2006年07月15日

真の愛国者は潜伏すべき時期かもね

 思うところあって,ラストに近いエントリになります。といってもそんなたいそうなことはないんだけども。
 
(Jul/13/06 asahi.comより引用開始)
【小坂文科相らにも公開質問状 統一教会系への祝電問題で】
 福岡市で5月に開かれた世界基督教統一神霊協会(統一教会)の関連団体の会合に,安倍晋三官房長官ら多数の政治家が祝電を送ったとされる問題で,全国霊感商法対策弁護士連絡会は13日,小坂憲次文科相や自民党の中川秀直政調会長ら4人に公開質問状を送ったことを明らかにした。安倍長官と保岡興治・元法相にも6月19日付で公開質問状を送っているが,回答はないという。
 記者会見した同連絡会事務局長の山口広弁護士によると,小坂,中川両氏のほかに上田清司・埼玉県知事と村井嘉浩・宮城県知事あてに,6日付で公開質問状を送った。中川氏の事務所は「祝電を送ったことはない」と否定し,上田知事からは「世界平和連合埼玉県連合会あてに送った」と回答があったという。
 小坂氏の事務所は朝日新聞の取材に対し,「祝電は送っていない」と否定している。
 福岡での集会を開いたのは天宙平和連合(UPF)で,統一教会創始者の文鮮明氏とその妻が代表を務める。
(引用終了)
 
 以前,【安倍氏あべし】というエントリで,安倍官房長官が統一教会系の会合に,官房長官の肩書きで祝電を送った件を採り上げました(→ リンク)。その後,案の定この大問題について大手メディアでは全くフォロー記事がありません。あったとしてもこんな程度のベタ記事だけ。北朝鮮に対して勇ましい事を言っていることだけは針小棒大に報道しているようですが,ヒマなオバさん相手のパフォーマンスとしては上出来だとしても,こんな見え見えのやり方で本当の愛国心をもった人間の目は誤魔化せません。愛国者気取りの3世ボンボン政治家がカルト宗教に魂を売っていて,それを非難も批判もできないというようではメディアとしては存在意義はありません。草の根でがんばっているジャーナリスト達は実に歯がゆい思いをしていらっしゃることでしょう。情けないですね。
  
 朝日新聞もベタ記事を書いている場合じゃなくて,北朝鮮のミサイル問題の真横にこの記事を持ってくるべきです。読者が一番嫌う北朝鮮と読者の一番人気の安倍氏は,実は文鮮明という黒い鎖で繋がっていて,6,500人もの日本人を拉致した統一教会に擦り寄る政治家の筆頭が,北朝鮮の拉致問題に取り組んでいるなんていうこれ以上ない皮肉。いつもブラウン管の目の前で北朝鮮の将軍様に対して強気を崩さない,その裏でしっかりとマッチポンプをしているなんて,ポワロもホームズも真っ青なトリックです。これのどこが国益にかなってるんですかね。
 
 ま,大手メディアもそこまでしてヨイショしなきゃいけない理由があるのでしょう。もちろん国益を考えた理由ではなく,自己保身だとか会社の存続のためなんていう私益の理由でしょうけど。結局,戦前戦中の失敗は繰り返されることになりそうです。
 
 もはや僕にはこの娑婆世界の喧騒にはほとほと愛想が尽きました。ちょうどこれから仏教の世界にどっぷり漬かる事になりますので,いい機会かもしれません。ちょっとブログ活動の趣向を変えてみようと思います。詳しくは次のエントリで!
posted by 時をかける僧侶 at 23:49| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(3) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月07日

騙されているフリをしながら生きていく

 今日立ち読みした『サンデー毎日』で佐高信がおもしろいこと書いてました。”福井総裁は甘い甘い内規には違反していないが,明らかに「外規」に違反している。”(立ち読みなので文そのものはうろ覚えです)。

 大手メディアはすでに福井総裁問題には触れず,北朝鮮問題ばっかりを向いていますが(当然と言えば当然ですが)週刊誌レベルではどんどん新情報が出てきているようです。福井総裁専用の匿名組合を仲介していたとか,約款に「キャピタルゲインの獲得を目指す」と書いていたとか(利殖目的だったということ),宮内がゴニョゴニョとか。どこまで本当なのかはわからないにしても,大手メディアはホント何やってんだろうっていうぐらい活発な書き振りです。

 ま,僕も専門的な話になればわかりませんので,これ以上は語る事は控えますけど,やっぱりマスコミがしっかりしないと,国民は騙されたまんま,いつのまにか敗戦を迎えて玉音放送を聞くハメになりますね。北朝鮮のミサイル問題はもちろん脅威ですけど,ではイスラエルがガザに侵攻した話は日本人の何人が気にしていることですかね。あっちは実際に22人だか死者が出てるんだからもっと注目されてもいいと思いますけど。パレスチナ紛争が日常化してしまったっていうのは怖い事です。イスラエルの方は完成された核兵器をもってるんですよ。ハワイを狙ったが日本海に落ちたっていう精度の北朝鮮爆弾とは違うんです。

 今の小泉政権は問題が起きたら必ず別の大きな問題が出て注目がそっちに移っていく事で巨悪が助かるっていう構図が続いています。国を愛するがゆえに僕もベラベラと批判をするわけですけど,為政者にとっての愛国という概念とは違ったものなんでしょう。北九州で餓死者が出るぐらいの経済格差が発生しているというのにねえ。日銀総裁のポストを守ることの方が大事だという国家をどうやって愛せというのでしょうか。

 ま,こればっかりは世界的な大きな大きな話の中での一場面にすぎないのですから,僕ごときがピーチクパーチク言ったところで変わらないのも仕方がない。大きな大きな現代社会の枠組みの中で現実的に暮らしていくには,やっぱりどこかで妥協を強いられるだろうし,正直なだけでは生きていけないわけだから,せめて騙されたふりをしながら危機を回避していく方策をとっていくしかありません。このブログではそういう観点でいろいろ考察してきたつもりですが,これからもそうしていくつもりです。

 ちなみに僕がこういう考えになったのは,原田武夫氏の影響が強いです。値段は張りますが,隔週で貴重な情報が得られる情報誌(って言ってもCD)を聞いていると,だいたいマーケットの動きが彼が読んだとおりに動いていることでも確認できます。やっぱり精度の高い有効な情報はもっているだけでも違いますねえ。
※6月末から7月にかけては地銀が株価を下支えするから,225銘柄は短期撤退を条件にロングしてみるのも良いっていう情報でした。
原田武夫通信

 ま,僕は資産家ではないので実際にトレードしているわけではないですけど,最近の大学機関の補助金不正申請だとかセクハラだとか論文捏造だとかのスキャンダルがいっぺんに出てきたところを見ると,『年次改革要望書』どおり,教育機関の規制緩和が促されて株価が一気に下げられて,どこかのファンドが適当なところで一転して買い漁るっていう,今までと同じパターンが見られることになるんでしょうねえ。原田氏の予測が当たればっていう条件付きですけど。

 情報が少ない人はこれらのスキャンダルがどういう意味をもつのか,わからないでしょうね(もちろんこの見方が正しいとは言いきれませんけど^^)。むしりとられるだけの「ワーカー国家」の構成員ですから,仕方ないか。
posted by 時をかける僧侶 at 21:23| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月01日

安倍氏あべし

 今日は安倍ファンの曇った目を覚ます話題を。っていうかこの問題については僕はしばらく静観するつもりでブログでも採り上げてこなかったのですが,あまりにも卑怯というか情けない事実がいくつも判明してきましたので,ここでまとめておきたいと思いました。例の統一教会系の集会に官房長官の肩書きで祝電を送ったという事件(!)です。

 新聞やテレビだけからしか情報を得ていない人には何のことかわからないかもしれません。まずはことの流れについて,JANJANの記事を読んでみてください。
【こうしてわかった安倍官房長官「合同結婚式祝電」問題】(Jun/21/06 JANJAN)

 これはただごとではないですよ。内閣の官房長官が(いくらおじいちゃんおとうちゃんの時代からの付き合いとはいえ)新興宗教に肩入れしていて,しかもその人物が次期総理候補と言われているわけですから。大作ソーカ政党と連立政権を組んでいる本体が文鮮明の統一教会とズブズブって,冗談は顔だけにしてもらいですね。

 ま,ここまでの事実がネット上で出てきて一気に広まったわけですが,僕としてはこの事件についてポチ保守の安倍シンパ達がどういう弁解をするのかを今か今かと待って(静観して)いました。ところが,これがまたシンパ達はスルーなんですわ。正直,ガッカリ・・・。ま,日ごろから中国・北朝鮮・韓国の粗暴な振る舞いに対して容赦なく吠えまくるポチ保守どもも,この事実を聞いて頭が真っ白になったんじゃないかな。とくにこの動かぬ証拠(動画)が出てきたときにはね。
【統一教会主催合同結婚式に祝電を送る安倍晋三】(Jun/12/06 YouTube)

 僕はハナから安倍氏には何の期待もしていませんので,スキャンダルをとやかくと大騒ぎして採り上げるつもりはありませんでした。でも,弁明なり詳しく説明なりをしてもらえれば静観を続けるつもりだったのに,そういうこともないし,当の安倍氏自身のコメントがさっぱり意味不明だったのと,この問題を積極的に採り上げているメディア(ブログやら2ちゃんねるなどの掲示板)へ何者かがサーバーアタックを仕掛けてきた事実を目の当たりにして,黙って見過ごす事はできないと思ったわけです。

 2ちゃんねるに対するサーバーアタック(DOS攻撃)についての真性保守(ポチじゃない保守)論者の見解は例えばこんな感じ。
【警視庁・生安が,「2ちゃんねる」に内偵を開始か?】(Jun/28/06 毒蛇山荘日記)

 をいをい,ポチたちよ。やってることは君たちが忌み嫌うシナ人と一緒じゃないか。真実を指摘されたら反論できずにネチネチとこんなやり口で反撃するなんて。っていうか君たち,日本の国益を考えるっていう以前に安倍氏個人の利益を優先しているんじゃないの?本末転倒もいいとこだよ。ま,これではっきりわかりました。共謀罪やら人権保護法案,さらには皇室典範改正まで,自民党が躍起になって進める本当の理由がね。そうか,そうか。ソーカが表に出てるのは裏の統一教会を隠すための目眩しだったのね。

 そもそも統一教会について,正しい知識をもちあわせている人は少ないと思います。僕もよく知りません。ただし,公表された事実だけを見ても,非常に危険な邪教であると判断できそうです。例えば,これら。
【「合同結婚式,6500人の行方を捜して」被害者家族が訴え】(Jun/22/06 エクソダス2005《脱米救国》国民運動)
【偽メシア文鮮明の統一教会を日本から叩き出せ!不浄な金にたかる恥知らずの政治屋どもを議場から駆逐せよ!】(Jun/22/06 エクソダス2005《脱米救国》国民運動)

 下に朝日新聞の記事を載せますが,全国霊感商法対策弁護士連絡会の報告によると「87年から05年にかけての強引な信者勧誘や資金集めに対する相談件数は約2万6000件,被害総額は約943億円に上る」らしい。恐ろしい規模ですよ,これは。こんな統一教会の合同結婚式に,あろうことか官房長官の肩書きで祝電を打っちまったわけですよ,安倍さんは。

 朝日の記事を見てみよう。

(Jun/20/06 asahi.comより引用開始)
【統一教会系の集会に安倍氏の祝電 弁護士が公開質問状】
 福岡市で5月に開かれた世界基督教統一神霊協会(統一教会)の関連団体の会合に,安倍晋三官房長官や自民党の保岡興治・元法相名で祝電が送られていたとして,全国霊感商法対策弁護士連絡会は19日,「統一教会の内外の宣伝に利用されかねず,遺憾だ」として,両氏に対して公開質問状を郵送した。
 この団体は,天宙平和連合(UPF)。統一教会創始者の文鮮明氏とその妻が代表を務め,05年9月に創設された。5月13日に大会を開き,統一教会とかかわりの深い韓国メディア「世界日報」(電子版)が,安倍,保岡両氏ら国会議員計7人が祝電を送ったと14日付で報じた。
 霊感商法などの被害対策に取り組んできた連絡会は,「祝電を送ることは統一教会の活動に賛同し推奨していると宣伝されかねない」として,祝電を送った経緯の説明などを求めている。
 連絡会によると,87年から05年にかけての強引な信者勧誘や資金集めに対する相談件数は約2万6000件,被害総額は約943億円に上るという。
 安倍氏の事務所は「私人としての立場で地元事務所から『官房長官』の肩書で祝電を送付したとの報告を受けている。誤解を招きかねない対応であるので,担当者にはよく注意した」とのコメントを出した。
 保岡氏の東京事務所は祝電について「把握していない」とし,地元事務所は「担当者が不在でわからない」という。
 UPFの担当者は「祝電の中身は公表を控えたい」と話している。
(引用終了)

