2006年05月30日

産経の上っ面だけの姿勢こそ 糾すべきだと我は説きけり

 遺伝子組み換えのエントリ(ここここ)について,再び[koji_doi]氏からトラックバックをいただいております。
【神代とか、変なものを振り回さないでほしい】(May/27/06 新・非公正ブログ)

 僕の説明が拙かったのでしょう。どうも趣旨が伝わっておらず,細部に対していろいろとご意見をいただいたようです。反省すべきところは反省したいと思います。

 振り返ってみますと,僕が一つ目のエントリで言いたかった趣旨は「産経新聞は日ごろから日本の伝統云々にうるさいくせに,長年の月日を経たコメ文化を軽視して花粉症対策としての遺伝子組み換え米の生産を推奨するというのは如何なものか?」ということでした(今回のエントリの後半部分で詳説)。遺伝子組み換えに対する個人的な意見を書きましたが,別にそれをもとに反対運動として昇華させようとか推進派に理解してもらおうという気は今も特にありません。僕は3年間鹿児島で畜産業者に融資していた経験があり,組み換え飼料問題には直に見聞きしてきましたので,遺伝子組み換え技術に偏見を持っているわけでもありません。ただ産経新聞の上っ面の社説を批判しただけです。

 ま,その説明の肉付けの部分で,勇み足というか「定義」に対する認識不足から,僕は遺伝子組み換え技術を「人為的で自然破壊的な科学技術」と呼んでしまいましたら,[koji_doi]氏からお叱りを受けました。「人為」「自然」の定義が曖昧だということで。

 おっしゃるとおりですので,補足しておきます。僕が使った「人為」というのは「神為」(そんな言葉があるかどうかは不明ですが)に対する言葉であり,種の壁を超えてしまうような所作をヒトが為してしまうという意味です。「自然破壊的」というのも同意で,創造主だけが種を扱いうるという自然のルールをたかだか人類が破壊してしまうということです。ま,自然のルールとか言い出すと,そんなこと誰が決めたのか?とまたお叱りを受けそうですが。ヒトが種を扱っちゃいけないというルールがあるわけでもないのは承知していますが,これは公理だと考えてください。正しいとか正しくないとかではない,宗教倫理からくる公理です(科学的でないことは重々承知しています)。

 この定義でいくと,品種改良と遺伝子組み換えは実質的にも同じではありません。前者は種の壁を超えるような技術ではありませんから。同様に単なる品種改良は「自然」に手を入れてはいません。


 その他の[koji_doi]氏のご指摘はそれほど問題ではありません。価値観,もっと根源的には宗教観の違いですから,宗教家の論理で突っぱねたとしても納得は得られないでしょうし,かみ合わない議論で疲れるでしょう。
 それでも敢えて書いてみましょうか?例えば僕が,花粉症は人類の退化による病症(昔は花粉症なんてなかった)だと書いたら,[koji_doi]氏はこう反論されました。

(前掲ブログより引用開始)
昔は花粉症なんてなかっただって? なんでそんなことがいえるのか。医学の技術向上は治療技術の向上だけではなく病気の同定技術の向上をも含んでいるということを氏は理解できていない。要するに、花粉症は昔は気の病とか風邪とかで片付けられていた可能性が高いのだ。
(引用終了)
 
 ほぉ。それでは昔も春先に街に出れば気の病で老若男女がマスクして歩き回ってたと。あちこちでくしゃみの音が聞こえていたと。お気の毒に。おじいちゃんにでも「昔もみんなあんなにくしゃみばっかりしてたの?」って聞くだけで事実は判明しそうなものですが。


 ま,冗談はおいといて,花粉症に打ち勝つための遺伝子組み換え技術の話に戻りますが,まずは僕の主張をエントリから引用します。
 
(僕の二つ目のエントリより引用開始)
「オレが花粉症になったのは花粉が悪いのだ。この花粉に打ち勝つために遺伝子操作をした食物を作って何が悪いのだ。」という思想は,僕のような宗教家にとっては見逃す事のできないものです。ま,純粋な科学者にとっては不思議でも何でもないのかもしれませんが,宗教家は「花粉症になるのはオレに問題があるのだ(昔はなる方が少なかったんだから)。オレの普段の行いを改めるべきなのだ」と考えるものなのです。
(引用終了)

 これに対する[koji_doi]氏の反論はこのようなものでした。

(前掲ブログより引用開始)
これが患者の自業自得であるかのような主張には断じて賛成できない。というか、ふざけるなという感じである。患者らは好き好んで花粉症になったわけではない。こんな発想が宗教家のスタンダードな考え方であるというのだろうか。やはり私はいかなる宗教家をも許容することはできない。
(引用終了)

 誤解されると他の宗教家に申し訳ないのではっきり書いておきますが,これは僕の宗教観です。スタンダードではありません。ま,強いて言うなら東洋の思想に多い考え方ですね。因果応報というやつ。気を病むから病気と書くのだという説教もそうです。好き好んで花粉症になる人はいなくても,花粉症になる原因(気も含む)を持っていたら必然的になるでしょう。同じ花粉が飛んでいる状況にいるのに,重症になる人と軽症で済む人,全く問題のない人に分かれるのは,ヒトの方になんらかの原因がありませんかね?サンプルも年々増えているわけですし,「こんな性格の人は花粉症になりやすい」という統計結果でも得られれば,別に遺伝子組み換えの米を使わなくても自分を変える事で克服できるのではないかと思います。ま,自分を変える事が嫌だから薬に頼ったり違う遺伝子に頼ったりするんでしょうけど,僕ら宗教家から見ればその姿は間違いなく「退化」にしか見えません。


 続いての問題点ですが,まずは僕の主張。

(僕の二つ目のエントリより引用開始)
退化した人類のわがままにつきあわせるために自然物に手をかけることこそ,僕は恥ずべき姿勢だと思います。自己反省と謙虚さを持ち合わせているかどうかということに尽きますね。
(引用終了)

 これに対しては,

(前掲ブログより引用開始)
自己反省をいくらしようとも謙虚であろうとも病気になるときには病気になる。花粉症に限らず病気とはそういうものではないか。もちろん病気になる確率の高いライフスタイルというのはあるだろうが、だからといってその結果を自業自得のものとして「自然」に運命を委ねることを強いられる謂れはない。患者たちの多くは切実に病気からの決別を欲しているはずである。そのための新しい技術を開拓して何が悪いのだ。
(引用終了)

 僕は何も「自然」に運命を委ねよとは言ってません。対症療法として薬も飲んだ方がいいし最新の医療技術を頼ればいい。新しい技術も開拓していただかないといけません。対症療法だけがわかればよい無反省で無宗教の方ならこれだけでいいでしょう。
 しかし,なんらかの宗教観を持っている人はその先を考えます。例えば僕なら自分の宗教観に従えば「自己反省をいくらしようとも謙虚であろうとも病気になるときには病気になる」とは考えません。反省が足りないから,または謙虚だと自分が思っているだけで全く気持ちが足りないから病気になるのだと考えます。そして,病気になってしまったのは仕方がないから対症療法で治療して,根本原因は別途で探り,さらなる自己反省を続けてこちらの原因を潰していく努力をするわけです。

 その過程で,宗教によって「先祖供養が足りなかったのではないか」とか「朝の礼拝をサボっているからではないか」とか「先月上司に怒られてムシャクシャしたからではないか」とか考えて,本当にそれが原因なのかどうかはわからないにせよ,反省すべきところをきちんと反省していくという形を大事にするわけです。まさにそれが宗教なんです。無宗教の方にはオカルトで議論の対象にすらならんでしょうけども。


 いよいよクライマックス。[koji_doi]氏の主張を続けて引用しよう。

(前掲ブログより引用開始)
そう。人類は昔から「自然物に手をかけて」暮らしてきたのだ。田畑の開拓はその最たるものである。氏の崇め奉る「コメ文化」とは組織的な自然改変の文化でもある。その結果として弥生人は急速に人口を増やして縄文人文化を席巻することとなった。これが氏のいう「神代の時代」(笑)におきたことである。氏にはその辺の認識ができていない。彼の定義する「恥ずべき」営みを否定することこそ、人がこれまで歩んできた歴史を否定するものである。恥ずべきはどちらの側か、結論は明白だな。
(引用終了)

 僕の中途半端だった定義が誤解を生んでいますね。すみません。先ほど述べた定義に従えば,人類は昔から「自然物に手をかけて」暮らしてはいません。それと大きな見落としがありますが,氏が言うところの「自然物に手をかけ」て暮らしてきた昔の人達は,ちゃんと大地に感謝を捧げて神を敬って生きてこられましたよ。種の壁を超えぬとはいえ創造主(一神教の場合の解釈)がお創りになったものを改変させてきたわけですから,許しを得て営みをさせてもらった報恩に感謝したり,豊作を祈願したり,秋には収穫祭りをして神と共に喜んだり,その場面に応じてふさわしい関わりを保ってきました。神代の時代(しつこい?)から人々は自然を畏怖してあちこちに神社や祠を建てて,荒ぶる神を鎮めて幸の神を招来して生きてきたわけです(意味もなく祭りで騒ぐだけってのは自然への畏怖を忘れた現代人の感覚です)。
 産経新聞の話に戻せば,あの新聞はそもそもこういう日本神道に根ざした文化風習を大事にせよと言ってきたわけですから,無責任に遺伝子組み換えを推進するな,とこう僕は言いたかったのです。皇室を敬えと偉そうに書く新聞が皇室のバックボーンである神道の教義を顧みずに,神宿る自然物を「人為」で改変させよと述べたから僕は「おかしくないかい?」と書いたのです。産経新聞は,皇室のお飾りの部分だけを利用して皇室の心を踏みにじっています。これじゃあ軍国主義時代と変わらないねと言われる余地が十分にありますよ,と。蛇足ですが。


