2006年06月29日

コンピュータ誌についての雑感

 時間がないので,ダレた話題で濁します。

 今日発売のMac情報誌『MacFan』はなかなか見どころがありました。デジカメについての間違った先入観を排除するために,例を挙げて詳しく各項目について説明がされていました。画素数が高いとかえって○○が××だとか,一眼レフは▲▲だとか・・・。デジカメを買おうと思っている方には非常に参考になると思います。ま,僕はそんなに出歩く事がないので3年前に買ったデジカメで十分なんですけどね。

 それから今週の『週刊アスキー』も面白かったです。モバイル用途のパソコン(PDAを含む)の購入をお考えの方は,例えばSonyのVAIO U-TypeとOrigamiとの比較とか,けっこう参考になると思います。この雑誌は気が向いたときにしか買いませんが,たまに良い特集が読めるので好きです。

 パソコン雑誌つながりでもう一つ書くと,『日経PC』も今月号は良かったです。僕はアンチWindowsなのでこの手の雑誌はだいたいスルーするのですが,Excelをワープロがわりに使う方法などが紹介されていて面白く読めました。僕はワープロソフトは持っておらず,Excelでだいたいの文書を作っていましたので,さらに便利になるらしいというこの特集記事に期待して買ってしまったわけです。ま,僕にとってこの雑誌の見どころはこの特集ぐらいでしたけど。

 いやあ,あらためて見ると僕って雑誌が好きなんだなあ。安倍官房長官が統一教会に出した祝電がらみのスキャンダルが載っている『FLASH』も買っちゃったし,『週刊文春』『週刊現代』なんかもよく買って読んでいます。一流と呼ばれているマスコミが,電通を介した政府のプロパガンダと圧力によって無力化している現状を考えれば,ゲリラ的に真実を伝え得る傍流メディアに注目が集まるのも自然。紙媒体をもたないネットの雑誌なども盛況なところが増えてきており,こっちも今後の展開が非常に楽しみです。

 自分の身は自分で守らないとイケナイこの時代。情報の善し悪しを自分で判断できるように,さまざまなメディアに触れておく事が大切ですね。
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2006年06月27日

数学に対する偏見は国益を損ないます

 ややこしい話ばっかりだとつまらないので,ちょっと今日は趣を変えてみよう。

(Jun/13/06 朝日新聞社説より引用開始)
【数学の力 先細りさせないために】
 「忘れられた科学」と題されたシンポジウムが開かれた。何かと思えば,数学である。
 エレベーターの制御から通信,暗号,さらには金融まで社会のあらゆる分野で,数学は重要な役割を果たしている。すべての科学の基礎でもある。政府がめざす「科学技術創造立国」の基盤だ。
 ところが,その基盤の層が薄く,研究実績にもかげりが見えてきたというのだ。このままでは先細りになって,本当に忘れられてしまいかねない。
 数学はこれまで日本の得意な分野だった。純粋数学では世界的な学者が輩出し,数学界で最高の賞であるフィールズ賞は小平邦彦,広中平祐,森重文の3氏が受賞した。受賞者は全員で45人だから,欧米に引けを取らなかった。
 しかし,文部科学省の科学技術政策研究所によると,日本の数学の研究論文数は00年に中国に抜かれ,今や世界第6位である。科学の全分野では米国に次ぐ2位だから,数学は活発とはいえない。
 とりわけ,統計学などの応用分野が弱い。数学的な方法をさまざまな分野に生かすことに立ち遅れているのだ。
 同研究所のアンケートでは,バイオや新材料,情報通信などの研究者の多くが「研究チームに数学の素養を持つ人がほしい」と訴えている。そうした人が欧米のライバルチームにはいるので,差がついてしまうということのようだ。
 企業からも「数学の専門家が少なく,将来が心配だ」という声が出ている。たとえば,半導体メーカーでは,回路の設計から誤差を精密にコントロールする製造現場まで,数学が欠かせない。
 医療の世界でも,治療法の効果を調べる大規模な臨床試験では,統計学が必要だ。日本は,医療統計学と呼ばれる分野の研究者が欧米より格段に少なく,日本の医療の弱みとなっている。
 社会や企業で数学を求める声が大きくなるのとは裏腹に,この数年,科学研究費全体の中で,数学の占める割合は小さくなっている。目に見える成果を求めて重点的に投資するやり方に,地味な数学ははじき飛ばされてしまった。この間に米国やドイツは数学の研究予算を増やして強化を図っている。
 数学の理論は,何十年もたってから応用の道が開ける場合も多い。木の幹にあたる基礎的な研究をしっかりと育てる必要がある。同時に,さまざまな応用分野へ枝を伸ばす数学者を育てることも大切だ。
 数学者はこれまで自分の専門に閉じこもりがちだった。生物学や工学などの他の分野に目を向け,積極的に進出した方がいい。それが数学そのものを鍛えることにもなる。数学者があちこちで活躍できることも見せてもらいたい。
 数学の力や魅力が社会に伝われば,算数を好きになる子供たちも増えるだろう。それは長い目で見れば,数学のすそ野を大きく広げ,人材を厚くすることにつながる。
(引用終了)

 理学部数学科で確率論を専攻していた僕から言わせれば「ようやく数学の重要性がわかったかね」。数学科の教授たちにも責任はありますが,これまで社会的に数学という学問について偏見がきつすぎましたね。僕も当時,大学外の先輩に「そんな役に立たないものを勉強してどうするの?」と言われた事を思い出します。内心では「大事な事(本質)がわかっちゃいないねえ」と思っていましたが,まあほとんどの人の数学観はこのようなものでした。おそらくこんな社説が出るぐらいだから今もあんまり変わらないんでしょうけど。中学・高校で必修で学ぶ「受験数学」と大学からの「純粋数学」を同じに考えている人が大半ですから,無理もない話です。

 詳しく言うと,「受験数学」で点が採れなくて”数学という科目”に興味を失った人達が,「純粋数学」の重要性や神秘性に気付かないまま大人になっちゃっている人が多いということです。かく言う僕は「受験数学」が大好きでその延長として「純粋数学」も好きになった口ですが,一方で「受験数学」で点を採れた人が大学で「純粋数学」に触れて,あまりの理論の厳格さや数学界の閉鎖性に辟易したという人も理系の人間でたくさんいます。

 誤解しないでいただきたいのは,それがイケナイと言いたいわけではないということ。数学界の閉鎖性は僕自身が感じていたので至極ごもっともであり,それについては単純に純粋数学(大学で学ぶ数学)の素晴らしさをアピールできなかった数学界の力不足こそ批判されるべきことでしょう。かえって,科学技術の最先端を引っ張っていらっしゃる現場の科学者が,数学の上澄みの部分(証明済みの定理)を上手に応用させて,世界に誇れる日本の技術を確立したということは非常に素晴らしい事だと思います。

 しかし,やはり残念なのは,こうして応用分野のみが先行して,その応用技術を支える基礎となる純粋数学の衰退が目立つということです。世界に誇る科学技術の振興こそが日本の国益であり,日本が独立国として残っていくには欠かせないものだと僕は思っていますが,基礎のない上澄みだけの技術では早晩行き詰まることが予想されます。基礎部分をおろそかにしては朝日の社説のとおり他国に後れを取る事だって今後ありうることです。なんとかせねばなりません。

 どうすれば良いかについては,てっとり早い方法があります。数学科の教授やら大学院生に,技術系企業やエリート高校や各種シンクタンクなどへ研究成果の発表を定期的にさせれば良い。企業などからもらう評価に応じて研究費予算が決定されるようになれば,研究にも身が入ります。学会の閉鎖性も改善されるし,地味だったり変人だったりする教授たちも社交性が出てくるでしょう。

 もちろん実用につながる研究なんてわずかしかないでしょうし,そんなに簡単に研究成果が理論として大成するわけではないので,企業らの側からしてもらう評価の方法は考えねばなりません。その研究の「本質」は何なのか?その本質はイノベーションを誘発し得るのか?現在企業らが研究している分野に応用ないしヒントを与えるような理論なのか?そのようなわずかな可能性を見抜けるかどうか(そもそも的外れということもありうる)は企業らの問題となりますが,5社ほどで研究発表すれば何かと得るものはお互いにあるとは思います。

 象牙の塔に引きこもりがちな社交性のない学者も「国益」について考えねばならない良いきっかけになるでしょう。そもそもヘンな学者が多い(実際に理学部数学科にいた人間の言葉です)のも事実なので,積極的に殻を破って飛び出さざるを得ない環境に置かせるのは一番手っ取り早い方法だと思います。ま,中には,変人であるがゆえに世紀の大発見大研究を成し遂げる人達もいるにはいますがね・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 20:31| 兵庫 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 社説批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月25日

電子マネーEdyの話

 日曜日なのでゆるい話題を。

 最近,電子マネーにちょっぴり興味をもっています。ええ,新しいモノ好きなもんで。電子マネーについてはちょっと前までは非常にネガティブなイメージを持っていたのですが,ロクに調べもせずに良からぬものだと思い込んでいたことを反省しまして,よくよく調べてみると,なかなか面白そうな仕組みじゃないかと気がつきました。偏見っていけませんねえ。

 さて,電子マネーの仕組みについてはここではツラツラ詳しくは書きません。簡単に書くと,店やら駅に設置された専用端末で前もって現金をチャージしておいたカードなりケータイなりを,それが使える店で読み取り機にかざすだけで決済が簡単にすまされるというヤツです。メジャーなところで,SuicaとかEdyがあるようですが,まだ萌芽期ということでどっこいどっこいの普及率のようです。JR東日本を使っている人はSuicaはなじみがあるでしょう(西日本はICOCA)。関西の私鉄ではこの他にPiTaPaってのもあります。普及率では劣りますが仕組みは同じです。

 電子マネーというぐらいですから,いろんな店で使えないと「マネー」ではなくて単なる「プリペイドカード」でしかありません。PiTaPaはまだプリペイドカードの域を出ませんが(乱立する関西私鉄のどこでも使えるというのは便利ですが)SuicaやEdyはけっこうあちこちで使えるようになってきたようです。

 僕はこの中で特にEdyに注目しています。理由は簡単で,ANA(全日空)のマイレージカードにEdy付きクレジットカードがあって,上手に使えばカード利用額に応じてマイルが貯まっていくからです。「陸(おか)マイラー」と呼ばれるマニアックな人達は海外にフライトすることなく,陸上であらゆる手段を使ってマイルを貯めて,無料航空券で海外旅行を楽しんでいるらしいですが,やはり達人達はEdyを駆使しています。まさに僕や両親のように2年に1度海外に行くか行かないかの人間にとってウェルカムな状況が揃ってきたなあと思います。