 最初にも書いた通り,安倍氏の返答「私人としての立場で地元事務所から『官房長官』の肩書で祝電を送付した」って意味不明・・・。官房長官の肩書きで出したら公人でしょうが。ホント,何やってんだか。ま,おじいちゃんがこんなことしてたんだから仕方ないっちゃあ仕方ないんだけど・・・。
【文鮮明師の裁判について米国大統領に意見書を提出】

 朝日記事にある,保岡興治は鹿児島選出で僕も握手したことあります(笑)。実体はほれこのとおり。
【【統一教会祝電事件】性懲りもない保岡興治元法務大臣,6年前の参院決算委での釈明なぞけろっと忘れて】(Jun/25/06 エクソダス2005《脱米救国》国民運動)

 YouTubeの動画にはあと数人の名前が上っていましたが,どれもこれも似たり寄ったりでしょう。この情けない状況に対するある弁護士の見解を紹介しておこう。
【祝電事件,これでは統一協会問題を放置したのは,自民党ではないか!】(Jun/17/06 弁護士紀藤正樹のLINC TOP NEWS−BLOG版)

  この人が次の首相候補ですか・・・。さわやかな顔にはやっぱり裏がありますねえ。安倍氏も例外ではなかったってことで。あべし。ひでぶ。あーめん。

 ・・・と,まあいろいろ書いてきましたが,これって福井総裁の問題とよく似ていますね。決定的なルール違反ではないにしても,疑われることをやってはいけない人がやってしまって,正しい責任の取り方がわかっていないっていう点は全く同じ。違う点は,福井総裁はあちこちのメディアで叩かれていますが,安倍氏はほとんど無傷で,逆に採り上げようとしている勢力に圧力をかけていること(もちろん証拠はないですけど)。先の国会で共謀罪が通ってたら,こんな安倍批判のブログなんて全部しょっぴかれていたことでしょうね。こうやって批判できるだけまだましなのかもしれません。でもなあ・・・。

(追記)
 この問題のまとめサイトがいくつかあります。大手メディアは今後も採り上げないでしょうから,定期的にウォッチしたい方はこういうサイトを毎日でも覗いて見てください。
祝電事件リンクリスト

安倍晋三と統一協会問題まとめ@Wiki

 その他,もっともっと根本的なところを詳しく知りたいという方にはこちらを。

【統一教会とかの話】(Jun/23/06 Let's Blow! 毒吐き@てっく)

【安倍晋三統一教会疑惑 by フラッシュ】(Jun/24/06 Let's Blow! 毒吐き@てっく)

【ヘタレ産経の姿勢を問う】(Jun/24/06 Let's Blow! 毒吐き@てっく)

【統一教会の弁明】(Jun/27/06 Let's Blow! 毒吐き@てっく)
posted by 時をかける僧侶 at 22:28| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月21日

福井総裁 カネで解決させるんだって。恥ずかしくないのかな?

 福井さん,なかなか辞めませんねえ。自分のポジションの重さとやっちまったことの重大さを認めてさっさと辞めりゃあマーケットも落ち着くのに。まさか,マーケットを混乱させるためにわざと逃げ回っているんじゃあないでしょうな?

(Jun/21/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【日銀総裁の辞任不要と首相,国民は厳しいと官房長官】
 小泉首相は21日昼,村上ファンドへの拠出で1473万円の利益を得た日本銀行の福井俊彦総裁の進退について「何か問題があると,すぐに辞めればいいという問題じゃない」と述べ,辞任の必要はないとの考えを示した。(略)
 安倍官房長官は同日午前の記者会見で,「国民の受け止めは厳しい。利益は必ずしも少額ではない。資産公開や内規の見直しをすべきだというのが国民の声で,それなしには信頼を得ることは難しい」と述べ,資産の透明性確保が重要だとの考えを示した。
(引用終了)

 日本の行政のトップとナンバーツーがどちらも事件の本質を見抜けないでいるのは情けないですね。いくら本当のことが言えないという事情があるにしても,こんな説明じゃあ自らの知性の欠如を笑ってくれと言っているようなもの。僕みたいな世捨て人にすら,おかしいと分かる説明をしてるんじゃないよ,まったく。

 具体的には,首相の「何か問題があると,すぐに辞めればいいという問題じゃない」という発言。問題があってはいけないポストにある人間が,インサイダーを疑われるなんていう致命的な問題を起こしたのだから(しかも今の今まで市場の混乱が回復していないのだから),すぐに辞めないといけない。それが本質なのにわかっちゃいない。

 安倍官房長官の発言もピント外れ。っていうよりも,「ゼロ金利を進めておきながら自分はン千万円も儲けやがって」という庶民感情に迎合した発言であって,これまた本質を突いていない。この場合はたとえ投資が失敗だったとしても,インサイダーを疑われる取引を放置していたことには変わりはないので,辞任しなければいけないという問題なのです。資産の透明性確保ってのは,今までしておくべきことがされていなかったのですぐにやらなければいけないっていうだけの話。本質ではありません。

 福井総裁も国会閉会を待ってから自らの運用成績を報告したところで,卑怯者との評価にいっそう箔がついてしまっただけ。そこまでして守りたいものって何なの?自らの名誉を穢してまで何を守りたいの?さっぱりわかりません。ま,庶民には分かってもらっては困るから真実は出てこないんでしょうけど。

 でもね。我々庶民はバカばっかりではないですよ。次の「論壇」の匿名投稿を読んでみてください。カネの問題だからってことでカネで始末をつけようという福井総裁の浅ましさについての痛烈な批判です。

(Jun/21/06 論壇「目安箱」より引用開始)
【拝金主義の福井総裁は即刻辞任すべき】
(略)それにしても, 「報酬30パーセントを6ヶ月減額するから,辞任しない。」 など聞いてあきれる。 「利益は元本を含め, 『慈善団体にでも』 寄付したい」 などの発言は,慈善団体に対して失礼千万な言い方である。
 責任の取り方が,なぜこのような 「金で解決」 といった貧困な発想になるのか?
 福井総裁も 「志」 などと古風な表現をするなら,昔の武士ではないが,ここは男らしくしっかり 「腹を切る」 姿勢が必要。 金儲けを 「志」 としたファンドに共鳴して投資すること自体, 「金儲けしよう」 と思っていたなによりの証拠。
 即刻 「辞任」 をもって責任をとるべき。
(引用終了)

 これこそが正論です。しかし,これがまた本質を理解していない”経済専門紙”日本経済新聞は今日の社説で全く逆のことを宣っています。

(日本経済新聞社説より引用開始)
 総じていえば,野党のように「辞任に値する」と断じるほどの根拠は現時点ではないのではないか。
(引用終了)

 今年の初めに日経新聞の関連企業の職員によるインサイダー事件がばれて,常務やら部長まで更迭されているってのに(→ 参考サイト),はっきりとした根拠がないとはいえ,あってはならないことをやっちゃった日銀総裁には甘いというのは解せません。本当にこの新聞は経済専門紙なんでしょうかね。

 他紙はまだまともでした。政府寄りの読売新聞でさえ,こう書いています。

(読売新聞社説より引用開始)
 福井総裁は,月給の30%を半年間自主返上するとしている。ファンドの清算で出た利益と元本は,「慈善団体への寄付などに振り向けたい」と話す。だが,問題が発覚してからの言葉では,何ともしらじらしく聞こえる。(略)
 欧米の中央銀行に遜色(そんしょく)ないルール作りを急いでほしいが,きっかけが,トップである総裁の行動だったのは悲しい。
(引用終了)

 より踏み込んでいるのは,やはり東京新聞。

(東京新聞社説より引用開始)
 途中清算時に二百四十二万円の分配金を受け取っていながら,投資が利殖目的ではなかったという説明は理解しにくい。「こんなにもうかる」と分かったからこそ,再投資したとみられてもやむをえないだろう。そもそも,実際に分配金が支払われていたことも,これまで明らかにしていなかった。(略)
 納税にまつわる疑問も解けない。〇一年四月以降の「帳簿上の利益」は,どのようにして確定申告できたのだろうか。(略)会見では,総裁自身が「よく分からない」と答える場面もあった。
(引用終了)

 二百万ぐらいの分配金を途中で受け取っていてその年に確定申告しているはずなのに(まさかしてないの???脱税疑惑も???)「よくわからない」って答えるのが日本の金融界のトップなんですって。レッドカードで一発退場ってほどのことではないかもしれませんが,これだけイエローカードが貯まれば退場させないといかんのではないですか?

 最後に蛇足を。大手新聞のうち産経新聞だけが今日の社説でこの問題を採り上げていませんでした。イラク撤退を気持ち悪いぐらい褒めるのはいつものことだから許すとしても,産業・経済新聞がスルーするかね?日本の国益を考えれば,「総裁は辞任せよ!」って書かないとおかしいでしょ。ピント外すのまで政府に合わせる必要なんてないんですけどねえ。社説一覧はこちらへ・・・
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月19日

福井総裁問題についての考えを整理しました

 福井総裁問題についてのエントリに〔40代の私にとっての最新情報・重要ニュース〕さんからいくつかトラックバックをいただいております。
【福井俊彦日本銀行総裁 公正と信頼どう回復する】(Jun/17/06)
【米WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)紙、福井俊彦総裁の村上ファンド・スキャンダル論評】(Jun/18/06)
【【村上ファンド・ショック】『日本銀行福井俊彦総裁辞任を』49% 投資継続問題視は62% 民主党は辞任させられないのではなく辞任させないほうが得なのですよぉ。】(Jun/19/06)

 ブログランキングでも上位の方なので,素直に嬉しいです(^^

 ということで,今回のエントリも福井問題を扱う事にしよう。でも,あれからとくに福井総裁側から目新しい情報が出てきたわけでもないので,これまでの情報を整理して,自分なりに大胆な推測を行ってみたいと思います。それなりの根拠も挙げますが,あくまで推測の域を出ませんので,その点はご了承ください。まずはこの案件の主な問題点をあげて僕の意見をまとめてみよう。

  1. 民間人時代に村上ファンドに投資したことは是か非か?
  2. 日銀総裁就任時に解約しなかったのはなぜか?
  3. ホリエモン逮捕後の今年2月の時点で解約しようとしたのはなぜか?
  4. 疑われるに十分なのに下手な言い訳を並べて辞任を拒むのはなぜか?
  5. 内規違反ではないという理由だけで許される事態なのか?
  6. 政府要人や保守系新聞はなぜ福井総裁を庇うのか?
  7. 先日の日銀会合でゼロ金利を解除できなかったのは,庇ってくれた政府への恩返しなのか?
  8. 日銀役員の資産開示を義務づけるなどの改革をすべきか?


 意外とたくさんありますね (^^; 簡単にコメントします。

 まず1。民間人の投資には何も問題ないでしょう。

 次2。17日の日経新聞社説によれば,総裁は「私だけが抜けるのが適当かどうかという仲間内の意識もあった」と答弁したそうな。普通なら仲間が率先して忠告するもんでしょうが。忠告すべきとわかっていてしなかったのなら,当時の仲間たちにも「インサイダー」疑惑は成り立ちますよ(法的には難しいでしょうけど,モラル上の問題として)。
 日銀のトップになる男がプライベートファンドから資金を引き揚げるのに何の躊躇がいるというんでしょう?この答弁だけで,総裁への疑念は真っ黒になります。日経新聞は「中原伸之元審議委員の就任時には、事務当局が株式を信託銀行に預けるよう助言している。」という文も載せており,暗に総裁の対応を批判しています。当然ですわな。

 3。本人はああだこうだ言って誤魔化すでしょうし,事実は確かめようがありませんが,こんな最悪のタイミングで解約するんだから「疑ってくれ」と言ってるようなもんでしょう。何を言っても言い訳にしか聞こえません。

 4。この点についてはいろんなサイトで諸説が語られていますね。今日民主党の松井議員が村上ファンドに関与していたというニューズが出たように,与野党問わずあちこちからスキャンダルが湧いてくるかもしれないから,本人は実は辞任したいのだが小泉政権に留められているのでないかとかね。僕の推測はこうです。

 福井氏が突然辞任するとしたら武藤副総裁が横滑りで就任する可能性が高いわけで,福井氏にとってはこれはできるだけ避けたいのではないか,というもの。根拠は武藤俊郎氏は小泉べったりですから(副島隆彦氏に言わせれば「竹中・宮内・孫と並ぶアメリカの手先」)。かなり強引な推測ですが,実は福井総裁は汚名を一身に被って日銀のアメリカ支配を防ごうとしているのではないか。・・・こう考えれば漢なのかも・・・(根拠は薄いですけど ^^;;;;)