 最後のモンサントの件はあまりゴチャゴチャこちらも書かなくてもいいでしょう。ターミネータジーンはモンサントだけの専売特許ではないし,好むと好まざるに関わらず遅かれ早かれそっちの方向へ向いていくでしょうから。

 ということで,本エントリは,最後に[koji_doi]氏のご意見を引用して,それに対する僕の意見を付けて終わりにします。

(前掲ブログより引用開始)
それと、倫理の話と経済の話と科学の話と、次元の違う話をごっちゃにするのは良くないと思う。
(引用終了)

 次元が違うとお考えになるのはご勝手ですが,それではただの専門○○。様々な見地から物事を俯瞰することも大事だと思います。もちろん,僕の知識・理解が浅い事は自覚していますよ。
posted by 時をかける僧侶 at 22:27| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月28日

更新パス

 今日は若手坊主の会合に参加して更新する時間がありませんでした。次回がんばりま〜す。
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2006年05月26日

ライブドア司直の動きのその裏で 進みつつある事実こそ知れ

 時間がないので少しだけ。

(May/017/06 毎日新聞より引用開始)
【[ライブドア株]外国人保有48% 過半数に迫る】
 外国人株主によるライブドアの持ち株比率が,今年3月末時点で過半数に迫る水準に達していたことが16日,明らかになった。昨年9月末の時点では約20%だったが,粉飾決算事件の発覚後,個人株主が大量に売った同社株を海外投資ファンドなどが買ったことから,今年3月末には,約48%に跳ね上がった。
 ライブドア株については,これまで今年3月末時点で米国や香港の投資会社4社が発行済み株式の約3割を保有していることが判明していたが,他の投資ファンドなども再編などによる値上がりを期待して購入を増やしたとみられる。
 ライブドアをめぐっては,業務提携している有線放送大手,USENが株式交換による経営統合を計画しているが,実現には株主の3分の2以上の同意が必要。比重が増す外国人投資家の支持を取り付けるうえで,USENは自社の収益向上策やライブドアとの経営統合後の戦略を厳しく問われることになりそうだ
(引用終了)

 ホリエモンやら宮内やらの裁判が行われています。それもまあ大事っちゃあ大事なんですけど,この事実をどのように見るか,ということも大事です。僕は,ライブドアの”おいしい子会社”の切り売りのタイミングを狙った外人勢の仕込みはほぼ終了したなあという感触です。過半数には達していないとはいえ,残りは売り遅れた(売れなかった)個人投資家がほとんどなわけで,彼らはこの先も株を売ろうにも売りにくいので,結局はどこかがM&Aを提案したらその金額でダンするしかないはず。もはや勝負あったなと思います。

 今後のライブドアの鍵を握るUSENの大株主に村上ファンドが出てきましたし,これからはまさに文字通りハゲタカたちの荒し場になるでしょう。ホリエモンたちの末路としてはドラマチックなことこの上ない。ま,そうは言っても僕は未だにホリエモンらがやったことは巷間言われているほど悪い事はしていないと思っていますが。
※あくまでも比較論の立場で,ということですよ。法律違反はまぎれもない事実ですが,より悪質な粉飾決算で訴訟を起こされているアリコとか,300億円近い架空売上を計上して脱税したNECの子会社だとか,ライブドア事件とは比べ物にならないぐらいの金額による不祥事についてライブドア以上の取扱がされた報道がないもんですから,こう考えたということです。

 ちなみに個人投資家がライブドア絡みで儲けようとしたら,あの方法しかありません。僕はしないつもりなので詳しくは書きませんけど・・・。
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2006年05月24日

株逝きてあわてふためく素人を 横目で笑う悪趣味な僕

 世界で株安が進行中らしい(今日は日経225は反発)。

(May/23/06 asahi.comより引用開始)
【世界で同時株安進む インフレ懸念,金利先高感強まる】
 世界で株安が進んでいる。(略)原油高をはじめとする資源価格の高騰からインフレ懸念が生まれ,金利の先高感が強まり,「株式投資が不利になる恐れがある」と考える投資家が増えてきたためだ。(略)
 22日の各国の株価指数(終値ベース)を5月上旬のそれぞれの高値と比べると,米国が4%,英国,ドイツがいずれも9%の下落だった。米国では5月10日にニューヨーク市場でダウ工業株平均が00年1月以来の高値をつけたが,17日には3年2カ月ぶりとなる大幅な下げを記録した。
 新興国の下げはさらに大きく,下落率はブラジル13%,インド16%,ロシアは26%に達した。インドでは22日の下落幅が一日で10%を超え,取引所が一時取引の全面停止に追い込まれた。(略)
(引用終了)

 新興国と言われるBRICs諸国の下落は「暴落」と呼んでもいいものでしょう。これらの国に行った事もない日本の投資家が経済誌や新聞に煽られて投資した挙げ句,うろたえまくっているようです。特にインド向け投資を煽る記事はあちこちで見てましたから,エライことになってるんでしょうねえ。僕は相変わらず「わからないモノは買わない」主義を貫徹していますのでノーダメージですが。

 試しに「野村インド株投資」というファンド(→ ファンド概要書(*PDFファイル))を見てみたら,「当ファンドは,現在,お買付の申込みを一時停止させて頂いております。」だって。投資は自己責任とはいえ,あんだけ煽ったら自分らにも責任はあるでしょうに。新聞はヨイショ記事を書いて広告をバンバンもらって儲け,証券会社は3.15%の販売手数料と2.1%の信託報酬を抜き(厳密に言えば運用会社が報酬をとっているわけですが),煽られて手数料を分捕られて散々な個人凍死家だけが取り残されて・・・。ま,どっちにしろ騙される方も悪いか。

 日本株についてはこんな指摘もあります。

(May/20/06 フジサンケイ ビジネスアイより引用開始)
【株下落で異変 個人,“追い証”回避 外国人,売り越し基調】
 大型連休明けの東京株式市場の株価下落が続いている。(略)
 下落の要因について,市場関係者は外国人の売り越し基調に加え,個人投資家の資金回転が鈍っている点を指摘する。
 東証が毎週発表している株投資家別売買動向(東京,大阪,名古屋三市場の各一部,二部)によると,五月第二週(八−十二日)の売買代金に占める外国人のシェアは57・9%と,昨年平均(45・1%)に比べて12・8ポイント上昇したが,売買代金は二週間ぶりに売り越し基調に転じた。(略)
 一方,個人投資家は29・5%までシェアが低下し,昨年平均(38・0%)に比べ9・5ポイント下回り,慎重姿勢が強まった。株式を担保に借金する形で取引する信用取引を行っている投資家が,株価急落によって含み損が拡大。「口座に追加資金を振り込まなければならない“追い証”を嫌い,投げ売りする傾向が出ている」(大手証券)とされる。(略)
(引用終了)

 個人投資家のシェアっていつの間にか30%切っちゃってたんですね。記事で指摘されている現状はライブドアショックの影響でしょうから,今回のタイミングでさらにシェアが落ちていくのかもしれません。投げ売りって強烈な下落を生むんですねえ。

(May/22/06 REUTERSより引用開始)
【個人投資家マインドが急低下,株価急落で】
 ロイター個人投資家5月調査によると,日本株式に対する個人投資家の投資スタンスの強さを示すロイター個人投資家DI(「強気」の割合から「弱気」の割合を引いたもの)はプラス24と前月の76から急低下,この調査を開始した今年1月以来,最低の水準となった。円高,金利高や米国でのインフレ懸念などで株価が急落したことが影響したようだ。投資しようとしている金融資産としては,預貯金との回答が急上昇した。(略)
(引用終了)

 DIは急低下したとはいえ,まだプラスです。強気の見方をしている人が多いということです(つまり押し目買いのチャンス)。預貯金に投資(?)というのは一時撤退ということなのでしょう。市況がよくなればいつでも戻れるぞという感じでしょうかね。

 ま,特殊な要因がいろいろと重なった(詳しくは先ほどの『フジサンケイビジネスアイ』の記事(略したところ)を参照ください)ということなので,まだまだ上昇の余地はあると見ている投資家が多いのでしょう。いずれにせよ,僕は株はやらないのでどっちに行こうが全くかまいませんが。

 今回エントリはここまでがメイン。あとは蛇足ですが,ちょっと暴露話を・・・。続きはここから!
posted by 時をかける僧侶 at 21:22| 兵庫 ☔| Comment(1) | TrackBack(1) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月22日

