあります。馬鹿馬鹿しぃって思いながらね。でも,ニッキン(金融専門の日刊紙。日本金融新聞とはまた違う)で発表になる,資金量ランキングは末残ベースだから,農協が優位に立っていることをアッピールするには好都合だったんですね。

 次に平残。これは平均残高の略で,何が平均なのかというと,例えば3月1日が終了した時点の末残から31日が終了した時点の末残のデータ31個の平均(月中平残)ということ。平残の場合は期間をどのようにとるかによって週間平残,月中平残,半年平残,期中平残のようにいろいろと意味合いが変わってきますが,週間風速の末残ではとらえきれない情報が読み取れるので,普通の統計屋なら(平残がわかっているのなら)末残よりも平残で議論をするのが普通です。3月31日だけ1億円融資残高があっても,月中平残なら1億円÷31日で322万円程度にしかなりませんから,逆に末残と平残の差が大きいという事が目立ってきて,何かあるに違いない・・・という風に考える事ができるわけですから。

 ここまで書くとおわかりでしょう。全銀協は平残で調べられたら前年比マイナスが明らかになって都合が悪いから,瞬間風速の末残ベースで(しかも12月末時点で)事実をはぐらかそうとしたわけですね。やだねえ。僕だったら「景気回復の証しでもある」なんて厚顔無恥な発言はできないな。こんなバレバレな発表したら,そりゃあ大恥かくって。

(追記)
 末残には,その日の終わりの残高という1つの情報しか入っていません。なので企業分析においては,企業の貸借対照表(バランスシート)なんて瞬間風速でしかないので,あんまり信用しすぎるのは危険です。決算書を見て,いい会社だなあって思っても,そう思っている時点での実際の会社は潰れかけているということだってあります。やはり期間の数字が出てくる損益計算書やキャッシュフロー計算書の方を重要視した方がいいと思います。

 ちなみに,平残だったら何でもOKかというとそうでもありません。「平均」という数字も弱点はあります。さっきの例で言えば,31日のうち30日は0円で,1日だけ1億円だったとしても平均残高は322万円なのです。日本人の「平均」貯金額はン千万円だとかいう報道がよくありますよね。自分の周りを見渡しても実感できないような数値が「平均」であるとき,データ間で大きな格差が生まれていると考えた方がよさそうです。これは必ずしも真であるという命題ではないですけどね。
posted by 時をかける僧侶 at 21:53| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月17日

読売の社説はいつも歯切れ悪い 読者に何を思わせたいの?

 いろいろ書いてみたい内容の記事がありますが,粗製乱造にならないようにボチボチ書いていこうと思います。今日は読売が珍しくアメリカの経済にケチをつけていたので,興味深く読んでみました。

(Mar/17/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[米経常赤字]「潜在リスクを未然に回避したい」

  • 2005年の米経常赤字が前年比2割増の8049億ドル(約95兆円)に膨らみ,過去最悪を4年連続で更新した。ブッシュ政権が発足した2001年から倍増し,国内総生産(GDP)比で6・4%に達した。
  • 世界経済の回復の裏で,潜在的なリスクが高まっていることに注意を払う必要がある。
  • 米経常赤字の9割は対中国,対日本などの貿易赤字が占める。
  • 経常赤字の穴を埋めているのが,海外マネーの流入だ。過剰貯蓄や膨大な外貨準備高を抱えた日本,中国,アジア諸国のほか,オイルマネーを潤沢に持つ中東産油国などが,余剰マネーを米国債などに投資している。
  • 巨額の資金が流れ込んだ結果,長期金利は低水準で安定し,住宅や消費ブームを支えて米経済を牽引(けんいん)してきた。しかし,順調に見える現在の資金の流れが,ひとたび崩れたら,好循環は悪循環に変わる。
  • その時,起きるのは次のような悪いシナリオだろう。
  • 各国が米国への投資を見直し,資金流入が収縮する。その結果,米長期金利が急上昇して,住宅投資にブレーキがかかり,個人消費も委縮して,景気が減速する。米国の輸入減少は,輸出頼みの各国経済に打撃を与える。不均衡是正には為替調整しかないとの思惑が広がり,ドルの信認が揺らげば,大幅なドル安が進む。為替乱高下は株式市場の混乱も招く――。
  • 巨大な米経常赤字をいつまでも維持できる,と楽観するのは禁物だ。
  • 年間4230億ドル(約50兆円)に上る米国の財政赤字も,世界経済の不安定要因になっている。時間をかけても,経常赤字と財政赤字の「双子の赤字」を縮小し,安定を回復しなければならない。
  • 世界各国が「米国頼み」から脱却することが必要だ。日本や欧州は,内需主導型の経済に転換する。
  • 中国は,自主的に人民元の追加切り上げを実施し,対米貿易黒字の縮小に努める。これに米国自身の努力が加わった時,世界経済の不均衡は解消に向かう。
(引用終了)

 読売がどういう意図でこのような社説を載せたのかはわかりませんが,この社説を読ませて国民をどこに誘導しようというのでしょうか。アメリカに双子の赤字の縮小を促すのは気持ちとしては分かるし正論なのですが,具体策について書いているわけでもない。タイトルに「潜在リスクを未然に回避したい」なんて書くから何か提案があるのか,と期待しちゃうわけですが,それほど深い考察をしているわけでもない。最後を見れば結局読売が言いたいのは,中国は人民元切上げをせいということらしい。それに,アメリカの自助努力はすべきとは書くけど期待していないよ,というニュアンスですね。で,読者はこれを読んで何を考えればいいのか?

 余剰マネーをさらにドルに突っ込んで,しばらくの間は米国の赤字のファイナンスを続けた方がいいのか,それとも,中国は人民元を切上げるだろうから,今のうちに人民元を買っておけば投資家の資産価値は上がるし,世界経済の不均衡は解消に向かうので,そうした方がいいのか。よくわからんけど,まあ如何様にも解釈はできそうです。では僕ならどう考えるか。

 今月末にはアメリカはイランを攻めるだろうという情報をちらほら目にします。でも世論がそんなことまだ許さないわけで,これについては僕はあまり気にしません。一方で,アメリカじゃなくてイスラエルが口火を切るんじゃないか,という情報もあります。アメリカが攻めるのと実質的には同じ事なので,これには注意した方がいいでしょう。もちろんガセネタの可能性も高いので一方的に信じるわけにはいきません。しかも有事のドル買いとなるか原油・金などの商品買いになるかも不透明です。
 そんな状況の下ではあまり無理をしない方がいいんでしょうね。ひょっとしたらブッシュが支持率を回復させるために芝居をうつことも考えられます。要するに,戦争という非常事態を起こす準備が着々と整ってきている状況では,何も無理することはないだろうということです。アメリカの経常赤字が過去最高を更新しようが何だろうが,いたずらに不安になっても仕方がない。もうちょっといろいろ分かった段階で手を打った方がよさそうです。

 アメリカの財政破綻は,国債をたっぷり掴まされている日本の財政問題にも直結する話ですから,けっしておろそかにしてはいけない問題だという読売の認識は正しい。こうやって読者にアメリカが置かれている状況を知らせているのは評価できますが,やっぱりどうも歯切れが悪いというかいまいち物足りません。うーん。未だに読売の意図がわかりません。っていうか,今日は疲れているせいか,僕の文章もヘタすぎ。早よ寝よ。
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2006年03月09日

日銀は政府の干渉受けません でも後は野となれ山となれかな

 前エントリに述べたように,本日,日銀が量的緩和政策を解除しました。小泉およびその威を借る信者たちの妄言や脅しに挫けず,「異常な状態」から抜け出すための一歩が踏み出せたのは喜ばしいことだと思います。ま,この後のシナリオとしては,景気がよくなれば小泉のおかげ,悪くなれば日銀の責任という雰囲気がマスコミによって作られていくんだろうとは思いますがね。
 日銀総裁コメントの詳細を聞いてませんが(本日18:00から会見?)今後はゼロ金利をいつ解除するのかについて注目が移るものと思われます。私見ですが,これはさすがにまだ先だろうとは思います。

 日本の金融政策は本来異常なものが5年も続けられて異常だとは感じられなくなっていて,しかもその異常な状況が続いたおかげで株にしろ債券にしろ商品にしろ,市場にお金がジャブジャブ回っていたわけですが,これが少し正常な方に向かった現在(ゼロ金利も異常の範疇です)これらの相場がどのように動いていくのか,非常に注目しています。ま,どっちに動いて行こうと僕の生活には何ら支障はありませんが,動きの方向性によっては,いわゆる外資系たちの動きに警戒する必要が出てくるんじゃないかなあと思っています。例えば,量的緩和解除の陰でこんなニューズがありました。

(Mar/09/06 asahi.comより引用開始)
【JPモルガン,作為的相場形成の疑い 金融庁が処分へ】
 金融庁は,米国系大手金融グループのJPモルガン証券東京支店が,証券取引法で禁止される作為的な相場形成を行ったとして,9日にも行政処分を出す方針を固めた。同日午後に発表の予定。
 金融庁と証券取引等監視委員会が昨年4月から行った立ち入り検査で発覚し,監視委が処分勧告していた。金融庁は同支店の内部管理体制に問題があったとして一部業務の停止や業務改善を命じる方向だ。
 作為的相場形成は,特定の株式で実勢から外れた株価がつくように行う不正な取引で,証取法が禁じている。同支店の社員が売買注文を大量に出すなどして株価を動かしていたことが,立ち入り検査で分かったという。
 同支店は03年3月にも,株価が一定値を下回ると株式に転換される「他社株転換債」(EB債)を巡る株価操作で金融庁から一部業務停止命令を受けた。
 JPモルガンは国際的な金融コングロマリット(複合企業体)で,日本にも証券のほかJPモルガン・チェース銀行やモルガン信託銀行などがある。
(引用終了)