 5。これは完全に裏目でしょう。法律に違反していない範囲で脱法行為をして金儲けしていたホリエモンや村上ファンドに非難が集まった経緯を忘れてはいけません(僕自身は脱法を許してしまった日本の法律の甘さの方が情けないと考えていますが)。内規違反じゃないから辞任の必要はない,というのは正しい理屈ですが,他方でホリエモンや村上ファンドがフジテレビを支配しようとして行った時間外取引を非難するのはおかしいでしょう。ましてや日銀のトップが脱法行為をしたわけですからね。重さは全く違うはずなんですけどね。

 6。庇わなきゃいけない理由があるんでしょう。村上ファンド拠出者リストなんかが出回って,リクルート事件のような大スキャンダルに発展させたくないのかも。小泉首相は円満な形で任期を終わらせたいんでしょうから。保守系新聞は相変わらず政府発表のヨイショしかしていませんから,そもそも期待しても無駄でしょうしね。

 7。これはおそらくないでしょう。前エントリでも書いたとおり,為替や金利のマーケットも6月解除は全く織り込んでいませんでしたから。予想通りってことでしょう。

 最後の8。資産開示は個人的にはどっちでもいいかなと。アメリカがこうだからマネせよとか,イギリスはどうだからこうだとか,狩猟民族のアングロサクソン流のルールを農耕民族に何でもかんでも押し付けられるのも気持ち悪いし。ま,あまりにも農耕的だとまずいんだけど。
 ただ,資産を開示しなさいと決められないとインサイダー疑惑を持たれても仕方がない取引をしちゃうような人間に,日本の金融の政策を決定して欲しくないですね。前々エントリにも書いた通り,あのポジションに就く人はあんなことを疑われる時点で不名誉なんですよ。武士なら腹切りものです。いろんな自由が削られるかわりに,いっぱい給料をあげて職務を全うしてもらうわけでしょう?疑われてしかるべき問題を起こしたら素直にやめるべきであって,辞任しないというのであれば,それなりの背景まで疑わざるを得ないということですね。

 とりとめもなくいろいろ書いてきました。読み返してみたらあんまり「大胆な推測」ってことはありませんね。期待外れですみません。敢えて言えば,4のところですが,7月にゼロ金利を解除したのなら福井総裁は漢だったということが言えるかも。ま,明日には確定利益やらの詳細が明らかになるでしょうから,その発表をとりあえず待ちましょう。
posted by 時をかける僧侶 at 21:21| 兵庫 ☁| Comment(2) | TrackBack(4) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月17日

福井総裁空気嫁!

 福井総裁問題は前回エントリからさらに各紙が社説で自説を述べています。ホリエモンを騙して巨万の富を得た村上ファンドに稼いでもらっていたのが日銀の総裁という事実。それを各紙がどのように報道するのか,これは見物でした。
 結果,面白いのは,小泉ヨイショの読売新聞がやはり辞任までは求めないのに対して,東京新聞,朝日新聞などのリベラル(?)系,左翼系はクビまで獲れというもの。ちなみに前エントリで紹介した毎日新聞は後者に属するはずですが,政府の工作が効いたのか前者にくら替えしている模様です。

 まずはその読売新聞からいこう。


(Jun/16/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【「福井日銀総裁」「大いに反省して説明を尽くせ」】

  • 日本銀行総裁という職責の重さを考えれば,あまりにも軽率だった。
  • 日銀総裁への就任時に資金を引き揚げなかったのは,解せない。
  • 日銀には,「職務上の立場などに照らして,世間から疑念を抱かれるような個人的利殖行為は慎まなければならない」などとする内規がある。
  • 日銀総裁は,金融政策の責任者であり,行動や発言は,市場に大きな影響を与える。極めて強い信頼性,中立性を求められる立場だ。
  • 誤解される行為は,避けなければならない。今年2月に解約を申し入れ,6月末で清算するというが,遅すぎた。
  • 市場には今回の問題で,日銀が政治との関係を気にし,重要な政策判断をしづらくなるとの見方もあるが,そうした憶測を招いたこと自体,好ましくない。
  • 福井総裁は,自らの脇の甘さを大いに反省するとともに,利益額の開示を含めて,さらに説明を尽くすべきだ。
  • 同時に,再発を防ぐ仕組みも必要だ。金融資産は信託に出し,自らの投資判断が及ばないようにするなど,日銀が幹部の資産管理に厳格なルールを作っておくのも,信頼維持の方策の一つだろう。
(引用終了)


 やはり辞めよとは言ってません。ただ,読売は一つだけ立派なことを書いています。「市場には今回の問題で,日銀が政治との関係を気にし,重要な政策判断をしづらくなるとの見方もあるが,そうした憶測を招いたこと自体,好ましくない。」という一文です。前回も書きましたが,こんな疑惑がもたれた時点で一流金融マンとしては失格。プライドのある人物ならとても今の地位に留まってはいられないはずです。ということは,プライドがないのか,一流でないのか。ま,どっちでもいいんですけどたいした人物ではないということなんですねえ。量的緩和政策を解除したときは喝采を叫んだのを思い出しますが,あれが結局政府を怒らせることになってしまい,今回のスキャンダルを庇ってもらう事で結果的に日銀が落城したという見方もできるかもしれません。

 次に東京新聞を見てみよう。かなり辛辣です。


(Jun/16/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【福井日銀総裁 日本の信頼が傷つく】

  • 福井俊彦日銀総裁の村上ファンド出資問題は異様さを通り越して,どこか醜悪な様相を呈してきた。
  • 政府がスキャンダルに陥った日銀総裁を懸命にかばい,総裁は首相に感謝の言葉を述べる。目を覆いたくなるような光景である。
  • 総裁は自らの出資問題と政策判断は「まったく別問題」と強調したが,そんな言葉を額面通り受け止めるほど,市場と世間は甘くない。
  • 市場のプロはもちろん,普通の人に「いまや政府と日銀は暗黙の“インサイダー関係”に入った」と受け止められても仕方がない。
  • 会見でファンドの運用成績を問われると,総裁は「残高がいくらか見たこともない。初めから,関心がありません」と答えた。そんなせりふが一般の常識から遠くかけ離れていることを,総裁は分からないのか。
  • 残念ながら,最高度の高潔さと公正さ,透明性を求められる日銀総裁として,福井氏は不適格であるとあらためて指摘せざるをえない。
  • 与謝野馨経済財政・金融担当相は「税金を払った後で,自分の財産をどういう金融資産に投資しようと差し支えない」と語った。
  • 政策責任者の金銭感覚には,大きな問題がある。徹底的な真相解明と早急な対応策づくりが必要だ。でなければ,国民がやりきれない。
(引用終了)
 

 総裁を「醜悪」とし,「いまや政府と日銀は暗黙の“インサイダー関係”に入った」とまで書いています。あまりにも見苦しくてこういう表現になったのでしょう。なかなか読者の気持ちが反映されていて,さすがは東京新聞といったところでしょうか。

 最後の方に与謝野大臣のコメントが載っていますが,経済閣僚がこんな発言して本当に恥ずかしくないのですかね。税金を払った後ならインサイダー取引してもいいわけですか。やっぱりエライ人は何やっても許されるんですね。いい世の中になりましたね。
 
 最後に朝日新聞。やや専門的な話も加えながら,なかなかよくまとまった社説だと思います。


(Jun/16/06 朝日新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【日銀総裁 これでは納得できない】

  • 真摯(しんし)な反省は伝わってこなかった。ファンドへの残高という基本的な情報でさえ,「精査の上で出したい」としただけだった。
  • 一方で,社外取締役を務めた会社の株式を保有していることが明らかになった。日銀の内規には触れないというが,金融政策の最高責任者なら,ルールがどうであれ,信託するか売るのが筋だ。
  • 日銀総裁という公人になった後にまで個別の人物を応援するような投資を続ければ,中立性を問われても仕方ない。
  • この2月になって解約しようとしたことにも疑問がある。村上前代表の行動に対して,「当初の志と違う」との思いが募ったためだと釈明しているが,そもそも総裁に就任する際に整理すべき投資だった。
  • 2月といえば,ライブドアへの強制捜査が進み,村上氏との関連がささやかれ出した時期だ。
  • ゼロ金利の解除をめぐって政府との緊張関係が高まる時期に,日銀総裁の適格性が疑われるのは大きな失態だ。
  • 遠からず政府が嫌う利上げに踏み切る時が来る。その際に,ためらいが出ないか。政府にかばってもらった「借り」があるという印象だけでもマイナスだ。
  • 中央銀行の信認をこれ以上傷つけたくないのなら,地位をなげうつ覚悟があってしかるべきだ。
(引用終了)


 村上への不信が原因ならなぜ2月なの?去年のフジテレビ騒動のときじゃないの?と突っ込まれる余地もありますよということも示唆されますね。

 ま,どの社説を見ても日銀総裁が疑惑をもたれたという事実は重いと見られているにもかかわらず,総裁辞任を否定した時点で日銀は政府の陥穽によって落城したと見るべきでしょう。これでゼロ金利解除は遠のき,増税が近づき,正直者はよりバカを見る世の中になっていくことが濃くなってきました。あとは原子力潜水艦がやってくるのと,牛肉輸入が再開するのと,間違った愛国心教育が強制されるのと,それらに反対しようと相談するだけで逮捕される共謀罪がやってくるわけですね。うーん。出家して正解だったかも (^^;続きっていうか蛇足・・・
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2006年06月15日

辞めなきゃいかんのはわかるでしょ

 日銀総裁の”インサイダー事件”について気になる点が多いので書き留めておく事にしよう。

(Jun/15/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【福井日銀総裁 これは辞任に値する】

  • 金融市場は日銀の独立性に疑問を投げかけた。信認を失った以上,速やかに総裁を辞任するほかない。
  • 前代未聞の異様な事態である。福井総裁は富士通総研理事長を務めていた一九九九年秋・・・(略)・・・村上ファンドに有志数人とそれぞれ一千万円を拠出し,今年二月に解約を申し出るまで,利益を得ていたことを国会で認めた。
  • 当時,珍しかった新事業には信用が不可欠だった。福井氏は自ら「広告塔」になることを承知の上で,出資を買って出たのではないか。
  • 民間在職当時ならともかく,最高度の中立性と透明性が求められる日銀総裁に就任する際,そんなファンドから抜けなかったのは,単なる不注意ではすまない。
  • 二月に解約を申し出たのも,不可解だ。二月といえば,証券取引等監視委員会や東京地検特捜部の内偵が進み,村上容疑者への強制捜査がうわさに上っていた。(略)事情を知っていて解約したなら,これは「究極のインサイダー取引」にならないのか。
  • 金融市場には「総裁は自分をかばってくれた政府に大きな借りができた。政府の反対を押し切ってゼロ金利解除はできない」という観測が出ている。(略)これは,日銀総裁として致命的である。
  • そんな総裁が重要な政策判断をできるのか。福井氏は自ら進退にけじめをつけるべきである。
(引用終了)

 大手新聞が福井総裁の今回の行為を「究極のインサイダー取引」と呼ぶインパクトは非常に大きいと思います。ま,事情を知っていたなんて総裁が言うわけないし証明する事もできないので,実際にはインサイダー取引には該当しないという結論にしかなりませんけどね。

 どうも不可解なのが政府が総裁の言動を擁護している事。この社説の最後部に書かれているとおり,日銀の動きを縛ろうという意図があるのかもしれません。村上の捜査が続いて,福井総裁にとって歓迎できないさらなる事実が明るみになっちゃったら援護射撃も弾が尽きると思いますが,さてどうなるものやら。
 
 同じ問題について,毎日新聞の社説は総裁のクビまで取れとは書いていませんでした。でも,具体策の提言については本当に理解して書いているのかどうか疑わしいシロモノで,どうも不自然な社説になっていました。

(Jun/15/06 毎日新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【福井日銀総裁 資産公開で透明度を高めよ】

  • (総裁の)村上ファンドへの拠出は,日銀の接待汚職の責任をとる形で副総裁を辞任し,民間のシンクタンクの理事長を務めていた時だった。
  • 摘発されたニッポン放送株をめぐる(村上ファンドによる)不正取引では,ライブドアを巻き込み自作自演のような形で高株価を演出したうえで,売り抜けて巨額の利益を得ていたという。
  • 「出発点と到着地点との大きな落差は大変遺憾」と福井総裁は述べ,陳謝しているが,取引の内容を詳細に示し,国民の不信を取り除いてもらいたい。
  • 福井総裁と村上ファンドの関係は,自ら国会で明らかにする以前から周知の事実だった。村上ファンド自体が,福井総裁から拠出を受けていることを明らかにしていたからだ。
  • 福井総裁の場合は,総裁就任の時点でファンドへの拠出は解約すべきだった。
  • 今後の措置としては,株式での運用など市場との連動性の高い金融商品は在任中は保有しないなどの規定をつくったり,資産公開を行うなど透明性を高める工夫も必要だ。
  • 一方,この問題は日銀の政策運営とは別の問題として扱うべきだ。
  • ゼロ金利解除という微妙な時期に,この問題で市場が動揺するのは不幸なことだ。
  • 村上ファンドへの拠出が政治的に利用され,金融政策がゆがめられることがないようにしてほしい。
(引用終了)