 ま,意識せずに現金払いばっかりしているといつまでたっても海外行きほどのマイルは貯まらないでしょうねえ。だから無理やりマイルが貯まるようにいろいろ手続きをしています。僕個人の支払いは微々たるものですが,親父の場合は光熱費が普通の家プラス寺の経費分の支払いがありますので,2年分が1年分で貯まります。とくに電気やガスなどはカードで支払い,カード決済ができない水道代もコンビニでEdy払いにすれば,クレジットを使ったEdyチャージの段階でマイルが貯まるので,獲得マイルの効率で言えば実質同じになります(コンビニに行く手間はかかりますが)。

 さらに,寺は職業上さまざまな書籍資料を年間に購入するのですが,これをカード払いにしていますので,ええ感じでこっちもコンスタントに貯まっています。ネットで買うときも「楽天ブックス」を使えば楽天ポイントまでもらえますので(楽天ポイントはEdyと同率でマイルに変換できます)こっちで買う事が多いです。楽天は基本的には好きではないんですけど,三木谷が逮捕されようと何されようと,あの仕組みは残るでしょうからいいや!と。

 さらにさらに住職は電気製品が好きで,電気屋によく出かけますが,近所にオープンした「ケーズデンキ」はEdy払いができます。夢のような環境ですね^^

 Edyは最大5万円までしか使えませんが,ひとり5枚(おサイフケータイも含む?)まで持てるらしいので,25万円までの支払いなら,ANAカードでクレジットを組むよりお得になりますね。ま,まだそんな使い方をしたことないですけど。

 さて,以前のエントリ(→ リンク)でクレジットカードのことを書いたとき,税金やら国保・年金の保険料がカードで支払えるようになったらいいですねというコメントをいただき,僕も大いに賛成しました。でも,実はカード決済できなくてもコンビニで支払えるようにしてもらうだけで(ポイント獲得という意味では)事足りるということがわかりました。そう。Edy決済できるコンビニ(am/pm,サークルKサンクス)で支払えばいいのです。

 これも調べれば一部の地域ではすでにできるようです。西宮市は国保も固定資産税もダメですが・・・。所得税もサラリーマンの天引き制度という悪の権化が居座っている状況では無理でしょう。金持ちの税金が25万円で済むわけないですしね^^; ま,所得税以外の支払いのコンビニ払いを西宮でいち早く初めていただきたいものです。

 さていろいろEdyがらみで書いてきましたが,本格的に普及するかどうかは提携してくれる店が増えてくれるかどうかにかかっていますね。あと利用者がどんどんこの特典に気付いて使ってくれない限り,今のようなマニアックな人達だけのマーケットになってしまうのかもしれません。僕としては2年に1度の海外旅行の費用を安く抑えれたら何でも結構なんですけどね。
※海外に行けなくても国内は15,000マイルあれば無料航空券がもらえますから,親父に比べて支出の少ない僕はこっちを狙っています^^。


(付記1)
 今回のエントリは→ 『ANAカード「地上」最得活用術』小学館というムックを参照しました。このムックは僕がちょくちょく読んでいる隔週誌『DIME』が編集したものです。ちょうど『DIME』の11号(今売っているものの前の号)でクレジットカードの特集があり,興味深く読みました。これからの世の中,政府とコネクションのない国民はむしりとられていくばっかりですから,ダメージを減らすためにいろいろ考えていかないといけません。たとえセコイと言われても・・・^^;;

(付記2)
 Edyにこだわらずにマイルにこだわるのであれば,TSUTAYAのティーポイントを利用する方法もおすすめです(上で紹介した楽天と同じシステム)。近所にam/pmやらサークルKサンクスがなく,ローソンしかない人にはお勧めです。Edyチャージできないのでこの分のマイルは貯まりませんが,TSUTAYAはローソンと提携しているので,ローソンで稼いだティーポイントをマイルに変換できるわけです。ただし公共料金の支払いではポイントになりませんから,純粋にコンビニで買い物した分にしかつきません。なお,ポイントのマイルへの変換率は楽天と同じです(金額ベース10,000円で50マイル)。

(付記3)
 クレジットカードからのEdyチャージはパソコンやおサイフケータイでできます。店では現金チャージしかできず,もちろんマイルは貯まりません。パソコンでチャージするには「PaSoRi(パソリ)」という小型端末機(USB接続)が必要ですが,Edyに興味がある方には必須アイテムでしょう。Suicaも読めますがチャージはできません。やっぱEdyがシェア占めそうな予感がしてきます・・・。
※余計なお世話ですが,パソリはソニーから買うよりもamazonから買う方が400円ほど安いですよ〜。
サイト(アフィリエイトの調子がおかしいのでプレーンリンクです)
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2006年06月23日

他国による検閲の結果決定された輸入再開だってさ

 ここのところ福井総裁問題ばっかり採り上げていましたが,論点は出尽くしたようなので別の話題を採り上げよう。ずっとウォッチしている牛肉問題です。

 日本中がサッカーごときに熱狂している間にいくつか大事な決定が為されています。アメリカの牛肉の輸入再開を決めたというのもその一つ。これも本質的なところにはあまり注目が集まらず,始めに結論ありきなもんだから無理やり後付けで理由をつけて決定されています。大手各紙がいっせいに社説に書いていますが,どこもみな及び腰。この問題の本質とは,単純に言って「アメリカの業者の検査体制は改善されたのか?前回コケにされた日本側が独自でその改善内容を判定できるのか?」というものですが,結果はご存知の通りです。1月に輸入禁止したときから何も変わっちゃいません。むしろ,このエントリの最後で紹介している衝撃的な事実を見れば,なぜここまでされて再開になるんだよ!と考えるのが本当の(ポチではない)保守です。日米首脳会談でブッシュに報告を義務づけられている小泉ポチ首相としては仕方がないのかもしれませんが,こんなゴマカシ政治ばっかりやった5年間で国民も騙され慣れたようで。ま,好きにしておくれ。

 100歩譲って,アメリカに怒られない事が日本の国益だと主張するポチ保守の論理に従ってみたとしても,これは許せますかね?

(Jun/22/06 NIKKEI NETより引用開始)
【米産牛肉の輸入再開,米が対日制裁法案提出・再開遅延を懸念】
 日米両政府が合意した米国産牛肉の貿易再開について,米議会の一部や生産者の間で懐疑的な見方が広がっている。米上院議員は21日,8月末を期限として実際に輸入を再開しなければ制裁に踏み切る法案を提出。全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は同日の声明で「貿易相手国としての日本の信頼性を疑っている」と強調した。
 制裁法案は民主党のコンラッド,共和党のロバーツ両氏ら超党派の議員が提案した。期限までに貿易を再開しなければ日本からの輸入品に総額31億ドル(約3500億円)の制裁関税を課す内容。31億ドルは1年間,牛肉を輸出できない場合を想定した「被害額」としている。
 法案提案者には対日強硬派として知られる民主党のボーカス議員も名を連ねる。同議員は「私の経験からいって日本を変えるにはてこを使うしかない」と述べ,制裁の正当性を主張した。ただ,米議会の大半は貿易再開を歓迎しているもようで,今回の制裁法案が成立する可能性は少ないとみられる。
(引用終了)

 少数派の動きではありますが,あっちの国の議員はすでにBSEが発症しているおバカさんが何人かいるようですね。こんなことまで言われなきゃならん筋合いはないんですけど。なぜ牛のカタキを輸入品全般で討たれなきゃならんの?ま,アメリカ万歳の方は,この記事をプリントして「ほらアメリカ様が怒っていらっしゃるよ。早く決めないとマズイよ。」って皆に触れ回ってくださいな。

 僕は牛はほとんど食べませんが,もし吉野家の社長だったら,日本政府に献金して輸入再開を促すんじゃなくて,アメリカ農務省を訴えますね。「おまえらの対応が不十分だったから儲け損なったやないか!」ってね。年間売上に相当する金額を支払えって訴訟しますね。・・・負けてもいいんですよ。記事のようなことを言われるぐらいならこれぐらいも許されるでしょうってこと。

 さて,おバカさんは牛肉業界だけじゃありませんでした。

(Jun/21/06 アメリカ大使館HPより引用開始)
【日本との牛肉貿易再開への合意に関するジョハンズ米国農務長官の声明】
 今回の合意は,日本との牛肉貿易再開へ向けての新たな一歩ではあるが,米国産牛肉が再度,日本市場に受け入れられるまで,私は満足しない。
 日本の査察チームは今週末米国に到着し,7月21日までに査察を終える。査察が終了し次第,迅速に牛肉貿易を再開することに日本は合意している。
 最終的には,米国の対日牛肉輸出条件を満たした施設すべてが,同時に,日本側に承認されて,日本側による査察が終了することが,われわれの目標である。米国の食品安全検査システムが,単独で効果的なシステムであることを日本が認めることの重要性と,牛肉貿易の再開において日本がそれに応じた行動を取ることの重要性を,私は改めて強調する。
 米国産牛肉貿易の再開にあたり,私は小さな非適合事例が両国の貿易関係全体を中断させないことを期待する。貿易関係全体の中断ではなく,日本はそうした問題をわが国に通告し,妥当ならば個々の積み荷の受け入れ拒否というような,適切な方法について協議することに同意した。
 日本は米国産牛肉の安全性を確認するために徹底的な調査を実施してきた。査察は最終的なステップでなければならない。米国は国内のシステムにおいて数多くの変更を実施し,日本が提起したすべての質問に回答し,さらに,米国産牛肉が安全であるという数多くの事実および科学に基づく保証を提供した。日本との牛肉貿易を再開する時である。
(引用終了)

 この高圧的な文章・・・輸入再開をお願いする立場の物言いかね・・・。「査察が終了し次第,迅速に牛肉貿易を再開する」って,査察の意味分かってんのかね?もちろん分かってるんでしょう。査察して,こりゃあかんわって日本が言い出す時のことを考えていない,もっと言えばそんなこと言わせないってことが丸分かりじゃないのよ。

 一旦合意した直後にクーリングオフしてやろうよ・・・なんちゃって。誰か財務省を一喝して米国債を100兆円ほど売らせちゃえよ。確実に殺されるだろうけど(笑)英雄になれるぞ。

 さて,実はもっともっと大事なことが忘れられています。大手新聞は全く触れる事なく,良心的なブログでしか採り上げられていない,しかしこんな重要な事に触れない方がおかしいというぐらいの衝撃度です。

 そう,日本の検査官が作った報告書をアメリカが検閲して,マズイところを真っ黒にされているんです。証拠はこちらなど。
【真っ黒な調査報告書 これでも米国産牛肉輸入解禁か?】(May/26/06 現役雑誌記者による、ブログ日記!)
 さらに詳細を知りたい方は,こちらへ。
米国における日本向け牛肉輸出認定施設等の査察及び調査結果報告書

 マッカーサーもびっくりの検閲ですね。これに触れないで,何が「国益」なんでしょうねえ。
posted by 時をかける僧侶 at 23:06| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | アメリカ産牛肉問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月21日

福井総裁 カネで解決させるんだって。恥ずかしくないのかな?