お土産がいっぱいあれば薮さまも きっと大変お喜びでしょう

 拉致問題について小泉首相は大ポカをやらかしました。三度目の訪朝サプライズを牽制するためにブッシュ・横田会談がもたれたわけですが,主権国の首相を差し置いて宗主国様が動くということのインパクトが大きかったのでしょうか,小泉政権はあわてて宗主国様へのお土産を準備し始めたようです。

(May/18/06 東京新聞より引用開始)
【米産牛肉 輸入再開,来月にも決定】
 米国産牛肉の輸入再開問題で日米政府は十八日に都内で開く専門家会合で,輸入再開の条件について大筋合意する。政府は六月中に輸入再開を決定する公算だ。ただ決定後,日本の専門家による対日輸出施設の事前査察などが必要。このため実際の輸入再開は今秋以降にずれ込む見通しだ。(略)
 六月下旬には小泉純一郎首相が,ブッシュ大統領と会談する予定。しかし,米国の圧力で輸入を再開したと消費者にとらえられれば,大きな反発が予想される。日米政府は首相訪米と関係なく,米国側が輸入条件を守ることができる体制を実務的に整える方針だ。
(引用終了)

 最後の小泉・ブッシュ会談を失敗するわけにはいかないっていうことでしょう。基地移転費用の負担の額もグアム分だけしかまだ決着していない中で,これから6月下旬まではさらなるお土産が用意されそうな予感がします。去年の秋も日米首脳会談の前に急いで輸入再開を決定して,ブッシュに褒められた直後に再度の停止。そのときはアメリカが悪いと強気の発言をしていた首相ですが,アメリカの業者のマインドが全く変わっていない現状で(次の記事参照)なぜ態度をコロッと変える事ができるのか,さっぱりわかりません。

(May/16/06 毎日新聞より引用開始)
【<米国産牛肉>輸入品に骨が混入 香港で3例目】
 香港政府は16日,米国の食肉加工施設から輸入した牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の感染防止のため禁止している骨が混入しているのが見つかり,同施設からの輸入を即時停止したことを明らかにした。香港で米国からの輸入牛肉に骨混入が見つかったのは今回で3例目。(略)
 香港では今年3月と4月に,米食肉処理施設からの輸入牛肉に骨混入が確認されている。過去2回の施設は米政府から対日輸出の認定を受けていたが,今回の施設が認定されていたかどうかは不明。
(引用終了)

 記事の日付に注意していただきたいのですが,16日に香港で違反が見つかった直後の18日の会合で輸入再開の方針を決めたわけです。っていうか,そもそもこの香港の記事はベタ記事扱いだったので,忙しいサラリーマンはタイトルすら目に入っていないのではないかと思われます。必要以上に騒ぐのは無意味だとは思いますが,アメリカの業者の不手際が全く改善されていないという本質が変わっていないのに,よく輸入再開なんて決定できるなって感じです。逆に言えば,こっそり再開しないといけないぐらい小泉政権は追い込まれているということが言えるのかもしれません。

 で,この流れを受けて昨日今日と毎日新聞と読売新聞が社説を書いているので見ておきます。どちらも論理が倒錯したおかしな社説になってます。

(May/22/06 毎日新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【米牛肉輸入再開 今度こそ輸出の条件を守れ】

  • 日米の専門家会議は,米国の食肉処理施設は米国産牛肉の対日輸出条件を守る体制が整いつつあるとの認識で一致した。
  • 米国産牛肉の輸入を再開するためには,米国側が,米国は条件を守る体制を整えたと日本側を納得させる必要があった。
  • 米国産牛肉の輸入再開は,日本の消費者の食の安全の問題であり,小泉純一郎首相訪米のような外交日程とからませる性格のものではない。しかし,日本の専門家が米国の報告に納得したのであれば,輸入を禁止し続ける理由はない。
  • 政府は米国の条件順守体制について日本の消費者とじっくり意見交換し,米国の施設を査察して条件順守を確認できれば,輸入を再開すべきだろう。
  • しかし,日本の専門家が米国の報告を受け入れたとしても,日本の個々の消費者が納得したわけではない。
  • 米国の牛肉輸出関係者は,日本の政治家や行政にではなく,消費者に目を向けなければならない。
  • 米国の行政当局や牛肉輸出関係者が短期間に,意識や体制を変えられるのか,疑問は払拭(ふっしょく)されていない。
(引用終了)

 実は毎日新聞が触れていない大きな問題があります。「日本の専門家が米国の報告に納得したのであれば,輸入を禁止し続ける理由はない。」という部分をしっかり検証していないのです。いいですか。輸入再開に慎重だったプリオン調査会の委員の半数が今年3月末に辞任しているという事実を,おそらく毎日新聞は意図的に隠ぺいしているのです。
【プリオン調,委員の半数が辞任「牛肉輸入再開に責任」】(Apr/04/06 YOMIURI ONLINE)
※もっと詳しく知りたい方はこちら。
【プリオン専門調査会は瓦解か?】(Apr/05/06 Speak Easy)
【狂牛肉輸入推進委員会】(Apr/04/06 きっこの日記)

 反対派(慎重派)を除外してイエスマンの茶坊主にすげ替えてる専門家集団の動きに触れず,「日本の専門家が米国の報告に納得したのであれば・・・」なんて書くのはインチキです。結論先にありき,そのものです。自ら「米国の行政当局や牛肉輸出関係者が短期間に,意識や体制を変えられるのか,疑問は払拭(ふっしょく)されていない。」なんて書くくせに,専門家がゴーサイン出せば輸入再開せよ,なんて僕だったら恥ずかしくて書けませんね。

 読売も同じ論理倒錯が見られます。アメリカ産牛肉問題で脳みそがプリオンに犯されたかのような社説を書きまくってきた同社ですが,今回さらに恥を広げています。

(May/21/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[米国産牛肉]「危険部位混入の失態繰り返すな」

  • 日米の専門家会合が再開条件で大筋合意した。6月には正式決定の運びという。日米関係の懸案の一つに,解決のめどが立ったことは歓迎したい。
  • 米国側は今後,日本向けに輸出する牛肉について,品質管理に万全を期さねばならない。
  • 日本側も,米国任せにせず,日本向けの牛肉処理施設の検査を自ら行うなど,厳しく目を光らせることが肝心だ。
  • 日本側は会合で,35施設を日本の検査官が事前に査察することや,輸出再開後に米国の検査官が実施する抜き打ち検査に,日本の検査官が同行することなどを要求した。米国側は,受け入れに前向きの姿勢を示しているという。日本側の要求は当然だ。この要求が最終的に受け入れられるよう,今後,細部を詰めなければならない。
(引用終了)

 「日米関係の懸案事項が減るから歓迎する」なんて,まともな神経の持ち主なら書けないね。なにが愛国なのよ。
 「米国任せにせず,日本向けの牛肉処理施設の検査を自ら行うなど,厳しく目を光らせることが肝心」というのも無茶苦茶。事前にどこの工場を視察するかを告げて許可が下りて初めて検査できたとしても,テスト前に試験問題と解答を教えているようなもので,全く効果は上らないでしょう。そして,最後の文章を読めばお分かりの通り,アメリカ側への要望が通らないうちに輸入再開を決定するということまで露呈しているわけで,我々国民としては,なぜ今輸入再開なのか?という疑問がさっぱり解明されません。な〜んだ,しょせんはブッシュへのお土産じゃん!ってのがバレバレ。支持率30%しかなくなって酒浸りでローラ夫人に三行半を突きつけられそうになっているオヤジに,牛肉と3兆円と医療制度改悪と新会社法のお土産セットを揃えて,最後の花道を飾るってか。日本の首相って仕事も楽でいいなあ。
posted by 時をかける僧侶 at 20:15| 兵庫 ☁| Comment(1) | TrackBack(1) | アメリカ産牛肉問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月20日

退化する人類が欲すわがままを 許すや否や神の御心

 先日のエントリ【遺伝子を組み換えた米を作れとよ 忘れちゃ困る瑞穂この国】に関してトラックバックをいただきました。
【遺伝子組み換え反対は宗教であるということ】(Apr/22/06 新・非公正ブログさま)

 今日は反論も加えながら,僕の言いたかった事をより踏み込んで書いていきたいと思います。

 さて[koji_doi]氏は純粋な科学者のご様子ですが,主張は出だしからちょっぴり曲がってしまっています。

(前記ブログより引用開始)
私としてはただ事実のみを淡々と記すが、だいたい農作物というものは普通「組み換え」の結果生じているものであるということだけは、食の安全とかを「これから」勉強しようとしている人には理解して欲しいとおもうのである。
(引用終了)

 氏は「人為的な」遺伝子組み換え技術による食物と,「自然的な」品種改良による食物をゴッチャにしていらっしゃるようです。ま,人間の都合で食物を変容させるという広義の意味で考えれば同じ「組み換え」だと言ってしまえるかもしれませんが,そうであると考えると,「遺伝子組み換え食品とは品種改良の進歩したものである」ということになります。ここが一つのポイントですかね。僕は「宗教家」なので,そのようには考えません。技術的に可能かどうかということと,やって良いか悪いかということは別問題であるということはお分かりかと思いますが,”良い””悪い”の倫理基準が僕と[koji_doi]氏では異なります。どっちが正しいとか間違っているとかではなく価値観の問題ですが。