 うーん。資産を公開すりゃあ今回のような問題は防げたとは思いますが,そこまでしないといかんのかなあという印象。マーケットの疑心暗鬼を払拭するには荒療治も必要でしょうけど,これが将来にわたって義務づけられるというのはちょっと酷ではないかと思います。インサイダーの疑惑がかかること自体が一流金融マンとして大変に不名誉な事なのなのであって,疑惑が真実であった以上,自ら出処進退を決して静かに去るべきなのです。人に不備を指摘されてあれこれ言い訳して居座るなんてことはやっちゃいけないのです。村上ファンドがやってきた拝金主義的なやり口は断罪されるべくして現在断罪されているわけで,その延長の議論を福井総裁に当てはめるのならば,結論は「辞任」ということになるのは自然だと思われます。

 毎日新聞がなぜクビまで言及しないのかはわかりません。そもそも「村上ファンドへの拠出が政治的に利用され,金融政策がゆがめられることがないようにしてほしい」と書く理屈がさっぱりわからないのです。さっさと辞任させて政府の影響が及びにくい人間を新たに総裁に迎えないと,東京新聞の社説のとおり今のままでは福井問題が政治的に利用されてしまうことになると思うんですけど。
※今日の政策決定会合でゼロ金利政策の継続が可決されましたが,これは特段政府の圧力の結果だとは思いません。市場予想では来月以降という見方が大半でしたから。
 
 あと,毎日新聞の提案に「今後の措置としては,株式での運用など市場との連動性の高い金融商品は在任中は保有しないなどの規定をつくったり」とありますが,”市場との連動性の高くない金融商品”ってどんなものがあるのか教えてもらいたいものです。毎日新聞は問題の本質を何にもわかってはいないということがはっきりする一文ですね。

 ごくわずかの私募形態をとる村上ファンドへの拠出が問題であるというのが本質。毎日新聞の言うとおりにしないといけないのであれば,預金もできないし,国債やら一般の投資信託だって買えません(そもそもゼロ金利が解除されるかどうかっていう瀬戸際で市場金利が影響を及ぼさない金融商品なんてあるわけがない)。内容不透明な私募ファンドなぞには日銀総裁ともあろう者が投資するべきではない,とさえ書けば,人の上に立つべき人間には何が言いたいのかは伝わるはずです。全国紙が極論に走ってどうすんの?っていう典型的な例でした。

 さて,この問題についていろんなブログでも意見が出ているようです。全部を見るのは不可能ですが,感じよくまとめられているサイトがあったので紹介しておこう。
【日銀総裁 ブロガーも「レッドカード」】(Jun/14/06 JINビジネスニュース)

 これもおまけに。
【日銀総裁 村上ファンドから すばやい「逃亡」】(Jun/13/06 JINビジネスニュース)続きあります!
posted by 時をかける僧侶 at 20:52| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(2) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月09日

オーナー企業の強み

 葬式が続いていつものようにダラダラとエントリが書けません。気になるニューズを一つ選んでコメントをしておきます。

(Jun/09/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【上場業務改革の“足かせ” すかいらーく株非公開化 「株主,リスク理解難しい」】
 外食大手のすかいらーく(本社・東京,東証1部)は8日,経営陣による自社買収(MBO)で上場株式を取得し,非公開にすると発表した。外食市場は少子高齢化で先細りが予想されるため,現在約5万人を超える株主の意向や株価に左右されない体制に改め,経営に柔軟性を持たせる狙いがある。株式の上場維持には,「村上ファンド」のような敵対的買収への対応策も含めてコストがかかることから,オーナー企業などを中心に非公開化の動きも増えている。(略)
 都内で会見した横川竟(きわむ)会長兼最高経営責任者(CEO)は,「既存店の改修には相当の投資が必要で,赤字もありうる。株主にそうしたリスクを理解してもらうのは難しい」と述べ,上場が迅速な業務改革の足かせになっているとの認識を示した。すかいらーくは,竟氏と実兄の茅野亮氏ら兄弟4人が共同で設立した企業で,オーナー色が強い。今年3月,竟氏が3年ぶりに会長に復帰し,非上場化の環境が整ったとみられる。
 横川会長は,上場廃止後の新会社の経営陣に残る予定だ。非公開後は不特定多数の株主による監視がなくなり,経営の規律が下がる懸念もある。(略)
 株式の非公開化は,敵対的買収に対する強力な防衛策となるだけでなく,短期的な利益を求める株主に左右されず,経営の裁量権を握れるメリットがある。
 上場維持には,四半期ごとの情報開示などにコストや事務的な負担を求められるため,資金調達方法が多様化する中,企業によっては株式上場の意味合いが薄らいでいる。
(引用終了)

 個人的にはすかいらーくの発表は評価しています。店には行った事ないですけど。理由は,この読売の記事にあるとおり。オーナー企業なんだから,別に不特定多数の株主の監視が嫌なら上場廃止するのは非常に健康的な考えだと思います。皆が皆上場を目指すべしという市場原理主義や現在のベンチャー思想から考えれば逆行でしょうけど,そういう選択肢が排除されることがないうちにやってしまうのは実に賢明です。
 
 記事にもあるとおり,株式の非公開化は「短期的な利益を求める株主に左右されず,経営の裁量権を握れるメリット」があります。どっかのファンドみたいに,一気に大量に株式を取得されてすぐに利益を上げないと叱られるという構造は,今の制度上どうしても残りますから,オーナー企業ほど上場なんて割に合わないのでしょう。そもそも株を上場するからには,どうぞ買ってくださいという意味合いがあるわけで,買われて困る(経営に過度に口出しされる)のが嫌なら上場なんてやめちまった方がいいという結論になるのもうなずけます。

 これがサラリーマン社長が率いる会社なら,こう簡単にはいきません。歴代の偉いさんお歴々の目が黒いうちは,どうしても「不名誉」だと解釈されてしまうでしょうから。会社の規模が大きければ大きいほど不特定多数の株主も多いと思われるので,そのあたりの調整も難しいでしょう。オーナー企業だからこそやりやすいという面はやはりありますね。

 僕は個別の株式投資はやりませんので情報には疎いのですが,そういうオーナー企業で上場している会社ってまだまだありそうな気がします。やはり上場取りやめの方向で進んでいくのでしょうか。何にせよ,守れるものは今のうちに守っておいた方が良いということには変わりありません。来年5月から施行される会社法で買収の対象になってしまう前に動いておかないと・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 23:56| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月05日

無知な煽動ほど恐ろしいものはない

 この話題を続けるのはこれが最後にしたいところですが,銀行の決算および納税の問題について,ちょっと見逃せない記事を見つけてしまったので紹介します。

(Jun/01/06 ゲンダイネットより引用開始)
【大手銀はなぜ法人税を払わないのか】
 消費税アップが議論になっているが,そんな中,今年度の税収見込みが大幅に増える見込みなのが分かった。(略)
 この調子だと,消費税アップも封印されるようにも見えるが,そうはならない。空前の高利益を上げている大銀行がちっとも法人税増収に寄与しないのだ。
 06年3月期の大手銀6グループの連結最終利益は3兆1000億円。ふつうに考えると1兆円くらいの税金を払っておかしくないが,与謝野馨金融大臣は「銀行は法人税もまだ支払えない。半人前だ」と言っていた。
 銀行は不良債権処理で巨額の欠損金を抱えているものだから,利益が出ても法人税を払わないで済む。欠損金は最長7年間繰り越すことができるため,銀行によっては当分,法人税を払わないですむところもあるのだ。
 銀行側は「不良債権処理の引当金を積んだ時点では損失にならず,法人税を払ってきた」と言う。払っていないのではなく,「過去に払いすぎたんだ」という理屈なのだが,庶民にしてみれば,腑に落ちない。金融ジャーナリストの須田慎一郎氏もこう言うのだ。
「確かに税法上はそうなるのかもしれないが,銀行は公的資金をもらい,土俵際ギリギリのところで特別に救済されたわけです。危機を脱し,儲けたときは何らかの形で社会に還元する必要があると思います。分かりやすいのは税金を多く納めることですが,今の銀行はそれを免れている。しかも,支店をドンドン少なくし,利用者に不便をかけて平気な顔をしている。許認可制で,新規参入がほとんどないのをいいことにATMの手数料も横並びで儲けている。このままだと,銀行は猛烈なしっぺ返しを食らいますよ」
 大手銀はようやく住宅ローンの金利を一斉に下げることを決めたが,当たり前だ。
(引用終了)

 読んでみてどう思われるでしょうか?僕は,これはひどい言いがかりだ!と思いました。

 日刊ゲンダイはそこそこ好きで良く読むのですが,この記事は無知な庶民をして銀行に批判の矛先を向けさせようとするだけの,煽動が目的の記事であって,とても首肯できるものではありません。おかしな点を挙げると,

  1. 空前の高利益を上げている大銀行がちっとも法人税増収に寄与しない。
  2. 払っていないのではなく,「過去に払いすぎたんだ」という理屈なのだが,庶民にしてみれば,腑に落ちない。
  3. 須田「分かりやすいのは税金を多く納めることですが,今の銀行はそれを免れている。」
  4. 大手銀はようやく住宅ローンの金利を一斉に下げることを決めたが,当たり前だ。

 これらの主張は全ておかしい。検証します。

 1点目。これは前エントリでも紹介したし,記事の中で銀行側の発言のとおり,銀行はすでに低利益(大赤字)のときにも多額の法人税を支払っています。税法の決まり通り支払っているわけです。「過去に税金で救済されたんだから支払ってもいいだろ!」というのは感情論としてはわからなくもないですが,やりすぎです。こんなこと許したら全国の赤字企業も納税しないといけなくなっちゃいますし,法律上支払う必要のないカネを社外に流出させたとなれば銀行経営者は株主代表訴訟にリスクに晒されるでしょう。

 2点目。庶民の側に立てば何を言っても許される,というゲンダイ記者の底が透けています。税効果会計がわかっていない庶民(ほとんどの庶民が該当するでしょう)にしてみりゃ,銀行が大赤字のときになぜそんなに納税したのかについても腑に落ちていないはずです。こういう記事を書くから,僕は扇動的だと思うのです。銀行が勝手に決めた手数料率について云々言うのはかまいませんが,国民の代表が集まって決めた法案に基づいて納税する必要がないとされた会社の行為についてとやかく言うのは明らかに間違った行為であり,それを知ってて無知な庶民を煽動しようとしているのなら有害です。

 3点目。銀行は納税を免れているわけではないということは金融ジャーナリストなら知っていなきゃいけない事実です。法令に従って,先に払いすぎているか,納税を繰り延べしているだけです。免除なんてされちゃあいませんし,これを免除だと言われれば,全国の赤字企業も全部納税を免除されていることになります。感情論だけで銀行を批判している,最もダメな例です。

 4点目。これが一番悪質,というか噴飯物。住宅ローン金利がどのように決まっているのかについて全く無知な記者が書いているから,こんな結びになるんです。銀行が住宅ローンの金利を下げたのは,「猛烈なしっぺ返し」が怖いからじゃありません。市場金利(新発の10年債の市場利回り)が下ったから,それに連動して下げただけです。しっかり勉強しろよ。

 以上のように,感情論としては同情できても,あまりに無知な煽動記事であり論理が屈折しまくっているので放置できませんでした。日刊ゲンダイは多数のサラリーマンが不満のはけ口を求めて読み捨てる夕刊タブロイド紙ですから,世論形成にはかなり力があるのです(原田武夫氏のセミナーで聞きました)。こんな煽動記事で間違った銀行批判の世論が作られては,日本人は世界から笑われます。願わくは,この記事のおかしさに気付く人が多数現れんことを。

 最後に僕の主張をまとめておこう。

  • 銀行は大赤字のころも法令通り納税したが,庶民にとっては払いすぎの行為に見えた。
  • 直近決算で大幅な黒字になっても銀行は納税していないが,法令通りの行為であって,脱税しているわけではない。
  • これを銀行が黒字でも納税していない,と脊髄反射するのは税効果会計を知らない証拠。
  • 庶民は,銀行だけの論理で一方的に決められているATM利用手数料や振込手数料が割高であることを批判すべき。
posted by 時をかける僧侶 at 21:54| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月03日

