2006年03月31日

指標こそ判断の要なのになぜ こうも実感と乖離するのか

 定期更新が滞り気味ですみません。ちょっとあるプロジェクトに立ちあっているもので。
 そんな言い訳はさておき,今日もちょっぴり書いておきます。

(Apr/01/06 NIKKEI NETより引用開始)
【メガバンク3行,住宅ローン金利上げ】
 みずほ銀行,三井住友銀行,三菱東京UFJ銀行のメガバンク3行は4月3日から住宅ローンの金利を引き上げる。日銀が量的金融緩和策を解除し,中長期の金利が上昇したことに伴う措置。年0.1―0.2%程度高くなる。メガバンク3行は市場金利が上昇し始めた3月1日に住宅ローンの金利を引き上げており,2カ月連続で金利が上昇する。(略)
(引用終了)

 変動金利なんだから市場金利に合わせて上昇するのは当然ですし,政府が景気は回復していると言っている以上は金利が上がらないと理屈に合いません。でも,これでいいのかなあっていう気にはなります。なぜか。

 個人的には「景気が回復している」というテーゼ自体に疑問を持っているからです。このテーゼに従って日銀は量的緩和を解除しましたし,マーケットは素直に金利上昇という形で応えているわけですが,一方でとっても大事な事を忘れているのではないかという気がします。言うまでもなく,格差社会についての論究がなされていないことです。

 過大な格差は行き過ぎた資本主義のあだ花です。アメリカのマネをしている(させられている)日本にとっては,今のアメリカの姿こそ数年後の日本の姿なわけですが,アメリカの格差は日本人から見ればとんでもない大きさにまで広がっています。格差が広がって,ピラミッドの上に位置する人達に富が集中すると,各種の景気指標が実体から歪んでいく事になります。アメリカ人と日本人の国民性の違いこそあれ,これについての論究は絶対に必要だと思うわけです。景気が回復していると判断した根拠となる指標は実体を反映しているのか?ということです。

 具体的にどの指標がいけないという指摘は割愛しますが,多くの指標の算出が「平均値」によっていることに問題がありそうです。例えば年収が,
5000万円の人が 5人
400万円の人が95人
というケースで平均をとれば,630万円になります。95%の人達が400万円しか稼いでいなくても平均はその230万円増しになるわけです。この「平均値」630万円というデータがベースになって例えば金利政策などが決められたらどうなるでしょうか(実際はそんな単純じゃないですが)。やや極端な例ではありますが,望ましい社会にはならないだろうということは予想できます。
そして,このまま「平均値」に固執してしまうと,1年後に
5000万円の人が 6人
400万円の人が94人
になったとして(勝ち組が増えて負け組が減るという単純なシナリオ),平均は676万円になって,1年前より46万円増加している!というデータが誘導されます。よっしゃ景気は回復している→金利を上げようってことになってますます混乱することになりそうです。

 何が言いたいか。「平均値」は多くの人々にとって実感できる水準を離れつつあるということです。格差が広がっているという条件の下ではこれは仕方のない事です。ですから,「中央値」などの代替指標が使えるものはこっちに替えていくなどの工夫が必要です(複雑な算出根拠をもつ指標については,数学的には中央値は使いにくいので効果は望めないかもしれませんが)。

 あと国民性について言えば,アメリカ国民は楽観的な国民性のおかげで将来の不安は気にせずに,借金して消費を増やしているわけですが,悲観的でわび・さびを重んじる日本人は将来の不安に備えて借金を減らし,消費を減らしてきています。バブルのときにウハウハしていた日本人も簡単にバブルを破裂させられて意気消沈するなど,そもそものカネへのこだわり方が違うのですから,国民性なんて簡単には変わりません。いくら国際比較だと言っても,単純にアメリカと同じ算出根拠を用いなければならない理由はありません。国民性の違いを吸収できるような指標なんて限りがありますから。

 こう考えると,指標の算出ってむちゃくちゃ難しい仕事なんだなあと思います。中国みたいにまず共産党が決定した数字があって,それに対応させるために下々が数字をでっちあげてくるっていう方法は論外ですが,日本の本当の国力を反映した指標に置き換わっていく事を望みます。でないと正しい情報が国民に伝わらないという事態になって(すでになってますけどね)そのうえで自己責任なんて押し付けられて失敗でもしたら,それこそ悲惨ですから・・・。
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2006年03月29日

アザデガン続報待てども早や月末 イランの明日に備えよニッポン

 今日も時間がないので軽く。

(Mar/23/06 Sankei Webより引用開始)
【アザデガン油田開発,米が日本に凍結要請 イラン核問題】
 イランの核兵器開発の動きに対する国際的な反発が強まる中で,米国政府関係筋は,ブッシュ政権のゼーリック国務副長官やジョセフ国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)らが,日本政府に非公式な形でアザデガン油田の開発を少なくとも中断するよう要請したことを明らかにした。米国議会でも同様の要請を行う動きが目立っている。米国側は日本側に対し,国連の対イラン経済制裁の成否にかかわらず,同油田開発停止を強く求めており,日本側の対応次第では,日米関係に深刻な摩擦を生むおそれが出ている。
(引用終了)

 この続報を待っているのですが,出てきません。イランからの石油輸入に多く頼っている日本にとって,石油ショックによる自国経済破壊をとるか(また量的緩和に逆戻りか?),アメリカにシッポを振るポチ政策を続けるか,大きな岐路に立っています。イランはイラクがやったように石油代金決済をドルからユーロに変更するようですし,ドル機軸体制を破壊するこの行動をアメリカが指をくわえて見ているわけはありませんので,イラン空爆ということにでもなれば日本への石油タンカーも立ち往生することになるでしょう。そのときの準備は本当にできているんでしょうか。

 そういえばここ数日,日本の原子力政策を巡る動きがかなり活発化しています。主要新聞は社説でプルサーマルがどうだとか核燃料サイクルがああだとかいろいろ書いていますが,これって石油に替わるエネルギー開発を急いで進めないとダメですよという密かなメッセージなんでしょう。アザデガン油田のことには(アメリカとの関係悪化が出てくるとまずいので)極力触れずに代替エネルギーについて,うじゃうじゃ書くという方針なんでしょうか。それにしては稚拙すぎるので見当違いかな。

 ま,原発だけで石油エネルギーの100%を代替できるわけでもないですし,プラスチックにしろ薬にしろ,石油(原油)から作られるものまでは核ではどうにもならないわけで,必然的に石油ショックは誘発されそうな気がします。これじゃあ景気が回復している大手企業もダメージは相当深くなるでしょうし,景気の悪い零細企業は新たに発生する事になる不良債権処理に追われる銀行の意地悪でさらにバタバタと倒れていく事にもなるかもしれない。・・・うーん。なんて悲観的な論調。

 今書いたことは想定される中でもかなり望ましくないケースではありますが,現実的にアメリカがイランを空爆したとしたら,我々の生活環境がいっぺんに変わってしまうことがありうるということは頭の片隅に置いていただきたいところです。
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2006年03月27日