 福井さん,なかなか辞めませんねえ。自分のポジションの重さとやっちまったことの重大さを認めてさっさと辞めりゃあマーケットも落ち着くのに。まさか,マーケットを混乱させるためにわざと逃げ回っているんじゃあないでしょうな?

(Jun/21/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【日銀総裁の辞任不要と首相,国民は厳しいと官房長官】
 小泉首相は21日昼,村上ファンドへの拠出で1473万円の利益を得た日本銀行の福井俊彦総裁の進退について「何か問題があると,すぐに辞めればいいという問題じゃない」と述べ,辞任の必要はないとの考えを示した。(略)
 安倍官房長官は同日午前の記者会見で,「国民の受け止めは厳しい。利益は必ずしも少額ではない。資産公開や内規の見直しをすべきだというのが国民の声で,それなしには信頼を得ることは難しい」と述べ,資産の透明性確保が重要だとの考えを示した。
(引用終了)

 日本の行政のトップとナンバーツーがどちらも事件の本質を見抜けないでいるのは情けないですね。いくら本当のことが言えないという事情があるにしても,こんな説明じゃあ自らの知性の欠如を笑ってくれと言っているようなもの。僕みたいな世捨て人にすら,おかしいと分かる説明をしてるんじゃないよ,まったく。

 具体的には,首相の「何か問題があると,すぐに辞めればいいという問題じゃない」という発言。問題があってはいけないポストにある人間が,インサイダーを疑われるなんていう致命的な問題を起こしたのだから(しかも今の今まで市場の混乱が回復していないのだから),すぐに辞めないといけない。それが本質なのにわかっちゃいない。

 安倍官房長官の発言もピント外れ。っていうよりも,「ゼロ金利を進めておきながら自分はン千万円も儲けやがって」という庶民感情に迎合した発言であって,これまた本質を突いていない。この場合はたとえ投資が失敗だったとしても,インサイダーを疑われる取引を放置していたことには変わりはないので,辞任しなければいけないという問題なのです。資産の透明性確保ってのは,今までしておくべきことがされていなかったのですぐにやらなければいけないっていうだけの話。本質ではありません。

 福井総裁も国会閉会を待ってから自らの運用成績を報告したところで,卑怯者との評価にいっそう箔がついてしまっただけ。そこまでして守りたいものって何なの?自らの名誉を穢してまで何を守りたいの?さっぱりわかりません。ま,庶民には分かってもらっては困るから真実は出てこないんでしょうけど。

 でもね。我々庶民はバカばっかりではないですよ。次の「論壇」の匿名投稿を読んでみてください。カネの問題だからってことでカネで始末をつけようという福井総裁の浅ましさについての痛烈な批判です。

(Jun/21/06 論壇「目安箱」より引用開始)
【拝金主義の福井総裁は即刻辞任すべき】
(略)それにしても, 「報酬30パーセントを6ヶ月減額するから,辞任しない。」 など聞いてあきれる。 「利益は元本を含め, 『慈善団体にでも』 寄付したい」 などの発言は,慈善団体に対して失礼千万な言い方である。
 責任の取り方が,なぜこのような 「金で解決」 といった貧困な発想になるのか?
 福井総裁も 「志」 などと古風な表現をするなら,昔の武士ではないが,ここは男らしくしっかり 「腹を切る」 姿勢が必要。 金儲けを 「志」 としたファンドに共鳴して投資すること自体, 「金儲けしよう」 と思っていたなによりの証拠。
 即刻 「辞任」 をもって責任をとるべき。
(引用終了)

 これこそが正論です。しかし,これがまた本質を理解していない”経済専門紙”日本経済新聞は今日の社説で全く逆のことを宣っています。

(日本経済新聞社説より引用開始)
 総じていえば,野党のように「辞任に値する」と断じるほどの根拠は現時点ではないのではないか。
(引用終了)

 今年の初めに日経新聞の関連企業の職員によるインサイダー事件がばれて,常務やら部長まで更迭されているってのに(→ 参考サイト),はっきりとした根拠がないとはいえ,あってはならないことをやっちゃった日銀総裁には甘いというのは解せません。本当にこの新聞は経済専門紙なんでしょうかね。

 他紙はまだまともでした。政府寄りの読売新聞でさえ,こう書いています。

(読売新聞社説より引用開始)
 福井総裁は,月給の30%を半年間自主返上するとしている。ファンドの清算で出た利益と元本は,「慈善団体への寄付などに振り向けたい」と話す。だが,問題が発覚してからの言葉では,何ともしらじらしく聞こえる。(略)
 欧米の中央銀行に遜色(そんしょく)ないルール作りを急いでほしいが,きっかけが,トップである総裁の行動だったのは悲しい。
(引用終了)

 より踏み込んでいるのは,やはり東京新聞。

(東京新聞社説より引用開始)
 途中清算時に二百四十二万円の分配金を受け取っていながら,投資が利殖目的ではなかったという説明は理解しにくい。「こんなにもうかる」と分かったからこそ,再投資したとみられてもやむをえないだろう。そもそも,実際に分配金が支払われていたことも,これまで明らかにしていなかった。(略)
 納税にまつわる疑問も解けない。〇一年四月以降の「帳簿上の利益」は,どのようにして確定申告できたのだろうか。(略)会見では,総裁自身が「よく分からない」と答える場面もあった。
(引用終了)

 二百万ぐらいの分配金を途中で受け取っていてその年に確定申告しているはずなのに(まさかしてないの???脱税疑惑も???)「よくわからない」って答えるのが日本の金融界のトップなんですって。レッドカードで一発退場ってほどのことではないかもしれませんが,これだけイエローカードが貯まれば退場させないといかんのではないですか?

 最後に蛇足を。大手新聞のうち産経新聞だけが今日の社説でこの問題を採り上げていませんでした。イラク撤退を気持ち悪いぐらい褒めるのはいつものことだから許すとしても,産業・経済新聞がスルーするかね?日本の国益を考えれば,「総裁は辞任せよ!」って書かないとおかしいでしょ。ピント外すのまで政府に合わせる必要なんてないんですけどねえ。社説一覧はこちらへ・・・
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2006年06月19日

福井総裁問題についての考えを整理しました

 福井総裁問題についてのエントリに〔40代の私にとっての最新情報・重要ニュース〕さんからいくつかトラックバックをいただいております。
【福井俊彦日本銀行総裁 公正と信頼どう回復する】(Jun/17/06)
【米WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)紙、福井俊彦総裁の村上ファンド・スキャンダル論評】(Jun/18/06)
【【村上ファンド・ショック】『日本銀行福井俊彦総裁辞任を』49% 投資継続問題視は62% 民主党は辞任させられないのではなく辞任させないほうが得なのですよぉ。】(Jun/19/06)

 ブログランキングでも上位の方なので,素直に嬉しいです(^^

 ということで,今回のエントリも福井問題を扱う事にしよう。でも,あれからとくに福井総裁側から目新しい情報が出てきたわけでもないので,これまでの情報を整理して,自分なりに大胆な推測を行ってみたいと思います。それなりの根拠も挙げますが,あくまで推測の域を出ませんので,その点はご了承ください。まずはこの案件の主な問題点をあげて僕の意見をまとめてみよう。

  1. 民間人時代に村上ファンドに投資したことは是か非か?
  2. 日銀総裁就任時に解約しなかったのはなぜか?
  3. ホリエモン逮捕後の今年2月の時点で解約しようとしたのはなぜか?
  4. 疑われるに十分なのに下手な言い訳を並べて辞任を拒むのはなぜか?
  5. 内規違反ではないという理由だけで許される事態なのか?
  6. 政府要人や保守系新聞はなぜ福井総裁を庇うのか?
  7. 先日の日銀会合でゼロ金利を解除できなかったのは,庇ってくれた政府への恩返しなのか?
  8. 日銀役員の資産開示を義務づけるなどの改革をすべきか?


 意外とたくさんありますね (^^; 簡単にコメントします。

 まず1。民間人の投資には何も問題ないでしょう。

 次2。17日の日経新聞社説によれば,総裁は「私だけが抜けるのが適当かどうかという仲間内の意識もあった」と答弁したそうな。普通なら仲間が率先して忠告するもんでしょうが。忠告すべきとわかっていてしなかったのなら,当時の仲間たちにも「インサイダー」疑惑は成り立ちますよ(法的には難しいでしょうけど,モラル上の問題として)。
 日銀のトップになる男がプライベートファンドから資金を引き揚げるのに何の躊躇がいるというんでしょう?この答弁だけで,総裁への疑念は真っ黒になります。日経新聞は「中原伸之元審議委員の就任時には、事務当局が株式を信託銀行に預けるよう助言している。」という文も載せており,暗に総裁の対応を批判しています。当然ですわな。

 3。本人はああだこうだ言って誤魔化すでしょうし,事実は確かめようがありませんが,こんな最悪のタイミングで解約するんだから「疑ってくれ」と言ってるようなもんでしょう。何を言っても言い訳にしか聞こえません。

 4。この点についてはいろんなサイトで諸説が語られていますね。今日民主党の松井議員が村上ファンドに関与していたというニューズが出たように,与野党問わずあちこちからスキャンダルが湧いてくるかもしれないから,本人は実は辞任したいのだが小泉政権に留められているのでないかとかね。僕の推測はこうです。

 福井氏が突然辞任するとしたら武藤副総裁が横滑りで就任する可能性が高いわけで,福井氏にとってはこれはできるだけ避けたいのではないか,というもの。根拠は武藤俊郎氏は小泉べったりですから(副島隆彦氏に言わせれば「竹中・宮内・孫と並ぶアメリカの手先」)。かなり強引な推測ですが,実は福井総裁は汚名を一身に被って日銀のアメリカ支配を防ごうとしているのではないか。・・・こう考えれば漢なのかも・・・(根拠は薄いですけど ^^;;;;)

 5。これは完全に裏目でしょう。法律に違反していない範囲で脱法行為をして金儲けしていたホリエモンや村上ファンドに非難が集まった経緯を忘れてはいけません(僕自身は脱法を許してしまった日本の法律の甘さの方が情けないと考えていますが)。内規違反じゃないから辞任の必要はない,というのは正しい理屈ですが,他方でホリエモンや村上ファンドがフジテレビを支配しようとして行った時間外取引を非難するのはおかしいでしょう。ましてや日銀のトップが脱法行為をしたわけですからね。重さは全く違うはずなんですけどね。