銀行決算は「役務取引等利益」に注目すべし

 前回に引き続き,銀行の決算について僕が関心をもった点を見ていきます。

 前回は「銀行は空前の利益をあげているのに税金を納めていない」という扇動的な間違いを指摘しました。今回ネタにするのは”手数料”。

(Jun/02/06 innolifeより引用開始)
【公正取引委員会,銀行金利・手数料全面調査】
 公正取引委員会は,都市銀の金利と手数料など,消費者金融全般に渡る調査に着手した。公正取引委員会は昨日から10の都市銀の独占規制と公正取引法違反可否に対する調査に電撃的に着手した。(略)
(引用終了)

 おっと,これ,日本の話じゃありません。韓国の話です。日本には都銀10個もないです^^;

 気を取り直して日本の話に戻します。銀行がどれだけ手数料収入に力を入れているかという例を見てみよう。例えば三井住友銀行。
 三井住友グループ全体の連結決算を見ると(→ リンク先の「1.損益」参照),粗利益2兆901億円のうち「役務取引等利益」は6,195億円と,全体の29.6%を占めている事がわかります。ちなみに前年度は粗利益2兆250億円のうち5,161億円で25.5%でした。随分熱心に比率を上げてきたことがわかりますね。

 金額ベースでも1,000億円以上伸びていて(粗利益全体では650億円しか伸びていません),なんと前年比で20.1%もの伸びになっています。さて,ここで冷静になって考えていただきたいのですが,なぜ「役務取引等利益」つまり”手数料”がこんなに急激に増えているのか?ということです。銀行の経営努力の結果?そりゃあ甘いっすよ。

 個人の客として銀行の窓口やATMに赴くとき,昔だったら考えられないことに手数料がかかり,驚く事が多いです。例えば,「両替手数料」とか「入金手数料」。ま,そりゃあサービスでノーロードでやれとまでは決めつけたくないですが,時間外とはいえATMに入金するのに手数料がかかるなんて・・・。税金で助けてもらったからこそ現在があるという恩を完全に徒で返すような仕打ち。それなのに銀行経営者が口を開けば「今でさえも収益力においては外銀とは比べ物にならないぐらい低い」。

 はいはい。収益力が劣るのは,外銀と比べて日本の銀行員の年収が飛び抜けて高いことが原因なんですが,それには触れずに預金者にしわ寄せですかい。ああそうですかい。世の中デフレが進んでいるはずですよね?手数料なんて真っ先に引き下げて然るべきでしょうに。企業の残高証明が1通2,100円って何ですかい?僕が銀行員だったころは210円だったぞ。10倍になっとるやないけ。やっぱり98年の金融危機のときにもっと銀行潰しておくべきだったね。

 あと,このブログでも何度も何度もとりあげている投資信託の販売手数料。山崎元『投資バカにつける薬』講談社を読めばかなり詳しく販売手数料がなぜ高いのかについて書かれていますが,真相は談合に近いですね。投資信託は銀行で買うもんじゃないです。”日経225をベンチマークとしてこれを上回る成績を目指す”とか謳っているような投信はすっぱりやめて,どうせ買うならETFという上場投信を証券会社で買いましょう。

 ま,そうは言っても銀行はガンガン行っているシステム投資の資金回収のために各種手数料を引き下げるわけにはいかないという内部事情も僕はわかっているつもりです。でも,だったらそのようにきちんと言って預金者に頭下げてお願いしないといけないことです。預金を低金利に留めておいて手数料を値上げして,投資ブームに乗っかって投信販売手数料を高目に設定してこその高収益なんだから。

 大手新聞の社説も一通り読みましたが,手数料に言及して厳しく問い詰めている新聞は皆無でした。だいたいが貸倒引当金の戻入でトヨタを上回るとか上回らないとかの社説ばっかり。預金者に還元せよと書いている新聞は産経などがありましたが,どうも的を射ない。何かまともなことを書いている社説はないかと探していたら,北海道新聞がちょびっとだけ書いていました。

(May/25/06 北海道新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【大手銀行決算*最高益は誰のおかげか】

  • 公的資金の支援の下で,バブル期をはるかに上回る空前の利益が確保された。
  • 日本の金融再生への大きな節目と言っていい。ただ,各グループが自力で収益力を向上させ,復活を果たしたというわけではない。
  • 税金である公的資金の注入をはじめ,ただ同然の預金金利など,長期にわたる国民の犠牲の上に今日があることを,あらためて肝に銘じるべきだ。
  • 投資信託や個人年金保険販売などの手数料収入の急増もあった。
  • 大手各行は手数料収入など非利息収入を拡大する戦略を強め,預金金利の低さに不満を募らせる預金者にリスク(危険)を伴う投資信託への乗り換えを勧めてきた。
  • 投資信託を販売し,顧客の資金を預金口座から投信口座に移せば,手数料収入や信託報酬を効率よく確保することができた。
  • だが,銀行は,もっと顧客に目を向けるべきだろう。銀行の株主への利益還元水準は一般の企業より低い。
  • 預金金利の低さに比べ,各種手数料の高さもバランスを欠いている。
  • 顧客の信頼を取り戻すことが,いっそう重要になってこよう。そのためにも,預金金利引き上げや手数料引き下げなどの利益還元策を競って考えるべき時ではないか。
(引用終了)
 
 「リスク」を(危険)とカッコ書きするなど,地方紙ならではのお茶目な勘違いがあるにせよ,「預金金利の低さに比べ,各種手数料の高さもバランスを欠いている。」ときちんと書いています。願わくば,僕のように具体的な数字をあげてもっと説得力をもたせてくれれば,より良かったかな,と。

 さて,いろいろ書いてきましたが最後に大事なことを書いておきます。僕がなぜ銀行をこうやって責めるのかと言うと,彼らに「自己反省がない(あるいは足りない)」と感じられるからです。ただそれだけです。日本経済の血液の流れをサラサラにするのが彼らの仕事なのに,知識のない預金者を騙すような形で手数料をふんだくって高収益を挙げるなんていう破廉恥な事はして欲しくないのです。反省して謙虚になって頭を下げるべきときに下げる事ができるのなら,僕もこんなこと書いたりはしません。覚醒してほしいものです。



(参考)
 三井住友グループ以外の「役務取引等利益」の額は以下のとおり。

【三菱UFJグループ】
1兆997億円(前年度9,248億円,増加率18.9%)

【みずほグループ】
5,559億円(前年度4,726億円,増加率17.6%)
posted by 時をかける僧侶 at 20:36| 兵庫 ☁| Comment(2) | TrackBack(3) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月01日

銀行は本当に納税していないのか?

 大手銀行グループが3月決算の短信を発表して,儲けすぎ批判が起こっています。3,4日前の各紙社説に一斉に載ってましたが,全部紹介しても面白くないので,社説ではなくちょっぴり意地悪な記事を採り上げることにしよう。
 
(May/24/06 ZAKZAKより引用開始)
【空前の好業績も…大手銀ナゼだ,法人税納税ゼロ】
 23日,出揃った大手銀行6グループの2006年3月期決算。景気回復の追い風を受け,グループ合計の連結最終利益は前期比4.2倍の3兆1212億円に達した。バブル期を上回り,17年ぶりに過去最高を更新する空前の好業績となったが,主な利益の源泉は貸し倒れ引当金の戻り益という“負の遺産”。しかも,法人税を納めていないというのだから,与謝野馨金融相が「まだ半人前」と皮肉ったのも当然だ。
 不良債権を手当てするための貸し倒れ引当金。この戻り益の“恩恵”が最も大きかったのは三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)。旧UFJ銀分を中心に6982億円もの引当金が不要になり,それがそのまま戻り益になった。
 「景気回復で貸出先の業績が立ち直り,不良債権が“不良”でなくなったためだが,市場では,流通大手のダイエーやマンション大手の大京など不振企業を多く抱える旧UFJそのものが“宝の山”になったなどと皮肉っていた」(大手証券アナリスト)
 ほかに,みずほFGは1805億円,りそなホールディングスも114億円の“棚ぼた”的な臨時利益を得た。
 この機を逃すなと,三菱UFJとみずほは6月から7月,三井住友FGも来年3月までに公的資金を完済することを表明している。
 もっとも,公的資金を完済するのはいいが,大手銀は法人税を納めていないというのだ。「儲け過ぎ」との批判が強まるなか,税金すら払っていないことに,「なぜだ!」との声が飛びそうだが,「大手銀は過去の不良債権処理で生じた繰り返し欠損を利益と相殺でき,法人税の多くが免除されている」(同)。(略)
(引用終了)

 ZAKZAK(産経グループ)は”法人税納税ゼロ”に焦点を当てていますが,これはやや会計に無知な読者を煽っているような危険な香りがしないわけでもありません。確かに今期は納税していません(しなくていい)が,過去の決算を見ると赤字なのに納税しています。僕にはカラクリを詳しく述べるほどの時間と能力(僕の簿記は2級レベル^^;)がないので簡単に書くと,

  1. 商法,証券取引法,税法で決算書の作り方が異なる(それぞれ債権者向け,投資家向け,徴税者向けの資料)。
  2. とくに税法では「損失」確定の要件が非常に厳しい(税法用語では「損金」です。念のため)。
  3. 実際に倒産していない企業への融資はたとえ不良債権であっても税法上「損失」にはならないが,不良債権として考えたときの貸倒引当金はその他の法律上では「損失」として扱わなければならない。
  4. つまり「税法上は黒字,実質は赤字」ということが起こりうる。
  5. 税法上黒字であれば納税しなければいけないが,投資家たちは実質の赤字の額を見て「納税する必要がない」=「社外に資金が流出しない」と誤解してしまう。
  6. これでは正確な企業価値が測れないので,企業に「税効果会計」の適用を義務づけて,帳簿を見れば4のような事態がわかるようにした(グローバルスタンダード)。
  7. 銀行の場合,過去,実際の帳簿は赤字だが税金はたっぷり支払っている。
  8. ただし,将来貸付先が本当に倒産して損失になったときには税法上も「損金」になるから,以前支払った税金は「支払う必要がなかったもの」として戻ってくる(繰り延べできるのは5年以内だが)。
  9. 逆に貸付先の業況が良くなって不良債権ではなくなったとき,納税は正しかったものとなる一方で,税効果会計の適用であらかじめ損失を計上していたものが利益として戻ってくる(税金が戻るのではなくて帳簿上の利益が増える。今回のケース)。
  10. つまり,すでに納税はすませてあるが,戻ってきた利益で黒字になろうとも(すでに納税は終わっているので)新たに納税する必要はない。

 というような感じです。

 ですからZAKZAK記事の最後のアナリストの発言は嘘八百。法人税が免除されているのではなくて,あらかじめ支払っていたのだから二重で支払う必要がないのです。本当にアナリストに聞いたのかどうか疑わしいですねえ。僕の程度の会計知識でもわかることなんだけど。

 おっと。実は大手銀行の利益の源泉についても踏み込んで書きたかったのですがタイムオーバーになりました。続きは次回に書く事にします。
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2006年05月30日

産経の上っ面だけの姿勢こそ 糾すべきだと我は説きけり

 遺伝子組み換えのエントリ(ここここ)について,再び[koji_doi]氏からトラックバックをいただいております。
【神代とか、変なものを振り回さないでほしい】(May/27/06 新・非公正ブログ)

 僕の説明が拙かったのでしょう。どうも趣旨が伝わっておらず,細部に対していろいろとご意見をいただいたようです。反省すべきところは反省したいと思います。

 振り返ってみますと,僕が一つ目のエントリで言いたかった趣旨は「産経新聞は日ごろから日本の伝統云々にうるさいくせに,長年の月日を経たコメ文化を軽視して花粉症対策としての遺伝子組み換え米の生産を推奨するというのは如何なものか?」ということでした(今回のエントリの後半部分で詳説)。遺伝子組み換えに対する個人的な意見を書きましたが,別にそれをもとに反対運動として昇華させようとか推進派に理解してもらおうという気は今も特にありません。僕は3年間鹿児島で畜産業者に融資していた経験があり,組み換え飼料問題には直に見聞きしてきましたので,遺伝子組み換え技術に偏見を持っているわけでもありません。ただ産経新聞の上っ面の社説を批判しただけです。

 ま,その説明の肉付けの部分で,勇み足というか「定義」に対する認識不足から,僕は遺伝子組み換え技術を「人為的で自然破壊的な科学技術」と呼んでしまいましたら,[koji_doi]氏からお叱りを受けました。「人為」「自然」の定義が曖昧だということで。

 おっしゃるとおりですので,補足しておきます。僕が使った「人為」というのは「神為」(そんな言葉があるかどうかは不明ですが)に対する言葉であり,種の壁を超えてしまうような所作をヒトが為してしまうという意味です。「自然破壊的」というのも同意で,創造主だけが種を扱いうるという自然のルールをたかだか人類が破壊してしまうということです。ま,自然のルールとか言い出すと,そんなこと誰が決めたのか?とまたお叱りを受けそうですが。ヒトが種を扱っちゃいけないというルールがあるわけでもないのは承知していますが,これは公理だと考えてください。正しいとか正しくないとかではない,宗教倫理からくる公理です(科学的でないことは重々承知しています)。