証券化ホントに売れるの国の資産 誰がデューデリするんだろうね

 東京新聞の今日の社説はなかなか面白い。

(Mar/27/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【政府資産売却 国の不良債権が分かる】

  • 自民党の財政改革研究会が総額百十二兆円に上る政府資産の売却案を発表した。
  • 国立競技場などの命名権を売るなどの他,国が保有する金融資産を証券化して,証券化商品(ABS)を市中に売却する。金融資産売却は百兆円超をめざす,という。
  • 政府が実施するメリットは,いくつか考えられる。買い手に想定されるのは金融機関だが,代金を国債で払えるようにすれば,国は受け取った国債を消却できる。
  • 国が保有する債権,すなわち貸した金の相手は主に,公団など特殊法人や独立行政法人だ。その債権を売り払ってしまえば,特殊法人は政府と縁が切れて民間の存在になる。つまり,証券化は金融面から絞り込む究極の特殊法人改革にもなる。
  • 注目すべきなのは,これが国の不良債権を明らかにするきっかけになる点だ。買い手はABSの購入に際して,担保になる債権の価値を評価する。それが不良なら当然,値段を安く値切る。国が債権を市場の評価にさらすことで“ブラックボックス”の封印を解く可能性があるのだ。国民が知りたいのは,財政の真の実態だ。
  • 財務省は「貸付金を減らしても,見合いの財投債が減るだけで,新たな財源にならない」と提案に否定的だ。
  • この機会に,専門家があらためて具体化を検討してはどうか。
(引用終了)
 
 後半部分に書いているとおり,財務省が否定的である以上は証券化による政府資産売却の実現は困難かもしれません。金融の知識がなければ社説を読んだだけでは証券化のメリットはわからないわけですが,スキームなどの具体的なことをここで説明してもつまらないのでそれはすっ飛ばして,政府が考えているロジックをおさらいしてみます。

  1. 「おいしい」資産の証券化は,ABSが政府の簿価以上の価値で評価される。
  2. 金融機関は手持ちの国債と引き換えにABSを取得する。
  3. 政府はABS売却代金で国債を消却する。
  4. 資産が簿価以上で売却されるため,予定以上の国債消却ができる。
  5. 小さな政府の実現に一歩近づく。

 「マズイ」資産の証券化は国も積極的にやらないでしょう。社説が書くように,隠していた不良債権が明らかになっちゃうから。バラ色案件だけを証券化するか,バルク売却とか抱き合わせ販売みたいな形で証券化していくのではないかと思います。

 さて,ここからは僕の私見になりますが,「おいしい」資産についても,喜ばしい事ばかりではありません。同時に「ある事」をやっておかないと金融機関が買う事も難しくなると思います。BIS規制で求められる自己資本比率の算定の過程で,このABSのリスクウェイトを決定しておく必要があります。これをしないと,銀行の自己資本比率は(おそらく)低下します。生保だってソルベンシーマージン比率は低下するんじゃないかな(すみません,算出の仕方はよく知りません)。金融庁はBISに働き掛けて,なんとか影響が限定的になるようにしないといけません。

 ちなみに自己資本比率とは,「資本/資産」のことですが,金融機関の場合は分母も分子も様々な調整がかかります。例えば分母の資産には預け金とか貸出とか国債とか株式などがあるわけですが,そのうちのどれぐらいをリスク資産と見なすかという算定方法が資産ごとに決まっています。100の貸出と100の国債ではリスクが違うという考え方で,貸出はリスクウェイト100%で100そのもの(住宅ローンなどは減ったりします),国債は0%なのでいくら持っていても0。分母が小さい方が,つまり資産が小さい方が自己資本比率が上るので,銀行は8%以上の自己資本比率を維持するために,100になってしまう貸出を貸し剥がしなどで回収して0にしてくれる国債ばっかり買いました。蛇足ですが,分子の資本にしても株などの含み損を容赦なく差し引かなきゃいけなかったので,ますます貸し剥がしに熱が入ったのでした。

 それはそれとして,量的緩和解除がなされましたし,ゼロ金利解除も今年中かと言われている現在,銀行の手持ちの国債の時価評価額は激しく毀損していることと思われます。ま,不良債権の償却とか株の含み益でチャラになっているのかもしれませんが,このリスクウェイト0の国債を手放してABSを買ってしまうと,分母が大きくなりますからマズイんです。100兆円の金融資産売却を目指すなんて豪語している以上,無視できる話じゃないと思うのです。ま,頭の良い官僚さん達のことだからとっくに対策は練ってるんでしょうけどね。一般紙レベルではさすがにそこまでは書きませんかね。

 なお,2007/4からは新BIS規制が適用されるようですが,詳しい内容は知りません。ひょっとしたらこういう場合のABSのリスクウェイトは優遇されているのかもしれません(新BIS規制対策は同期が担当していたような・・・)。そうだとしたら,このエントリは杞憂ってことになりますね(^^;
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2006年03月25日

プリオンに犯され妄言長官さん これを突けずばメディアなど不要

 久しぶりに牛肉の話題をしよう。彼岸参りでほとんどテレビを見ていないのですが,新聞を読む限りでは以下にあげるようなニューズを大きく採り上げたものはありませんでした。こんな扱いじゃあ困るっていうニューズばっかりなんですけど。
※永田メールの西澤孝なんて事件当時からインターネットで出てた名前。そんなもんに今更ニューズ価値ねえよってのが僕の本音。

(Mar/17/06 読売新聞より引用開始)
【牛肉骨混入「どこでも見られる」…米農務長官】
 マイク・ジョハンズ米農務長官は16日,ワシントンで記者会見し,香港に輸出された米国産牛肉から,BSE(牛海綿状脳症)対策で除去すべき骨が混入していた問題について「食肉処理で骨の小片が紛れ込むことは,世界中どこのどんな処理でも見られるものだ」と述べた。
 「問題の肉を輸出した処理施設は,混入した骨の小片が許容範囲だったと考えている」とも述べた。
 この問題が日本の牛肉輸入再開に与える影響については「問題になるとは思わない」と強調した。
 しかし,日本側が米国産牛肉の輸出検査や手続きのずさんさに不信を募らせるなかで,長官がわずかな混入は許容範囲としたことは,今後の輸入再開をめぐる日米交渉にも影響しそうだ。
 香港に牛肉を輸出した米食肉大手スイフト・ビーフ社の施設は,日本が昨年12月に米国産牛肉の輸入再開をいったん決めた際,日本政府が査察したうちの一つ。査察では,BSE対策のための特定危険部位の除去などは「適切に行われている」とされていた。
(引用終了)

 違反なんてどこでも見られると長官自らが証言したわけですが,同時に日本の輸入再開には影響を与えないと思っているらしい。あーついに長官も脳みそがプリオンにまみれたようで。ご愁傷様です。

 ここまで来ちゃったらいくら日本政府を脅しても国民が食べないよ。そういえば「すき屋」は大きな広告入れてアピールしてましたね,「自社独自の現地調査の結果,アメリカ牛肉はとてもお客に出せるシロモノではない」っていうような内容で。吉野家はどういう手に出るんかいな。日本でBSE牛が出たときにいち早く「当社はアメリカ産牛肉しか使用しておりません」とデカデカと掲げていたマクドナルドは元気で営業してますけど。