 6。庇わなきゃいけない理由があるんでしょう。村上ファンド拠出者リストなんかが出回って,リクルート事件のような大スキャンダルに発展させたくないのかも。小泉首相は円満な形で任期を終わらせたいんでしょうから。保守系新聞は相変わらず政府発表のヨイショしかしていませんから,そもそも期待しても無駄でしょうしね。

 7。これはおそらくないでしょう。前エントリでも書いたとおり,為替や金利のマーケットも6月解除は全く織り込んでいませんでしたから。予想通りってことでしょう。

 最後の8。資産開示は個人的にはどっちでもいいかなと。アメリカがこうだからマネせよとか,イギリスはどうだからこうだとか,狩猟民族のアングロサクソン流のルールを農耕民族に何でもかんでも押し付けられるのも気持ち悪いし。ま,あまりにも農耕的だとまずいんだけど。
 ただ,資産を開示しなさいと決められないとインサイダー疑惑を持たれても仕方がない取引をしちゃうような人間に,日本の金融の政策を決定して欲しくないですね。前々エントリにも書いた通り,あのポジションに就く人はあんなことを疑われる時点で不名誉なんですよ。武士なら腹切りものです。いろんな自由が削られるかわりに,いっぱい給料をあげて職務を全うしてもらうわけでしょう?疑われてしかるべき問題を起こしたら素直にやめるべきであって,辞任しないというのであれば,それなりの背景まで疑わざるを得ないということですね。

 とりとめもなくいろいろ書いてきました。読み返してみたらあんまり「大胆な推測」ってことはありませんね。期待外れですみません。敢えて言えば,4のところですが,7月にゼロ金利を解除したのなら福井総裁は漢だったということが言えるかも。ま,明日には確定利益やらの詳細が明らかになるでしょうから,その発表をとりあえず待ちましょう。
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2006年06月17日

福井総裁空気嫁!

 福井総裁問題は前回エントリからさらに各紙が社説で自説を述べています。ホリエモンを騙して巨万の富を得た村上ファンドに稼いでもらっていたのが日銀の総裁という事実。それを各紙がどのように報道するのか,これは見物でした。
 結果,面白いのは,小泉ヨイショの読売新聞がやはり辞任までは求めないのに対して,東京新聞,朝日新聞などのリベラル(?)系,左翼系はクビまで獲れというもの。ちなみに前エントリで紹介した毎日新聞は後者に属するはずですが,政府の工作が効いたのか前者にくら替えしている模様です。

 まずはその読売新聞からいこう。


(Jun/16/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【「福井日銀総裁」「大いに反省して説明を尽くせ」】

  • 日本銀行総裁という職責の重さを考えれば,あまりにも軽率だった。
  • 日銀総裁への就任時に資金を引き揚げなかったのは,解せない。
  • 日銀には,「職務上の立場などに照らして,世間から疑念を抱かれるような個人的利殖行為は慎まなければならない」などとする内規がある。
  • 日銀総裁は,金融政策の責任者であり,行動や発言は,市場に大きな影響を与える。極めて強い信頼性,中立性を求められる立場だ。
  • 誤解される行為は,避けなければならない。今年2月に解約を申し入れ,6月末で清算するというが,遅すぎた。
  • 市場には今回の問題で,日銀が政治との関係を気にし,重要な政策判断をしづらくなるとの見方もあるが,そうした憶測を招いたこと自体,好ましくない。
  • 福井総裁は,自らの脇の甘さを大いに反省するとともに,利益額の開示を含めて,さらに説明を尽くすべきだ。
  • 同時に,再発を防ぐ仕組みも必要だ。金融資産は信託に出し,自らの投資判断が及ばないようにするなど,日銀が幹部の資産管理に厳格なルールを作っておくのも,信頼維持の方策の一つだろう。
(引用終了)


 やはり辞めよとは言ってません。ただ,読売は一つだけ立派なことを書いています。「市場には今回の問題で,日銀が政治との関係を気にし,重要な政策判断をしづらくなるとの見方もあるが,そうした憶測を招いたこと自体,好ましくない。」という一文です。前回も書きましたが,こんな疑惑がもたれた時点で一流金融マンとしては失格。プライドのある人物ならとても今の地位に留まってはいられないはずです。ということは,プライドがないのか,一流でないのか。ま,どっちでもいいんですけどたいした人物ではないということなんですねえ。量的緩和政策を解除したときは喝采を叫んだのを思い出しますが,あれが結局政府を怒らせることになってしまい,今回のスキャンダルを庇ってもらう事で結果的に日銀が落城したという見方もできるかもしれません。

 次に東京新聞を見てみよう。かなり辛辣です。


(Jun/16/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【福井日銀総裁 日本の信頼が傷つく】

  • 福井俊彦日銀総裁の村上ファンド出資問題は異様さを通り越して,どこか醜悪な様相を呈してきた。
  • 政府がスキャンダルに陥った日銀総裁を懸命にかばい,総裁は首相に感謝の言葉を述べる。目を覆いたくなるような光景である。
  • 総裁は自らの出資問題と政策判断は「まったく別問題」と強調したが,そんな言葉を額面通り受け止めるほど,市場と世間は甘くない。
  • 市場のプロはもちろん,普通の人に「いまや政府と日銀は暗黙の“インサイダー関係”に入った」と受け止められても仕方がない。
  • 会見でファンドの運用成績を問われると,総裁は「残高がいくらか見たこともない。初めから,関心がありません」と答えた。そんなせりふが一般の常識から遠くかけ離れていることを,総裁は分からないのか。
  • 残念ながら,最高度の高潔さと公正さ,透明性を求められる日銀総裁として,福井氏は不適格であるとあらためて指摘せざるをえない。
  • 与謝野馨経済財政・金融担当相は「税金を払った後で,自分の財産をどういう金融資産に投資しようと差し支えない」と語った。
  • 政策責任者の金銭感覚には,大きな問題がある。徹底的な真相解明と早急な対応策づくりが必要だ。でなければ,国民がやりきれない。
(引用終了)
 

 総裁を「醜悪」とし,「いまや政府と日銀は暗黙の“インサイダー関係”に入った」とまで書いています。あまりにも見苦しくてこういう表現になったのでしょう。なかなか読者の気持ちが反映されていて,さすがは東京新聞といったところでしょうか。

 最後の方に与謝野大臣のコメントが載っていますが,経済閣僚がこんな発言して本当に恥ずかしくないのですかね。税金を払った後ならインサイダー取引してもいいわけですか。やっぱりエライ人は何やっても許されるんですね。いい世の中になりましたね。
 
 最後に朝日新聞。やや専門的な話も加えながら,なかなかよくまとまった社説だと思います。


(Jun/16/06 朝日新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【日銀総裁 これでは納得できない】

  • 真摯(しんし)な反省は伝わってこなかった。ファンドへの残高という基本的な情報でさえ,「精査の上で出したい」としただけだった。
  • 一方で,社外取締役を務めた会社の株式を保有していることが明らかになった。日銀の内規には触れないというが,金融政策の最高責任者なら,ルールがどうであれ,信託するか売るのが筋だ。
  • 日銀総裁という公人になった後にまで個別の人物を応援するような投資を続ければ,中立性を問われても仕方ない。
  • この2月になって解約しようとしたことにも疑問がある。村上前代表の行動に対して,「当初の志と違う」との思いが募ったためだと釈明しているが,そもそも総裁に就任する際に整理すべき投資だった。
  • 2月といえば,ライブドアへの強制捜査が進み,村上氏との関連がささやかれ出した時期だ。
  • ゼロ金利の解除をめぐって政府との緊張関係が高まる時期に,日銀総裁の適格性が疑われるのは大きな失態だ。
  • 遠からず政府が嫌う利上げに踏み切る時が来る。その際に,ためらいが出ないか。政府にかばってもらった「借り」があるという印象だけでもマイナスだ。
  • 中央銀行の信認をこれ以上傷つけたくないのなら,地位をなげうつ覚悟があってしかるべきだ。
(引用終了)


 村上への不信が原因ならなぜ2月なの?去年のフジテレビ騒動のときじゃないの?と突っ込まれる余地もありますよということも示唆されますね。

 ま,どの社説を見ても日銀総裁が疑惑をもたれたという事実は重いと見られているにもかかわらず,総裁辞任を否定した時点で日銀は政府の陥穽によって落城したと見るべきでしょう。これでゼロ金利解除は遠のき,増税が近づき,正直者はよりバカを見る世の中になっていくことが濃くなってきました。あとは原子力潜水艦がやってくるのと,牛肉輸入が再開するのと,間違った愛国心教育が強制されるのと,それらに反対しようと相談するだけで逮捕される共謀罪がやってくるわけですね。うーん。出家して正解だったかも (^^;続きっていうか蛇足・・・
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2006年06月15日

辞めなきゃいかんのはわかるでしょ

 日銀総裁の”インサイダー事件”について気になる点が多いので書き留めておく事にしよう。

(Jun/15/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【福井日銀総裁 これは辞任に値する】

  • 金融市場は日銀の独立性に疑問を投げかけた。信認を失った以上,速やかに総裁を辞任するほかない。
  • 前代未聞の異様な事態である。福井総裁は富士通総研理事長を務めていた一九九九年秋・・・(略)・・・村上ファンドに有志数人とそれぞれ一千万円を拠出し,今年二月に解約を申し出るまで,利益を得ていたことを国会で認めた。
  • 当時,珍しかった新事業には信用が不可欠だった。福井氏は自ら「広告塔」になることを承知の上で,出資を買って出たのではないか。
  • 民間在職当時ならともかく,最高度の中立性と透明性が求められる日銀総裁に就任する際,そんなファンドから抜けなかったのは,単なる不注意ではすまない。
  • 二月に解約を申し出たのも,不可解だ。二月といえば,証券取引等監視委員会や東京地検特捜部の内偵が進み,村上容疑者への強制捜査がうわさに上っていた。(略)事情を知っていて解約したなら,これは「究極のインサイダー取引」にならないのか。
  • 金融市場には「総裁は自分をかばってくれた政府に大きな借りができた。政府の反対を押し切ってゼロ金利解除はできない」という観測が出ている。(略)これは,日銀総裁として致命的である。
  • そんな総裁が重要な政策判断をできるのか。福井氏は自ら進退にけじめをつけるべきである。
(引用終了)