 この定義でいくと,品種改良と遺伝子組み換えは実質的にも同じではありません。前者は種の壁を超えるような技術ではありませんから。同様に単なる品種改良は「自然」に手を入れてはいません。


 その他の[koji_doi]氏のご指摘はそれほど問題ではありません。価値観,もっと根源的には宗教観の違いですから,宗教家の論理で突っぱねたとしても納得は得られないでしょうし,かみ合わない議論で疲れるでしょう。
 それでも敢えて書いてみましょうか?例えば僕が,花粉症は人類の退化による病症(昔は花粉症なんてなかった)だと書いたら,[koji_doi]氏はこう反論されました。

(前掲ブログより引用開始)
昔は花粉症なんてなかっただって? なんでそんなことがいえるのか。医学の技術向上は治療技術の向上だけではなく病気の同定技術の向上をも含んでいるということを氏は理解できていない。要するに、花粉症は昔は気の病とか風邪とかで片付けられていた可能性が高いのだ。
(引用終了)
 
 ほぉ。それでは昔も春先に街に出れば気の病で老若男女がマスクして歩き回ってたと。あちこちでくしゃみの音が聞こえていたと。お気の毒に。おじいちゃんにでも「昔もみんなあんなにくしゃみばっかりしてたの?」って聞くだけで事実は判明しそうなものですが。


 ま,冗談はおいといて,花粉症に打ち勝つための遺伝子組み換え技術の話に戻りますが,まずは僕の主張をエントリから引用します。
 
(僕の二つ目のエントリより引用開始)
「オレが花粉症になったのは花粉が悪いのだ。この花粉に打ち勝つために遺伝子操作をした食物を作って何が悪いのだ。」という思想は,僕のような宗教家にとっては見逃す事のできないものです。ま,純粋な科学者にとっては不思議でも何でもないのかもしれませんが,宗教家は「花粉症になるのはオレに問題があるのだ(昔はなる方が少なかったんだから)。オレの普段の行いを改めるべきなのだ」と考えるものなのです。
(引用終了)

 これに対する[koji_doi]氏の反論はこのようなものでした。

(前掲ブログより引用開始)
これが患者の自業自得であるかのような主張には断じて賛成できない。というか、ふざけるなという感じである。患者らは好き好んで花粉症になったわけではない。こんな発想が宗教家のスタンダードな考え方であるというのだろうか。やはり私はいかなる宗教家をも許容することはできない。
(引用終了)

 誤解されると他の宗教家に申し訳ないのではっきり書いておきますが,これは僕の宗教観です。スタンダードではありません。ま,強いて言うなら東洋の思想に多い考え方ですね。因果応報というやつ。気を病むから病気と書くのだという説教もそうです。好き好んで花粉症になる人はいなくても,花粉症になる原因(気も含む)を持っていたら必然的になるでしょう。同じ花粉が飛んでいる状況にいるのに,重症になる人と軽症で済む人,全く問題のない人に分かれるのは,ヒトの方になんらかの原因がありませんかね?サンプルも年々増えているわけですし,「こんな性格の人は花粉症になりやすい」という統計結果でも得られれば,別に遺伝子組み換えの米を使わなくても自分を変える事で克服できるのではないかと思います。ま,自分を変える事が嫌だから薬に頼ったり違う遺伝子に頼ったりするんでしょうけど,僕ら宗教家から見ればその姿は間違いなく「退化」にしか見えません。


 続いての問題点ですが,まずは僕の主張。

(僕の二つ目のエントリより引用開始)
退化した人類のわがままにつきあわせるために自然物に手をかけることこそ,僕は恥ずべき姿勢だと思います。自己反省と謙虚さを持ち合わせているかどうかということに尽きますね。
(引用終了)

 これに対しては,

(前掲ブログより引用開始)
自己反省をいくらしようとも謙虚であろうとも病気になるときには病気になる。花粉症に限らず病気とはそういうものではないか。もちろん病気になる確率の高いライフスタイルというのはあるだろうが、だからといってその結果を自業自得のものとして「自然」に運命を委ねることを強いられる謂れはない。患者たちの多くは切実に病気からの決別を欲しているはずである。そのための新しい技術を開拓して何が悪いのだ。
(引用終了)

 僕は何も「自然」に運命を委ねよとは言ってません。対症療法として薬も飲んだ方がいいし最新の医療技術を頼ればいい。新しい技術も開拓していただかないといけません。対症療法だけがわかればよい無反省で無宗教の方ならこれだけでいいでしょう。
 しかし,なんらかの宗教観を持っている人はその先を考えます。例えば僕なら自分の宗教観に従えば「自己反省をいくらしようとも謙虚であろうとも病気になるときには病気になる」とは考えません。反省が足りないから,または謙虚だと自分が思っているだけで全く気持ちが足りないから病気になるのだと考えます。そして,病気になってしまったのは仕方がないから対症療法で治療して,根本原因は別途で探り,さらなる自己反省を続けてこちらの原因を潰していく努力をするわけです。

 その過程で,宗教によって「先祖供養が足りなかったのではないか」とか「朝の礼拝をサボっているからではないか」とか「先月上司に怒られてムシャクシャしたからではないか」とか考えて,本当にそれが原因なのかどうかはわからないにせよ,反省すべきところをきちんと反省していくという形を大事にするわけです。まさにそれが宗教なんです。無宗教の方にはオカルトで議論の対象にすらならんでしょうけども。


 いよいよクライマックス。[koji_doi]氏の主張を続けて引用しよう。

(前掲ブログより引用開始)
そう。人類は昔から「自然物に手をかけて」暮らしてきたのだ。田畑の開拓はその最たるものである。氏の崇め奉る「コメ文化」とは組織的な自然改変の文化でもある。その結果として弥生人は急速に人口を増やして縄文人文化を席巻することとなった。これが氏のいう「神代の時代」(笑)におきたことである。氏にはその辺の認識ができていない。彼の定義する「恥ずべき」営みを否定することこそ、人がこれまで歩んできた歴史を否定するものである。恥ずべきはどちらの側か、結論は明白だな。
(引用終了)

 僕の中途半端だった定義が誤解を生んでいますね。すみません。先ほど述べた定義に従えば,人類は昔から「自然物に手をかけて」暮らしてはいません。それと大きな見落としがありますが,氏が言うところの「自然物に手をかけ」て暮らしてきた昔の人達は,ちゃんと大地に感謝を捧げて神を敬って生きてこられましたよ。種の壁を超えぬとはいえ創造主(一神教の場合の解釈)がお創りになったものを改変させてきたわけですから,許しを得て営みをさせてもらった報恩に感謝したり,豊作を祈願したり,秋には収穫祭りをして神と共に喜んだり,その場面に応じてふさわしい関わりを保ってきました。神代の時代(しつこい?)から人々は自然を畏怖してあちこちに神社や祠を建てて,荒ぶる神を鎮めて幸の神を招来して生きてきたわけです(意味もなく祭りで騒ぐだけってのは自然への畏怖を忘れた現代人の感覚です)。
 産経新聞の話に戻せば,あの新聞はそもそもこういう日本神道に根ざした文化風習を大事にせよと言ってきたわけですから,無責任に遺伝子組み換えを推進するな,とこう僕は言いたかったのです。皇室を敬えと偉そうに書く新聞が皇室のバックボーンである神道の教義を顧みずに,神宿る自然物を「人為」で改変させよと述べたから僕は「おかしくないかい?」と書いたのです。産経新聞は,皇室のお飾りの部分だけを利用して皇室の心を踏みにじっています。これじゃあ軍国主義時代と変わらないねと言われる余地が十分にありますよ,と。蛇足ですが。


 最後のモンサントの件はあまりゴチャゴチャこちらも書かなくてもいいでしょう。ターミネータジーンはモンサントだけの専売特許ではないし,好むと好まざるに関わらず遅かれ早かれそっちの方向へ向いていくでしょうから。

 ということで,本エントリは,最後に[koji_doi]氏のご意見を引用して,それに対する僕の意見を付けて終わりにします。

(前掲ブログより引用開始)
それと、倫理の話と経済の話と科学の話と、次元の違う話をごっちゃにするのは良くないと思う。
(引用終了)

 次元が違うとお考えになるのはご勝手ですが,それではただの専門○○。様々な見地から物事を俯瞰することも大事だと思います。もちろん,僕の知識・理解が浅い事は自覚していますよ。
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2006年05月26日

ライブドア司直の動きのその裏で 進みつつある事実こそ知れ

 時間がないので少しだけ。

(May/017/06 毎日新聞より引用開始)
【[ライブドア株]外国人保有48% 過半数に迫る】
 外国人株主によるライブドアの持ち株比率が,今年3月末時点で過半数に迫る水準に達していたことが16日,明らかになった。昨年9月末の時点では約20%だったが,粉飾決算事件の発覚後,個人株主が大量に売った同社株を海外投資ファンドなどが買ったことから,今年3月末には,約48%に跳ね上がった。
 ライブドア株については,これまで今年3月末時点で米国や香港の投資会社4社が発行済み株式の約3割を保有していることが判明していたが,他の投資ファンドなども再編などによる値上がりを期待して購入を増やしたとみられる。
 ライブドアをめぐっては,業務提携している有線放送大手,USENが株式交換による経営統合を計画しているが,実現には株主の3分の2以上の同意が必要。比重が増す外国人投資家の支持を取り付けるうえで,USENは自社の収益向上策やライブドアとの経営統合後の戦略を厳しく問われることになりそうだ
(引用終了)

 ホリエモンやら宮内やらの裁判が行われています。それもまあ大事っちゃあ大事なんですけど,この事実をどのように見るか,ということも大事です。僕は,ライブドアの”おいしい子会社”の切り売りのタイミングを狙った外人勢の仕込みはほぼ終了したなあという感触です。過半数には達していないとはいえ,残りは売り遅れた(売れなかった)個人投資家がほとんどなわけで,彼らはこの先も株を売ろうにも売りにくいので,結局はどこかがM&Aを提案したらその金額でダンするしかないはず。もはや勝負あったなと思います。

 今後のライブドアの鍵を握るUSENの大株主に村上ファンドが出てきましたし,これからはまさに文字通りハゲタカたちの荒し場になるでしょう。ホリエモンたちの末路としてはドラマチックなことこの上ない。ま,そうは言っても僕は未だにホリエモンらがやったことは巷間言われているほど悪い事はしていないと思っていますが。
※あくまでも比較論の立場で,ということですよ。法律違反はまぎれもない事実ですが,より悪質な粉飾決算で訴訟を起こされているアリコとか,300億円近い架空売上を計上して脱税したNECの子会社だとか,ライブドア事件とは比べ物にならないぐらいの金額による不祥事についてライブドア以上の取扱がされた報道がないもんですから,こう考えたということです。

 ちなみに個人投資家がライブドア絡みで儲けようとしたら,あの方法しかありません。僕はしないつもりなので詳しくは書きませんけど・・・。
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2006年05月20日

退化する人類が欲すわがままを 許すや否や神の御心

 先日のエントリ【遺伝子を組み換えた米を作れとよ 忘れちゃ困る瑞穂この国】に関してトラックバックをいただきました。
【遺伝子組み換え反対は宗教であるということ】(Apr/22/06 新・非公正ブログさま)

 今日は反論も加えながら,僕の言いたかった事をより踏み込んで書いていきたいと思います。

 さて[koji_doi]氏は純粋な科学者のご様子ですが,主張は出だしからちょっぴり曲がってしまっています。

(前記ブログより引用開始)
私としてはただ事実のみを淡々と記すが、だいたい農作物というものは普通「組み換え」の結果生じているものであるということだけは、食の安全とかを「これから」勉強しようとしている人には理解して欲しいとおもうのである。
(引用終了)

 氏は「人為的な」遺伝子組み換え技術による食物と,「自然的な」品種改良による食物をゴッチャにしていらっしゃるようです。ま,人間の都合で食物を変容させるという広義の意味で考えれば同じ「組み換え」だと言ってしまえるかもしれませんが,そうであると考えると,「遺伝子組み換え食品とは品種改良の進歩したものである」ということになります。ここが一つのポイントですかね。僕は「宗教家」なので,そのようには考えません。技術的に可能かどうかということと,やって良いか悪いかということは別問題であるということはお分かりかと思いますが,”良い””悪い”の倫理基準が僕と[koji_doi]氏では異なります。どっちが正しいとか間違っているとかではなく価値観の問題ですが。