(Mar/20/06 毎日新聞より引用開始)
【<米産牛肉脊柱混入>米政府回答書は「特異」 農水,厚労省】
 米国産牛肉に脊柱(せきちゅう)(背骨)が混入した問題で,農林水産省と厚生労働省は20日,日本側の質問状に対し米国政府が送ってきた回答書(英文)を公表した。混入問題は「特異」だったとの従来の見解を改めて強調した内容だ。
 回答書によると,混入があった食肉処理施設がある地区には当初,対日輸出認定施設がなかったことから,地区を担当する米農務省の担当者は05年12月に開かれた対日輸出条件の説明会に出席しなかった。今年1月になって問題の施設は認定を受けたが,その情報も現場の検査官に届いていなかった。いずれも特異なケースで,他の対日輸出施設には問題がないとしている。
 今週中にも,米国側から専門家が訪れ日米協議を予定している。農水,厚労省は回答書が日本側の疑問に十分答えているかどうか精査して協議に臨む方針だ。回答書は両省のホームページにも掲載した。
(引用終了)

 こういうのは「特異」とは言わないよね。「怠慢」としか呼べませんな。いずれにしても3日前に長官自らがのたまわった言葉を忘れんなよ。どこでも起こってることを「特異」って言わないのよ,日本では。っていうか英語で何と書いてたんでしょうね(調べる気力も起こらない)。

(Mar/21/06 MSN毎日インタラクティブより引用開始)
【米国産牛肉問題:早期輸入再開に期待 米農務長官】
 ジョハンズ米農務長官は20日,日本向け米国産牛肉に特定危険部位が混入した問題に関する米側の回答書について,「日本側の質問にできるだけ迅速かつ徹底的に答えた」と強調した。その上で「日本に早期の輸入再開を望む」と強い期待感を示した。ワシントンで記者団の質問に答えた。
 長官は「(混入は)特異なケースだった」と述べ,米側の体制に組織的な問題はないとの見解を改めて表明した。さらに「日本と次の段階を協議したい。必要なら今夜にでも専門家チームを日本に派遣できる」と再開に向けた手続きを急ぎたい意向を示した。
 また,「米議会の不満は強まっており,予測できない状況が生じる懸念がある」と指摘し,対日制裁論議の高まりを防ぐには早期輸入再開が重要との考えを強調した。
(引用終了)

 をいをい。「どこでも見られる特異な事態」っていう矛盾を説明するどころか,「予測できない状況が生じる懸念」って何じゃそりゃ?こんなこと言われて反論しないのは「国益」に反しませんか?産経・読売の両紙さん。

 読売は逃げの体制ですね。男らしくない。アメリカ側のガセネタを証拠に社説を展開してきた自らの不明をまず読者に詫びることから初めろよ。永田議員のガセネタを云々言える立場にないぞ,この新聞には。
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2006年03月23日

アルカイダ出せば国民騙せると こじつけだらけのイラン情勢

 彼岸参りも終盤近し。今日も惰性というか残りの力を振り絞ってエントリを。
 トピックスに何を選ぶかを迷いましたが,やっぱりアメリカの軍事行動について無視するわけにはいきません。

(Mar/22/06 Sankei Webより引用開始)
【イランがアルカーイダ支援? 米当局者が情報入手と米紙】
 米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は21日,米政府対テロ当局者の話として,イラン政府が国際テロ組織アルカーイダの活動を支援していることを示す情報を米政府が得て,警戒を強めていると報じた。
 同当局者によると,極秘扱いの衛星写真や通信の監視などにより得られた情報を分析した結果,イラン政府がアルカーイダの主要メンバーを保護したり,イラン外でのテロ活動を支援したりしていることを示す証拠が得られた。組織の具体的な活動内容について,同紙は触れていない。
 米政府は2003年のイラク戦争開戦前にもイラクとアルカーイダの関係を強調する情報をメディアに流した経緯があり,同紙は「アルカーイダがイランで自由に行動している兆候はない」とする別の関係者による分析も紹介した。
 イスラム教の多数派であるスンニ派中心のアルカーイダが,スンニ派と反目するシーア派が支配するイラン政権の協力を得る可能性を疑問視する専門家も多い。だが,核兵器開発疑惑をめぐって米国との対決姿勢を強めるイランが,アルカーイダを利用する可能性への懸念も米政府内で強まっている。
(引用終了)

 イランを攻撃するための理由探しですね。まずは国民の反応を見てみようという観測気球的記事でしょう。イラクのときと同じ手法(しかも後にガセネタと判明)ですから,賢明な国民なら無視したり「バカにすんな!」と逆ギレしたりするんでしょうけど,BSE牛の食べ過ぎで脳みそが腐りかけているアメリカ国民なら,また同じような反応を起こしてイラン攻撃支持ってことになるかも。ま,この後に行われるであろう世論調査の結果を見て,次に流すニューズを考えるんでしょう。

 で,間違いなくアメリカは日本の自衛隊にイラン攻撃まで着いてこいって言うでしょう。そのとき日本はどう出るかな?ま,答えは決まってるけど,永田ガセネタメール騒動が長引いたら,このガセネタに乗っていけなくなるぞう。どっちにしても,イラク戦争に自衛隊を派遣した元になったガセネタ(大量破壊兵器とかフセインとアルカイダの関係とか)について,官邸の圧力のせいだろうけど新聞は指摘しないんだから,情報オンチの国民はまたしても騙されるんだろうけどね。
posted by 時をかける僧侶 at 19:15| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月21日

ウィニーのニューズなんだか多くない?三菱日航いつか見た景色

 Winnyによる情報流出事件が目白押し。GoogleNewsで「ウィニー」で記事検索をかけると1,090件がヒットします。今日は彼岸の中日のため,いつものようなエントリを書くほどの元気は残っていないので,この話題でちょっぴりお茶を濁しておきます。

 この手の報道を目にして思い出すのは,マスコミは一時,三菱自動車だとか日航機の製品・整備不具合を毎日毎日面白がって報道していたこと(日航機は今も続いていますね)。三菱自動車なんて,やれ火が出ただの,ブレーキがきかないだの,どこのメーカーの車にだって共通して起こっている事件を,さも三菱だけがトンデモないという印象を与えるような報道が連日なされていました。冷静に事実を判断できる人ならマスコミのこのようなバカっぷりを見抜く事は容易ですが,テレビづけされて思考停止に陥っているほとんどの国民の嗜好を満たすために,三菱自動車はむちゃくちゃ叩かれ続けました。現在のウィニーも同じ状況。何も今になって騒がれる内容の事件ではありませんが,マスコミとしては採り上げやすいテーマなので連日面白おかしく報道しているだけでしょう。僕はいたって冷静です。騒ぎたい人はどうぞ騒いでいてくださいっていう感じ。

 個人的にウィニーというソフトをかばうつもりは全くありません。っていうかMacユーザーにとってはどうでもいい話です,正直。でも明らかに報道は過熱しすぎ。逆にこんなに過熱している報道を尻目に,朝になれば新しいウィニー被害のニュースが増え,また次の日もその次の日も・・・という状況では,被害を受けた企業なり団体はいったい報道から何を学んで対策をとったのよ?と疑わざるをえません。家のパソコンを職場で使っていることが原因だとかよく言われているようですが,不明なパケットを遮断するようなガッチガチのファイアウォールソフトを入れるとか,そもそも職場ではネット接続させないとかのルールを徹底すれば済む話なんじゃないの?