 あまりにも悪質だったんでしょう(笑)。あるいは立ち入り検査で発覚するようなチョンボだったわけで,見逃すに見逃せなかったと。さてこの処分で他の外人さん達が騒ぐかどうか。似たようなことはどこの会社でもやっているでしょうから,モルガンをパクったということは彼らに対する強い牽制にもなるわけで,彼らの動きにも変化があらわれるかもしれません。・・・って考えすぎかな。

 日本の上々株式はいまや24%が外人さんの持ち物ですから,彼らの動きをウォッチすることは無益ではありません。もちろん全部の外人さんが悪いなんていうつもりはありませんし,彼らに株を買ってもらうために規制緩和を進めよなんていうつもりもありません。上場企業の命運を握る確かな一団であるとしてどうしても注意しないわけにはいかないということです。

 ま,株は好きな人がやればいい。それよりも重要なのは長期金利市場,すなわち国債価格の方です。なぜなら国債利回り(指標は10年ものの流通利回り)がリスクフリーレートとなって,それに上乗せレートを加えたものが庶民の住宅ローン金利になったり,中小企業の借入れレートになるからです。こっちの破壊力は予想がつきません。国家破綻をしきりに説く人達はまさにこの問題を重要視していて,長期固定ローンで借りている人は別にしても,変動金利で住宅ローンを組んでいる「僕のような」負け組債務者にとっては地獄を見る事にもなりうるわけです。上るとしたらどこまで上るのか,という問題ですね。すでに量的緩和が解除されるだろうということで,ここ数日で長期金利はけっこう上がってきています。大臣もビビってます。
【中長期の長期金利は誰もコントロールできない=与謝野担当相】(Mar/08/06 REUTERS)

 悲観論で有名な評論家はこんなこと言ってますが,さあどうなりますことやら。
【量的緩和解除で世界経済はパニック】(Mar/03/06 ゲンダイネット)
 
 ここからは蛇足。

 郵政民営化で郵貯・簡保が国債売却を予定しているので(竹中大臣の新会社黒字案は米国債運用による利回り向上がキモになっている)いずれ長期金利はぐーんと上がるでしょう。銀行は新たな不良債権を築き,日銀は抱え込まされている資産が毀損し(でも時価評価しなくていいのが日銀ルール),住宅ローン貧民は悪性インフレと金利高にあえぐでしょう。こんなときどうする?

 海外に逃げれる人はいいんですけどねえ。武部の次男みたいに。僕ら庶民はとりあえず,こんな日が来る事を見越して「もったいない運動」をやるとか,畑を耕すとかぐらいしか,策はないですかね・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 17:58| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月07日

デフレはついに去りにけり? 揃った条件にどう出る日銀

 量的緩和政策が解除されるかどうか,いよいよ8-9日の日銀の会合が近づいてきました。為替マーケットはほぼ「解除はするがゼロ金利は当分維持」の方向で織り込み済みのようですが,さてどうなりますやら。

 あと数日ですが眺めているだけでも退屈なので,今日は3紙による社説を読み比べて,新聞社の温度差でも感じてみよう。まずは,超慎重派の東京新聞から。

(Mar/04/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【量的緩和 デフレは克服できたか】

  • 消費者物価指数は三カ月連続でプラスになったが,日本経済がデフレを完全に脱したとはいえない。量的緩和解除の判断は慎重にすべきだ。
  • 明るい数字が出たとたんに,日銀は来週の政策委員会・金融政策決定会合で量的緩和の解除を検討する方針と伝えられる。解除は,少し気が早すぎやしないか。
  • 昨年十−十二月期の国内総生産(GDP)デフレーターは前年同期比で1・6%下落し,下落幅は前期より拡大していた。消費者物価も,今後は原油高効果が消えるうえ,八月には指数の基準改定も予定され,押し下げ要因が残る。
  • そもそも,現状が好ましい展開なのに,急いで政策を変更する必要があるのか。政策転換が引き金になって,せっかく好調な経済に変調をきたせば,取り返しがつかない。
  • 多くの企業にとって,三月は決算期だ。株式市場が動揺したり,長期金利が過度に上昇すれば,企業業績や投資に悪影響が及ぶ。
  • 量的緩和の解除後に,どんな物価安定目標・基準を掲げるのか,日銀自身の考え方も固まっていない。
  • まず,日銀自身が物価安定の目標を示し,政府と十分な意思疎通を図って共有する。量的緩和の解除はその後,検討しても遅くはない。
(引用終了)

 今がデフレなのかインフレなのかを手っ取り早く知るための指標が,先週発表された消費者物価指数(CPI)です。これが近年にない強い数字だったので,即,量的緩和解除だねっていうコンセンサスが生まれたわけですが,東京新聞はこのような軽薄な(?)判断を慎めと言っています。ま,確かに社説中にあるように,先月発表されたGDPデフレータが強いマイナスだったことや,原油高効果を排除して考えてみれば,デフレ退治完了!と浮かれてはいけないことは納得できます。

 だがしかし。量的緩和などという史上類を見ない異常な金融政策が長い間続けられているにも関わらず,「現状が好ましい展開なのに,急いで政策を変更する必要があるのか」という呑気さはいただけません。そもそも二ヶ月連続でCPIがプラスになったという報道があったときも「慎重に」ということでしたが,じゃあいつになったらいいのよ?って感じてしまうのが我々庶民の感覚。明確な数値目標がないからだとか云々,さあ解除しまっせ!っていうときになって後付けでダメな理由を見つけてくるのは,どうだかなあ〜という印象です。

 慎重に!と意見を具申するのであれば,GDPデフレータの強烈なマイナスという事実のみで説得すべきでしょうね。他のは理由になりません。例えば,原油が高いのは量的緩和のせいだとも言えます(少なくとも一因でしょう)。キャリートレードで円を調達して,ドカッと商品先物市場で買い立てれば高騰相場は演出できますし,実際にそれによって膨れ上がったアラブのオイルマネーがまた形を変えて世界中の株高を演出してきたわけですから。量的緩和を解除すりゃあ逆に原油相場は急落して,さらにデフレ圧力は払拭されるかもしれませんよ(イラン情勢があるのでわかりませんけど)。

 さらには,決算期なので市場を刺激すべきでない,っていう理由なんて問題外。いつ解除しようと,市場では何らかの動揺は起きるでしょうよ。それよりも,解除すべきときにしないという異常な状況を強いて決算時期の帳簿をピカピカにしましょうってのは国家ぐるみの粉飾決算でしょうが。不必要で異常な政策のおかげでキレイになった帳簿を見て正しい投資ができますか?B/SにせよCF計算書にせよ,3月末のアカウント残高が乗ってくるわけですが,じゃあ決算が発表される6月の株主総会(決算短信は5月)の前に量的緩和が解除されたら,この「作られた帳簿残高」はどこまで信じていいのかわからんことないか?投資家保護の観点から言えば,決算期だからこそ量的緩和を解除して,市場の洗礼を受けてから帳簿をまとめるべきじゃないかい?
 
 僕の本音,というかポジショントークで言えば,いつまでも量的緩和は続けて欲しい。だってFXで円売り高金利通貨ロングポジションの割合が大きいから(レバレッジは低めですが)。でもまあ,いつまでもこんな異常な政策が続けられてたら,どこがふさわしい金利水準なのかわからなくなるので,条件が整ったのなら即刻解除すべきだと思います。ひょっとしたら,景気は回復しているということを国民にアピールしたくて作った数字のカラクリ(数字は偽装しなくても焦点の当て方を変えるだけで悪い数字が良く見えたりします)がバレるのがいやだから,政府は渋ってるのかもしれませんけどね。

 さて,ここまでかなり自説を書いてきましたが,時間がなくなってきたので,残り2紙は急いでいきます。

(Mar/04/06 日本経済新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【量的緩和解除後の方向性わかりやすく】

  • 1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は,前年同月に比べ0.5%の上昇となった。日本銀行が量的金融緩和策の解除の目安としている「消費者物価上昇率が安定的に前年同月比ゼロ%以上になる」という条件は,ほぼ満たされたとみてよい。
  • 解除に当たり日銀は,長期金利の上昇を抑えるため長期国債の購入額を現在の月1兆2000億円に据え置く。それに加えて,今後の金融政策の方向性を分かりやすく示す,何らかの目安を公表する必要がある。
  • 量的緩和策を解除し,準備預金として必要な約6兆円まで減らすわけだが,どのようなテンポでそれを進めるのかをまず示してほしい。
  • このまた6兆円になるまではゼロ金利が続くことを明確にした上で,6兆円になった後,物価・景気との関連で金融政策をどう運営するかを,ある程度,透明にすべきだ。債券市場や金融市場での思惑的な取引を防ぐのに必要である。
  • 日銀内ではこれまでの米連邦準備理事会(FRB)のように,数値目標を掲げず何らかの表現で政策の方向性を示すのにとどめるべしという考え方が強い。数値目標に政策の手足を縛られたくないからで,その懸念は理解できる。
  • 政府・自民党内の「インフレ目標」論は金融政策を活用してある程度の物価上昇を促し,税収を増やして財政赤字の解消に役立てるという考え方に基づいている。しかし物価上昇に伴い歳出も増えるので問題は解決しない。
  • 地道な歳出削減や構造改革による潜在成長率の底上げが重要だ。金融政策については政府の関与を排し,日銀が責任を持って目安を示し実行してほしい。
(引用終了)