 [koji_doi]氏はさらにこう述べておられます。

(前記ブログより引用開始)
GMO(引用者注:遺伝子組み換え食品のこと)反対それ自体は結構。だが、高校生物・高校地理程度の知識でも看破できるような矛盾を平気で主張して騒ぐのは社会の迷惑だからやめて欲しいのである。ましてや結論先にありきの全面否定など、民主社会の進歩を拒否する姿勢であり、また、人類の福祉向上への営みに挑戦する恥ずべき姿勢といって過言ではない。
(引用終了)

 僕は浄土宗の僧侶(厳密に言えばまだ見習い)であり宗教家ですが,決して[koji_doi]氏が主張しておられる「遺伝子組み換え反対は宗教である」という立場で反対しているわけではありません(言わずもがなですが)。また,[koji_doi]氏が挙げておられる人・団体のようなサヨク(?)くさい立場で,なんでもかんでも反対というわけでもありません。いたずらに危機を煽って人々を不安に貶めるのは新興宗教のやり口であり,そのような臭いのする反対論を「宗教」と呼ぶ事には僕も異論はありません。しかし,僕が展開する反対論はこのような脊髄反射的なものではありません。僕はエントリでこう書いたはずです。

(引用開始)
豊葦原瑞穂の国という言葉があるように,米(アメリカじゃないぞ)は日本の食品の象徴です。神代の時代から大事にしてきたのが米文化なのです。それを人為的で自然破壊的な科学技術である遺伝子組み換えなんぞで,たかだか花粉症の治療のために穢そうという。
(引用終了)

 日本人が自国の文化を軽視するのみならず,花粉症などという人類の退化による病症(昔は花粉症なんてなかったという事実から十分結論づけられるでしょう)を克服するために,あろうことか自然物の方に手を入れる,そういうことを推奨する産経新聞の社説を僕は批判したわけです。「オレが花粉症になったのは花粉が悪いのだ。この花粉に打ち勝つために遺伝子操作をした食物を作って何が悪いのだ。」という思想は,僕のような宗教家にとっては見逃す事のできないものです。ま,純粋な科学者にとっては不思議でも何でもないのかもしれませんが,宗教家は「花粉症になるのはオレに問題があるのだ(昔はなる方が少なかったんだから)。オレの普段の行いを改めるべきなのだ」と考えるものなのです。これは「人類の福祉向上への営みに挑戦する恥ずべき姿勢」でしょうか?退化した人類のわがままにつきあわせるために自然物に手をかけることこそ,僕は恥ずべき姿勢だと思います。自己反省と謙虚さを持ち合わせているかどうかということに尽きますね。

 より根源的なことを言えば,GMOが安全かどうかなんて「科学的には」わかりません。いつになればわかるかというのも愚問です。流行の言葉を使えば,安全でも危険でも「99.9%は仮説」であり,将来たった一例でも反例が見つかれば「科学的に」安全とか危険とかの「それまでの常識とされてきた事実」は事実ではなくなるからです。だからこそ,安全だから進めよとか,危険だからやめよという根拠不明瞭で二元的な議論ではなくて,この技術を進めてしまうと失ってしまうかもしれない物事についてきっちり担保せよ,という議論をしないといけないと僕は思っています。僕が産経新聞の社説を批判したのは,社説には失われてしまうであろうモノへの十分な配慮が欠けていたから,というわけです(保守のくせに,というのが皮肉として付きます)。
※例えば,ターミネーター・ジーン(自殺遺伝子とでも訳すか)問題について世間がどのように理解しているのかというような段階まで来ていないでしょ?モンサントなどの巨大穀物商社が展開しているこの動きをマスコミもワッチしていないでしょ?

 まとめてみましょう。

  • いたずらに危機を煽る組み換え反対論は「宗教」と呼んでも差し支えない。
  • しかし僕はその宗教とは無関係である。浄土宗の坊主ではあるが。
  • 仏教徒の立場に立てば,遺伝子組み換えをこれまでの品種改良と同列に扱う事はできない。
  • とくに人間の花粉症対策のための米開発など,自然を侮辱する行為であると考える。
  • 退化した人間のわがままに合わせる目的で,自然物のコアの部分に手を加えることは看過できない。
  • もちろんGMOが安全か危険かなんて科学的には証明できない。
  • 政策として進めるにしても,失うものへの配慮を欠けば反対せざるを得ない。

 遺伝子技術そのものを否定するわけではありませんよ。過ぎたるは直及ばざるがごとし。日本人として軽率なことをやり過ぎてはいかんよ,という話。
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 ☁| Comment(4) | TrackBack(2) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月18日

アザデガンどっちを向いても利権はパー 間に合いますかい?次善策は

 アザデガン油田を巡る動きがあったようです。この問題,前門の虎後門の狼状態の日本はどっちに食べられた方が傷は少ないのか,そういう段階まで来ているのではないかと思って注意しています。

(May/17/06 asahi.comより引用開始)
【制裁参加なら対日禁輸も イラン大使が油田巡り警告】
 イランのモーセン・タライ駐日大使は17日,都内で記者会見し,同国の核開発問題をめぐり米国が検討しているとされる「有志連合」によるイラン制裁に日本が加わった場合,「イランへの制裁ではなく,日本への制裁になる」と牽制(けんせい)した。日本がイランで開発を進めるアザデガン油田の権利を失う可能性を示唆したものだ。
 日本の原油輸入量の約15%を占めるイランは,サウジアラビア,アラブ首長国連邦に次ぐ大口輸入先。アザデガン油田は推定埋蔵量260億バレルで日本が75%の権益を持つ最大の自主開発油田だ。大使は「日本のエネルギー安全保障にとって死活的に重要なアザデガンの権利を維持し,国益を守るべきだ」と述べた。
(引用終了)

 イラクに自衛隊を派遣したように,イランにも日本がアメリカ軍に連動した動きをするのなら許さんよということです。これで進退窮まりました。アザデガン油田の権利はいずれにせよパーになる可能性が超高いのです。次の記事を読めばこの事が実感できるでしょう。

(Apr/29/06 産経新聞より引用開始)
【日本「アザデガン」窮地 油田投資に制裁 米下院法案可決】
 米国下院本会議はイランの石油などエネルギー分野に二千万ドル以上の投資をした外国の機関や企業に米国政府が経済制裁を加えることを義務づけたイラン自由支援法案を二十六日,可決した。日本のイランのアザデガン油田開発の停止を目標とする同法案が法律となる見通しは強く,ブッシュ政権からの停止要請とともに,日本の同油田開発はイランの核兵器開発の動きとからんでさらに難しい状況に直面した。(略)
 同法案を促進する下院国際関係委員会のヘンリー・ハイド委員長(共和党)は,法案の主目標が日本であることを示唆しながら「日本が石油消費全体の15%をイランからの輸入に頼る現状では,イランとの石油のきずなを断つことが難しいのはわかるが,核開発阻止の国際連帯のために,イランへの圧力行使に協力してほしい」と述べている。(略)
 上院でもすでに同趣旨の法案が出され,可決される見通しが強いという。(略)
(引用終了)

 アメリカの言うことを聞くのならアザデガン油田利権はそのまんまパーになります。イランも迷わず利権を取り上げるでしょう。
 イランの言うことを聞くのなら利権は保てますが,アメリカに処罰されます。イランは自国産石油の決済通貨をユーロ建てにすることを検討しているわけだし(→ 【自国産原油価格,ユーロでの設定を検討する可能性=ベネズエラ大統領】(May/16/06 REUTERS)など),アメリカの怒りは相当なものになるはず。下院・上院ともに日本の動きを問題視している状況で,国家のエネルギー政策をアメリカに依存している日本が唾を吐けるわけがありません(吐いちゃうとパールハーバーを仕掛けるしかなくなるまで追いつめられますし,国内のCIAエージェントが日本国内を分断させる動きをとるでしょう)。

 結論。どっちの言うことを聞いてもアザデガンはパー。まして,イランを怒らせると現在の15%の供給すら危ぶまれます(もちろんアメリカが空爆したら確実に危機です)。じゃあ,イランはそのうち怒っちゃうとして,替わりにどこから石油を輸入するって言うのでしょうね。ロシアですか?でもロシアから買おうとしたらルーブル建てでないと売ってくれないかもしれませんよ(→ 【オオカミたちへの伝言】(May/17/06 ロシア政治経済ジャーナル))。北方領土も帰ってこないかもしれないし(日本をアメリカから切り離すために北方領土と石油をバーターってこともあるか・・・?)。

 サウジもアメリカから疎まれているし,ヘタしたらイランの二の舞いだから無理か。やっぱカナダかオーストラリアになりますかね。親米政権だし,ドルで買えばアメリカも文句言わんでしょう。早い事動きを見せておかないと,日本国内がオイルショックで大混乱してワールドカップどころじゃないですよ。マスコミも,オオグロー!,マキー!とか騒ぐのはほどほどにして,現実をしっかり報道してくださいよ。続きはここから!
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2006年05月16日