 ネット接続できないなんて外部とのメールのやりとりができなくなって不便だ,なんていう言い訳は通じません。1台だけネットに繋がる「会社所有の」パソコンを用意して,その端末だけは誰でも使用可能という形にすればいいでしょう。わざわざその端末にウィニーをインストールするバカもおらんだろうし,そういうリスクがあるのならLinuxだとかMacにしておけばいい。メールとブラウザだけの使用ならOSはどんなものでもかまわんでしょうから。

 それでも不便だ!なんてのたまう企業は個人のパソコンを持ち込むこととか会社のパソコンを持ち出す事なんて認めてはいけません。そもそも論から間違っているということになりますので。ま,そこまで考えて対策を練る必要がある問題なんですけど,とてもじゃないけどそこまで考えていられる余裕はないんでしょうね。明日また「ウィニー」で検索したらヒットする記事件数は増えていることでしょう。しばらくニューズ見て笑っておきますわ。
posted by 時をかける僧侶 at 22:59| 兵庫 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月19日

外人にアゴで使われ搾取され それでも懲りないポチの面々

 今週はお彼岸週間なので簡単に。新聞は記事の書き方を知らないなあという話を軽くしておきます。

(Mar/19/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【対日投資を4年で倍増,税軽減でGDPの5%目標】
 政府は外国企業が日本企業を買収したり,日本国内に工場を建設したりする対日直接投資額を2010年末までにGDP(国内総生産)比で倍増させる目標を設定する方針を固めた。
 従来,不十分とされた外国企業の呼び込み策を積極的に推進することで,経済活性化や雇用創出につなげるのが目的。6月の対日投資会議(議長・小泉首相)で,現状より税を軽減する措置などを盛り込んだ新たな「対日投資促進プログラム」を策定し,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)にも明記する方針だ。
 対日投資額の残高は,06年末に13兆2000億円に達すると見込まれ,GDP比で約2・5%に当たる。2010年末にGDP比5%程度(約30兆円)にすることを目標に掲げる。
 日本への直接投資は1990年代後半から増えてきたものの,国内で根強い外資脅威論から,法制度や税制面で外資を呼び込む体制づくりが遅れていた。国内への直接投資額のGDPに対する割合は,アメリカが12・8%,フランスとドイツも欧州連合(EU)内投資を除いても,7%台に達している。
 政府は03年に初めて外資導入の目標を設定。経済成長に合わせて外資導入を促進するため,GDP比の目標を打ち出すことにした。
 同時に,対日投資プログラムを見直す。具体的には,株式交換方式の合併・買収の場合,日本企業同士では認められている株主への課税繰り延べを外国企業との合併・買収でも認める方向で検討し,07年度からの実施を目指す。株主にとっては合併・買収時点で税金の支払いが発生する外国企業よりも発生しない日本企業との合併・買収を選ぶ要因となり,外国企業の進出の足かせになっていた。
(引用終了)

 決してベタ記事で載せるだけで良い内容だとは思いませんが,このような売国的な内容を伝えるのであれば,読売とか産経の自称保守派はトップ記事にしないといけません。「従来,不十分とされた外国企業の呼び込み策を積極的に推進することで,経済活性化や雇用創出につなげるのが目的」なんて,政府の発表の通り書いてしまうところに全くジャーナリズムのセンスを感じませんね。こんなことだから特殊指定を解除,なんていう話が出るんですよ。記者クラブでの談合記事なら政府の広報をネットで見るだけで済むんだから,談合記事だらけの新聞をわざわざ毎朝届けてもらう必要はないでしょう。もっとセンスを磨きなさい。例えば次の記事を載せた後にこの記事を持ってくるとか,そういうちょっとした工夫で,読者に「ん?何かおかしいな」と思わせることができますよ。

(Mar/02/06 YOMIURI ONLINEより引用開始)
【米通商年次報告 日本企業の防衛策懸念 敵対的買収「対日投資妨げる」】
 米政府は1日,今年の通商課題などをまとめた2006年版の「通商年次報告」を議会に提出した。日本に対する問題点では新たに「投資」を取り上げ,敵対的買収に対する企業側の防衛策が,米企業の対日投資を妨げることに懸念を示した。
 日本に対する指摘は昨年と同じ17分野。昨年までの「鉄鋼」に代えて新たに「投資」を加えた。
 その中では昨年,ライブドアがニッポン放送に敵対的買収を仕掛けたことを紹介し,「これをきっかけに,大きな資本を持つ外国企業に日本企業が乗っ取られる危険性が広く語られるようになった」と分析。その上で「株式交換による企業買収は敵対的な行為ではない」「(買収に対する)防衛的な手段がなぜ必要なのか疑問がある」などと指摘した。
 具体的な防衛策では,06年度に施行される会社法が,1株だけで株主総会での議決を拒否できる「黄金株」(種類株式)の譲渡制限を認めていることなどを問題視している。
 また「牛肉」分野では,日本の米国産牛肉の輸入について「日本に国際基準に沿った輸入条件を認めるよう強く求める」とし,日本の輸入条件の緩和に全力を挙げる方針を示した。日本が米側の検査漏れで今年1月に輸入を再停止したことには触れていない。
 日本以外では,中国を「世界貿易機関(WTO)のルールに十分従っていない」と厳しく批判し,知的財産権保護の取り締まり強化などを求めた。改善がない場合はWTOへの提訴も辞さない強い姿勢を示している。
(引用終了)

 初めの記事の「従来,不十分とされた外国企業の呼び込み策」というくだりを思い出してください。誰が「不十分」だと言っていたか,少なくともその点についてはこの記事でわかるでしょう。上場企業の全株式のうち24%を外国人がもっているんですよ(2005/3月末時点)。まだ増やさないといけない理由なんてさっぱりわかりません。ホリエモンのおかげで1年先延ばしになった,日本にある子会社を使った三角合併だって5月からの新会社法施行で始まっちゃうんですよ。国民が無知だからって,ちょっとバカにしすぎてやいないかい?日米同盟のためのカネは十分支払っているんだから(グアムへの基地移転費問題など),日本の資産をアメリカに分捕らせるようなことを提言する政府を黙って後押しするようなことはやめてほしいもんですね。だいたい,この対日投資の話なんて「年次改革要望書」でずっとアメリカから圧力を受けてきた内容でしょう?要望書の存在自体もうやむやにしているから詳しく書けない,なんてのは理由にもならんと思うけど。日本の「国益」を守るために,自らを真性保守だと思っているのなら正しい事を書いてください。でなきゃ,僕はこれからも読売・産経はポチ保守だと呼び続けることになるでしょうよ。
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2006年03月17日

読売の社説はいつも歯切れ悪い 読者に何を思わせたいの?

 いろいろ書いてみたい内容の記事がありますが,粗製乱造にならないようにボチボチ書いていこうと思います。今日は読売が珍しくアメリカの経済にケチをつけていたので,興味深く読んでみました。

(Mar/17/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[米経常赤字]「潜在リスクを未然に回避したい」