 大手新聞が福井総裁の今回の行為を「究極のインサイダー取引」と呼ぶインパクトは非常に大きいと思います。ま,事情を知っていたなんて総裁が言うわけないし証明する事もできないので,実際にはインサイダー取引には該当しないという結論にしかなりませんけどね。

 どうも不可解なのが政府が総裁の言動を擁護している事。この社説の最後部に書かれているとおり,日銀の動きを縛ろうという意図があるのかもしれません。村上の捜査が続いて,福井総裁にとって歓迎できないさらなる事実が明るみになっちゃったら援護射撃も弾が尽きると思いますが,さてどうなるものやら。
 
 同じ問題について,毎日新聞の社説は総裁のクビまで取れとは書いていませんでした。でも,具体策の提言については本当に理解して書いているのかどうか疑わしいシロモノで,どうも不自然な社説になっていました。

(Jun/15/06 毎日新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【福井日銀総裁 資産公開で透明度を高めよ】

  • (総裁の)村上ファンドへの拠出は,日銀の接待汚職の責任をとる形で副総裁を辞任し,民間のシンクタンクの理事長を務めていた時だった。
  • 摘発されたニッポン放送株をめぐる(村上ファンドによる)不正取引では,ライブドアを巻き込み自作自演のような形で高株価を演出したうえで,売り抜けて巨額の利益を得ていたという。
  • 「出発点と到着地点との大きな落差は大変遺憾」と福井総裁は述べ,陳謝しているが,取引の内容を詳細に示し,国民の不信を取り除いてもらいたい。
  • 福井総裁と村上ファンドの関係は,自ら国会で明らかにする以前から周知の事実だった。村上ファンド自体が,福井総裁から拠出を受けていることを明らかにしていたからだ。
  • 福井総裁の場合は,総裁就任の時点でファンドへの拠出は解約すべきだった。
  • 今後の措置としては,株式での運用など市場との連動性の高い金融商品は在任中は保有しないなどの規定をつくったり,資産公開を行うなど透明性を高める工夫も必要だ。
  • 一方,この問題は日銀の政策運営とは別の問題として扱うべきだ。
  • ゼロ金利解除という微妙な時期に,この問題で市場が動揺するのは不幸なことだ。
  • 村上ファンドへの拠出が政治的に利用され,金融政策がゆがめられることがないようにしてほしい。
(引用終了)

 うーん。資産を公開すりゃあ今回のような問題は防げたとは思いますが,そこまでしないといかんのかなあという印象。マーケットの疑心暗鬼を払拭するには荒療治も必要でしょうけど,これが将来にわたって義務づけられるというのはちょっと酷ではないかと思います。インサイダーの疑惑がかかること自体が一流金融マンとして大変に不名誉な事なのなのであって,疑惑が真実であった以上,自ら出処進退を決して静かに去るべきなのです。人に不備を指摘されてあれこれ言い訳して居座るなんてことはやっちゃいけないのです。村上ファンドがやってきた拝金主義的なやり口は断罪されるべくして現在断罪されているわけで,その延長の議論を福井総裁に当てはめるのならば,結論は「辞任」ということになるのは自然だと思われます。

 毎日新聞がなぜクビまで言及しないのかはわかりません。そもそも「村上ファンドへの拠出が政治的に利用され,金融政策がゆがめられることがないようにしてほしい」と書く理屈がさっぱりわからないのです。さっさと辞任させて政府の影響が及びにくい人間を新たに総裁に迎えないと,東京新聞の社説のとおり今のままでは福井問題が政治的に利用されてしまうことになると思うんですけど。
※今日の政策決定会合でゼロ金利政策の継続が可決されましたが,これは特段政府の圧力の結果だとは思いません。市場予想では来月以降という見方が大半でしたから。
 
 あと,毎日新聞の提案に「今後の措置としては,株式での運用など市場との連動性の高い金融商品は在任中は保有しないなどの規定をつくったり」とありますが,”市場との連動性の高くない金融商品”ってどんなものがあるのか教えてもらいたいものです。毎日新聞は問題の本質を何にもわかってはいないということがはっきりする一文ですね。

 ごくわずかの私募形態をとる村上ファンドへの拠出が問題であるというのが本質。毎日新聞の言うとおりにしないといけないのであれば,預金もできないし,国債やら一般の投資信託だって買えません(そもそもゼロ金利が解除されるかどうかっていう瀬戸際で市場金利が影響を及ぼさない金融商品なんてあるわけがない)。内容不透明な私募ファンドなぞには日銀総裁ともあろう者が投資するべきではない,とさえ書けば,人の上に立つべき人間には何が言いたいのかは伝わるはずです。全国紙が極論に走ってどうすんの?っていう典型的な例でした。

 さて,この問題についていろんなブログでも意見が出ているようです。全部を見るのは不可能ですが,感じよくまとめられているサイトがあったので紹介しておこう。
【日銀総裁 ブロガーも「レッドカード」】(Jun/14/06 JINビジネスニュース)

 これもおまけに。
【日銀総裁 村上ファンドから すばやい「逃亡」】(Jun/13/06 JINビジネスニュース)続きあります!
posted by 時をかける僧侶 at 20:52| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(2) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月13日

「愛」のない説教を垂れる愛国心論者について

 日本経済に関する2日前の社説を採り上げるのは全くタイムリーではないのですが,本質の部分について書いておいた方がいいかなと思ったので,以下に書き留めておこう。

(Jun/11/06 産経新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【株価下落 好況に気が緩んでないか】

  • 東京株式市場の日経平均株価が1万5000円を割り込んだ。
  • まず,強調しておきたいのは,現在日本の実体経済に大きな不安材料は,ほとんど見当たらない点だ。
  • にもかかわらず,米金融当局者の発言や原油価格,インフレ懸念,景気減速不安などが,そのつど材料とされ,株価は下げ続けている。
  • 世界的な低金利で,余ったお金が株式に向かっていた環境が変わったのは確かである。
  • 日本には,こうした“マネーの流れ”に加え,ライブドア,大手監査法人,村上ファンドなどの不正が相次いで発覚し,一般投資家が「やはり株式市場は不公正」との警戒感を抱いたことも見逃してはならない。
  • これに小泉純一郎首相の任期切れを前に,改革推進力が衰えてきているとの見方が加わった。
  • これまでの株式市場の活況は改革期待に負うところが大きかっただけに,改革が失速しないか,という投資家の不安心理が醸成されているのだ。
  • 株価が下げ止まらぬようでは景気に悪影響を及ぼす。投資家の不安感を助長する要因の払拭(ふっしょく)が急務なのだ。
  • 7日には,証券取引の透明性向上をめざす金融商品取引法が成立した。同法の活用も含め,市場の信頼回復は最優先課題だ。
  • 好景気に気を緩めるようでは,市場に足をすくわれかねない。
(引用終了)

 ではどうすれば市場の信頼が回復できるのか,ぜひ産経新聞の意見を聞きたいところです。産経新聞の社説は「主張」と銘打っていますが,この社説には具体的な主張が全くありませんから。
 行間を読めば,改革推進力をさらに強化せよということなのでしょうかね。でも,道路公団や郵政の民営化とか医療制度改悪などを,政府の発表通り「改革」だと産経は考えているのなら,「国益」についてもう一度しっかり考えた方がいいですね。大多数の日本人の生活が良くなる方向に変えて行くのが「改革」であり「日本の国益」だと僕は思うんですけど。

 資本主義の現在の枠組みで進んでいる以上,一部の人間に富が集中すること自体は悪い事ではありませんが,公僕たる政治家,官僚,彼らのOBなどの生活が優遇され,富の集中が進むいう事は許されません。許されないからこそ,国富を一般国民へ再分配させる本当の「改革」が必要なのであって,それ以外の改革というのはありえないと思います。共産主義体制で腐敗がなくなるはずがない中国を批判したいのであればなおさらです。

 ちょっと長くなりますが参考記事を全文引用しよう。

(Jun/09/06 ゲンダイネットより引用開始)
【官僚の海外留学に日当1万円】
 役人天国ぶりが,また明らかになった。
 国土交通省のキャリア官僚が平成16年5月に会計検査院に提出した書類には用務・コーネル大学留学のため,滞在費・9,600円×365日=3,504,000円と書かれてある。
 これはキャリア官僚が官費留学した際に支払われる“日当”の請求書なのだ。官費留学に日当が出るというのは初耳。国会で質問した民主党の前田雄吉議員が言う。
「留学中も月々の給料はきちんと国から支払われている。にもかかわらず別途“お手当”がつくのです。もちろん渡航費,学費は別に支払われる。だから驚きです」
 厚遇はまだある。同じく国交省の官僚が平成16年4月に,京都から新任地の東京に向かった旅費には扶養親族移転料という項目で,<一二才以上 1人 鉄道費13650円 日当1733円,六才以上,一二才未満 1人 鉄道費6820円 日当866円>とある。
 旅費以外になぜ手当が付いているのか?
「谷垣財務大臣は国会でこう答弁しました。留学中の日当については“海外留学中は何かとお金がかかるので,もろもろの諸経費にあててもらっている”そうです。妻子の日当は“昼食費にあててもらっている”と答えていました。こんなお手盛り手当は民間企業ではあり得ません」(前田議員)
 最近の若手官僚は官費留学でMBAを取得した後に民間企業に転出するケースが多い。これって「盗人に追い銭」じゃないのか。
 税金を上げる前に省くべきムダはたくさんある。
(引用終了)

 要するに,こういうお手盛りを排除させる方向に世論を強力に導かない限り,大上段で社説で吠えてみたところで何も変わりません。記事のような「愛国心」のないバカ官僚を追い出すことは産経新聞としても自らが考える「国益」にかなうわけですし,どんどんバッシングするべきです。もちろん,矛先は力のある政治家にも向けるべきときは向けなければなりません。

(Apr/15/06 MSN毎日インタラクティブより引用開始)
【家賃二重計上:小泉首相の2団体,1400万円使途不明に】
 小泉純一郎首相が関係する二つの政治団体が同じ事務所を使いながら,05年の政治資金収支報告書に,家賃などの事務所費を別々に記載していたことが分かった。同収支報告書は3月末に神奈川県選挙管理委員会が受理し,情報公開請求で毎日新聞が入手した。03,04年の収支報告書にも同様の記載をしており,これで3年連続計約1400万円が使途不明のままとなる。(略)
 このビルに選挙区支部などの表示はあるが,同志会の表示はない。複数の関係者によると同志会は「(01年の)首相就任後はほとんど活動していない」と話している。
 総務省によると,事務所費は家賃が中心で,電話代,切手代などが含まれる。政治資金規正法は政治活動に関する1件5万円以上の支出に領収書の提出を義務づけているが,家賃などは領収書添付が不要で,「事務所費」として収支報告書に総額を記載すればよく,細目は分からない。
 首相の事務所,選挙区支部,同志会は今月,毎日新聞の取材に連名の文書で「法令に基づいて報告すべき事項は適切に報告を行っている」と答えるにとどまっている。(略)
(引用終了)