 [koji_doi]氏はさらにこう述べておられます。

(前記ブログより引用開始)
GMO(引用者注:遺伝子組み換え食品のこと)反対それ自体は結構。だが、高校生物・高校地理程度の知識でも看破できるような矛盾を平気で主張して騒ぐのは社会の迷惑だからやめて欲しいのである。ましてや結論先にありきの全面否定など、民主社会の進歩を拒否する姿勢であり、また、人類の福祉向上への営みに挑戦する恥ずべき姿勢といって過言ではない。
(引用終了)

 僕は浄土宗の僧侶(厳密に言えばまだ見習い)であり宗教家ですが,決して[koji_doi]氏が主張しておられる「遺伝子組み換え反対は宗教である」という立場で反対しているわけではありません(言わずもがなですが)。また,[koji_doi]氏が挙げておられる人・団体のようなサヨク(?)くさい立場で,なんでもかんでも反対というわけでもありません。いたずらに危機を煽って人々を不安に貶めるのは新興宗教のやり口であり,そのような臭いのする反対論を「宗教」と呼ぶ事には僕も異論はありません。しかし,僕が展開する反対論はこのような脊髄反射的なものではありません。僕はエントリでこう書いたはずです。

(引用開始)
豊葦原瑞穂の国という言葉があるように,米(アメリカじゃないぞ)は日本の食品の象徴です。神代の時代から大事にしてきたのが米文化なのです。それを人為的で自然破壊的な科学技術である遺伝子組み換えなんぞで,たかだか花粉症の治療のために穢そうという。
(引用終了)

 日本人が自国の文化を軽視するのみならず,花粉症などという人類の退化による病症(昔は花粉症なんてなかったという事実から十分結論づけられるでしょう)を克服するために,あろうことか自然物の方に手を入れる,そういうことを推奨する産経新聞の社説を僕は批判したわけです。「オレが花粉症になったのは花粉が悪いのだ。この花粉に打ち勝つために遺伝子操作をした食物を作って何が悪いのだ。」という思想は,僕のような宗教家にとっては見逃す事のできないものです。ま,純粋な科学者にとっては不思議でも何でもないのかもしれませんが,宗教家は「花粉症になるのはオレに問題があるのだ(昔はなる方が少なかったんだから)。オレの普段の行いを改めるべきなのだ」と考えるものなのです。これは「人類の福祉向上への営みに挑戦する恥ずべき姿勢」でしょうか?退化した人類のわがままにつきあわせるために自然物に手をかけることこそ,僕は恥ずべき姿勢だと思います。自己反省と謙虚さを持ち合わせているかどうかということに尽きますね。

 より根源的なことを言えば,GMOが安全かどうかなんて「科学的には」わかりません。いつになればわかるかというのも愚問です。流行の言葉を使えば,安全でも危険でも「99.9%は仮説」であり,将来たった一例でも反例が見つかれば「科学的に」安全とか危険とかの「それまでの常識とされてきた事実」は事実ではなくなるからです。だからこそ,安全だから進めよとか,危険だからやめよという根拠不明瞭で二元的な議論ではなくて,この技術を進めてしまうと失ってしまうかもしれない物事についてきっちり担保せよ,という議論をしないといけないと僕は思っています。僕が産経新聞の社説を批判したのは,社説には失われてしまうであろうモノへの十分な配慮が欠けていたから,というわけです(保守のくせに,というのが皮肉として付きます)。
※例えば,ターミネーター・ジーン(自殺遺伝子とでも訳すか)問題について世間がどのように理解しているのかというような段階まで来ていないでしょ?モンサントなどの巨大穀物商社が展開しているこの動きをマスコミもワッチしていないでしょ?

 まとめてみましょう。

  • いたずらに危機を煽る組み換え反対論は「宗教」と呼んでも差し支えない。
  • しかし僕はその宗教とは無関係である。浄土宗の坊主ではあるが。
  • 仏教徒の立場に立てば,遺伝子組み換えをこれまでの品種改良と同列に扱う事はできない。
  • とくに人間の花粉症対策のための米開発など,自然を侮辱する行為であると考える。
  • 退化した人間のわがままに合わせる目的で,自然物のコアの部分に手を加えることは看過できない。
  • もちろんGMOが安全か危険かなんて科学的には証明できない。
  • 政策として進めるにしても,失うものへの配慮を欠けば反対せざるを得ない。

 遺伝子技術そのものを否定するわけではありませんよ。過ぎたるは直及ばざるがごとし。日本人として軽率なことをやり過ぎてはいかんよ,という話。
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2006年05月18日

アザデガンどっちを向いても利権はパー 間に合いますかい?次善策は

 アザデガン油田を巡る動きがあったようです。この問題,前門の虎後門の狼状態の日本はどっちに食べられた方が傷は少ないのか,そういう段階まで来ているのではないかと思って注意しています。

(May/17/06 asahi.comより引用開始)
【制裁参加なら対日禁輸も イラン大使が油田巡り警告】
 イランのモーセン・タライ駐日大使は17日,都内で記者会見し,同国の核開発問題をめぐり米国が検討しているとされる「有志連合」によるイラン制裁に日本が加わった場合,「イランへの制裁ではなく,日本への制裁になる」と牽制(けんせい)した。日本がイランで開発を進めるアザデガン油田の権利を失う可能性を示唆したものだ。
 日本の原油輸入量の約15%を占めるイランは,サウジアラビア,アラブ首長国連邦に次ぐ大口輸入先。アザデガン油田は推定埋蔵量260億バレルで日本が75%の権益を持つ最大の自主開発油田だ。大使は「日本のエネルギー安全保障にとって死活的に重要なアザデガンの権利を維持し,国益を守るべきだ」と述べた。
(引用終了)

 イラクに自衛隊を派遣したように,イランにも日本がアメリカ軍に連動した動きをするのなら許さんよということです。これで進退窮まりました。アザデガン油田の権利はいずれにせよパーになる可能性が超高いのです。次の記事を読めばこの事が実感できるでしょう。

(Apr/29/06 産経新聞より引用開始)
【日本「アザデガン」窮地 油田投資に制裁 米下院法案可決】
 米国下院本会議はイランの石油などエネルギー分野に二千万ドル以上の投資をした外国の機関や企業に米国政府が経済制裁を加えることを義務づけたイラン自由支援法案を二十六日,可決した。日本のイランのアザデガン油田開発の停止を目標とする同法案が法律となる見通しは強く,ブッシュ政権からの停止要請とともに,日本の同油田開発はイランの核兵器開発の動きとからんでさらに難しい状況に直面した。(略)
 同法案を促進する下院国際関係委員会のヘンリー・ハイド委員長(共和党)は,法案の主目標が日本であることを示唆しながら「日本が石油消費全体の15%をイランからの輸入に頼る現状では,イランとの石油のきずなを断つことが難しいのはわかるが,核開発阻止の国際連帯のために,イランへの圧力行使に協力してほしい」と述べている。(略)
 上院でもすでに同趣旨の法案が出され,可決される見通しが強いという。(略)
(引用終了)

 アメリカの言うことを聞くのならアザデガン油田利権はそのまんまパーになります。イランも迷わず利権を取り上げるでしょう。
 イランの言うことを聞くのなら利権は保てますが,アメリカに処罰されます。イランは自国産石油の決済通貨をユーロ建てにすることを検討しているわけだし(→ 【自国産原油価格,ユーロでの設定を検討する可能性=ベネズエラ大統領】(May/16/06 REUTERS)など),アメリカの怒りは相当なものになるはず。下院・上院ともに日本の動きを問題視している状況で,国家のエネルギー政策をアメリカに依存している日本が唾を吐けるわけがありません(吐いちゃうとパールハーバーを仕掛けるしかなくなるまで追いつめられますし,国内のCIAエージェントが日本国内を分断させる動きをとるでしょう)。

 結論。どっちの言うことを聞いてもアザデガンはパー。まして,イランを怒らせると現在の15%の供給すら危ぶまれます(もちろんアメリカが空爆したら確実に危機です)。じゃあ,イランはそのうち怒っちゃうとして,替わりにどこから石油を輸入するって言うのでしょうね。ロシアですか?でもロシアから買おうとしたらルーブル建てでないと売ってくれないかもしれませんよ(→ 【オオカミたちへの伝言】(May/17/06 ロシア政治経済ジャーナル))。北方領土も帰ってこないかもしれないし(日本をアメリカから切り離すために北方領土と石油をバーターってこともあるか・・・?)。

 サウジもアメリカから疎まれているし,ヘタしたらイランの二の舞いだから無理か。やっぱカナダかオーストラリアになりますかね。親米政権だし,ドルで買えばアメリカも文句言わんでしょう。早い事動きを見せておかないと,日本国内がオイルショックで大混乱してワールドカップどころじゃないですよ。マスコミも,オオグロー!,マキー!とか騒ぐのはほどほどにして,現実をしっかり報道してくださいよ。続きはここから!
posted by 時をかける僧侶 at 19:24| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月12日

当局の二歩も三歩も先を行く 金ちゃん走りを誰も止めれず

 ワイドショーのような話題を。村上ファンドがシンガポールに逃げたらしい。
【村上ファンド、海外に全資産を移転】(May/11/06 asahi.com)

 ねらいは,「(シンガポールの)税制だけでなく、ビジネスの優遇措置など投資ファンドの誘致に積極的な点を評価した」という表向きの理由だけではないでしょう。明らかに金融商品取引法が施行された後のファンドへの監視強化を嫌ったものであることは間違いありません。私募形式のこの手のファンドは資金の出し手のネームがクローズドであるからこそ巨額のマネーを運用できるわけで,それが当局に把握されてしまうと資金が集まらなくなる可能性が高くなります。こうなっちゃうと,せっかく仕掛けているTBSやら阪神やらの株も手放さないといけなくなるかもしれず,またたくさんお金を出している農林中金などの金融機関もビジネスチャンスを逃してしまう事になります(→ 【村上ファンドによる阪神電鉄ファンド、1320億円の半分以上は農林中央金庫が出資 WBSが報道】(Oct/16/05 Zopeジャンキー日記))。ま,儲けるためには農中としても村上ファンドにはシンガポールに出ていってもらった方がいいのかもね。

 世界の大金持ちを相手にした村上ファンドがこういう動きをしている中で,日本の弱小預金家たちを小ばかにして手数料をかすめ取ったり,貸し剥がしが怖くて断れるはずのない企業へスワップ契約を押し付けたりしてきた三井住友銀行は,公的資金(税金)を一部返済するらしい。
【三井住友FG、公的資金2040億円返済へ】(May/12/06 NIKKEI NET)

 資本増強も我々の税金を使い,返済原資も国民から引っぺがしたカネ。やっぱりメガバンクといえども一つぐらいは破綻させておくべきだったということかな。モラルハザードという言葉が風化してしまった昨今ですが,ここまでやられっぱなしで小金を持っている国民はなぜ怒らないのかなあ。僕みたいな貧乏人が怒ったって影響ないしなあ。言ったモン勝ちってことはないでしょうけど,見ざる聞かざる言わざるは,時と場合によっては美徳どころか巨悪の暴走を放逐するだけの不作為にしかなりません。やられグセ,負けグセが付いてしまっている日本人はここらでいっちょ爆発した方が健康にもいいと思うんですけどねえ。
posted by 時をかける僧侶 at 23:18| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

当局の二歩も三歩も先を行く 金ちゃん走りを誰も止めれず

 ワイドショーのような話題を。村上ファンドがシンガポールに逃げたらしい。
【村上ファンド、海外に全資産を移転】(May/11/06 asahi.com)

 ねらいは,「(シンガポールの)税制だけでなく、ビジネスの優遇措置など投資ファンドの誘致に積極的な点を評価した」という表向きの理由だけではないでしょう。明らかに金融商品取引法が施行された後のファンドへの監視強化を嫌ったものであることは間違いありません。私募形式のこの手のファンドは資金の出し手のネームがクローズドであるからこそ巨額のマネーを運用できるわけで,それが当局に把握されてしまうと資金が集まらなくなる可能性が高くなります。こうなっちゃうと,せっかく仕掛けているTBSやら阪神やらの株も手放さないといけなくなるかもしれず,またたくさんお金を出している農林中金などの金融機関もビジネスチャンスを逃してしまう事になります(→ 【村上ファンドによる阪神電鉄ファンド、1320億円の半分以上は農林中央金庫が出資 WBSが報道】(Oct/16/05 Zopeジャンキー日記))。ま,儲けるためには農中としても村上ファンドにはシンガポールに出ていってもらった方がいいのかもね。

 世界の大金持ちを相手にした村上ファンドがこういう動きをしている中で,日本の弱小預金家たちを小ばかにして手数料をかすめ取ったり,貸し剥がしが怖くて断れるはずのない企業へスワップ契約を押し付けたりしてきた三井住友銀行は,公的資金(税金)を一部返済するらしい。
【三井住友FG、公的資金2040億円返済へ】(May/12/06 NIKKEI NET)