  • 2005年の米経常赤字が前年比2割増の8049億ドル(約95兆円)に膨らみ,過去最悪を4年連続で更新した。ブッシュ政権が発足した2001年から倍増し,国内総生産(GDP)比で6・4%に達した。
  • 世界経済の回復の裏で,潜在的なリスクが高まっていることに注意を払う必要がある。
  • 米経常赤字の9割は対中国,対日本などの貿易赤字が占める。
  • 経常赤字の穴を埋めているのが,海外マネーの流入だ。過剰貯蓄や膨大な外貨準備高を抱えた日本,中国,アジア諸国のほか,オイルマネーを潤沢に持つ中東産油国などが,余剰マネーを米国債などに投資している。
  • 巨額の資金が流れ込んだ結果,長期金利は低水準で安定し,住宅や消費ブームを支えて米経済を牽引(けんいん)してきた。しかし,順調に見える現在の資金の流れが,ひとたび崩れたら,好循環は悪循環に変わる。
  • その時,起きるのは次のような悪いシナリオだろう。
  • 各国が米国への投資を見直し,資金流入が収縮する。その結果,米長期金利が急上昇して,住宅投資にブレーキがかかり,個人消費も委縮して,景気が減速する。米国の輸入減少は,輸出頼みの各国経済に打撃を与える。不均衡是正には為替調整しかないとの思惑が広がり,ドルの信認が揺らげば,大幅なドル安が進む。為替乱高下は株式市場の混乱も招く――。
  • 巨大な米経常赤字をいつまでも維持できる,と楽観するのは禁物だ。
  • 年間4230億ドル(約50兆円)に上る米国の財政赤字も,世界経済の不安定要因になっている。時間をかけても,経常赤字と財政赤字の「双子の赤字」を縮小し,安定を回復しなければならない。
  • 世界各国が「米国頼み」から脱却することが必要だ。日本や欧州は,内需主導型の経済に転換する。
  • 中国は,自主的に人民元の追加切り上げを実施し,対米貿易黒字の縮小に努める。これに米国自身の努力が加わった時,世界経済の不均衡は解消に向かう。
(引用終了)

 読売がどういう意図でこのような社説を載せたのかはわかりませんが,この社説を読ませて国民をどこに誘導しようというのでしょうか。アメリカに双子の赤字の縮小を促すのは気持ちとしては分かるし正論なのですが,具体策について書いているわけでもない。タイトルに「潜在リスクを未然に回避したい」なんて書くから何か提案があるのか,と期待しちゃうわけですが,それほど深い考察をしているわけでもない。最後を見れば結局読売が言いたいのは,中国は人民元切上げをせいということらしい。それに,アメリカの自助努力はすべきとは書くけど期待していないよ,というニュアンスですね。で,読者はこれを読んで何を考えればいいのか?

 余剰マネーをさらにドルに突っ込んで,しばらくの間は米国の赤字のファイナンスを続けた方がいいのか,それとも,中国は人民元を切上げるだろうから,今のうちに人民元を買っておけば投資家の資産価値は上がるし,世界経済の不均衡は解消に向かうので,そうした方がいいのか。よくわからんけど,まあ如何様にも解釈はできそうです。では僕ならどう考えるか。

 今月末にはアメリカはイランを攻めるだろうという情報をちらほら目にします。でも世論がそんなことまだ許さないわけで,これについては僕はあまり気にしません。一方で,アメリカじゃなくてイスラエルが口火を切るんじゃないか,という情報もあります。アメリカが攻めるのと実質的には同じ事なので,これには注意した方がいいでしょう。もちろんガセネタの可能性も高いので一方的に信じるわけにはいきません。しかも有事のドル買いとなるか原油・金などの商品買いになるかも不透明です。
 そんな状況の下ではあまり無理をしない方がいいんでしょうね。ひょっとしたらブッシュが支持率を回復させるために芝居をうつことも考えられます。要するに,戦争という非常事態を起こす準備が着々と整ってきている状況では,何も無理することはないだろうということです。アメリカの経常赤字が過去最高を更新しようが何だろうが,いたずらに不安になっても仕方がない。もうちょっといろいろ分かった段階で手を打った方がよさそうです。

 アメリカの財政破綻は,国債をたっぷり掴まされている日本の財政問題にも直結する話ですから,けっしておろそかにしてはいけない問題だという読売の認識は正しい。こうやって読者にアメリカが置かれている状況を知らせているのは評価できますが,やっぱりどうも歯切れが悪いというかいまいち物足りません。うーん。未だに読売の意図がわかりません。っていうか,今日は疲れているせいか,僕の文章もヘタすぎ。早よ寝よ。
posted by 時をかける僧侶 at 23:24| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月15日

伝えるべきことを伝えるのが基本 隠さず書いてよあれやれこれやら

 ライブドア事件で最後の鉄槌が下ろされました。一区切りついたので(上場廃止が決定したので)僕の意見をまとめておきたいところですが,まとまった時間がとれないので,今日は社説を一つとりあげてコメントをつけるに留めます。

(Mar/15/06 産経新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【ライブドア事件 市場の番人は意識改革を】

  • 東京地検特捜部は,ライブドア前社長の堀江貴文容疑者はじめ旧経営陣ら五人を証券取引法違反で起訴・追起訴した。地検には事件の全容解明に向けた徹底捜査を望みたい。
  • ライブドア事件は多すぎる法の抜け穴,違反者への軽い罰則,利益追求だけで経営監視の役割を果たせなかった多くの株主の責任など,市場が抱えるさまざまな問題をあぶりだし,関係者に対応を迫った。
  • 政府は不正防止策を強めた金融商品取引法案を国会に提出した。問題になった投資事業組合への監督を強化し,不公正取引や有価証券報告書虚偽記載などは「懲役十年以下,または罰金一千万円以下」と現行の二倍にした。
  • 株主責任もライブドアの上場廃止決定というかたちで問われた。
  • その一方で事件で露呈した東京証券取引所,証券取引等監視委員会,公認会計士など「市場や企業の番人」の無力さは払拭(ふっしょく)されていない。
  • 東証はライブドア株の上場廃止の決断が遅すぎた。約二カ月間も同社株を標的とした投機的なマネーゲームを放置してしまった。
  • 同様に適法か違法かにこだわり,初動が遅れた監視委には,これからは「フェアかアンフェアか」という公正性を重視してもらいたい。
  • 公認会計士の関与も捜査が進められている。粉飾された決算書に適正意見を出した責任は厳しく問われるべきだ。
  • 「ルール,罰則」の問題は前進が図られた。だが,その守護者である「審判団」が意識改革し,強く,正しくならなければ市場の健全性は担保されず,参加者の暴走は防げない。
(引用終了)

 細かな点では「?」という部分がないではないですが,まずまずの正論だと思います。本当はもっと触れないといけない部分もあるんですけどね。グループのフジテレビがホリエモンを持ち上げすぎて間接的に株高の原因を作ってしまったのは申し訳なかったとか,そんな殊勝な事を書いてくれると,もっともっと産経新聞が好きになるんですけどね(^^)。

 さて,個別内容を見ていきます。
 投資事業組合への監督強化は当然必要ですが,それなら今の段階で株主に投資事業組合が出てくる上場企業全てを監査すべきであり,ライブドアだけをとっちめてオシマイにするのは全く公正ではありません。東証の対応の遅さを居丈高に批判するのであれば,すぐにでも産経新聞が自らそれを提案すべきでしょう。投資事業組合を使っているのはライブドアだけじゃないんだから。

 「上場廃止されたから株主責任は果たされた」というくだりはちょっとひっかかります。書きたい事はなんとなくわかるんですけど,別に上場廃止だからと言ってライブドアの株主が消滅するのではないわけで。自由に株を売買することができなくなっただけなのですが,外資ファンドなり村上ファンドのような私募ファンドがライブドア株をどんどん買い漁っている状況には注意しておくべきでしょう。たった50数億円の帳簿の付け替えだけなのに,マスコミがこぞってライブドアバッシングをするもんだから7000億円(だっけ?)の時価総額が消滅して,適性水準をはるかに下回った株価でライブドア株を取得している勢力がいることをお忘れなく。