 僕とほぼ同意見の社説。僕に足りないのは対案というか提言にあたるものですが,さすが経済専門紙だけあって,ここの提言は具体的です。日経は「条件がそろったから解除すべし」ということのようで,非常に明快でよろしい。また,政府による関与を排せよという提言も支持できますし,決算が近いからやめとけなんていう野暮なことも言わない。インタゲ論による財政問題解決は幻想だという主張も僕と同じ。

 読売はどうでしょうか。 

(Mar/04/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[量的緩和]「混乱なき解除へ詰めを誤るな」

  • デフレからの脱出を示すシグナルが点灯してきたようだ。
  • 1月の指数を押し上げた直接の要因は原油高騰の影響が最終消費財に波及し,ガソリンや電気,ガス料金が値上がりしたことだ。底流には,景気が本格的な回復軌道に乗り,物価を押し下げてきた需要不足の状態が解消してきたことがある。
  • 日本銀行は,2001年3月以来続けてきた量的緩和政策の解除へ向け,本格的な準備に入った。これまで解除に慎重だった政府や与党の間でも,与謝野経済財政相などが「日銀の判断に任せたい」と容認の構えを見せ始めた。
  • だが,デフレから脱出しても,逆戻りしないと確信できるのかどうか。そこは慎重に見極めるべきだ。
  • 解除する場合には,市場が混乱しないようにすることが肝要だ。市場は5年も続けてきた量的緩和政策に慣れきってしまった。最近の株価下落は,政策転換への投資家の不安感を示している。日銀は金利急騰や株価急落などを引き起こさないように,軟着陸させねばならない。
  • 量的緩和政策の最大の効果は,短期と長期を問わず幅広く金利の低下をもたらし,企業や金融機関の活動を下支えしてきたことだった。
  • 解除は,金利上昇を抑制してきた「重し」も撤廃することになる。これまでの枠組みに代わって,市場の安定化を図る工夫は欠かせない。
  • とりわけ重要なのは,解除後も日銀が事実上のゼロ金利政策を当分続けるという,明確で強固なメッセージを発信することである。
(引用終了)
 
 2点目は文章のつながりがよくわかりません。原油高騰の影響でCPIが強かったと言っておきながら,底流には需要不足が解消してきたからだと言う。ま,そんな瑣末なことは置いておいて,読売はやたらと市場の影響を気にしている事がわかります。東京新聞のところでも触れましたが,多かれ少なかれ市場は騒がしくなるでしょう。だいたい,資金をジャブジャブにしていても貸出増加に寄与したのはわずかであって,かえって国債と株に資金が流れていたわけですから,それが巻き戻されるのに影響がないという方がおかしい。市場は金利よりも資金ボリュームで決まるんだ(だから株や債券は暴落するぞ)というような情報もありますし,すでに市場に織り込まれている情報量がどの程度のものなのかもわかりませんから,実際に市場がどのような反応を見せるのか,見物といえば見物ですね。僕の円売りポジションもちょっぴりリスク減らしておこうかな・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 19:45| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月25日

ライブドア事件の本質わかるかな 一般国民損していないよ

 世間はホリエモン一色でなんとも騒がしい。川に落ちた犬を徹底的にいじめたおすマスコミの本領発揮というところですね。彼らは何も「本質」がわかっちゃいない。いや,わかっているけど上司の命令で仕方なく「本質」を隠すような報道やスキャンダル暴きに精を出しているんでしょう。何が重要で何が不要かがわからない一般のB層ピープルの目を逸らすには好都合な事件が発生しました(させた?)からね。

 優秀なサイトやブログでは「本質」が語られています。でも自分たちが買収されそうになった産経新聞はじめ大手の新聞は,いつぞやのホリエモンの「新聞は必要ない」発言にキレていたのかどうか一斉にパージを始めました。ホリエモン一味を悪者にしたてあげて本当のワルを逃がす,そういう役割をまたしてもマスコミは演じているわけです。そういう全体像を落ち着いて冷静に眺めていると,戦前の一斉プロパガンダに似た気色の悪い空気がなんとも不快になってきます。

 ま,今日は本当のワルという話は置いておこう。おなじみの名前が出るだろうし,それではつまらないから「本質」の話をしよう。
 この問題の「本質」とは何か。結論から書けば,ホリエモン事件で損したのは「投機家」だけという事実です(※)。損失とは全く無縁の我々一般市民が大騒ぎしないといけないことではなくって,ライブドア関連の株を買っていた「投機家」だけが自らの思惑が外れたことで株式投資において損失を出した,それだけのことです。まして赤字を黒字に粉飾して税金を払っていたわけですから(赤字なら払わなくていい),粉飾を正せば税金はライブドアに帰ってきます。国や国民にとってみれば,かえって自分たちの懐が痛むことになるわけです。ま,だからといって不正を見逃せと言う論理ではありませんよ,当然ながら。
※この問題に端を発したマネックスショックで「投資家」たちが被害を受けたという事実は忘れないでください。そこを混同して「ライブドアが悪い」と考えてはいけません。

 いやいや,ライブドアは偽計やら風説の流布やらの証取法違反で投資家を騙したじゃないか。そういう指摘はごもっともです。でも「投資家」を騙したのは犯罪であっても「投機家」を騙したのは犯罪ではありません(証取法上は)。証取法は「投資家」保護を目的としていますが,「投機家」を保護するものではありませんから。

 大事な虎の子を運用するにあたりわからない会社を信用するわけにはいかない,そう考えるのが「投資家」です。一方,金儲けできれば会社の中身なんて知らなくてもいいという人間,もっと具体的に言えばチャートを見るだけとか,怪しげな売買システムが買いサインが出たとか,巷の「5分でわかるネット株」とかの本を真に受けるとか,ホリエモンが有名人だからとか,およそ「投資」するには似つかわしくない理由で株を買うのが「投機家」です。「投資家」の行動はその後の投資教育に活かされますが,「投機家」の行動は何の教育にもなりません。だからこそ,決算書(単体の貸借対照表,損益計算書,キャッシュフロー計算書のほか,連結のそれらなど)をじっくり読み込んで,将来に期待して「投資」する人間は保護されてしかるべきだという発想で証取法はあるわけです。
※余談ですが,株式市場なんて中古品の売買市場なんです。こういうことすら知らない「投機家」が多いのにはうんざりします。株を買った代金がその会社に振り込まれるもんだと勘違いする人間がいかに多いことか。

 ライブドアの拝金主義に共鳴した「投機家」が,売れない株を握ったまま恨み節を吐いたところで,全く同情の余地はありません。残念でしたというだけ。それよりも深刻なのはマネックスショックの方ですが,不思議とマスコミはちょこっとしかとりあげません。ライブドアが崩壊しようが何しようがマザーズ市場が大荒れになるだけなのに,東証一部などの日本を代表する会社の株まで全面的に売られたのはマネックス証券によるライブドア関連株の担保掛け目ゼロ化が原因の一つでした。信用買い(借金して株を買うこと)の担保として差し入れていたライブドア株の担保価値が急にゼロになったので担保割れが生じて,追い証を入れるか信用買いを閉じるかを迫られた人が後者を選んだわけですね。「株式日記と経済展望」のTORAさんは,マネックス社長の松本大がユダヤの手先だからという話を紹介していましたが,ま,そこまで話を飛躍させなくとも,急落した東証一部の株を買っているのは外人のようですから何かウラがありそうではあります。同情の余地のない「投機家」が損した話なんて簡単に切上げて,こっちの方を話題にした方が面白いはずなんですけどねえ。

 ま,今回の騒動でもわかったことは,僕は株はやっぱりできないなあということ。ライブドアのような粉飾は多かれ少なかれどんな会社もやっていますから(銀行員としての経験談),今回と同じような展開は今後も起き得るでしょう。そういう前提で株式投資をする方を止めることはしませんが,少なくとも僕にはそんなリスクをとる勇気はありません。外貨投資だけで精いっぱいです。
※余談ですが,僕には,あれだけ頻繁にM&Aを繰り返すライブドアという会社が実際に伸びているのか縮んでいるのかわかりませんでした。実はこれは投資家というよりも債権者という観点でしか見れない僕の欠点でもあります。株式投資は難しいですねえ。
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2006年01月24日

ライブドア事件の本質わかるかな 一般国民損していないよ

 世間はホリエモン一色でなんとも騒がしい。川に落ちた犬を徹底的にいじめたおすマスコミの本領発揮というところですね。彼らは何も「本質」がわかっちゃいない。いや,わかっているけど上司の命令で仕方なく「本質」を隠すような報道やスキャンダル暴きに精を出しているんでしょう。何が重要で何が不要かがわからない一般のB層ピープルの目を逸らすには好都合な事件が発生しました(させた?)からね。

 優秀なサイトやブログでは「本質」が語られています。でも自分たちが買収されそうになった産経新聞はじめ大手の新聞は,いつぞやのホリエモンの「新聞は必要ない」発言にキレていたのかどうか一斉にパージを始めました。ホリエモン一味を悪者にしたてあげて本当のワルを逃がす,そういう役割をまたしてもマスコミは演じているわけです。そういう全体像を落ち着いて冷静に眺めていると,戦前の一斉プロパガンダに似た気色の悪い空気がなんとも不快になってきます。