 この程度のことは政治家なら誰でもやっている,と思う人がほとんでしょう。でも,それだったら「誰でもやっている」秘書給与の流用について辻元やらマキコやらだけが問題になったのはあまりにも不平等ですね。微罪をつっつけとは言いませんが,対応は統一しないと,賢い国民が見ればアホくさいだけでなく,こういう国を愛せと言われる子供たちが可哀想になるものです。

 産経新聞には本当の「改革」とはどういうものか,”日本の”国益をどのように考えているのかについて何度も何度も考えて欲しいものです。
 もっと言えば,社説にある「まず,強調しておきたいのは,現在日本の実体経済に大きな不安材料は,ほとんど見当たらない点だ」という文について,もっと謙虚に検証して欲しいものです。読者にさんざん「愛国心」について高説を宣うのであれば,東京本社の人間にこの程度の「愛」のない文章を書かせるのはやめておくべきですね。底が知れますから。
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 社説批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月11日

軽ーくパソコンの話

 まじめなことばっかり書いていると悲観的になってきて精神衛生上よろしくないので,ちょっと軽い話を書いておこう。

 メインで使っているパソコン,AppleのPowerBookG4(PowerPC最後のモデル)の調子がよくありません。といっても「部分的に」というだけの話であって,通常の使い方なら全く不都合は出ていませんが。実はCD・DVDから起動しようとしたときにフリーズするのです。内蔵ドライブの異常です。

 そもそも内蔵ドライブから起動しようと思ったきっかけはハードディスクの定期メンテナンスを実行しようとしたことです。あらゆる情報収集の結果,これまでにかなりのお宝情報が僕のパソコンに入っているわけで,これがパソコントラブルなどで消えたり壊れたりすることは避けたいので,定期的にメンテナンスをするように心がけています。また,どうせメンテナンスするのなら中途半端にするのではなくすっきりしたいので,OSの再インストールもやっちゃう予定でした。で,起動OSが入っているハードディスクをメンテナンスするときは別のシステムボリュームから起動しないといけないので,内蔵ドライブから立ち上げようとしたらフリーズしちゃったわけです。前回はできたのに。

 ディスクの軽いメンテナンスであれば,内蔵ドライブを使うまでもなく,実はMacOSXはUNIXベースだという特性(?)を利用して,シングルユーザーモードで起動してCUIのコマンドライン「fsck -fy」を実行すればできます。実際にこれをやったら特に異常は見当たりませんでした。でもディープなディスク管理の観点から言えば物足りないので,専用ツールの入ったCDから起動してメンテナンスしたかったのです。

 ま,別に内蔵ドライブから起動できなくても,親父に譲ったiBookG4をちょいと拝借して,PowerBookをFireWireでつないでターゲットディスクモードで起動してやれば別ボリュームとして認識してくれるので慌てる事はないのですが,でもまあOSの再インストールなどが必要になったときに内蔵ドライブからできないのはちょっと面倒なんですね。かといって普段の使用なら全く問題がないマシンを修理に出すのも気が引けるし・・・。うーん。再インストールどうしようか。

 ま,データだけきっちり週1回の定期バックアップを励行して,OSまではいいかな。それから,修理に出すとしたら夏の仏教大学のスクーリングで京都のお寺(大本山)に宿泊するタイミングが最適ですかね。10日ほどはどっちみちパソコンはおろかテレビも新聞もない世界に行くわけだし。ということでしばらく我慢して使いますか。

 ・・・案の定しょうもないエントリになっちゃいました。ま,来週からまたがんばります!
 
(雑記)
 Windows機としてちょっぴり期待していた「FlyBook」の全貌がいよいよ今週末に明らかになるようです。偶然HPに行ったら,広告FLASHが流れていました。
リンク

 実は僕ももう一つのブログでもこの発表を心待ちにしていました。
該当エントリ

 この時点から約半年が経っているわけですね。新しいもの好きの僕の性格は変わっていませんので,おそらく実物を触るために電気屋さんに行くことはあるでしょうけど,買うまでの気持ちが起こるかどうか。PHSのW-ZERO3を手に入れてしまった現在は特に小型モバイル機器には不自由していませんので(っていうかW-ZERO3便利すぎ)インスピレーションが働かない限りはスルーしてしまいそうです。Intel Macの発表もあったわけですしね。あのデザインには魅かれますけどWindows機だけの機能として買わなきゃいけない理由はなさそう・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 22:23| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月09日

オーナー企業の強み

 葬式が続いていつものようにダラダラとエントリが書けません。気になるニューズを一つ選んでコメントをしておきます。

(Jun/09/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【上場業務改革の“足かせ” すかいらーく株非公開化 「株主,リスク理解難しい」】
 外食大手のすかいらーく(本社・東京,東証1部)は8日,経営陣による自社買収(MBO)で上場株式を取得し,非公開にすると発表した。外食市場は少子高齢化で先細りが予想されるため,現在約5万人を超える株主の意向や株価に左右されない体制に改め,経営に柔軟性を持たせる狙いがある。株式の上場維持には,「村上ファンド」のような敵対的買収への対応策も含めてコストがかかることから,オーナー企業などを中心に非公開化の動きも増えている。(略)
 都内で会見した横川竟(きわむ)会長兼最高経営責任者(CEO)は,「既存店の改修には相当の投資が必要で,赤字もありうる。株主にそうしたリスクを理解してもらうのは難しい」と述べ,上場が迅速な業務改革の足かせになっているとの認識を示した。すかいらーくは,竟氏と実兄の茅野亮氏ら兄弟4人が共同で設立した企業で,オーナー色が強い。今年3月,竟氏が3年ぶりに会長に復帰し,非上場化の環境が整ったとみられる。
 横川会長は,上場廃止後の新会社の経営陣に残る予定だ。非公開後は不特定多数の株主による監視がなくなり,経営の規律が下がる懸念もある。(略)
 株式の非公開化は,敵対的買収に対する強力な防衛策となるだけでなく,短期的な利益を求める株主に左右されず,経営の裁量権を握れるメリットがある。
 上場維持には,四半期ごとの情報開示などにコストや事務的な負担を求められるため,資金調達方法が多様化する中,企業によっては株式上場の意味合いが薄らいでいる。
(引用終了)

 個人的にはすかいらーくの発表は評価しています。店には行った事ないですけど。理由は,この読売の記事にあるとおり。オーナー企業なんだから,別に不特定多数の株主の監視が嫌なら上場廃止するのは非常に健康的な考えだと思います。皆が皆上場を目指すべしという市場原理主義や現在のベンチャー思想から考えれば逆行でしょうけど,そういう選択肢が排除されることがないうちにやってしまうのは実に賢明です。
 
 記事にもあるとおり,株式の非公開化は「短期的な利益を求める株主に左右されず,経営の裁量権を握れるメリット」があります。どっかのファンドみたいに,一気に大量に株式を取得されてすぐに利益を上げないと叱られるという構造は,今の制度上どうしても残りますから,オーナー企業ほど上場なんて割に合わないのでしょう。そもそも株を上場するからには,どうぞ買ってくださいという意味合いがあるわけで,買われて困る(経営に過度に口出しされる)のが嫌なら上場なんてやめちまった方がいいという結論になるのもうなずけます。

 これがサラリーマン社長が率いる会社なら,こう簡単にはいきません。歴代の偉いさんお歴々の目が黒いうちは,どうしても「不名誉」だと解釈されてしまうでしょうから。会社の規模が大きければ大きいほど不特定多数の株主も多いと思われるので,そのあたりの調整も難しいでしょう。オーナー企業だからこそやりやすいという面はやはりありますね。

 僕は個別の株式投資はやりませんので情報には疎いのですが,そういうオーナー企業で上場している会社ってまだまだありそうな気がします。やはり上場取りやめの方向で進んでいくのでしょうか。何にせよ,守れるものは今のうちに守っておいた方が良いということには変わりありません。来年5月から施行される会社法で買収の対象になってしまう前に動いておかないと・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 23:56| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月07日

憂国の立場から日本のエネルギー戦略を考えてみる

 まじめなエントリが続いていますが,東京新聞のエネルギー戦略に関する社説が興味深かったのでコメントしておきます。

(Jun/07/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【エネルギー白書 資源戦略が欠かせない】

  • 今年の「エネルギー白書」は世界エネルギー情勢が急迫の度を強めたことを明記した。日本は新たな資源戦略を構築し展開する必要がある。
  • 急成長を続ける中国は日本を抜いて世界第二位の石油消費国となり,原油価格高止まりの要因となっている。
  • 価格以上に重大なのはロシアやカザフスタン,ベネズエラ,イランなどの資源国が石油や天然ガスなどを外交の武器つまり戦略商品として扱う姿勢を強めていることだ。
  • エネルギー資源の大半を海外に頼る日本は,あらためて戦略的な対応が迫られている。だが,白書によると日本のエネルギー事情は依然として危うい状況のままだ。
  • 石油の中東依存度は第一次石油ショック前の一九六八年の約91%をピークに八七年には約67%にまで低下したが,現在は再び約90%に戻った。
  • 一次エネルギー自給率は原子力を含んでも約16%。これは米国約72%,仏約50%,独約39%だけでなく,韓国の約18%をも下回る。
  • 日本が誇れるのは世界最高水準のエネルギー高効率国になったことだろう。
  • 日本は省エネ技術に加え,独自に地域協力や資源国への社会資本整備などを通じた関係強化を進めて安定供給を実現しなければならない。
  • 国内では民生・運輸部門を中心にした省エネルギーを推進する。石油備蓄,原子力利用も現状以上に高める。白書の方向は妥当であり,今後官民挙げて推進すべきだろう。
(引用終了)
 
 社説のわりには東京新聞独自の意見は最後の部分ぐらいなので,社説のクオリティ自体は全く対した事ないわけですが,他紙が採り上げない,しかし重要な話題であるエネルギー戦略について社説を展開していたので引用してみました。

 日本はエネルギー自給率は16%しかないらしい。食糧自給率が40%前後であることも考えると,日本が今後一流の先進国として存続するためには,通商政策を含んだ外交政策の舵取りが最重要である事は容易に理解できます。加工やら省エネは上手だとは言っても,もとの資源や食糧の供給をストップさせられたら立ち行かなくなるからです。じゃあこれら資源国とだけ仲良くしていくだけで十分なのか?ここは考えどころです。