素晴らしき知性に会いし週末の 興奮いまだ醒めやらずかな

damasu.jpg 先日(5/13)原田武夫氏のセミナーに参加してきました。氏は去年の春まで外務省で北朝鮮外交を担当しておられたスーパーエリートで,機知に富み,我々の気付かない物事の本質をしっかりと見抜いていらっしゃるスゴイ人でした。氏の考えは『騙すアメリカ 騙される日本』ちくま新書をあらかじめ読んでいたので理解しやすかったのですが,このセミナーではここからさらに踏み込んだ話をされていたので,非常に勉強になりました。

 セミナーの中身を晒すことはいろいろと問題が出てくるのでやめておきましょう。個人投資家向けのセミナーという位置づけでしたが,単なるお金もうけの話というよりも,より高度な情報を披露して,より高いところから(アメリカの対日政策を読みに読んで)今後の相場を占っていきましょうというものでした。いやー,すごかったな。

24hdeokanemoti.jpg 新聞が伝えない「情報」については僕もネットなどでいろいろと知っているつもりでしたが,やはり外交官の目の付け所というか,その道のプロにしてみれば,別段新聞が書かなくてもあらゆる公表された情報をつなぎ合わせる事で本質がわかると言います。誰でも知っている大きなニューズを年表にして,現在起こっている事をあてはめていくと,次に何が起こってくるのかがだいたいわかるらしい。「こんなニューズが出た。さあどうなるか」という視点ではなく,「なぜ今このニューズが出たのか(出るだろうと思っていたがなぜ今か)」という考え方を常にもっていること。それが正しい「情報」を見いだす鍵となるそうです。

 一例を留めておきましょう。
 いまなぜ消費者金融のグレーゾーン金利についてとやかく言われているのでしょうか。出資法で決められた上限利息と利息制限法で決められた上限利息に大きな差があって問題になっていたという事実は,金融機関に勤めている(いた)人間にとっては別に真新しい事実ではありません。サラ金でお金を借りた事がある人も知っていたかもしれません。問題は,「ではなぜ今話題になるのか?」という正しい問い掛けができるのかどうか,ということ。

 はっきり書きます。「年次改革要望書」において,アメリカから要望されているからです。すなわち,サラ金という非常に旨味の大きいビジネス(大手サラ金の社長のほとんどがForbs誌の金持ちランキング上位にいます)をアメリカに門戸開放しろということが既に要望されているからです。そのためにいろんな事実が積み上っているわけです。なぜアイフルが業務停止になったのか?・・・そういうことなんです。これ以上は書けません。興味のある方は有料情報(→ 原田武夫国際戦略情報研究所)で実際に読んで(聴いて?)みてください。

kitatyousengaikou.jpg 原田氏は元外交官。『拒否できない日本』文春新書を出された関岡英之氏や政治評論家の森田実氏なども年次改革要望書の内容について警鐘を鳴らして日本人の覚醒を促しているわけですが,彼らと原田氏の決定的な違いは,「ではどうするか?」の向かい方にあります。日本の外交力のお粗末さを身をもって実感している原田氏は,外交力によってアメリカやその他諸国の(日本に対する)外交政策を防ごうということを考えていません。徹底したリアリストだなあと感心してしまいますが,だからこそ個人投資家という立場で,自分たちの資産を守るために他国の外交政策,たとえば年次改革要望書などを分析することによって,他人よりも一歩先に投資行動を起こそうという考えを持っています。関岡氏や森田氏は日本の外交力をもっと鍛えて迎え撃つべしという主張になるかと思いますが,そんなことは不可能だと悟っていると考えてみるとわかりやすいかと思います。

 もちろん,元外交官だからといってすべての情報が正しいとも限りませんし,彼が大金持ちの戦略家とグルになって日本の末端の個人投資家をハメ込むことを考えているのかもしれません。そこのところは,ご自分で彼の主張を読むなり聞くなりしていただいて判断してください。僕は彼の知性と冷徹なまでの分析力に圧倒されました。すごい人はあちこちにいるもんなんですねえ。
posted by 時をかける僧侶 at 19:03| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月14日

現場こそ大事とホームズも言っていた 教育界はどこに向かうの?

 日曜日なので軽い話題にしよう。記事を整理していたら1ヶ月前のニューズをたまたま見つけたので,コメントしておきます。

(Apr/14/06 NIKKEI NETより引用開始)
【「職員会議での挙手・採決は不適切」・都教委が通達】
 東京都教育委員会は14日までに,「職員会議での挙手・採決は不適切であり,行わない」とする通知を全都立学校の校長あてに出した。都教委は,教職員の議論の場としては「企画調整会議」があり,校長の補助機関である職員会議に議論はそぐわないとしている。
 通知は13日付で,中村正彦教育長名で出した。発端は,都教育庁が今年1月に行った都立高校など全約260校に対する調査。職員会議で挙手・採決を行い,「校長の意思決定を拘束しかねない運営」をしている学校が18校あることがわかった。
 通知は,校長,副校長,主幹らによる学校運営の中枢機関である企画調整会議を「教職員の建設的な意見を踏まえた十分な議論を行う場として活性化させる」と説明。原則として週1回程度開き,情報を校内で共有することも確認した。
 都教育庁は「企画調整会議に出られない教職員の意見も主幹らを通じて吸い上げることができる。通達はそれぞれの会議の趣旨を明確にする目的がある」としている。
(引用終了)

 日経の記事ですが,これを読んだだけでは,「校長など学校運営の中枢の意見が尊重されるべきなんだから当然じゃないか」と感じるでしょう。さて,同じ問題を共産党が見るとどうなるか。

(Apr/15/06 しんぶん赤旗より引用開始)
【職員会議で採決禁止 都教育庁通知 管理職の権限強化】
 東京都教育庁は十三日,職員会議で「挙手」「採決」などの方法で,教職員の意思を確認する運営を行ってはならないとする中村正彦教育長名の通知を二百六十三校の都立学校長に出しました。学校運営における都の管理強化は教育機能の崩壊につながるとして,現場の教師,教育関係者から批判の声が上がっています。
 「学校経営の適正化について」とする今回の通知は,企画調整会議や職員会議などの運営について「一層の適正化を図る」よう求めています。その内容は,校長,副校長,主幹で構成される企画調整会議が,学校経営の「中枢機関」で,「職員会議の場で議論し,教職員の意向を挙手等で確認するような学校運営は許されない」というものです。
 職員会議は校長の補助機関と明文化した二〇〇〇年の学校教育法施行規則を受け,都教育庁は〇一年,「校長が決める事項を,職員会議が制約するような運営で意思決定してはならない」との通知を出しました。今年一月に都立校にその後の状況を報告させたところ,十数校で校務に関する内容を職員会議での挙手や採決で決めていたことが判明したとし,また学校経営支援センターが四月に始動したことも踏まえ,今回の通知を出しました。
 都立高校で日本史を教える男性教師(57)は,このような通知は「現場の意欲をそぐだけ。一部管理職の決定で,学校運営がうまく行くはずがない」と批判しています。
(引用終了)

 最後の一文なんて日教組に洗脳された思想そのものやなっていう感じも受けますが,冷静に判断すればそんな考えにも一理あります。良くも悪くも生徒や保護者と直接触れ合い話し合いしている現場の教師の意見よりも,雲の上で上澄みを舐めながら出世競争に精を出しているお偉いさん方が決める方針を優先させるべきなのか,という大きな問題が浮かび上がってくるからです。

 要するに中間管理職である校長や教頭に権威をつけたいというのが都の方針なんでしょうけど,そんな官僚主義がうまくいくかなあ。僕だったらこういうニューズを見れば,間違いなく自分の子供は私立に行かせてあげたいと思っちゃうし,間違っても偉いさんの出世のために自分の子供を差し出すような事はしたくない。担任の先生の素質にもよりますが,自分の子供に愛着を持って接してくれる現場の先生の考えを大事にしたいですね。ま,東京都のやる事なので関西在住の僕にとってはどうでもいい話ですが。

 とはいえ,これから少子化が進んでいく中で僕も結婚適齢期を迎えるので(現在29歳・・・適齢期は過ぎたか?),一部の大人たちの都合で自分の子供が不幸にならないように,教育問題に対してはずぅっと興味深く見ていくつもりです。
posted by 時をかける僧侶 at 23:53| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月12日

当局の二歩も三歩も先を行く 金ちゃん走りを誰も止めれず

 ワイドショーのような話題を。村上ファンドがシンガポールに逃げたらしい。
【村上ファンド、海外に全資産を移転】(May/11/06 asahi.com)

 ねらいは,「(シンガポールの)税制だけでなく、ビジネスの優遇措置など投資ファンドの誘致に積極的な点を評価した」という表向きの理由だけではないでしょう。明らかに金融商品取引法が施行された後のファンドへの監視強化を嫌ったものであることは間違いありません。私募形式のこの手のファンドは資金の出し手のネームがクローズドであるからこそ巨額のマネーを運用できるわけで,それが当局に把握されてしまうと資金が集まらなくなる可能性が高くなります。こうなっちゃうと,せっかく仕掛けているTBSやら阪神やらの株も手放さないといけなくなるかもしれず,またたくさんお金を出している農林中金などの金融機関もビジネスチャンスを逃してしまう事になります(→ 【村上ファンドによる阪神電鉄ファンド、1320億円の半分以上は農林中央金庫が出資 WBSが報道】(Oct/16/05 Zopeジャンキー日記))。ま,儲けるためには農中としても村上ファンドにはシンガポールに出ていってもらった方がいいのかもね。