 東証がマネーゲームを放置したのは罪ですが,こうでもしないとハゲタカファンドに株を買ってもらえなかったんだから仕方がないでしょう。・・・って書く根拠はないんですけど,こういう見方も持っておいた方がいいですね。新聞の情報だけが正しいと信じていたら,いつの間にか終戦を迎えることになりますから(^^)。

 冗談はここまでにして,公認会計士の関与の問題について言えば,これもずうっと前から指摘されていた問題。企業側が監査法人を選ぶという力関係が存在している限りは,今後もこのような事件がなくなることはないでしょう。法律で監査法人協会でも作って,上場企業から売上に応じた金額を毎年徴収する形で運営できれば,少なくとも力関係によるお手盛り監査なんかはなくなるでしょう。個々の会計事務所は中小企業とか第三セクターとかを専門的に監査する機関に限ってしまえば廃業しないといけないってこともないでしょうし。とにかく,今のルールのままじゃあいずれ同じような事件は再発することは間違いありません。

 細かい点に踏み込んだ社説ではないので総論としては正論。あとは細かい点で産経新聞独自の論説をどこかに載せてもらいたいものです。僕も自戒を込めて書きますが,批判するだけじゃあ万年野党とかブラックジャーナリズムと同じ。実現可能な対案を示して,それに反対する人達=既得権保持者をあぶり出して広く国民の賛否の声を聞く。そういうスマートな流れをマスメディアには大きく望みます。・・・ま,官邸に支配された今の大マスコミには全く期待していませんがね。
posted by 時をかける僧侶 at 16:05| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 社説批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月13日

異常事態長く続けば真実が どこにあるのかわからないもの

 先週半ばに量的緩和が解除され,その翌日には各紙が一斉に社説を載せていました。でも,やっぱりおかしい(と思う)のが東京新聞。どうも僕とは思想が合わないのかな?東京新聞は他のトピックスなら同調できる意見は多いんですけど,なぜか経済政策については同調できません。

(Mar/10/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【量的緩和解除 市場の安定に全力を】

  • 日銀が量的緩和を解除した。景気に悪影響が出ないか懸念は残る。当面はゼロ金利を続ける必要がある。
  • 肝心の物価は最近の消費者物価指数がわずかな上昇傾向を示す一方,国内総生産(GDP)デフレーターは下落幅を拡大している。原油高騰という一時的要因もあり,総じてみると,残念ながら,デフレを完全に克服したとはいえない。
  • 目的を達成する前に,政策転換に踏み切った今回の解除は,やはり「前のめり」の印象を免れない。小泉純一郎首相はじめ,政府が繰り返し「慎重な判断」を求めていたのを振り切って解除した以上,日本経済に対する日銀の責任は,従来にも増して重くなった。
  • 解除とともに,日銀は中長期的な物価安定の水準を0−2%と数値で示した。事実上の物価安定目標を導入した,と評価できる。
  • 懸念されるのは,金融市場の動向だ。量的緩和の下,日銀がゼロ金利で供給してきたマネーは,日本だけでなく,海外投資家を通じて米国の株式や債券にも投資されてきた。
  • 巨額の経常赤字を抱えた米国が長く好況を維持できたのも,日銀の緩和政策が一つの支柱になっている。政策転換をきっかけに,日本からの投資マネーが急速に細れば,米国経済に変調をきたしかねない。
  • もう一つの懸念は,日本の財政再建への悪影響である。長期金利が急騰するようだと,累積した債務の利払い費が増加する。
  • 財政再建は一層,困難になって,近い将来の増税という重い宿題が企業と家計にのしかかってしまう。長期金利が乱高下しないように,日銀はこれまで以上に「市場との対話」に意を尽くしてほしい。
(引用終了)

 東京新聞の主張はこう。「デフレが抜けきれていなのに量的緩和を解除したら長期金利が上ってしまうし,アメリカにカネが流れにくくなってアメリカ経済にも悪影響を及ぼす。日銀が物価安定目標を示したのは評価するが,これからの日本経済が悪くなったら日銀の責任だ。小泉首相に逆らったんだから。」

 ま,最後の一文はちょっと意地悪だとしても,明らかに抜けている視点があります。いや,どうしても矛盾が発生するのにそれを隠したくて,大事な事を伝えずになんとか読者を騙してきりぬけようという悪意すら感じられます。では大事な事とは何か。前々エントリにもちょっぴり触れたように「量的緩和政策は異常な政策である。もしくは,異常な状況において,あくまで一時的にとられうる政策である。」という点です。

 日銀が市場にジャブジャブ資金を放出して金融機関の資金繰りに保証を与えただとか,貸出増加を促しただとか,巷間いろいろその効用は説かれていますが,結局のところ「一時的」にしか認めるべきでない政策を5年も続けたのにもかかわらず,それに対する検証はまだまだ足りません。意地悪な僕が見れば,ジャブジャブのカネで銀行は株や債券を買って相場を盛り上げ(外人も円キャリートレードで参戦),大企業を中心とした「景気」は好調で,以前まで不良債権とされてきた債権が不良ではなくなったことで銀行収益は過去最高に達している現状は,明らかに量的緩和の負の部分が大きくなってきていると感じざるをえません。量的緩和が銀行を助けるための策だったのなら,もう必要ないでしょう?

 一方で,デフレのくせに値上げが続いた銀行手数料を支払いながら,150兆円とも言われる得べかりし金利収入を奪われた家計部門は,量的緩和の恩恵なんてほとんど受けていません。銀行に行けばペイオフが解禁されてあぶれた資金は変額保険とかボッタクリ投信とか外貨預金に誘導されて高額手数料を分捕られ,相場が上がっても大して儲かっていない現状に不満を抱きながら,トヨタの利益を上回る銀行の利益発表を「何かおかしくないか?」と思いながら横目で見ているのが現状です。それなのに東京新聞は量的緩和は必要だと言い,解除されてダメな状況が出てきたら日銀が悪いと言う。

 そして頭が悪いことに,量的緩和はアメリカ経済を支えているので容易に解除したらダメ,みたいなことを書いています。自国の国民をいじめて他国の国民を富ます政策であるとはっきり書いてどうすんのよ。東京新聞だけは「国益」とは日本の国益のことだと考えている新聞だと思っていたのに,完全な思い違いですね。産経新聞を読んでるのかなと思うぐらいアメリカ思い。なんじゃそりゃ。

 本当に量的緩和を続けなければいけない理由って何なの?GDPデフレータがマイナスだから(今日の発表で下方修正されました)というのは全く理由にはならないね。あれだけジャブジャブにしたのにデフレータがマイナスってことは,全く予期した通りに資金が流れていないってこと。そういう事実に目をつぶって量的緩和を続けても相変わらず銀行が儲かるだけですよ。金融危機が去った今,量的緩和しなきゃいけない理由なんてないはず。それとも長期金利の暴落が怖いから緩和を続けろってか?