 ま,今日は本当のワルという話は置いておこう。おなじみの名前が出るだろうし,それではつまらないから「本質」の話をしよう。
 この問題の「本質」とは何か。結論から書けば,ホリエモン事件で損したのは「投機家」だけという事実です(※)。損失とは全く無縁の我々一般市民が大騒ぎしないといけないことではなくって,ライブドア関連の株を買っていた「投機家」だけが自らの思惑が外れたことで株式投資において損失を出した,それだけのことです。まして赤字を黒字に粉飾して税金を払っていたわけですから(赤字なら払わなくていい),粉飾を正せば税金はライブドアに帰ってきます。国や国民にとってみれば,かえって自分たちの懐が痛むことになるわけです。ま,だからといって不正を見逃せと言う論理ではありませんよ,当然ながら。
※この問題に端を発したマネックスショックで「投資家」たちが被害を受けたという事実は忘れないでください。そこを混同して「ライブドアが悪い」と考えてはいけません。

 いやいや,ライブドアは偽計やら風説の流布やらの証取法違反で投資家を騙したじゃないか。そういう指摘はごもっともです。でも「投資家」を騙したのは犯罪であっても「投機家」を騙したのは犯罪ではありません(証取法上は)。証取法は「投資家」保護を目的としていますが,「投機家」を保護するものではありませんから。

 大事な虎の子を運用するにあたりわからない会社を信用するわけにはいかない,そう考えるのが「投資家」です。一方,金儲けできれば会社の中身なんて知らなくてもいいという人間,もっと具体的に言えばチャートを見るだけとか,怪しげな売買システムが買いサインが出たとか,巷の「5分でわかるネット株」とかの本を真に受けるとか,ホリエモンが有名人だからとか,およそ「投資」するには似つかわしくない理由で株を買うのが「投機家」です。「投資家」の行動はその後の投資教育に活かされますが,「投機家」の行動は何の教育にもなりません。だからこそ,決算書(単体の貸借対照表,損益計算書,キャッシュフロー計算書のほか,連結のそれらなど)をじっくり読み込んで,将来に期待して「投資」する人間は保護されてしかるべきだという発想で証取法はあるわけです。
※余談ですが,株式市場なんて中古品の売買市場なんです。こういうことすら知らない「投機家」が多いのにはうんざりします。株を買った代金がその会社に振り込まれるもんだと勘違いする人間がいかに多いことか。

 ライブドアの拝金主義に共鳴した「投機家」が,売れない株を握ったまま恨み節を吐いたところで,全く同情の余地はありません。残念でしたというだけ。それよりも深刻なのはマネックスショックの方ですが,不思議とマスコミはちょこっとしかとりあげません。ライブドアが崩壊しようが何しようがマザーズ市場が大荒れになるだけなのに,東証一部などの日本を代表する会社の株まで全面的に売られたのはマネックス証券によるライブドア関連株の担保掛け目ゼロ化が原因の一つでした。信用買い(借金して株を買うこと)の担保として差し入れていたライブドア株の担保価値が急にゼロになったので担保割れが生じて,追い証を入れるか信用買いを閉じるかを迫られた人が後者を選んだわけですね。「株式日記と経済展望」のTORAさんは,マネックス社長の松本大がユダヤの手先だからという話を紹介していましたが,ま,そこまで話を飛躍させなくとも,急落した東証一部の株を買っているのは外人のようですから何かウラがありそうではあります。同情の余地のない「投機家」が損した話なんて簡単に切上げて,こっちの方を話題にした方が面白いはずなんですけどねえ。

 ま,今回の騒動でもわかったことは,僕は株はやっぱりできないなあということ。ライブドアのような粉飾は多かれ少なかれどんな会社もやっていますから(銀行員としての経験談),今回と同じような展開は今後も起き得るでしょう。そういう前提で株式投資をする方を止めることはしませんが,少なくとも僕にはそんなリスクをとる勇気はありません。外貨投資だけで精いっぱいです。
※余談ですが,僕には,あれだけ頻繁にM&Aを繰り返すライブドアという会社が実際に伸びているのか縮んでいるのかわかりませんでした。実はこれは投資家というよりも債権者という観点でしか見れない僕の欠点でもあります。株式投資は難しいですねえ。
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2006年01月18日

ホリエモン捕まる前に言っちゃえよ あんなこととかこんなこととか

 阪神大震災から11年目にして経済界に激震が走っています。
 言うまでもなくライブドアとヒューザーですが,この2社が破綻するのは市場の健全化のためには必要だとしても,他社(者)への影響にはさらに注視していく必要があります。特にライブドアから重要書類が検察に渡るようになれば,ヒルズ族も片っ端から芋づる式にお縄ってこともありうる話ですし,昨日しれっと経団連に加盟した孫さまにだって司直の手が伸びるかもしれません。

(Jan/17/06 asahi.comより引用開始)
【ソフトバンク・首都高速道路など6社が経団連加盟】
 日本経団連は17日の理事会で、ソフトバンクの加盟を承認した。このほかに、不動産賃貸仲介業のエイブルや首都高速道路、徳島銀行など5社の加盟も承認した。
 情報技術(IT)関連企業としては、楽天が04年に加盟。16日に証券取引法違反容疑で強制捜査を受けたライブドアも昨年12月に加盟している。
(引用終了)

 ま,ジャパンハンドラーズの孫さまが餌食になることは今のところ考えられないでしょうけど,ホリエモンが居直っていろいろ自分たちIT長者の悪事を暴きたてるのなら,それはそれで面白いのでちょっぴり期待しています。どっちみちホリエモン逮捕はかなりの確率であるでしょうから,最後に大暴れしてもらいたいもんです。

 ヒューザーがらみでは,今日の大手新聞が一斉に社説で採り上げたとおり,あのまま終わるはずがありません。政界の疑惑キャラは伊藤公介だけじゃなくて安倍官房長官まで広がってきたのも気になります。ホリエモンと同じで「出る杭は打たれる」ので,政敵が馬淵議員にリークして小嶋社長が認めたという構図はありうる話ですから(推測にすぎませんが)疑惑を追及していけばすごい疑獄に発展するってことも考えられます。ただし,マスコミが正常に機能していたらという前提条件が必要にはなりますが。

 前回のエントリで,ヒューザー小嶋社長への証人喚問に合わせた爆弾としてのライブドア強制捜査は明らかだと書きましたが,今のところ自民党にとっては諸刃の剣として,やってもーたモードに突入しています。これをどうくぐり抜けるか。これをうまく捌くことが出来れば安倍長官の評価は揺るぎないものになって,ポスト小泉は当確になるでしょう。さて,坊ちゃん育ちの彼がどれほどの手腕を見せられるか,見物ですね。

※冷静にライブドア事件の本質を見極めたい方は下リンクにあるサイトが勉強になります。このブログのサイドバーでも紹介している「小泉の波立ち」というサイトです。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/main.htm
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2006年01月12日

個人向け国債買って喜んで 新聞読まぬ浅はかさかな

 やはり国債関連のニューズが出たら触れないわけにはいけません。

(Jan/11/06 FujiSankei Business iより引用者による要点箇条書きにて引用開始 ※原文はリンクへ)
【国債個人販売が過去二番目の高水準 】

  • 財務省は,十六日に発行する「冬の個人向け国債」の販売額が十年満期の変動金利型と五年満期の固定金利型あわせて一兆九千二百八十六億円に達したことを明らかにした。個人向け国債の販売額としては過去二番目の高水準。
  • 十年満期が八千一億円。今回新たに設定された五年満期が一兆千二百八十五億円と一兆円を突破。
  • 販売した証券会社は「満期が五年と短期でありながら銀行などの定期預金と比べ,利率がかなり高いため人気化した」(大手証券)とみている。
  • 長期国債の多くが発行時の金利を満期まで据え置くのに対し,個人向け国債は市場で取引される長期金利の動向に合わせて半年ごとに見直される変動金利型。
  • しかし,国債の受け皿の多様化を図るため,今回から五年満期で金利が変動しないタイプを加えた。好調な販売となったことについて,財務省は「五年固定型を新たに設定したことで,選択肢が広がったのでは」(国債業務課)と分析している。
  • ただ,国債発行残高に対する個人投資家の保有比率は〇五年六月末時点で3・6%にとどまっている。
(引用終了)

 最初にまずお断りしておきますが,この記事を読んで,僕も(私も)国債を買おうって思った方はこれ以上読む必要はありません。投資教育を受けることなく大人になってしまっている人間が多いという事実を冷静に受け止めれる方だけ読んでいただければ結構です。

 債券はどういうときに投資すべき商品なのか,お分かりでしょうか。デフレが進む,言い換えれば景気が悪くなると予想するときに買うのが債券です。金利が下がることを見越して買うわけです。
※ここで言う金利というのは固定金利であるクーポンのことです。デフレが進む=現金の価値が上るわけですから,固定金利の収入がどんどん得られるのです。バブル崩壊直後ぐらいに9%程度のクーポンが付いただけでなく半年複利でさらにお得だった金融利付債「ワイド」の恩恵を受けることができた方は間違いなく勝ち組でした。

 景気が悪くなるんじゃないかというときに株を積極的に買う人はいませんよね(個別判断で投資するのは別ですが)。株を売ったお金はどこで運用しますか?現金のまま置いておきますか?個人投資家ならそういう選択もありですが,銀行や生保,ヘッジファンドなど機関投資家と言われるプロ達は運用収益を上げないと逆ザヤになりますし,放漫運用を続けていたら顧客は逃げますし,ファンドマネージャーは給料が下がります。だから運用効率の観点から,現金のまま置いておくなんていう選択肢はとれませんので,何がしかの運用商品を新たに買うことになります。海外に目を向けるプロもいるでしょうし,商品先物とか他の投資をはじめるプロもいるでしょう。
 企業に貸出しますか?まあすぐに貸すことはできないという時間的制約もあれば,企業も景気が悪くなるのに借金しようとは思いませんから貸出で運用するのも限度があります。
 そんな中で一番手軽に買えるのが国債なのです。
※一時的な短期運用なら短期金利マーケットはありますが,ただいまゼロ金利です。