 世界の大金持ちを相手にした村上ファンドがこういう動きをしている中で,日本の弱小預金家たちを小ばかにして手数料をかすめ取ったり,貸し剥がしが怖くて断れるはずのない企業へスワップ契約を押し付けたりしてきた三井住友銀行は,公的資金(税金)を一部返済するらしい。
【三井住友FG、公的資金2040億円返済へ】(May/12/06 NIKKEI NET)

 資本増強も我々の税金を使い,返済原資も国民から引っぺがしたカネ。やっぱりメガバンクといえども一つぐらいは破綻させておくべきだったということかな。モラルハザードという言葉が風化してしまった昨今ですが,ここまでやられっぱなしで小金を持っている国民はなぜ怒らないのかなあ。僕みたいな貧乏人が怒ったって影響ないしなあ。言ったモン勝ちってことはないでしょうけど,見ざる聞かざる言わざるは,時と場合によっては美徳どころか巨悪の暴走を放逐するだけの不作為にしかなりません。やられグセ,負けグセが付いてしまっている日本人はここらでいっちょ爆発した方が健康にもいいと思うんですけどねえ。
posted by 時をかける僧侶 at 23:18| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

当局の二歩も三歩も先を行く 金ちゃん走りを誰も止めれず

 ワイドショーのような話題を。村上ファンドがシンガポールに逃げたらしい。
【村上ファンド、海外に全資産を移転】(May/11/06 asahi.com)

 ねらいは,「(シンガポールの)税制だけでなく、ビジネスの優遇措置など投資ファンドの誘致に積極的な点を評価した」という表向きの理由だけではないでしょう。明らかに金融商品取引法が施行された後のファンドへの監視強化を嫌ったものであることは間違いありません。私募形式のこの手のファンドは資金の出し手のネームがクローズドであるからこそ巨額のマネーを運用できるわけで,それが当局に把握されてしまうと資金が集まらなくなる可能性が高くなります。こうなっちゃうと,せっかく仕掛けているTBSやら阪神やらの株も手放さないといけなくなるかもしれず,またたくさんお金を出している農林中金などの金融機関もビジネスチャンスを逃してしまう事になります(→ 【村上ファンドによる阪神電鉄ファンド、1320億円の半分以上は農林中央金庫が出資 WBSが報道】(Oct/16/05 Zopeジャンキー日記))。ま,儲けるためには農中としても村上ファンドにはシンガポールに出ていってもらった方がいいのかもね。

 世界の大金持ちを相手にした村上ファンドがこういう動きをしている中で,日本の弱小預金家たちを小ばかにして手数料をかすめ取ったり,貸し剥がしが怖くて断れるはずのない企業へスワップ契約を押し付けたりしてきた三井住友銀行は,公的資金(税金)を一部返済するらしい。
【三井住友FG、公的資金2040億円返済へ】(May/12/06 NIKKEI NET)

 資本増強も我々の税金を使い,返済原資も国民から引っぺがしたカネ。やっぱりメガバンクといえども一つぐらいは破綻させておくべきだったということかな。モラルハザードという言葉が風化してしまった昨今ですが,ここまでやられっぱなしで小金を持っている国民はなぜ怒らないのかなあ。僕みたいな貧乏人が怒ったって影響ないしなあ。言ったモン勝ちってことはないでしょうけど,見ざる聞かざる言わざるは,時と場合によっては美徳どころか巨悪の暴走を放逐するだけの不作為にしかなりません。やられグセ,負けグセが付いてしまっている日本人はここらでいっちょ爆発した方が健康にもいいと思うんですけどねえ。
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2006年05月10日

遺伝子を組み換えた米を作れとよ 忘れちゃ困る瑞穂この国

 産経新聞だけは,こんなこと書かないだろうと信じていたのに・・・。

(May/08/06 産経新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【スギ花粉症 米を食べて治す道もある】

  • 飛散量が少ないといわれた今年も多くの人が花粉症に悩まされた。五人に一人は毎春,くしゃみや鼻水,目のかゆみなどでつらい思いをしている。
  • スギ花粉症の治療や予防に役立つ稲の開発が独立行政法人・農業生物資源研究所で進んでいる。この稲からとれた白米を毎日,少量食べれば苦しい症状から解放されることになるという。
  • しかし,この米には遺伝子組み換え技術が使われている。
  • 遺伝子組み換え作物には逆風が吹いている。販売だけでなく栽培に対しても根強い反対運動がある。しかし,すべてを否定するのはいかがなものだろうか。
  • 確かに海外ではバイオ企業の利益や生産者の利便に照準を合わせたような事例もあった。
  • だが,組み換え技術を使っていても花粉症緩和米に対しては流通を待ち望む声が多い。これは消費者の希望にこたえる技術であるからだろう。
  • 組み換え技術は,将来の食糧問題の解決で切り札となるはずだ。乾燥や塩分に強く,収量の多い農作物の開発は避けて通れない。
  • 政府は花粉症緩和米の開発を促進してみてはどうか。遺伝子組み換え作物との上手な付き合いの始まりとなる可能性が高い。
(引用終了)
 
 読んでみて率直な感想を書くと,ふ・ざ・け・る・な。
 豊葦原瑞穂の国という言葉があるように,米(アメリカじゃないぞ)は日本の食品の象徴です。神代の時代から大事にしてきたのが米文化なのです。それを人為的で自然破壊的な科学技術である遺伝子組み換えなんぞで,たかだか花粉症の治療のために穢そうという。皇室問題で日本の象徴ご一家を守れという論を張っていた産経新聞がこのような情けない社説を出すとは,がっかりだよ。

 そりゃあ将来の食糧問題は切実な問題ですよ。日本はカロリーベースの自給率は40%切っているわけだし,地球上の人口は増え続けているわけだし。でも,「万物に神宿る」という神道の思想や,「自然物は皆仏性をもつ」という大乗仏教の思想がDNAの幹の根本まで染みついている我ら日本人に向かって,神仏を穢してでも食糧を確保せよとは笑止千万。社説記者は,食前の「いただきます」という言葉は食物となった生命体への感謝の言葉であるということを学んでいないのでしょうか?それも産経新聞という保守系メディアにおいてこのような体たらくとは。本来はまっさきに遺伝子組み換えなどという神仏を侮辱するような技術は日本には不要だ,のような論を張らなくてはならんでしょうが。

 日本がとるべき食糧政策はただ一つ。自給率の向上しかありません。遺伝子組み換えという邪道ではなくて,青田を開拓して豊作を願うというロートルな王道を目指さねばなりません。戦後一貫して減反政策をとって自給の道を閉ざし,欧米諸国からカロリーが高くて日本人の体に合わない食糧をせっせと輸入してきたツケは今後払っていくしかありませんが,日本が諸外国の食糧政策のお手本になるには,王道を歩むしかないと思います。

 これはきれい事でしょうか。そうだと思う人は宗教心について一度じっくり考えた方がよいでしょうね。ま,宗教心だなんて言うと拒絶反応を示されるかもしれないので,論理的に自給率向上がなぜ必要かについて書いておきましょうか。概ね次の3点が考えられます。

  1. 自給率が超低い都市圏で大地震が起これば,食糧供給が滞る可能性が高いから。
  2. 食糧輸入はインフレおよび円安リスクが大きいから。
  3. BRICs諸国など新興国に今後優先的に食糧が輸出される可能性が高いから。

 1点目は容易に想像が付くでしょう。阪神大震災のような朝方みんな家にいるときの地震ならまだしも,昼間仕事場で震災にあえば,まず避難民になってしまうでしょうし(ホテルに泊まれればラッキーな方でしょう),道路の秩序が乱れれば地方からの食糧搬入も滞ります。東京都の自給率はたった2%ですよ。都内一等地でどれだけお金を持っていてもモノがなければ何にも買えません。

 2点目。原油や穀物,建築資材などの物価が上昇していますし,CPI(消費者物価指数)もプラスを維持しています。インフレになれば手元資金の価値は下ってしまいます。まあ,これは輸入食糧だけに限りませんけど。
 円安の場合も深刻です。ストレートに家計を圧迫しますから。人民元が切り上れば中国産の野菜なども値段が上がりますし,その他諸外国からの輸入にしても円安=輸入物価高なので同じ事が言えるでしょう。

 3点目。日本もいつまでも同じコストで食糧を輸入できると思ってはいけません。輸出国の立場に立てば,少子化が進んで人口が減っていく日本よりも新興国の方が市場に旨味があるわけですから,優先順位はいつかは変わってくるでしょう。

 もちろん産経新聞はこれらのことは承知でしょう。でも邪道に走るのは決定的にマズイ。日本の伝統を守れと説くのが保守の役目のはず。目を覚まして欲しいもんです。
posted by 時をかける僧侶 at 17:50| 兵庫 ☔| Comment(2) | TrackBack(3) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月08日