 資本増強も我々の税金を使い,返済原資も国民から引っぺがしたカネ。やっぱりメガバンクといえども一つぐらいは破綻させておくべきだったということかな。モラルハザードという言葉が風化してしまった昨今ですが,ここまでやられっぱなしで小金を持っている国民はなぜ怒らないのかなあ。僕みたいな貧乏人が怒ったって影響ないしなあ。言ったモン勝ちってことはないでしょうけど,見ざる聞かざる言わざるは,時と場合によっては美徳どころか巨悪の暴走を放逐するだけの不作為にしかなりません。やられグセ,負けグセが付いてしまっている日本人はここらでいっちょ爆発した方が健康にもいいと思うんですけどねえ。
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2006年05月10日

遺伝子を組み換えた米を作れとよ 忘れちゃ困る瑞穂この国

 産経新聞だけは,こんなこと書かないだろうと信じていたのに・・・。

(May/08/06 産経新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【スギ花粉症 米を食べて治す道もある】

  • 飛散量が少ないといわれた今年も多くの人が花粉症に悩まされた。五人に一人は毎春,くしゃみや鼻水,目のかゆみなどでつらい思いをしている。
  • スギ花粉症の治療や予防に役立つ稲の開発が独立行政法人・農業生物資源研究所で進んでいる。この稲からとれた白米を毎日,少量食べれば苦しい症状から解放されることになるという。
  • しかし,この米には遺伝子組み換え技術が使われている。
  • 遺伝子組み換え作物には逆風が吹いている。販売だけでなく栽培に対しても根強い反対運動がある。しかし,すべてを否定するのはいかがなものだろうか。
  • 確かに海外ではバイオ企業の利益や生産者の利便に照準を合わせたような事例もあった。
  • だが,組み換え技術を使っていても花粉症緩和米に対しては流通を待ち望む声が多い。これは消費者の希望にこたえる技術であるからだろう。
  • 組み換え技術は,将来の食糧問題の解決で切り札となるはずだ。乾燥や塩分に強く,収量の多い農作物の開発は避けて通れない。
  • 政府は花粉症緩和米の開発を促進してみてはどうか。遺伝子組み換え作物との上手な付き合いの始まりとなる可能性が高い。
(引用終了)
 
 読んでみて率直な感想を書くと,ふ・ざ・け・る・な。
 豊葦原瑞穂の国という言葉があるように,米(アメリカじゃないぞ)は日本の食品の象徴です。神代の時代から大事にしてきたのが米文化なのです。それを人為的で自然破壊的な科学技術である遺伝子組み換えなんぞで,たかだか花粉症の治療のために穢そうという。皇室問題で日本の象徴ご一家を守れという論を張っていた産経新聞がこのような情けない社説を出すとは,がっかりだよ。

 そりゃあ将来の食糧問題は切実な問題ですよ。日本はカロリーベースの自給率は40%切っているわけだし,地球上の人口は増え続けているわけだし。でも,「万物に神宿る」という神道の思想や,「自然物は皆仏性をもつ」という大乗仏教の思想がDNAの幹の根本まで染みついている我ら日本人に向かって,神仏を穢してでも食糧を確保せよとは笑止千万。社説記者は,食前の「いただきます」という言葉は食物となった生命体への感謝の言葉であるということを学んでいないのでしょうか?それも産経新聞という保守系メディアにおいてこのような体たらくとは。本来はまっさきに遺伝子組み換えなどという神仏を侮辱するような技術は日本には不要だ,のような論を張らなくてはならんでしょうが。

 日本がとるべき食糧政策はただ一つ。自給率の向上しかありません。遺伝子組み換えという邪道ではなくて,青田を開拓して豊作を願うというロートルな王道を目指さねばなりません。戦後一貫して減反政策をとって自給の道を閉ざし,欧米諸国からカロリーが高くて日本人の体に合わない食糧をせっせと輸入してきたツケは今後払っていくしかありませんが,日本が諸外国の食糧政策のお手本になるには,王道を歩むしかないと思います。

 これはきれい事でしょうか。そうだと思う人は宗教心について一度じっくり考えた方がよいでしょうね。ま,宗教心だなんて言うと拒絶反応を示されるかもしれないので,論理的に自給率向上がなぜ必要かについて書いておきましょうか。概ね次の3点が考えられます。

  1. 自給率が超低い都市圏で大地震が起これば,食糧供給が滞る可能性が高いから。
  2. 食糧輸入はインフレおよび円安リスクが大きいから。
  3. BRICs諸国など新興国に今後優先的に食糧が輸出される可能性が高いから。

 1点目は容易に想像が付くでしょう。阪神大震災のような朝方みんな家にいるときの地震ならまだしも,昼間仕事場で震災にあえば,まず避難民になってしまうでしょうし(ホテルに泊まれればラッキーな方でしょう),道路の秩序が乱れれば地方からの食糧搬入も滞ります。東京都の自給率はたった2%ですよ。都内一等地でどれだけお金を持っていてもモノがなければ何にも買えません。

 2点目。原油や穀物,建築資材などの物価が上昇していますし,CPI(消費者物価指数)もプラスを維持しています。インフレになれば手元資金の価値は下ってしまいます。まあ,これは輸入食糧だけに限りませんけど。
 円安の場合も深刻です。ストレートに家計を圧迫しますから。人民元が切り上れば中国産の野菜なども値段が上がりますし,その他諸外国からの輸入にしても円安=輸入物価高なので同じ事が言えるでしょう。

 3点目。日本もいつまでも同じコストで食糧を輸入できると思ってはいけません。輸出国の立場に立てば,少子化が進んで人口が減っていく日本よりも新興国の方が市場に旨味があるわけですから,優先順位はいつかは変わってくるでしょう。

 もちろん産経新聞はこれらのことは承知でしょう。でも邪道に走るのは決定的にマズイ。日本の伝統を守れと説くのが保守の役目のはず。目を覚まして欲しいもんです。
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2006年05月04日

毎日が朝日の後追い記事を出し それでも見抜けぬ事の本質

 毎日新聞が共謀罪について社説で意見を述べていました。何日か前に朝日が民主党案をベースに法案を再提出せよという社説を載せていて憂国系ネット掲示板ではたたかれまくってましたが,毎日新聞はどうでしょうか。

(May/04/06 毎日新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【共謀罪審議 未来に憂いを残さぬように】

  • 犯罪計画を相談しただけで処罰する共謀罪の新設をめぐり,衆院法務委員会で与野党の攻防が激しさを増してきた。
  • 謀議しただけで罪に問うことになれば,法制度の歴史的な転換となる。
  • それでも政府が新設を目指すのは,国際マフィアやテロリストの対策のための「国境を越えた組織犯罪の防止に関する条約」が共謀罪か結社罪の制定を求めているためだ。
  • だが,政府案には問題が多い。対象犯罪が619種に及び,適用対象を明文で絞っていないから,拡張解釈される心配がある。
  • 犯行の前に,謀議に加わった者が翻意して自首すれば刑の軽減や免除が認められるので,密告を奨励したり,おとり捜査に道を開く,との指摘もある。
  • 心の内や思想を取り締まること自体に,基本的人権上の疑義もある。
  • だが,戦前の治安維持法のように弾圧法として用いられる危険がある,とする批判は,今日の社会情勢に照らせば現実的と映らない。
  • 立証は困難だから乱暴な適用を招かぬよう,適用対象を厳格に規定するのが筋である。
  • 民主党案は対象犯罪を懲役5年以上のものに限ったり,国際犯罪に限定しているが,同条約の要請との整合性の点で疑問の余地がありそうだ。
  • 共謀罪の制定が不可避ならば,本来の目的以外に適用されることがないように,適用条件を厳格に示すしか方策はあるまい。
  • 法律を制定する際,後顧に憂いを残さぬよう限りを尽くすのが,今を生きる者の責務である。
(引用終了)

 一応,毎日新聞は民主党案にも疑義を投げ掛けてはいます。朝日の社説でのネットバッシングを見て方針を変えたのかもしれませんが。ま,いずれにせよ根本である「思想・良心の自由を著しく損なう法案」であることを糾弾したものではなく(ついで書きにしかなっていない),社説としては,教師にすり寄る優等生の答案みたいで気持ち悪い。読者(国民)の目を本質から逸らすという十分な役割を果たしているわけで,朝日と同じく亡国マスコミであることには変わりはなさそうです。

 この法案の問題点の本質は,政府が拡大解釈することによって国民の思想・良心の自由を縛ってしまう事ができるという点にあります。しかも密告者は罪を軽減されるという狡猾な法案。日本人同士の連携を断ち疑心暗鬼に陥らせ,「知らしむべからず依らしむべし」体制への後退を目論む人々にとってはこの上なく便利な法案が,こっそりと議会を通ろうとしていますが,前々回のエントリで書いた通り,保釈されたホリエモンを追っかけ回すしか芸のない日本のマスコミは未だに正面から共謀罪の本質に迫る事をしません。

 このような日本の戦中の治安維持法ばりの悪法がはびこって歪んでしまった世界とはどんなものでしょうか。一つのモデルがあります。最近劇場公開されている「Vフォー・ヴェンデッタ」です(→ 公式サイト)。僕もちょっとした空き時間に見てきました。

 ネタバレしてもつまらないので詳しくは書きませんが,共謀罪のような悪法が一つでも通ってしまえば,例えば政府にとってまずいニューズはテレビでは流れず,政府が組織する盗聴集団が堂々と道を跋扈し,警察官と言えども絶えず盗聴器の電波を気にして会話しないといけないようなメディア支配による国民監視政府ができ上がってもおかしくはありません。映画ではこの体制を潰すためにある男が立ち上がるというストーリーになっていますが,現実の世界では超人でもない限りそんなことは不可能でしょう。

 毎日新聞の社説が最後に結んであるとおり,「法律を制定する際,後顧に憂いを残さぬよう限りを尽くすのが,今を生きる者の責務」なのだと実感できる映画ですので,興味がある方はご覧になるといいでしょう。そうすれば共謀罪の恐ろしさも見えてくるはずです。ホリエモンの尻を追っかけても何も生まれません。共謀罪の審議の行方を追っかけておかないと,つまらん役人が決める無責任な売国行為さえ批判できなくなるような暗黒の時代が,自分たちの将来を潰してしまうのを黙って見ておかなくてはならなくなるのです。日本はここまで来ているんですよ。

(補足)
 ちなみにこういうニューズは日本に入ってこないようです。政府のメディア支配はここまで来ています。
【300,000 March in Manhattan at Anti-War Protest】(Apr/29/06 Common Dreams NEWS CENTER)
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月28日

共謀罪どうしてニューズに出てこない?なぜ都合よくホリエが出るのよ

 なぜ昨日,マスコミがあんなに大騒ぎしてホリエモンの保釈を報じてたのかなあと思っていたら,やっぱり裏がありました。キーワードは「共謀罪」。

 新聞・テレビにしか情報を頼らない人にはほとんどなじみのない「共謀罪」ですが,それもそのはず,大手メディアは全くと言っていいほど「共謀罪」については報道してきませんでした。GoogleNewsなどで検索してみるとおわかりになると思いますが,これは事実です。インターネットや週刊誌・夕刊大衆紙などでは頻繁に紙面を賑わせていたこの話題,現代版治安維持法とも呼ばれるこの希代の悪法について,ではなぜ大手メディアは沈黙していたのか?

 政府の圧力でしょう。断定はできないですが,そうとしか思えません。内容を聞いたらほとんどの人がいぶかしがるであろう法案を,ろくすっぽ審議もされずに数の力で通そうとしているという事実がなぜ良心的な国民に伝わらないのかねえ。しかも法案の採決が本日28日に予定されていたというタイミングでホリエモンの保釈が決定!国民の注意をそらすためにまたしてもホリエモンがダシに使われたようです。これって何も関係がないわけがないでしょう。

 まともに論評するのも疲れますねえ。今日の法案提出は避けられたものの,近々また提出されるんでしょう。
【「共謀罪」法案、28日の採決取り下げ】(Apr/28/06 TBS)
 そうなったら賛成多数であっさりと参議院に送られて,またしてもあっさりと法案は可決されて即施行ってことになるかもしれません。その時点で政府の批判は一切できなくなるかもしれません。いよいよ日本も北朝鮮のような国に退化してきたようです。まともな民主主義の国で行われていることとは思えません。朝鮮総連とか創価学会とかを追い出すために使われる法案ならともかく,奴らが批判者を封じ込めるためにこの法案に賛成しているという動きには心底やばさを感じます。

 とりあえず明日の朝刊の社説で採り上げられるかどうかに注意しましょう。まったく触れられなかったら,大手メディアは完全にならず者たちの走狗に成り果てたのだと考えてさしつかえありません。南無阿弥陀仏・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 23:23| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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