 国債(債券の代表的な商品)は景気悪化が見込まれるときに価値が上がって買われることになります。しかも機関投資家による大口の買いが入るので値段もそれなりに動きます。日本は不景気(デフレ)が10年以上も続きましたから,国債はどんどん買われて長期金利が一時期0.43%に落ちるところまで国債価格は暴騰しました。
※10年国債をその時点で買って10年間持ち続けたとして毎年の利回りが0.43%ということです。ここで買った人(個人ではないでしょうけど)はさらに金利が下がると思って買っているわけです・・・。

 さて今,新聞をご覧になればおわかりのとおり,デフレ脱却かと言われているところなわけです。景気が回復し始めている(という宣伝がされている)のです。日銀が量的緩和政策の解除を示唆していますし,景気回復が本当であればゼロ金利も解除されるでしょう。景気回復なら資産インフレを期待して株などが買われますが,さあ買おうと思ったら今まで運用していた国債を売ってお金を作るしかありません(すぐに預金を集めるのは無理ですから)。国債が売られて金利は上がります。

 こんな状況で"固定金利"の5年国債が1兆1200億円も売れているわけです。
※変動金利の個人向け国債については今日はとりあげませんが,これは自動継続契約付きの期間半年の国債(半年間は固定金利)です。僕なら信用リスクは多少高くて手数料とられてもMMFを買いますね。金利は上がり出したら簡単には収まらないだろうから,半年間も金利が固定されたんじゃあねえ。

 財務省のサイトから商品の条件を読めば(→サイト)クーポンは0.80%固定のようです。実際は20%の源泉徴税がありますから0.64%なのですが,もちろんそんなことは財務省は書いてくれていません(笑)。それはともかく,大手銀行の5年もの定期のレートが0.10%ですから,これと比べたら8倍もお得,しかも銀行はペイオフ制度で定期預金は保護してくれませんから,そりゃあ国が元本保証してくれる国債買うでしょ!ってことになるわけですね。

 その選択は正しい。た・だ・し,金利上昇(景気回復)が見込まれるときでなければ。

 上から読んでこられた方はもうおわかりでしょう。金利がどんどん上がっていく中で固定金利しか受け取れない悲哀を。いくら元本保証だからって言っても,隣の家の奥さんが半年遅れて国債を買ったために自分よりも3%も高い金利収入をもらっていたら悔しいでしょう(笑)。5年間も低金利(ゼロ金利の今と比べたら高金利ですけど)に甘んじないといけない機会損失を負うリスクをきっちり理解したうえで投資するのなら僕も文句は言いませんけど,投資教育を受けたことのない大半の投資オンチの日本人がどこまで理解できているのでしょうか。

 ちょっとだけ補記。
 この個人向け5年固定金利国債については2年以上経過したら売却できるという特約がついています。し・か・し,100万円で買った国債が100万円で売れると思ったら大間違いです。そう思っていたのなら投資家失格です。国債は買わない方がよろしい。
posted by 時をかける僧侶 at 20:14| 兵庫 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月08日

ガキンチョに投資の何がわかるんじゃ ゲーム感覚潜む危うさ

 こんな記事を見つけました。

(Jan/07/06 Sankei Webより引用開始)
【小中学生が株売買の実戦 マネックスが10万円提供】
 「株のことをもっと勉強したい。ライブドア株をもっと買いたい」。東京都在住の小学5年生(10)は,パソコンの画面を見つめて目を輝かせた。
 インターネット専業証券のマネックス証券グループは,10万円を元手に小中学生にネットを通じた株式売買を体験してもらう「株のがっこう」をこのほど開校した。
 元手の10万円をマネックス側が提供し,現金を参加者の口座に振り込んで株取引に臨んでもらうのが目玉で,生徒募集には約600人が応じた。
 1月下旬に始める株取引に備えて東京証券取引所で開いた授業には,課題の作文で選ばれた小5から中3の子どもと保護者ら28組が参加。授業は「お金の上手な増やし方」や株の売買の仕方といった基礎編から,日本マクドナルドホールディングスやモスフードサービスの収益や株価の推移を例に投資のポイントを学習する実践編まで,本格的な内容。
 先生役を務めた内藤忍(ないとう・しのぶ)マネックス・ユニバーシティ社長は「(金銭を大事にし過ぎる)拝金主義に陥らず,お金の使い道に明確な目的を持って投資してほしい」と話した。
 4月下旬の卒業まで,毎月1回のリポート提出の宿題もある。10万円から利益が生まれて参加者の懐に入るのか,損失が出るのか。運用成績が卒業証書代わりだ。
(引用終了)

 実にふざけた記事です。高校を卒業して「自己責任」という言葉の意味をよくよく理解した人間が良質な投資教育を受けるという提案なら大賛成ですが,小中学生に投資の何がわかりますか?働かずしてクリック一つで儲ける(あるいは損する)という生き方を,人生経験の少ないお坊ちゃん達に見せつけて一体どんな教育にするつもりなんだろうか。先生役の内藤忍氏の本は先日買ったばかりですが,こんなにモラルの低い人間だったとはガッカリです。小中学生がお金の使い道に明確な目的をもっているわけないでしょうが。何をマジにコメントしてるんだか。

 先日もこのブログで27歳の無職の男がみずほ証券の発注チョンボに乗じて大もうけしたという話を批判しました。確かに世界的な資産インフレが進んでいて,遅れて上昇しだした日本株に投資資金が集まって株式市場が盛況なのは理解できます。でも,本当にみんな株のことを理解して投資しているのか?甚だ疑問です。こういう警鐘を鳴らすメディアも出てきています。

(Jan/02/06 Nevada経済速報より引用開始)
(略)株式市場では,バブルそのものの動きが活発化し,いまや小学生・家庭の主婦までもがリスクを忘れて株取引に熱中するという有様であり,これはバブル期そのものの動きとなっています。
これだけ株取引が活況なら,さぞ会社四季報は売れて書店からなくなっているだろうと書店に行きますと,そこには山積みにされた四季報がおいてあります。
横で見ていますと,立ち読みさえしないのです。
バブル期の株ブームとはまた違った一面がそこに見て取れます。
バブル期には,多くの国民が株に熱中しましたが,多くの投資家は会社四季報を買い,勉強していました。
それでも,膨大な損を出したのです。
今のネット取引をしている個人は,そのような会社四季報など必要ないのです。
ネットでの書き込み,そして動く銘柄に飛び乗り,飛び降りるだけなのです。
村上ファンドが買ったからと言って飛び乗り,そして,超高速回転売買を行っている為に,会社の内容を知る必要がないのです。
株式投資という次元ではなく,数字の売買にしか過ぎません。
それでも,『儲ければ何でも良い,儲けて何が悪い』ということかも知れませんが,確かにお金に色はついていません。
しかしながら,果たしてそれで良いのでしょうか?
この審判がこの2006年,しかもごく初期の段階でつくと思います。(略)
(引用終了)

 健全な投資教育を受けておらず巷にあふれる『サルでもわかる〜』『絶対儲かる〜』風の投資本を読んで経済が分かった気になっている,財務諸表すら読めない投機家が多数いることでしょう。彼らは投資家ではありません。中身を知らずに他人の勧めにホイホイ乗って儲けようと考えている単なる投機家です。馬を見ずに予想屋の予想だけを信用して馬券を買うような行為となんら変わりないということに早く気付かないといけません。
 バランスシートじゃなくて株価チャートを見て自分のお金を賭けるなんて僕にはできません。儲かりゃいいっていう理屈は底が浅すぎますし,ましてや投資経験が人生の構築に全く活かせません。儲けようと思って経済に興味をもって日々勉強するから投資経験が活きるのであって,チャートを見てテクニカル分析だけして経済の何が分かるんですかね。

 今年の株価はどうなるかわかりませんが,損しても謙虚に学べる人だけが来年も株式投資を続けていることでしょう。とは言っても,ひょっとしたら外人さん達が日本株を大量に買い占める年になるかもしれません。そしたらこんなことになるかも・・・

(Dec/29/05 Sankei Webより引用開始)
【政治献金 外資規制撤廃を,経団連次期会長が意向】
 来年五月に日本経団連会長への就任が内定しているキヤノンの御手洗冨士夫社長(経団連副会長)は二十八日,産経新聞のインタビューに応じ,外国人持ち株比率が50%超の国内企業による政治献金が事実上規制されている問題について,「ないほうがいい」と指摘し,規制のあり方を見直すべきだとの考えを示した。経団連は政治献金を社会貢献と位置づけて会員企業に積極的な献金を呼びかけているが,会員企業の外国人持ち株比率が高まる中で規制を疑問視する声が高まっている。
 御手洗社長は「グローバリゼーションが進む中で,主要株主が外国人であるからといってその企業が社会貢献に参加できないというのはおかしい。米国にはそうした規制はない」と指摘し,現行の規制を批判した。
 政治資金規正法二二条第五項では「外国人,外国法人または主たる構成員が外国人もしくは外国法人である団体,その他の組織から,政治活動に関する寄付を受けてはならない」としている。同法には外資持ち株比率に関する記載はないが,「発行済み株式の過半数を外国人または外国法人が保有する株式会社からは献金を受けてはいけない」との解釈が浸透しており,事実上,企業による献金の可否判断の基準となっていた。
 もともとこの規制は,日本の政治家が外国勢力からの影響を受けるのを排除するために設けられた。しかし,産業界では「いまや企業トップが積極的に海外の投資家に自社株を売り込む時代。外資の持ち株比率の意味はかつてとはまったく異なる」(大手商社首脳)との声が高まっている。
 とくに最近では,国際優良企業ほど外資比率が高くなる傾向があり,この規制が優良企業の社会貢献活動を制限することにもつながる。このため,御手洗社長は「近く規制は変わるのではないか」とも述べ,見直しが進むとの見通しを示した。
(引用終了)