 これも無理な話。景気が回復しても金利が上がらないようにすることなんてね。ただでさえ郵政民営化で日本の国債が叩き売られることが決まっているのに,ジャブジャブの資金で国債を買い支えろなんて株式会社に言えるわけなんでしょ?背任行為で株主に訴えられまっせ。

 東京新聞は「量的緩和は異常な政策」であるという点をしっかり認識した方がいいですね。そうでなきゃ,誰の立場を代弁しているのかっていう,いらぬ嫌疑をかけられますよ。
posted by 時をかける僧侶 at 00:00| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 社説批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月11日

明日試験のため更新お休みします

 金曜土曜に金沢に旅行に行ってました。明日試験だというのに(^^;
 さすがに勉強せんとやばいので更新お休みします。
posted by 時をかける僧侶 at 22:02| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月09日

日銀は政府の干渉受けません でも後は野となれ山となれかな

 前エントリに述べたように,本日,日銀が量的緩和政策を解除しました。小泉およびその威を借る信者たちの妄言や脅しに挫けず,「異常な状態」から抜け出すための一歩が踏み出せたのは喜ばしいことだと思います。ま,この後のシナリオとしては,景気がよくなれば小泉のおかげ,悪くなれば日銀の責任という雰囲気がマスコミによって作られていくんだろうとは思いますがね。
 日銀総裁コメントの詳細を聞いてませんが(本日18:00から会見?)今後はゼロ金利をいつ解除するのかについて注目が移るものと思われます。私見ですが,これはさすがにまだ先だろうとは思います。

 日本の金融政策は本来異常なものが5年も続けられて異常だとは感じられなくなっていて,しかもその異常な状況が続いたおかげで株にしろ債券にしろ商品にしろ,市場にお金がジャブジャブ回っていたわけですが,これが少し正常な方に向かった現在(ゼロ金利も異常の範疇です)これらの相場がどのように動いていくのか,非常に注目しています。ま,どっちに動いて行こうと僕の生活には何ら支障はありませんが,動きの方向性によっては,いわゆる外資系たちの動きに警戒する必要が出てくるんじゃないかなあと思っています。例えば,量的緩和解除の陰でこんなニューズがありました。

(Mar/09/06 asahi.comより引用開始)
【JPモルガン,作為的相場形成の疑い 金融庁が処分へ】
 金融庁は,米国系大手金融グループのJPモルガン証券東京支店が,証券取引法で禁止される作為的な相場形成を行ったとして,9日にも行政処分を出す方針を固めた。同日午後に発表の予定。
 金融庁と証券取引等監視委員会が昨年4月から行った立ち入り検査で発覚し,監視委が処分勧告していた。金融庁は同支店の内部管理体制に問題があったとして一部業務の停止や業務改善を命じる方向だ。
 作為的相場形成は,特定の株式で実勢から外れた株価がつくように行う不正な取引で,証取法が禁じている。同支店の社員が売買注文を大量に出すなどして株価を動かしていたことが,立ち入り検査で分かったという。
 同支店は03年3月にも,株価が一定値を下回ると株式に転換される「他社株転換債」(EB債)を巡る株価操作で金融庁から一部業務停止命令を受けた。
 JPモルガンは国際的な金融コングロマリット(複合企業体)で,日本にも証券のほかJPモルガン・チェース銀行やモルガン信託銀行などがある。
(引用終了)

 あまりにも悪質だったんでしょう(笑)。あるいは立ち入り検査で発覚するようなチョンボだったわけで,見逃すに見逃せなかったと。さてこの処分で他の外人さん達が騒ぐかどうか。似たようなことはどこの会社でもやっているでしょうから,モルガンをパクったということは彼らに対する強い牽制にもなるわけで,彼らの動きにも変化があらわれるかもしれません。・・・って考えすぎかな。

 日本の上々株式はいまや24%が外人さんの持ち物ですから,彼らの動きをウォッチすることは無益ではありません。もちろん全部の外人さんが悪いなんていうつもりはありませんし,彼らに株を買ってもらうために規制緩和を進めよなんていうつもりもありません。上場企業の命運を握る確かな一団であるとしてどうしても注意しないわけにはいかないということです。

 ま,株は好きな人がやればいい。それよりも重要なのは長期金利市場,すなわち国債価格の方です。なぜなら国債利回り(指標は10年ものの流通利回り)がリスクフリーレートとなって,それに上乗せレートを加えたものが庶民の住宅ローン金利になったり,中小企業の借入れレートになるからです。こっちの破壊力は予想がつきません。国家破綻をしきりに説く人達はまさにこの問題を重要視していて,長期固定ローンで借りている人は別にしても,変動金利で住宅ローンを組んでいる「僕のような」負け組債務者にとっては地獄を見る事にもなりうるわけです。上るとしたらどこまで上るのか,という問題ですね。すでに量的緩和が解除されるだろうということで,ここ数日で長期金利はけっこう上がってきています。大臣もビビってます。
【中長期の長期金利は誰もコントロールできない=与謝野担当相】(Mar/08/06 REUTERS)

 悲観論で有名な評論家はこんなこと言ってますが,さあどうなりますことやら。
【量的緩和解除で世界経済はパニック】(Mar/03/06 ゲンダイネット)
 
 ここからは蛇足。

 郵政民営化で郵貯・簡保が国債売却を予定しているので(竹中大臣の新会社黒字案は米国債運用による利回り向上がキモになっている)いずれ長期金利はぐーんと上がるでしょう。銀行は新たな不良債権を築き,日銀は抱え込まされている資産が毀損し(でも時価評価しなくていいのが日銀ルール),住宅ローン貧民は悪性インフレと金利高にあえぐでしょう。こんなときどうする?

 海外に逃げれる人はいいんですけどねえ。武部の次男みたいに。僕ら庶民はとりあえず,こんな日が来る事を見越して「もったいない運動」をやるとか,畑を耕すとかぐらいしか,策はないですかね・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 17:58| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月07日

デフレはついに去りにけり? 揃った条件にどう出る日銀

 量的緩和政策が解除されるかどうか,いよいよ8-9日の日銀の会合が近づいてきました。為替マーケットはほぼ「解除はするがゼロ金利は当分維持」の方向で織り込み済みのようですが,さてどうなりますやら。

 あと数日ですが眺めているだけでも退屈なので,今日は3紙による社説を読み比べて,新聞社の温度差でも感じてみよう。まずは,超慎重派の東京新聞から。

(Mar/04/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【量的緩和 デフレは克服できたか】

  • 消費者物価指数は三カ月連続でプラスになったが,日本経済がデフレを完全に脱したとはいえない。量的緩和解除の判断は慎重にすべきだ。
  • 明るい数字が出たとたんに,日銀は来週の政策委員会・金融政策決定会合で量的緩和の解除を検討する方針と伝えられる。解除は,少し気が早すぎやしないか。
  • 昨年十−十二月期の国内総生産(GDP)デフレーターは前年同期比で1・6%下落し,下落幅は前期より拡大していた。消費者物価も,今後は原油高効果が消えるうえ,八月には指数の基準改定も予定され,押し下げ要因が残る。
  • そもそも,現状が好ましい展開なのに,急いで政策を変更する必要があるのか。政策転換が引き金になって,せっかく好調な経済に変調をきたせば,取り返しがつかない。
  • 多くの企業にとって,三月は決算期だ。株式市場が動揺したり,長期金利が過度に上昇すれば,企業業績や投資に悪影響が及ぶ。
  • 量的緩和の解除後に,どんな物価安定目標・基準を掲げるのか,日銀自身の考え方も固まっていない。
  • まず,日銀自身が物価安定の目標を示し,政府と十分な意思疎通を図って共有する。量的緩和の解除はその後,検討しても遅くはない。
(引用終了)