 世界の先進国は他国の富を自国に移転するために外交をします。もちろん民族の誇りを維持するためだけに外交(戦争)する国はありますが,それは発展途上国の話であって,先進国の「国益」とは「経済的な富」のことを指しますから,善意悪意の区別こそあれ様々な手段を講じて他国の富を自国のものにしようと努力しています。これが外交の本質です。
※悪意というのは通念上,こりゃあいかんだろっていうやり方のことです。竹島は韓国領ではないと数十年前に自国教科書に書きながら,今になって韓国領であると主張するような言いがかりなどがその例です。

 日本にとって移転させたい「他国の富」というのは資源であり食糧という死活的なものなわけで,これらを合法的に,そしてできれば互いにウィンウィンの状態でゲットしたいのですが,これを邪魔してくる国が必ず現れます。代表的な国は中国や朝鮮半島の国々,ロシア,そしてアメリカです。

 中国の理屈は分かりやすすぎます。彼らは中華思想の国。同じ東洋人である日本人が中国人よりも良い生活をしていること自体が許せないので,理屈の通らない言いがかりをつけては日本を苛めようとします。これに脊髄反射して中国批判に熱心なのがポチ保守の方々ですが,中国が本気になって台湾を攻撃して占領してしまうと,日本に入ってくるはずの石油タンカーが日本に安全に入ってこれなくなり,無茶苦茶ピンチにさらされます。中東依存度は90%なんですから致命的です。だから,ポチ保守のようにアメリカの権威を笠にあんまり親台嫌中の態度を続けていると,マジで国家存亡の危機にたたされます。中国とは仲良くする必要はありませんが,怒らせてはいかんのです。
 
 蛇足ですが,だいたい,台湾を守るためにアメリカが本気で中国と戦うと思いますかね?伊藤貫『中国の「核」が世界を制す』PHP(右カラムにリンクがあります)という卓越せる良書を読めば,そんな空想を抱いている余裕は日本にはないことがわかるはずです。日本は自国の利益を守るために軍備を補強する必要があって,これをしなければ中国の支配圏に組み込まれてしまう事を覚悟しなければならない時期にすでに来ているのです。
※侵略目的がどうたらこうたら批判されたら,あんな自尊心だけが無駄に高い国民と,黄土やら大気汚染やらの土地を奪うつもりなど全くないことを公表しておけば大丈夫でしょう。侵略目的をはっきりと否定して国連にでも報告しておけば,基本的には中国も怒るに怒れないはずです。

 話がそれました。
 中国以外に日本のエネルギー政策の邪魔をしてくる国として見落とせないのが,同盟国(?)アメリカです。このブログでも何度も話題にしているとおり,アザデガン油田の対応を見ていればアメリカの意図は明らかですね。日本という金づるが,崩落間近の通貨ドルを支援する枠組みから抜け出すことはアメリカにとっては絶対に許せないことなのです。そもそもアメリカを飛び越えて中国との国交を回復しようとした田中角栄が失脚させられたように(キッシンジャーがジャップと呼んでいた事が明らかになりましたね)冷戦構造が終わったとはいえ,日本がアメリカに相談することなくエネルギー戦略を構築する事はタブーになっています。そこへきてこのアザデガン油田問題。イランは自国の原油の決済をユーロ建てに変更しようとしているわけで,日本がアザデガン油田にどこまでもこだわるのなら,下手をすればアメリカとの関係がより悪化して,次に政権を担うであろう米民主党から再びジャパン・パッシングの洗礼を浴びる事になりかねません。これは悲観的な見方ではなく,事実から冷静に導き出せる冷静な予測ですよ。念のため。
【キッシンジャー氏「ジャップは裏切り者」 日中国交正常化に不快感 米極秘文書】(May/27/06 Sankei Web)

 日本が今後も国益のためにエネルギーを他国から移転しようと思えば,これら超大国の機嫌を損ねずに進めていかないといけません。日本独自の防衛力の向上が見込めない現状では,安全保障をアメリカに頼らざるを得ない状況もしばらく続けないといけませんが,これが長引くようでは中国の支配圏に入る事を容認してしまうわけで,急がないといけません。ああ,それなのにそれなのに。国民投票法案の成立がまた遠のきました。今のうちにやれることやっておかないといけないんですけど・・・。ホントに日本は良くなっていくんでしょうか?不安ばかりが募ります。

 エネルギー政策の話が,日本の軍備強化の話になってしまいましたが,根っこは同じですからお許しを。
posted by 時をかける僧侶 at 22:24| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月05日

無知な煽動ほど恐ろしいものはない

 この話題を続けるのはこれが最後にしたいところですが,銀行の決算および納税の問題について,ちょっと見逃せない記事を見つけてしまったので紹介します。

(Jun/01/06 ゲンダイネットより引用開始)
【大手銀はなぜ法人税を払わないのか】
 消費税アップが議論になっているが,そんな中,今年度の税収見込みが大幅に増える見込みなのが分かった。(略)
 この調子だと,消費税アップも封印されるようにも見えるが,そうはならない。空前の高利益を上げている大銀行がちっとも法人税増収に寄与しないのだ。
 06年3月期の大手銀6グループの連結最終利益は3兆1000億円。ふつうに考えると1兆円くらいの税金を払っておかしくないが,与謝野馨金融大臣は「銀行は法人税もまだ支払えない。半人前だ」と言っていた。
 銀行は不良債権処理で巨額の欠損金を抱えているものだから,利益が出ても法人税を払わないで済む。欠損金は最長7年間繰り越すことができるため,銀行によっては当分,法人税を払わないですむところもあるのだ。
 銀行側は「不良債権処理の引当金を積んだ時点では損失にならず,法人税を払ってきた」と言う。払っていないのではなく,「過去に払いすぎたんだ」という理屈なのだが,庶民にしてみれば,腑に落ちない。金融ジャーナリストの須田慎一郎氏もこう言うのだ。
「確かに税法上はそうなるのかもしれないが,銀行は公的資金をもらい,土俵際ギリギリのところで特別に救済されたわけです。危機を脱し,儲けたときは何らかの形で社会に還元する必要があると思います。分かりやすいのは税金を多く納めることですが,今の銀行はそれを免れている。しかも,支店をドンドン少なくし,利用者に不便をかけて平気な顔をしている。許認可制で,新規参入がほとんどないのをいいことにATMの手数料も横並びで儲けている。このままだと,銀行は猛烈なしっぺ返しを食らいますよ」
 大手銀はようやく住宅ローンの金利を一斉に下げることを決めたが,当たり前だ。
(引用終了)

 読んでみてどう思われるでしょうか?僕は,これはひどい言いがかりだ!と思いました。

 日刊ゲンダイはそこそこ好きで良く読むのですが,この記事は無知な庶民をして銀行に批判の矛先を向けさせようとするだけの,煽動が目的の記事であって,とても首肯できるものではありません。おかしな点を挙げると,

  1. 空前の高利益を上げている大銀行がちっとも法人税増収に寄与しない。
  2. 払っていないのではなく,「過去に払いすぎたんだ」という理屈なのだが,庶民にしてみれば,腑に落ちない。
  3. 須田「分かりやすいのは税金を多く納めることですが,今の銀行はそれを免れている。」
  4. 大手銀はようやく住宅ローンの金利を一斉に下げることを決めたが,当たり前だ。

 これらの主張は全ておかしい。検証します。

 1点目。これは前エントリでも紹介したし,記事の中で銀行側の発言のとおり,銀行はすでに低利益(大赤字)のときにも多額の法人税を支払っています。税法の決まり通り支払っているわけです。「過去に税金で救済されたんだから支払ってもいいだろ!」というのは感情論としてはわからなくもないですが,やりすぎです。こんなこと許したら全国の赤字企業も納税しないといけなくなっちゃいますし,法律上支払う必要のないカネを社外に流出させたとなれば銀行経営者は株主代表訴訟にリスクに晒されるでしょう。

 2点目。庶民の側に立てば何を言っても許される,というゲンダイ記者の底が透けています。税効果会計がわかっていない庶民(ほとんどの庶民が該当するでしょう)にしてみりゃ,銀行が大赤字のときになぜそんなに納税したのかについても腑に落ちていないはずです。こういう記事を書くから,僕は扇動的だと思うのです。銀行が勝手に決めた手数料率について云々言うのはかまいませんが,国民の代表が集まって決めた法案に基づいて納税する必要がないとされた会社の行為についてとやかく言うのは明らかに間違った行為であり,それを知ってて無知な庶民を煽動しようとしているのなら有害です。

 3点目。銀行は納税を免れているわけではないということは金融ジャーナリストなら知っていなきゃいけない事実です。法令に従って,先に払いすぎているか,納税を繰り延べしているだけです。免除なんてされちゃあいませんし,これを免除だと言われれば,全国の赤字企業も全部納税を免除されていることになります。感情論だけで銀行を批判している,最もダメな例です。

 4点目。これが一番悪質,というか噴飯物。住宅ローン金利がどのように決まっているのかについて全く無知な記者が書いているから,こんな結びになるんです。銀行が住宅ローンの金利を下げたのは,「猛烈なしっぺ返し」が怖いからじゃありません。市場金利(新発の10年債の市場利回り)が下ったから,それに連動して下げただけです。しっかり勉強しろよ。

 以上のように,感情論としては同情できても,あまりに無知な煽動記事であり論理が屈折しまくっているので放置できませんでした。日刊ゲンダイは多数のサラリーマンが不満のはけ口を求めて読み捨てる夕刊タブロイド紙ですから,世論形成にはかなり力があるのです(原田武夫氏のセミナーで聞きました)。こんな煽動記事で間違った銀行批判の世論が作られては,日本人は世界から笑われます。願わくは,この記事のおかしさに気付く人が多数現れんことを。

 最後に僕の主張をまとめておこう。

  • 銀行は大赤字のころも法令通り納税したが,庶民にとっては払いすぎの行為に見えた。
  • 直近決算で大幅な黒字になっても銀行は納税していないが,法令通りの行為であって,脱税しているわけではない。
  • これを銀行が黒字でも納税していない,と脊髄反射するのは税効果会計を知らない証拠。
  • 庶民は,銀行だけの論理で一方的に決められているATM利用手数料や振込手数料が割高であることを批判すべき。
posted by 時をかける僧侶 at 21:54| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月03日

銀行決算は「役務取引等利益」に注目すべし

 前回に引き続き,銀行の決算について僕が関心をもった点を見ていきます。

 前回は「銀行は空前の利益をあげているのに税金を納めていない」という扇動的な間違いを指摘しました。今回ネタにするのは”手数料”。

(Jun/02/06 innolifeより引用開始)
【公正取引委員会,銀行金利・手数料全面調査】
 公正取引委員会は,都市銀の金利と手数料など,消費者金融全般に渡る調査に着手した。公正取引委員会は昨日から10の都市銀の独占規制と公正取引法違反可否に対する調査に電撃的に着手した。(略)
(引用終了)