 金さえあれば政治すら動かせる。あっそうか。マネックス証券は小中学生にこういう事実を教えたかったんだね。
posted by 時をかける僧侶 at 23:42| 兵庫 🌁| Comment(1) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月04日

税金もクレジット決済できるかも なかなか妙案支持いたします

 あけましておめでとうございます。今日からブログ再開します。とはいってもまだ正月気分抜けきれないのでちょっとだけ。
 
 今日の読売新聞のトップに興味深い記事が出ていたので紹介します。

(Jan/04/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【大阪府「カードで税金納付」導入へ,全国初】
 ◆07年度にも自動車税から
 大阪府は,クレジットカードによる税金の納付を2007年度にも導入する方針を固めた。金融機関などの窓口に並ばなくても,自宅のパソコンから納税できるようになる。06年度中には,府立高校受験料などの公金のカード納付も認める方針だ。府は公的手続きの電子化を進めることで,利便性の向上を図るとともに,事務経費などの削減を目指す。
 カード納税の導入は,国税も含め,全国初のケースとなる。(略)
 パソコン経由の納税は,04年からインターネットバンキングを利用して一部可能になっているが,インターネットバンキングの口座数はクレジットカードの発行枚数(2億6000万枚)の1割で利用率も低い。(略)
(引用終了)

 最初に断っておくと,僕はクレジットカードってのは必要悪だと思っています。これがなくなればGDPは明らかに減少するでしょうし(個人の借金大国アメリカでは特に顕著でしょう),使い方さえ間違わなければ自分を律することができる人間は今のような低金利の間は積極的に使うことでかなり得することがありますから(具体的には後記)。ただし,買い物依存症だとか,欲しいモノを買わなければ気が収まらず毎月莫大な金額の請求がきて支払いに汲々してしまうような人間にとっては悪であり害でしかありません。そういう意味で必要悪です。

 そのクレジット機能で税金が納められるというのはありそうでなかった話。記事によればインターネットバンキングで一部可能だったようですが,僕は知りませんでした。省略した記事の中に,カード会社への手数料支払いとコスト削減額を天秤にかけて総合的に得だと判断したから踏み切ったという部分がありましたので,やはりネックは手数料なのでしょう。

 国なり地方公共団体がそのカードの加盟店になったときにどれぐらいの手数料を支払うのか,具体的にはもちろんわかりません。僕も銀行員時代は子会社のカード会社の加盟店確保なんていう目標をかかげて営業したこともあるのですが,デフレの真っ最中に余計な手数料を払うことになるような選択を取引先企業がするはずはなく,未達に終わったことを思い出します。確かに売上のゼロ点数%という手数料じゃあ「なめとんのか」という反応も仕方ないところです。それなのに大阪府は人件費削減などのコストカットとを天秤にかけて,採用に踏み切ったということです。

 僕はこの大阪府の英断を支持します。うまくいけば皆が得をするシステムになり得るからです。こういう発想をできる,文字通りの「公務員」がいるということは意外でしたが。
 具体的に言うと,

  • (自分を律することのできる)納税者は簡単にカードで納税できる。支払いは来月に回せるので資金繰りに余裕ができる。
  • 公共団体は徴税事務を大幅に軽減できる。未納の場合の徴税はカード会社が引き受けてくれる。
  • カード会社は公共団体からの確実な手数料収入が期待できる。
  • カード会社は事務負担が増えるが,団塊の世代の退職者や銀行の窓際族の良い再就職先となって雇用確保にもなる。
  • 銀行はカード会社への与信が増加するが,景気回復(とメディアが言っている)に合わせて融資額が伸びるので願ってもないチャンス。

 もちろん善良で自分を律することができる利用者が多数いてもらわないと成り立たないわけですが,これはやり方次第でしょう。利用者にとっても最初の登録が面倒なだけで,信用に問題があってカードを使えない人はともかく,カードをもっていない一般人なんて少ないと思いますから,うまく誘導してあげれば十分可能だと思われます。

 税金の取り立て代行を民間にやらせるということも画期的です。小泉さんに言えば褒めてくれるでしょう。大阪府に限らず,これが全国的に実現すれば日本のクレジット決済の比率も伸びてくるでしょう。ちなみに今日の日経には,「アイスランドでは,若い人でもクレジットカードやデビット(支払い)カードを持てるようにし,電子決済への移行に力を入れている。日本でのカード使用率は消費支出の約8%だが,アイスランドでは70%を超え,決済面での効率向上を追い求めている。」という社説が載っています。日経としてもクレジット決済をどんどん増やしたいみたいで,大阪府は日経にも褒められると思います。・・・ってそんな単純な問題じゃないか。

 とにかくクレジットで納税できるようになるっていうのは僕は期待しているということで話をまとめます(兵庫県でもやってくれないかな?)。

 最後に,低金利時代のクレジット決済が得だというのは,単にポイント還元率がけっこう高いからという意味です。もちろん金利ゼロで借金できて好きなものが今買えるというお得度では高金利時代の方が恩恵は大きいのですが,ここではそういう話ではなくて,ポイントも無視すべきではないですよという話。
 例えば僕はネットで本を注文するときは迷わずクレジットを使いますし,携帯電話の支払いなどもクレジットで済ましています。毎月カードを使ってたらボーナスポイントももらえたりして,なんだかんだと使って一年で結構なポイントが貯まります。これをモノに換えてもいいのですが,商品券などに換えれば金券ショップで換金できてお得なわけですね。これを金利と見なせばすごいもんですよ。支払いを先延ばしして事実上借金しているのは自分なのに最後は金利をもらえるわけですから(金額はわずかですけどね)。クレジット決済だからって高い金額を払うわけではないし(店によりますけど),現金で買ってたらポイントなんてつかないので,クレジット=怖いと短絡的に決めつけるべきではありません。

 実際,僕は調べてみると去年だけで156万円もカード決済しています。その前の年でも146万円。1,000円1ポイントで計算すれば1年で1,560ポイント。僕が使っているカード会社の場合,10ヶ月連続で使ったら100ポイントおまけしてくれるし,1,000ポイント超えた時点で100ポイントおまけしてくれるので,だいたい年間1,700ポイントぐらいあるわけです。200ポイントで500円の商品券がもらえるとしたら1,600ポイントで4,000円。現金決済ならゼロ円なのにクレジットなら4,000円くれるわけですね(実際は金券ショップで値引きされますけどね)。

 4,000円ってバカにできませんよー。
posted by 時をかける僧侶 at 23:07| 兵庫 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月20日

株が増えファンドが増えてもこの国の安全神話は揺るぎなきなり

 投資の話を続けよう。といってももうけ話じゃなくって統計データを詳しく読み解くという話。

(Dec/15/05 読売新聞より引用開始)
【個人金融資産1454兆円,過去最高を更新】
 日本銀行が15日発表した資金循環統計(速報値)によると,今年9月末の個人(家計部門)の金融資産残高は前年同期比3・3%増の1454兆円となり,1979年度末の調査開始以来の過去最高を更新した。
 株価上昇で株式の評価額が上がったことが主要因だ。
 内訳を見ると,最近の株高を背景に,株式が24・8%増の96兆円,投資信託が28・4%増の45兆円と過去最高。個人マネーがリスク資産に向かっている様子をうかがわせた。(略)
(引用終了)

 この数字を確認するには,日銀のサイトを直接見るとよいでしょう(→リンク,日米比較データはこちら(PDFファイル直リンク))。餅は餅屋。いろいろ見ていくとおもしろいことがわかります。2005年9月末の数字ですが,発表されたデータで興味深いものを上げてみると,

  • 個人金融資産1,454兆円とはグロスの値であって,負債(ローンなど)を控除したネットで見ると,1,073兆円である。
  • 現預金は774兆円で全体の53.2%を占めている。アメリカはなんと13.4%!
  • 次いで大きいのが保険年金準備金387兆円で26.6%。アメリカは日本よりも大きくて30.6%。
  • 株式出資金が142兆円で全体の9.8%(記事では株式のみにスポットを当てている)。アメリカはなんと33.8%!
  • 投資信託も全体の3.1%に過ぎない。ちなみにアメリカは13.2%。
  • 国債は25兆円。ちなみに昨年度末は21兆円。

 新聞は断片しか伝えませんが(紙面が限られているので仕方がない)情報を受けとる我々はいろんな方面への興味があるわけですから,原典にあたることは決して無駄なことではありません。新聞が公表しない隠された「何か」を発見することもありますし,ここでの日米比較などのデータは興味深い雑学のネタとしても使えます。
 と同時に,日米での統計の取り方や定義の違いなどがあるので単純に比較してしまうのは要注意です。日本では「家計」に個人事業主も入っているとか,母集団自体が変わってしまうと本来ならそれらを調整して比較しないといけません。ま,それらを区別する手だてがない以上,そういう定義の違いなどがあるという事実を知ったうえで補足事項として脚注表記するぐらいしかできませんけど。

 個別に見ていきましょうか。
 個人金融資産がどんどん増えていているということはよく新聞などでも採り上げられているので社会人ならもう常識でしょう。それがついに1,454兆円にまでなったようです。10月以降の株高を考えればさらに増えていることだと思います。ただし注意がいるのは,そのままの金額が家計の金融資産ではないということ。「日本の家計は1,400兆円ももっているから日本の国の財政がまっかっかでも大丈夫なんだ」というような使われ方をしてしまうといけません。上記のようにグロス値なので,住宅ローンなどの返さないといけないお金も考えて,そのうえで論じないと間違います。まあでも銀行借入323兆円などを控除したとしても,ネットで1,073兆円もあるっていうのはすごいことですね。外資系がこぞってやってくる理由もわかるというものです。