いつまでもカモられ続けてどこ行くの? 団塊世代よ目覚めておくれ

 おいおい,国民よ目を覚ませ!またしても銀行・証券会社に儲けさせるつもりか?というような記事があったので,早速ケチをつけておこう。

(May/07/06 MSN毎日インタラクティブより引用開始)
【投資信託:狙いは「団塊の世代」 毎月分配型など好評】
 07年から大量退職を迎える「団塊の世代」(1947〜51年生まれ)を狙った投資信託が人気を呼んでいる。大手証券会社は・・・(略)・・・運用収益を小遣い感覚で受け取れる「毎月分配型」とするなどの工夫を凝らす。大手3社とも販売が好調で,関心の高さを裏付けている。
 野村証券は昨年5月,本格的に世界で分散投資する団塊向けの投資信託「マイストーリー分散型」を発売した。純資産残高は今年4月末で5000億円を超えた。
 運用の配分比率は債券75%,株式25%が基本。債券の半分は米国,欧州など格付けの高い国債などで,残る半分はロシア,ブラジルなど新興国の高利回りの国債などで運用する。株式25%のうち,8%は外国株式とするなど,「世界のさまざまな債券や株式を組み合わせ,日本の株や債券だけで運用するより,景気変動に左右されにくい資産運用ができる」のが特徴という。
 分散投資型の投信としては,大和証券が北米,欧州,オセアニアの3地域に分散投資する「ダイワ・グローバル債券ファンド」を03年10月に発売し,純資産残高が1兆円を超えた。日興コーディアル証券も世界各国の株式と債券,不動産を組み合わせた「日興・メロン・グローバル財産3分法ファンド」を昨年10月に発売し,同残高は2000億円を超えた。
 運用収益を野村は奇数月,大和と日興は毎月受け取る「毎月分配型」を選べることも,年金生活者向けに好評という。
(引用終了)

 ホントにいいカモだなあ,まったく。

「マイストーリー分散型」を調べてみれば,ファンド・オブ・ファンズらしい(→ 参考サイト)。つまり,ファンドに分散投資するというヤツで,何が不利かというと手数料が割高であるということ。実際,信託報酬は0.798%,販売手数料は0.21%となっていて,次のダイワと比べれば割安なんですけど初年度は勝っても負けても1%のコストは覚悟しないといけません。債券75%だと言っても世界的に金利上昇局面なわけで,かえってパフォーマンスは落ちるだろうし,これって毎月分配(野村のこのファンドは奇数月分配)のキャッシュフローをひねり出すために無理やり組み込んでるだけじゃないの?って思ってしまいます。ロシア,ブラジルなどのエマージングマーケットでは普通は株式売買を主にすべきでしょう。債券なんて流動性の面で危なっかしくて,いくらプロでも勝ち続けるのは難しいんじゃないの?僕なら1%の手数料は割高だなあと思いますね。

 次。「ダイワ・グローバル債券ファンド」(→ サイト)はもっとえげつない。同じくファンド・オブ・ファンズで,信託報酬はなんと1.3125%で販売手数料は2.10%(1000万円未満)。初年度にいきなり3.4%強のコストがかかります。面白いことに,リンク先にグラフの下に薄い字で「基準価額の計算において信託報酬は控除されております。」なんていう但し書きがあったりして,実は販売手数料と信託報酬をオンしたらマイナス利回りなんじゃないの?と勘ぐりしちゃいそうなわざとらしい上昇グラフになっていたりします。僕なら絶対に買わないね。

 最後。「日興・メロン・グローバル財産3分法ファンド」(→ サイト)はとにかくややこしい。クラスAとBの2種類があってそれぞれで手数料は異なるようですが,総じて割高だと思われます。「信託報酬」という名前ではなく「管理報酬」と書いてあって,その下に但し書きで「その他受託報酬がかかります。また,メロン・グループ以外の運用会社が運用を行う他の投資信託への投資にかかる運用報酬等が課されます。」だって。コストがわからない商品に大事な虎の子を預けるかね?舐めてやがるね。
 クラスAは1億円以上からしか投資できないので一般の団塊世代サラリーマンには無縁だとして,クラスBは「管理報酬」2.31%もとられますし,販売手数料は買うときは無料ですが後払い(7年以上ホールドなら無料だが,例えば1年以内なら4.0%もとられる!)という巧妙なワナが・・・。

 結論。横文字に弱い団塊世代サラリーマンは「なんだか凄そう」っていうイメージと,銀行や証券会社の外務員の巧みなセールストークに負けて,運用利回りのほとんどの部分を金融機関の手数料として奉納しそうな勢いです。ま,他人のカネの話なんてどうでもいいんですけど,今まで銀行にどれだけ辛酸を舐めさせられていたかも忘れてしまったというのは非常に情けない(根本的には正しい情報を表に出さない金融機関が悪いんですけど)。なぜ自分たち団塊世代の退職金を金融機関が狙っているのか,考えたことあるのかな?答はただ一つだけでしょう。手数料ふんだくって儲かるからです。難しい話をさも簡単そうにしゃべられれば「この人に任せよう」みたいな雰囲気ができてしまって,気がついたら高額手数料を引かれて思ったようなパフォーマンスが得られないという結果はもう2,3年先には現実化してくると思われます。

tousibakajpg.jpg 若い連中はインターネットを駆使してコストを抑えて,自分の投資知識や経験を積める金融商品(株とかFXなど)に目を向けています。ここまでやれとは言いませんけど,年に3%も報酬払って運用利回りが5%じゃあ,レバ1倍でFXやってた方が成績いいと思いますよ。他人任せのコストはまだまだ割高だなあと実感した記事でした。

(おまけ)
 山崎元『「投資バカ」につける薬』講談社を読んだ後にこの記事を読みました。タイムリーすぎてビビりました。
posted by 時をかける僧侶 at 21:24| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(4) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月06日

気がつけば我が能力も衰えり 油断大敵前進あるのみ

 仏教大学のレポート・試験が終了して,あとはスクーリングを残すのみとなって早2ヶ月が過ぎました。この2ヶ月は実に反省点が多いですね。こうなっちゃあいかんと常々思っていながら,結果的にそうなってしまった2ヶ月でした。具体的には,次なる目標に向けた取組みができず,目先の利益ばかり追っかけてしまったというもの。

 本を読む機会は多くなったので普段よりも中身の濃い読書生活は送れましたが,血となり肉となるような深い知識を得るような読書というよりも,小説や時事問題を扱った新書の類いなどが多かったので,それほど自分自身がレベルアップしたとは思えません。また,ちょこっと空き時間ができたので為替の短期相場の動向を分析したりしたのですが,儲かった儲からなかったという結果はどうあれ(人生に対して)あまり有用とは思えない時間を使っていたことに気付きました。うーん,2ヶ月経って反省してようやくわかるというのは実に情けない。常々自己反省の重要性を説いておきながら自分もできていなかったというのは恥ずかしいことこの上ありません。

 で,これからは今まで以上に自己研鑽に取組み,長期的な目標をたててじっくりとステップアップしていこうと思います。そこで,重点的にやっていきたいと感じているのは英語の勉強。

 本業で言えば,坊主には英語の知識なんてまず必要ありません。勉強のためお経の原著を読むって言っても,中国語かサンスクリット語を学ぶべきであって英語はいりません。じゃあどうして?

 銀行を退職してから2年ちょっとになりますが,英語を使わない生活に慣れてしまったせいか,あまりにも英語が読めなくなっている自分に気付いてしまったからです。本気でびっくりしました。なんでこんな単語が思い出せないのよって。今までできていたことができなくなっていた,という体験をまさかこの歳でするとは思っていなかったので,こりゃあやばいなあと感じた次第です。それから,彼女がもうすぐ途上国支援のために海外に行ってしまうという身辺事情もあって,僕も国際感覚を磨いておいた方がいいなあと思ったことも一因になっています。なので,本業では使わなくても,趣味というか人生の肉付けの部分で必要不可欠な英語の素養をブラッシュアップしようと決意しました。

 さて,英語の勉強といっても本屋に行ったら,それこそ何百冊もの本が出ていてゲンナリします。なんだか子供騙しというか,英会話できれば英語が分かったかのような本とか,例文を覚えろみたいな受験生活を思い出すような面白みの薄い本だらけで,僕が身に付けたいと思う水準の本がやけに少ないということがわかりました。うーん,やっぱり基本からきちんとやろう。

 ということで,昔読んでいた薬袋善郎氏の本をベースに復習をきっちりして,実践練習として以下の教材を使う事にしました。
 血肉となる英語の基本をしっかりと身につけて,これらの時事ニューズの読解に挑戦します。ま,あんまり焦りすぎず急がずにじっくりとやっていくつもりです。急ぎすぎると長続きしませんからねえ。コツコツやるのが性に合っているので,できるだけ毎日英語に触れていけるようにがんばろうと思います。
posted by 時をかける僧侶 at 23:25| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月04日

毎日が朝日の後追い記事を出し それでも見抜けぬ事の本質

 毎日新聞が共謀罪について社説で意見を述べていました。何日か前に朝日が民主党案をベースに法案を再提出せよという社説を載せていて憂国系ネット掲示板ではたたかれまくってましたが,毎日新聞はどうでしょうか。