 おっと,これ,日本の話じゃありません。韓国の話です。日本には都銀10個もないです^^;

 気を取り直して日本の話に戻します。銀行がどれだけ手数料収入に力を入れているかという例を見てみよう。例えば三井住友銀行。
 三井住友グループ全体の連結決算を見ると(→ リンク先の「1.損益」参照),粗利益2兆901億円のうち「役務取引等利益」は6,195億円と,全体の29.6%を占めている事がわかります。ちなみに前年度は粗利益2兆250億円のうち5,161億円で25.5%でした。随分熱心に比率を上げてきたことがわかりますね。

 金額ベースでも1,000億円以上伸びていて(粗利益全体では650億円しか伸びていません),なんと前年比で20.1%もの伸びになっています。さて,ここで冷静になって考えていただきたいのですが,なぜ「役務取引等利益」つまり”手数料”がこんなに急激に増えているのか?ということです。銀行の経営努力の結果?そりゃあ甘いっすよ。

 個人の客として銀行の窓口やATMに赴くとき,昔だったら考えられないことに手数料がかかり,驚く事が多いです。例えば,「両替手数料」とか「入金手数料」。ま,そりゃあサービスでノーロードでやれとまでは決めつけたくないですが,時間外とはいえATMに入金するのに手数料がかかるなんて・・・。税金で助けてもらったからこそ現在があるという恩を完全に徒で返すような仕打ち。それなのに銀行経営者が口を開けば「今でさえも収益力においては外銀とは比べ物にならないぐらい低い」。

 はいはい。収益力が劣るのは,外銀と比べて日本の銀行員の年収が飛び抜けて高いことが原因なんですが,それには触れずに預金者にしわ寄せですかい。ああそうですかい。世の中デフレが進んでいるはずですよね?手数料なんて真っ先に引き下げて然るべきでしょうに。企業の残高証明が1通2,100円って何ですかい?僕が銀行員だったころは210円だったぞ。10倍になっとるやないけ。やっぱり98年の金融危機のときにもっと銀行潰しておくべきだったね。

 あと,このブログでも何度も何度もとりあげている投資信託の販売手数料。山崎元『投資バカにつける薬』講談社を読めばかなり詳しく販売手数料がなぜ高いのかについて書かれていますが,真相は談合に近いですね。投資信託は銀行で買うもんじゃないです。”日経225をベンチマークとしてこれを上回る成績を目指す”とか謳っているような投信はすっぱりやめて,どうせ買うならETFという上場投信を証券会社で買いましょう。

 ま,そうは言っても銀行はガンガン行っているシステム投資の資金回収のために各種手数料を引き下げるわけにはいかないという内部事情も僕はわかっているつもりです。でも,だったらそのようにきちんと言って預金者に頭下げてお願いしないといけないことです。預金を低金利に留めておいて手数料を値上げして,投資ブームに乗っかって投信販売手数料を高目に設定してこその高収益なんだから。

 大手新聞の社説も一通り読みましたが,手数料に言及して厳しく問い詰めている新聞は皆無でした。だいたいが貸倒引当金の戻入でトヨタを上回るとか上回らないとかの社説ばっかり。預金者に還元せよと書いている新聞は産経などがありましたが,どうも的を射ない。何かまともなことを書いている社説はないかと探していたら,北海道新聞がちょびっとだけ書いていました。

(May/25/06 北海道新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【大手銀行決算*最高益は誰のおかげか】

  • 公的資金の支援の下で,バブル期をはるかに上回る空前の利益が確保された。
  • 日本の金融再生への大きな節目と言っていい。ただ,各グループが自力で収益力を向上させ,復活を果たしたというわけではない。
  • 税金である公的資金の注入をはじめ,ただ同然の預金金利など,長期にわたる国民の犠牲の上に今日があることを,あらためて肝に銘じるべきだ。
  • 投資信託や個人年金保険販売などの手数料収入の急増もあった。
  • 大手各行は手数料収入など非利息収入を拡大する戦略を強め,預金金利の低さに不満を募らせる預金者にリスク(危険)を伴う投資信託への乗り換えを勧めてきた。
  • 投資信託を販売し,顧客の資金を預金口座から投信口座に移せば,手数料収入や信託報酬を効率よく確保することができた。
  • だが,銀行は,もっと顧客に目を向けるべきだろう。銀行の株主への利益還元水準は一般の企業より低い。
  • 預金金利の低さに比べ,各種手数料の高さもバランスを欠いている。
  • 顧客の信頼を取り戻すことが,いっそう重要になってこよう。そのためにも,預金金利引き上げや手数料引き下げなどの利益還元策を競って考えるべき時ではないか。
(引用終了)
 
 「リスク」を(危険)とカッコ書きするなど,地方紙ならではのお茶目な勘違いがあるにせよ,「預金金利の低さに比べ,各種手数料の高さもバランスを欠いている。」ときちんと書いています。願わくば,僕のように具体的な数字をあげてもっと説得力をもたせてくれれば,より良かったかな,と。

 さて,いろいろ書いてきましたが最後に大事なことを書いておきます。僕がなぜ銀行をこうやって責めるのかと言うと,彼らに「自己反省がない(あるいは足りない)」と感じられるからです。ただそれだけです。日本経済の血液の流れをサラサラにするのが彼らの仕事なのに,知識のない預金者を騙すような形で手数料をふんだくって高収益を挙げるなんていう破廉恥な事はして欲しくないのです。反省して謙虚になって頭を下げるべきときに下げる事ができるのなら,僕もこんなこと書いたりはしません。覚醒してほしいものです。



(参考)
 三井住友グループ以外の「役務取引等利益」の額は以下のとおり。

【三菱UFJグループ】
1兆997億円(前年度9,248億円,増加率18.9%)

【みずほグループ】
5,559億円(前年度4,726億円,増加率17.6%)
posted by 時をかける僧侶 at 20:36| 兵庫 ☁| Comment(2) | TrackBack(3) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月01日

銀行は本当に納税していないのか?

 大手銀行グループが3月決算の短信を発表して,儲けすぎ批判が起こっています。3,4日前の各紙社説に一斉に載ってましたが,全部紹介しても面白くないので,社説ではなくちょっぴり意地悪な記事を採り上げることにしよう。
 
(May/24/06 ZAKZAKより引用開始)
【空前の好業績も…大手銀ナゼだ,法人税納税ゼロ】
 23日,出揃った大手銀行6グループの2006年3月期決算。景気回復の追い風を受け,グループ合計の連結最終利益は前期比4.2倍の3兆1212億円に達した。バブル期を上回り,17年ぶりに過去最高を更新する空前の好業績となったが,主な利益の源泉は貸し倒れ引当金の戻り益という“負の遺産”。しかも,法人税を納めていないというのだから,与謝野馨金融相が「まだ半人前」と皮肉ったのも当然だ。
 不良債権を手当てするための貸し倒れ引当金。この戻り益の“恩恵”が最も大きかったのは三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)。旧UFJ銀分を中心に6982億円もの引当金が不要になり,それがそのまま戻り益になった。
 「景気回復で貸出先の業績が立ち直り,不良債権が“不良”でなくなったためだが,市場では,流通大手のダイエーやマンション大手の大京など不振企業を多く抱える旧UFJそのものが“宝の山”になったなどと皮肉っていた」(大手証券アナリスト)
 ほかに,みずほFGは1805億円,りそなホールディングスも114億円の“棚ぼた”的な臨時利益を得た。
 この機を逃すなと,三菱UFJとみずほは6月から7月,三井住友FGも来年3月までに公的資金を完済することを表明している。
 もっとも,公的資金を完済するのはいいが,大手銀は法人税を納めていないというのだ。「儲け過ぎ」との批判が強まるなか,税金すら払っていないことに,「なぜだ!」との声が飛びそうだが,「大手銀は過去の不良債権処理で生じた繰り返し欠損を利益と相殺でき,法人税の多くが免除されている」(同)。(略)
(引用終了)

 ZAKZAK(産経グループ)は”法人税納税ゼロ”に焦点を当てていますが,これはやや会計に無知な読者を煽っているような危険な香りがしないわけでもありません。確かに今期は納税していません(しなくていい)が,過去の決算を見ると赤字なのに納税しています。僕にはカラクリを詳しく述べるほどの時間と能力(僕の簿記は2級レベル^^;)がないので簡単に書くと,

  1. 商法,証券取引法,税法で決算書の作り方が異なる(それぞれ債権者向け,投資家向け,徴税者向けの資料)。
  2. とくに税法では「損失」確定の要件が非常に厳しい(税法用語では「損金」です。念のため)。
  3. 実際に倒産していない企業への融資はたとえ不良債権であっても税法上「損失」にはならないが,不良債権として考えたときの貸倒引当金はその他の法律上では「損失」として扱わなければならない。
  4. つまり「税法上は黒字,実質は赤字」ということが起こりうる。
  5. 税法上黒字であれば納税しなければいけないが,投資家たちは実質の赤字の額を見て「納税する必要がない」=「社外に資金が流出しない」と誤解してしまう。
  6. これでは正確な企業価値が測れないので,企業に「税効果会計」の適用を義務づけて,帳簿を見れば4のような事態がわかるようにした(グローバルスタンダード)。
  7. 銀行の場合,過去,実際の帳簿は赤字だが税金はたっぷり支払っている。
  8. ただし,将来貸付先が本当に倒産して損失になったときには税法上も「損金」になるから,以前支払った税金は「支払う必要がなかったもの」として戻ってくる(繰り延べできるのは5年以内だが)。
  9. 逆に貸付先の業況が良くなって不良債権ではなくなったとき,納税は正しかったものとなる一方で,税効果会計の適用であらかじめ損失を計上していたものが利益として戻ってくる(税金が戻るのではなくて帳簿上の利益が増える。今回のケース)。
  10. つまり,すでに納税はすませてあるが,戻ってきた利益で黒字になろうとも(すでに納税は終わっているので)新たに納税する必要はない。

 というような感じです。

 ですからZAKZAK記事の最後のアナリストの発言は嘘八百。法人税が免除されているのではなくて,あらかじめ支払っていたのだから二重で支払う必要がないのです。本当にアナリストに聞いたのかどうか疑わしいですねえ。僕の程度の会計知識でもわかることなんだけど。

 おっと。実は大手銀行の利益の源泉についても踏み込んで書きたかったのですがタイムオーバーになりました。続きは次回に書く事にします。
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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