 次は現預金。グロスの比で53.2%で,ネットで見れば72.1%ですから,株ブームといってもまだまだ安全指向な国民性があぶりだされますね。この数字を向こう側から見たら,日本は今でも間接金融主体だということもわかります。アメリカと比べれば面白いぐらいに違いが鮮明になりますね。これはもう民族性だね。良いとか悪いとかじゃなくて。

 保険年金の準備金はまあいいでしょう。将来の不安をカバーすることは大事なことですし,それなりに金額がないとかえって心配になります。これが大きく減っていたり(毀損していたり)すると要注意なんですが,株高だし調子は良いようです。

 株式・出資金もようやく日本で10%程度まで上がってきました。ブームですからねえ。で,これが昨日のエントリのように素人相場になっているのだとしたら要注意なんですよね。とはいえバブル期は20%を越えていたようですから,見方によってはまだ大丈夫なのかも。隣のおばちゃんまでネットトレードし始めたら,それが売りサインになるんだと思っていて間違いないでしょうけど。

 投資信託は思ったより少ないなあという印象。増加率で見たら記事のとおり大きく伸びているんだけど,グロソブとかMMFの人気でもっと増えているんだと思っていました。手数料高くて運用実績が低いファンドが多いから,そろそろ投資家も飽きてきた(騙されていることに気付いた)のかもね。

 で,注目すべきは国債。順調に伸びています。調子に乗って固定金利型の国債も売り出したぐらいですから,来年もこの調子で増えていくのかもしれません。景気がよくなって金利が上がったら元本割れするってことも知らずにね(当然満期まで持てば元本が帰ってきますけど)。景気回復を願うのであれば国債なんて買えないはずなんだけど,まったく日本人はお人よしが多いですねえ。

 さて,今日書きたかったのはこれだけではなくて,こうやって徐々に増加してきた個人の金融資産を狙って各金融機関の競争も激化しているという事例もあげてみます。少し前に新聞に出ていた三井住友銀行の独禁法違反の件で大きな話題を呼びそうなニューズが入ってきました。金融商品を売る側もバブル期のような低モラルに戻ってしまって,税金を大量に入れてもらって救っていただいた国民に恩をあだで返すようなやり口がとうとう公取委の逆鱗に触れてしまったようです。

(Dec/20/05 東京アウトローズWEB速報版より引用開始)
【三井住友銀行,「公取委・排除勧告」応諾の波紋=z
  三井住友銀行が,金融派生商品の販売で公正取引委員会から排除勧告を受け,応諾した問題が波紋≠呼んでいる。すでに本誌12月16日付のミニ情報で,この排除勧告の背後には,「西川善文・同行特別顧問の郵政民営化会社トップ就任に反対する三菱UFJ銀行サイドと金融庁首脳の影が見え隠れする」と報じたが,一部マスコミでも同様の報道がなされている。
 今回の排除勧告は,三井住友側が融資をエサに変動金利を固定金利に変える金利スワップ商品を販売,その際,支店の担当者が融資決済権限を持った上司を帯同していたことなどから,「優先的地位の乱用」を禁じた独禁法に違反した,というもの。
 では,三井住友側は何故,あっさりと排除勧告を受け入れたのか。排除勧告の応諾は,刑事事件で言えば,罪を自供した≠ノ等しく,「審判」で争うことも出来たハズだ。その辺りの事情について,ある関係者は次のようにいう。
「公取委からヤリ玉に挙げられた10数件のうち一部に関して,三井住友の内部文書が流出した。動かぬ証拠を公取委,金融庁に押さえられてしまったため,三井住友は認めざるを得なくなった」
 三井住友の金融派生商品の販売は,数千件に達すると見られている。今回の排除勧告応諾を受けて,すでに日弁連を中心に損害賠償を請求する民事訴訟の動きも出ているという。場合によっては,三井住友は相当の出血≠覚悟せざるを得なくなるかもしれない。
(引用終了)

 三井住友はロスチャイルド系(日銀と同じ系列)ですから,郵政民営化で一番おいしいところをかっさらっていった西川らへの反撃をロックフェラー系の三菱が仕掛けているという見方ですね。低モラルで無茶苦茶な売り込みをしているのはもちろん三井住友だけではありません。どこだって似たようなことをやっています(やらないとノルマを達成できない)。なのにこういう情報をリークされて,しかも証拠があちらさんに挙がっているという状況ができあがって三井住友だけが悪者にされたとなると,こりゃあまだまだいろいろと起こってきそうな雰囲気ですね。郵政公社の主導権争いがこれからますます激化するということでしょうか。ま,どっちにせよ国債は売られるのは既定路線でしょうけど。インフレ・円安には放っておいてもなりそうだ・・・と,いつもの結論を出して今日は終わり。
posted by 時をかける僧侶 at 18:14| Comment(0) | TrackBack(1) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月18日

暴落の怖さを知らぬ素人に危ぶむ声も届くはずなし

 今日は相場の話。僕の先週のFX取引は散々なものでしたから偉そうに書くような話ではないのですが,失敗から学ぶ中で気付いたことがあったので書き留めておこうと思います。ただし前もって書いておきますが,以下に述べるのは僕の独り言です。相場の世界は相手が見えにくいので,まして個人投資家に本当の情報が届くかどうかなんて不明ですから推察しかできませんのであしからず。あくまでも投資は自己責任で。投機はご勝手に。

(Dec/05/05 asahi.comより引用開始)
【「バブルのような雰囲気」 株価急上昇で奥田経団連会長】
 日本経団連の奥田碩会長は5日の記者会見で,東京株式市場で株価が急上昇していることについて「日本全体がバブルの時期のような雰囲気になっているのではないかと思う。株価が上がることに乗り遅れるのではないか,という焦燥感から買いが買いをよんでいるような状況だ」と述べ,株価が経済の実態以上に上昇しているとの警戒感を示した。
 奥田会長は,雑誌やテレビなどで株式投資をあおる記事や番組などが最近増えていることも指摘し,「カネ目当ての国になるのではないかと思う」と憂慮を示した。そのうえで,「二度と前回のバブルの轍(てつ)を踏まないように日本人として考えなければならない」と警鐘を鳴らした。
(引用終了)

 このニューズは日経などでも採り上げられていましたからご覧になった方も多いでしょう。経団連のトップが異例の苦言。おっしゃる通りで,僕も常々思っていたことなのですが,それでも呼びかけの客体が間違っているように思えます。
 というのは,バブル期に痛い目にあった人たちはいまだにトラウマをひきずっていたりリスクに過剰反応したりして用心深くなっているので,今回のビッグマーケットの主役にはなっていないだろうという点,またネットトレード主体の個人投資家たちは株式投資で痛い目にあう機会が少なかったであろう点(ネットトレードがはやり出してからはほぼ右肩上がりの株価ですから)を考えたら,本当の相場の怖さを知っている参加者は少ないんじゃないかなと思っています。勝っている人が残っているという側面から見ても,負けた人は相場にはとどまっていないだろうし,どっちにせよ奥田会長が危惧する意図はわかるんだけど,痛い経験をしていない(あるいは少ない)人にバブルのときの話をしても馬の耳に念仏のような気がするということです。
 さらに言えば,バブル期の轍というのは,原因の半分が証券会社とか銀行の無茶苦茶な営業姿勢にあったのですから,ネットトレード主体の現在とはまた環境が違うと思います。ま,雑誌やテレビで煽っている状況は怖いぐらいにバブル期とそっくりなので,奥田会長もこういう苦言の呈し方をされたのでしょうけど。

 奥田会長はさすがに世界のトヨタを率いていた方ですから抜群の勘をおもちです。12/5の会見です。一方,平凡な坊主である僕でも今の株式相場について現実的に危惧する段階に到達したのは,この記事から10日以上過ぎた12/16の次のような記事を見てからです。

(Dec/16/05 Sankei Webより引用開始)
【誤発注のジェイコム株,27歳無職男性が20億円の利益】
 みずほ証券によるジェイコム株の大量発注ミスで,今度は千葉県市川市在住の無職男性(27)が問題の株を7100株売買し,少なくとも20億3500万円を超える利益を得ていたことが16日,関東財務局に提出された大量保有報告書で分かった。
 前日には,東京都港区の会社役員が約5億6000万円の利益を得たことが判明しており,今回のトラブルに乗じてデイトレーダーなど個人投資家の一部も“荒稼ぎ”していたことが裏付けられた。
 報告書によると,無職男性は発注ミスのあった8日に34億3661万6000円の自己資金を投入して7100株を取得し,同日中に1100株を市場で売却した。その際の差益は明らかになっていないが,13日には強制決済で残り6000株を54億7200万円で売却し,少なくとも取得総額との差額である約20億3538万4000円を超える利益を得たとみられる。
(引用終了)

 このニューズを読んで「俺(私)も同じようにうまいことやってやろう」と考えるか,「こんな世の中になったらおしまいだ。終焉近し」と考えるか。
 前者の考えの人はどうぞ同じようにがんばってください。
 僕は後者の考えです。富士通のシステムで大事故になったみずほ証券の誤発注事件と同じで,ありえないことが重なっているし,モラルの崩壊がピークを越えてしまっているからです。具体的に問題だと思われる箇所を羅列してみると,