(May/04/06 毎日新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【共謀罪審議 未来に憂いを残さぬように】

  • 犯罪計画を相談しただけで処罰する共謀罪の新設をめぐり,衆院法務委員会で与野党の攻防が激しさを増してきた。
  • 謀議しただけで罪に問うことになれば,法制度の歴史的な転換となる。
  • それでも政府が新設を目指すのは,国際マフィアやテロリストの対策のための「国境を越えた組織犯罪の防止に関する条約」が共謀罪か結社罪の制定を求めているためだ。
  • だが,政府案には問題が多い。対象犯罪が619種に及び,適用対象を明文で絞っていないから,拡張解釈される心配がある。
  • 犯行の前に,謀議に加わった者が翻意して自首すれば刑の軽減や免除が認められるので,密告を奨励したり,おとり捜査に道を開く,との指摘もある。
  • 心の内や思想を取り締まること自体に,基本的人権上の疑義もある。
  • だが,戦前の治安維持法のように弾圧法として用いられる危険がある,とする批判は,今日の社会情勢に照らせば現実的と映らない。
  • 立証は困難だから乱暴な適用を招かぬよう,適用対象を厳格に規定するのが筋である。
  • 民主党案は対象犯罪を懲役5年以上のものに限ったり,国際犯罪に限定しているが,同条約の要請との整合性の点で疑問の余地がありそうだ。
  • 共謀罪の制定が不可避ならば,本来の目的以外に適用されることがないように,適用条件を厳格に示すしか方策はあるまい。
  • 法律を制定する際,後顧に憂いを残さぬよう限りを尽くすのが,今を生きる者の責務である。
(引用終了)

 一応,毎日新聞は民主党案にも疑義を投げ掛けてはいます。朝日の社説でのネットバッシングを見て方針を変えたのかもしれませんが。ま,いずれにせよ根本である「思想・良心の自由を著しく損なう法案」であることを糾弾したものではなく(ついで書きにしかなっていない),社説としては,教師にすり寄る優等生の答案みたいで気持ち悪い。読者(国民)の目を本質から逸らすという十分な役割を果たしているわけで,朝日と同じく亡国マスコミであることには変わりはなさそうです。

 この法案の問題点の本質は,政府が拡大解釈することによって国民の思想・良心の自由を縛ってしまう事ができるという点にあります。しかも密告者は罪を軽減されるという狡猾な法案。日本人同士の連携を断ち疑心暗鬼に陥らせ,「知らしむべからず依らしむべし」体制への後退を目論む人々にとってはこの上なく便利な法案が,こっそりと議会を通ろうとしていますが,前々回のエントリで書いた通り,保釈されたホリエモンを追っかけ回すしか芸のない日本のマスコミは未だに正面から共謀罪の本質に迫る事をしません。

 このような日本の戦中の治安維持法ばりの悪法がはびこって歪んでしまった世界とはどんなものでしょうか。一つのモデルがあります。最近劇場公開されている「Vフォー・ヴェンデッタ」です(→ 公式サイト)。僕もちょっとした空き時間に見てきました。

 ネタバレしてもつまらないので詳しくは書きませんが,共謀罪のような悪法が一つでも通ってしまえば,例えば政府にとってまずいニューズはテレビでは流れず,政府が組織する盗聴集団が堂々と道を跋扈し,警察官と言えども絶えず盗聴器の電波を気にして会話しないといけないようなメディア支配による国民監視政府ができ上がってもおかしくはありません。映画ではこの体制を潰すためにある男が立ち上がるというストーリーになっていますが,現実の世界では超人でもない限りそんなことは不可能でしょう。

 毎日新聞の社説が最後に結んであるとおり,「法律を制定する際,後顧に憂いを残さぬよう限りを尽くすのが,今を生きる者の責務」なのだと実感できる映画ですので,興味がある方はご覧になるといいでしょう。そうすれば共謀罪の恐ろしさも見えてくるはずです。ホリエモンの尻を追っかけても何も生まれません。共謀罪の審議の行方を追っかけておかないと,つまらん役人が決める無責任な売国行為さえ批判できなくなるような暗黒の時代が,自分たちの将来を潰してしまうのを黙って見ておかなくてはならなくなるのです。日本はここまで来ているんですよ。

(補足)
 ちなみにこういうニューズは日本に入ってこないようです。政府のメディア支配はここまで来ています。
【300,000 March in Manhattan at Anti-War Protest】(Apr/29/06 Common Dreams NEWS CENTER)
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月02日

50年債そんなに需要はないだろう 利上げ局面で保険入るか?

 気になる社説を読売で見つけたので,今日はこれについて書いておこう。

(Mar/01/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[超長期国債]「金利上昇の衝撃が少しは和らぐ」

  • 長期金利が一時2%をつけるなど,上昇傾向を強めている。
  • 財務省は,償還期間の長い超長期債の発行を増やすことを考えている。金利がまだ低いうちに,20,30年債などの割合を増やしておけば,将来の利払い費を少しでも節約できる。
  • 日本では初めてとなる50年債の発行も検討中という。生命保険会社などに需要がある。
  • 今年度の新発国債は30兆円弱だ。さらに,償還期限が来て借り換える国債が約110兆円もあり,総額140兆円近い国債(財投債を除く)が発行される。
  • 10年債が24兆円,超長期債の20年債が約10兆円,30年債も2兆円を予定している。残り100兆円余りは中,短期国債だ。金利上昇の影響を受けやすい構成と言わざるを得ない。
  • 財務省は今年度予算で,国債の利払い費として8・6兆円を計上している。前提となる長期金利は2%だ。
  • 財務省の試算では,金利が1%上昇すると利払い費は初年度だけで1・6兆円増える。翌年度は2・8兆円,3年目には4兆円に拡大する。借換債の金利負担が年ごとに増すからだ。
  • そこで,超長期債が注目され始めた。仮に50年債が発行されても,利率は2・7〜2・8%程度と関係者は見る。この水準で金利が固定できれば,国も一息つける。
  • ただ,超長期国債の発行を増やしても利払い費の抑制効果は限定的だ。
  • 金利上昇の衝撃を避けるには,やはり国債残高を減らすのが一番だ。消費税率の早期引き上げなどで税収を確保し,財政再建を果たすのが最優先の課題である。
(引用終了)
 
 大企業の景気回復と世界的な金利上昇の影響で長期金利が上がってきています。昨年末時点で813兆円も国には借金がありますが(→ 財務省),予算ではさらに30兆円の国債を発行するだけではなく,国債754兆円のうちの110兆円が借換えを迎えます。そのうち100兆円を短期国債で借り換えるということは,来年また同じ問題に直面するわけで,完全な自転車操業に陥っていると言えるでしょう。そこで自転車をちょっとでもゆっくりこいでいられるように,財務省は50年債の発行を考えているとのこと。

 社説のとおり,50年ものデュレーションをポートフォリオの一角にしのばせることができるのは生保ぐらいでしょう。とはいえせいぜい30歳までの人間が終身保険に入るという場合のALM上の債券取得ぐらいしか僕には思い浮かびません。定期付き保険だって50年ってのはないでしょうし。だとしたら,需要は一部にはあっても期待できるほどはないんじゃないかなと思います。ま,保険屋の経営については僕も素人なので,実際はもっともっと需要があるのかもしれませんが。

 読売の社説も書いていて途中で気付いたのか,最終的には税収を確保して国債残高を減らせという,お決まりの結語となっています。それができないから次善策で小細工を弄しているわけですが,例えば残高を減らすと言っても利払い費の分8.6兆円を減らすというだけでもものすごい苦労がいります。詳しくはこのサイト(→ リンク)を読んでもらえばわかると思いますが,とにかく小泉将軍が社会保障を削りまくって新規国債をようやく30兆円以内に収めることができたというぐらい,何をどうしても普通のやり方では簡単に残高が減るようなことにはなりません。

 こうして理屈で考えると,インフレを起こして「実質的な」負担減少を狙うしかないところまで来ているんじゃないかと思います。ま,モラールハザードを惹起させちゃあいけませんから公式にそんなことを書くわけにもいきますまい。だから,どうしても消費税率を引き上げてとか,歳出を削減してとかいう議論しか公式にはできないのでしょう。

 と,まじめに考えるとこのような理屈にしかならないのですが,実はものすごく簡単に借金の残高を減らせる方法があります。もちろんそれは禁じ手でして,今それをやっちゃうと日本も悪の枢軸国の一員に名前を連ねてしまうことになりかねませんけど。言うまでもなくアメリカ国債の売却です。一部を売るだけでもずいぶん身軽になると思うんですけど,もう首相になれない候補者,例えば谷垣大臣とかやってくれないかな。

(追記)
 最後のは冗談ですよ。エネルギーと食糧を輸入に頼っているような国がそんなことしたら先の大戦の二の舞いになることは明らかなわけで,泣く泣く,というか最早観念するより他にはなく,日本人が倹約して貯めたお金をアメリカ様にどんどん貢いでいきましょう。
posted by 時をかける僧侶 at 19:07| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本財政問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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