  • 27歳の無職の人間が他人のミスに乗じて利益を得ている。
  • 会社役員という従業員の模範になるべきポストの人間が他人のミスに乗じて利益を得ている。
  • 27歳の無職の人間がなぜか34億円超の資金をもっている。
  • 彼の全財産がいくらなのかは不明だが,そのうちの34億円以上が証券口座にあって運用されている。

 レバレッジを効かした信用取引ではなく(IPO銘柄なんだから当たり前か)現物買いだからそれなりの資金が必要なのに,この無職の27歳の男性(拙僧より1つ下)はありあまる資金をもっていました。なぜかは知りませんが。非難轟々だったハゲタカ外資もせいぜい4500株しか買っていないのに彼は7100株も買っています。
(参考)
モルガンスタンレー  4522株(41億2千万円)
日興コーディアル証券 3455株(31億5千万円)
リーマンブラザーズ  3150株(28億7千万円)
クレディ・スイス   2889株(26億3千万円)
野村証券       1000株( 9億1千万円)
(※モルスタなどはストップ安で自動的に買うようなコンピュータ売買をしていたのでしょう。だから上がってから売れたので4500株の売買でも,強制売買されてしまった27歳の男性よりは利益が大きい。)
 
「無職」がいけないとか固いことを言うつもりはないですけど,株の売却益にかかる税金は10%だから,今回の彼の利益が20億3500万円だったとしても税金は2億円しか収めなくていい。サラリーマンで20億円も所得があれば地方税も含めて10億円は納税するのにですよ(実際は定率減税で8億円ぐらいか)。ルールだから仕方がないのですが,みずほ証券に返金する必要もないし,18億円がまるまる彼のものになるわけだ。
 会社役員だってそう。こんなモラルの劣悪な役員の下で働く従業員も可哀想なものです。で,こんな企業に限って「お客様第一」とか言っているんだろうなあ。
 普通の感覚を持っている方なら,こんな世界がいつまでも続くとは思わないでしょう。

 もう一点。他人の投資スタイル(この場合は典型的な投機ですが)についてとやかく言いたくないですが,34億円を株式投資につぎ込むってのは普通では考えられないですね。リスク感覚が現実を超越してしまっていて,チキンな僕には考えられない大バクチでしかしびれないんでしょうかね。

 20億円も一瞬で儲けてしまう人は素人ではありません。しかしこの記事を読んで「俺(私)も同じようにうまいことやってやろう」と思う人がいっぱいいれば,この株式相場は素人相場であることがバレバレになります。バレてしまったらどうなるか・・・これを僕は実際に先週FXの世界で体験したのでした。詳しくはあっちのブログで月曜日に書こうと思いますが,ゼロ金利の円売りで高金利通貨をキャリートレードしていた個人投資家でレバレッジをガンガン上げていた人は先週えらい目にあっています。僕は長期投資目的なのでレバ抑え目だったのですがあまりの下落のすごさに9月以降の利益がすべてふっとびました。それぐらいの体験をしました。僕も含めて素人ばっかりの相場だったんですね。12月という流動性が細くなる時期にヘッジファンドが円買いを仕掛けて,円売りポジションをとっていた日本の個人投資家たちのストップロスやらマージンコールやらが次々とヒットして,ずっと下落が進んだわけです。いい勉強になりましたけど怖かったですねえ。
 ひょっとしたら株も同じことが起こるかもしれません。奥田会長が危惧されるとおり,乗り遅れてはいけないという焦燥感から株価が上昇しているのであれば僕はその確率は高いと思っています。素人が参加してきて,相場の下落の怖さをしらないとしたら,バブルの轍をふむことになるでしょう。僕は株については素人だから手は出していません(為替についても僕は素人に近いのですが,油断してやるべきことをやらなければ今回みたいな失敗を犯します)。FXで味わった恐怖を体験しましたので,ここで忠告をしておこうと思った次第です。ま,このブログは大半の人の目には留まらないわけですけどね。
posted by 時をかける僧侶 at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月08日

誰だ!国債が安心だとか貯蓄だとか言っているヤツは!

 今日はみずほ証券がやってもうたみたいですね。空売りした分を買い戻したら1,000億円の損失だってさ。黒木亮の『トップ・レフト』のハイライトを思い出しちゃったよ。ま,そんな話はどうでもいい。今日は投資ブームに乗って財務省が調子こいて発売しようとしている個人向け国債の話。

(Nov/30/05 共同通信より引用開始)
【本木さんが新キャラ 個人向け固定型国債】
 財務省は30日,固定金利型の新型個人向け5年物国債を来年1月から発行するのに合わせて,新イメージキャラクターにタレントの本木雅弘さんを起用すると発表した。大量発行が続く国債を安定的に消化するため,購入層の拡大を目指す。
 本木さんと2003年発行の変動金利型10年物国債のキャラクターを務めるタレントの小雪さんが同日,谷垣禎一財務相を表敬訪問。本木さんは「固定金利(の国債)は安心感があります」とし,小雪さんは「貯蓄についての知識が深まり,勉強になります」と述べた。
(引用終了)

 芸能界の皆さんに金融の専門的な話(って言っても僕がするぐらいだから初歩的な話ね)をしても仕方がないし,理解してもらう必要もないのですが,モックン,誰から言わされてるのでしょうか?知らないなら知らないって言っておいた方がいいと思いますけど。「固定金利(の国債)は安心感があります」かぁ。インフレ来たらパァやないけ。来春には日銀の量的緩和策が解除されるかもしれないってときに固定金利商品の紹介するのに「安心感」はないやろ。

 固定金利で安心できるのは金利上昇局面でお金を借りているときだけです。これ以上金利は下がらんだろうという水準で固定金利で借入できれば,そのあと金利が上昇しても固定金利の支払いで済まされるからです。でもモックンが話題にしているのは借金じゃなくて投資。お金持ちに国債買ってねっていうアピールをしないといけない立場です。しかも,政府が言うには経済が回復局面にあるということなので,これから金利が上がる可能性が高いってときなの。大金を投資している機関投資家達がこぞって国債を売って株とかオルタナティブに投資しようと待ちかまえているときに,暴落必至の固定金利国債をバカな,いやいやネギをしょったジジババに売らんといかん立場なの。郵政民営化で郵貯・簡保も国債のたたき売りを始めようかってときに,その国債をはめ込む先として何も知らないジジババに何としても買ってもらわないといけない事態なの。名目元本にしか理解が及ばないお年寄りを保護しているような余裕はないっていう瀬戸際なの。そういった諸々のことを理解したうえで「安心感」っていう発言なんだよね?さっすが役者やのぅ。

 はい次。小雪さん。国債は貯蓄じゃないからねー。10年持ち続けて国が破綻しなければもちろん元本保証で貯蓄みたいなもんだけど,10年後帰ってきた100万円で何が買えるようになっているんだろうね。インフレって怖いよ。大卒の初任給が200万円ぐらいにインフレが進んでても元本保証って喜んでいられるかなあ?
※このたとえ話で,「金利が上がると債券の価値が下がる」っていうことが直感的に理解できましたか?

 ああ悲しき客寄せパンダ達。僕が芸能人ならこんなキャンペーンのイメキャラにはならないな。モックンにせよ小雪にせよ,まだまだ他にも仕事回ってくるんだから,仕事なくて困っている芸人さんに回してやってよ。

 ここからは個人的な所感。
 これまで財務省は「変動金利型個人向け国債」を売り出して無茶苦茶な人気を集めました。何しろ金利が上がっても(インフレになっても)半年ごとの金利見直しで利息も増えてくれるのですから。もちろんこのようなオプションが付いている分,他の10年もの固定金利の銀行の定期預金とかに比べると低めの金利設定になっていますが。
 財務省はこの人気に味を占めて,どさくさに紛れて「固定金利型」の国債を個人向けに売ろうとしているようです。変動型だと勘違いして買っちゃうお年寄りも出てくるでしょう。だって変動型はすぐに売り切れちゃうぐらい人気だから。銀行・証券会社の担当者はノルマ消化のために,「変動型」を買いに来るおじいちゃん達にうまいこと言って「固定型」を買わせるんでしょうね。で,それが社会問題化するまで続けられて,NHKのクローズアップ現代に採り上げられる頃には,逃げ口上もしっかりと準備が整っていることでしょう。そんな匂いがぷんぷんしますよ。

 逆から見れば,これほどまでに国債の消化が大変な事態が迫ってきたということです。そりゃそうです。相変わらず構造改革っていうデフレ推進政策しかとらない政府,一方で株高に踊り狂って高まる国債売り圧力,折り返し地点を過ぎちゃった少子高齢化問題,年金破綻,皆保健破綻,アメリカ国民の年金資金のために米国債を買ってあげる郵政民営化などなど。国債バブルはいつはじけてもおかしくないでしょうね。大きな地震が来たりテポドンが東京に命中したりってことになったら暴落は免れないだろうなあ。ま,国民の個人資産を強奪して国債と相殺しちゃえば海外に飛び火はしないから,財務省はいつでも預金封鎖などができるように準備は整えてあるでしょうけど。で,そんなことしたらお金持ちがざーっと海外に逃げちゃうので(インサイダー情報を持っている本当の金持ち達はすでに海外に資産を逃がしているでしょうけど),国体を守る人たちもいなくなって,信濃町の住民とか真っ赤な人たちとかが力を発揮するかもしれませんね。極論ですが。

 僕も借金さえ返済し終わったらハワイあたりに逃げますよ。ハワイで浄土宗の真髄を布教してきます(ウソ)。
 何があっても困らないように食料だけは自給自足できるように準備しておきたいですね。
posted by 時をかける僧侶 at 23:07| Comment(0) | TrackBack(2) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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