 今がデフレなのかインフレなのかを手っ取り早く知るための指標が,先週発表された消費者物価指数(CPI)です。これが近年にない強い数字だったので,即,量的緩和解除だねっていうコンセンサスが生まれたわけですが,東京新聞はこのような軽薄な(?)判断を慎めと言っています。ま,確かに社説中にあるように,先月発表されたGDPデフレータが強いマイナスだったことや,原油高効果を排除して考えてみれば,デフレ退治完了!と浮かれてはいけないことは納得できます。

 だがしかし。量的緩和などという史上類を見ない異常な金融政策が長い間続けられているにも関わらず,「現状が好ましい展開なのに,急いで政策を変更する必要があるのか」という呑気さはいただけません。そもそも二ヶ月連続でCPIがプラスになったという報道があったときも「慎重に」ということでしたが,じゃあいつになったらいいのよ?って感じてしまうのが我々庶民の感覚。明確な数値目標がないからだとか云々,さあ解除しまっせ!っていうときになって後付けでダメな理由を見つけてくるのは,どうだかなあ〜という印象です。

 慎重に!と意見を具申するのであれば,GDPデフレータの強烈なマイナスという事実のみで説得すべきでしょうね。他のは理由になりません。例えば,原油が高いのは量的緩和のせいだとも言えます(少なくとも一因でしょう)。キャリートレードで円を調達して,ドカッと商品先物市場で買い立てれば高騰相場は演出できますし,実際にそれによって膨れ上がったアラブのオイルマネーがまた形を変えて世界中の株高を演出してきたわけですから。量的緩和を解除すりゃあ逆に原油相場は急落して,さらにデフレ圧力は払拭されるかもしれませんよ(イラン情勢があるのでわかりませんけど)。

 さらには,決算期なので市場を刺激すべきでない,っていう理由なんて問題外。いつ解除しようと,市場では何らかの動揺は起きるでしょうよ。それよりも,解除すべきときにしないという異常な状況を強いて決算時期の帳簿をピカピカにしましょうってのは国家ぐるみの粉飾決算でしょうが。不必要で異常な政策のおかげでキレイになった帳簿を見て正しい投資ができますか?B/SにせよCF計算書にせよ,3月末のアカウント残高が乗ってくるわけですが,じゃあ決算が発表される6月の株主総会(決算短信は5月)の前に量的緩和が解除されたら,この「作られた帳簿残高」はどこまで信じていいのかわからんことないか?投資家保護の観点から言えば,決算期だからこそ量的緩和を解除して,市場の洗礼を受けてから帳簿をまとめるべきじゃないかい?
 
 僕の本音,というかポジショントークで言えば,いつまでも量的緩和は続けて欲しい。だってFXで円売り高金利通貨ロングポジションの割合が大きいから(レバレッジは低めですが)。でもまあ,いつまでもこんな異常な政策が続けられてたら,どこがふさわしい金利水準なのかわからなくなるので,条件が整ったのなら即刻解除すべきだと思います。ひょっとしたら,景気は回復しているということを国民にアピールしたくて作った数字のカラクリ(数字は偽装しなくても焦点の当て方を変えるだけで悪い数字が良く見えたりします)がバレるのがいやだから,政府は渋ってるのかもしれませんけどね。

 さて,ここまでかなり自説を書いてきましたが,時間がなくなってきたので,残り2紙は急いでいきます。

(Mar/04/06 日本経済新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【量的緩和解除後の方向性わかりやすく】

  • 1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は,前年同月に比べ0.5%の上昇となった。日本銀行が量的金融緩和策の解除の目安としている「消費者物価上昇率が安定的に前年同月比ゼロ%以上になる」という条件は,ほぼ満たされたとみてよい。
  • 解除に当たり日銀は,長期金利の上昇を抑えるため長期国債の購入額を現在の月1兆2000億円に据え置く。それに加えて,今後の金融政策の方向性を分かりやすく示す,何らかの目安を公表する必要がある。
  • 量的緩和策を解除し,準備預金として必要な約6兆円まで減らすわけだが,どのようなテンポでそれを進めるのかをまず示してほしい。
  • このまた6兆円になるまではゼロ金利が続くことを明確にした上で,6兆円になった後,物価・景気との関連で金融政策をどう運営するかを,ある程度,透明にすべきだ。債券市場や金融市場での思惑的な取引を防ぐのに必要である。
  • 日銀内ではこれまでの米連邦準備理事会(FRB)のように,数値目標を掲げず何らかの表現で政策の方向性を示すのにとどめるべしという考え方が強い。数値目標に政策の手足を縛られたくないからで,その懸念は理解できる。
  • 政府・自民党内の「インフレ目標」論は金融政策を活用してある程度の物価上昇を促し,税収を増やして財政赤字の解消に役立てるという考え方に基づいている。しかし物価上昇に伴い歳出も増えるので問題は解決しない。
  • 地道な歳出削減や構造改革による潜在成長率の底上げが重要だ。金融政策については政府の関与を排し,日銀が責任を持って目安を示し実行してほしい。
(引用終了)

 僕とほぼ同意見の社説。僕に足りないのは対案というか提言にあたるものですが,さすが経済専門紙だけあって,ここの提言は具体的です。日経は「条件がそろったから解除すべし」ということのようで,非常に明快でよろしい。また,政府による関与を排せよという提言も支持できますし,決算が近いからやめとけなんていう野暮なことも言わない。インタゲ論による財政問題解決は幻想だという主張も僕と同じ。

 読売はどうでしょうか。 

(Mar/04/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[量的緩和]「混乱なき解除へ詰めを誤るな」

  • デフレからの脱出を示すシグナルが点灯してきたようだ。
  • 1月の指数を押し上げた直接の要因は原油高騰の影響が最終消費財に波及し,ガソリンや電気,ガス料金が値上がりしたことだ。底流には,景気が本格的な回復軌道に乗り,物価を押し下げてきた需要不足の状態が解消してきたことがある。
  • 日本銀行は,2001年3月以来続けてきた量的緩和政策の解除へ向け,本格的な準備に入った。これまで解除に慎重だった政府や与党の間でも,与謝野経済財政相などが「日銀の判断に任せたい」と容認の構えを見せ始めた。
  • だが,デフレから脱出しても,逆戻りしないと確信できるのかどうか。そこは慎重に見極めるべきだ。
  • 解除する場合には,市場が混乱しないようにすることが肝要だ。市場は5年も続けてきた量的緩和政策に慣れきってしまった。最近の株価下落は,政策転換への投資家の不安感を示している。日銀は金利急騰や株価急落などを引き起こさないように,軟着陸させねばならない。
  • 量的緩和政策の最大の効果は,短期と長期を問わず幅広く金利の低下をもたらし,企業や金融機関の活動を下支えしてきたことだった。
  • 解除は,金利上昇を抑制してきた「重し」も撤廃することになる。これまでの枠組みに代わって,市場の安定化を図る工夫は欠かせない。
  • とりわけ重要なのは,解除後も日銀が事実上のゼロ金利政策を当分続けるという,明確で強固なメッセージを発信することである。
(引用終了)
 
 2点目は文章のつながりがよくわかりません。原油高騰の影響でCPIが強かったと言っておきながら,底流には需要不足が解消してきたからだと言う。ま,そんな瑣末なことは置いておいて,読売はやたらと市場の影響を気にしている事がわかります。東京新聞のところでも触れましたが,多かれ少なかれ市場は騒がしくなるでしょう。だいたい,資金をジャブジャブにしていても貸出増加に寄与したのはわずかであって,かえって国債と株に資金が流れていたわけですから,それが巻き戻されるのに影響がないという方がおかしい。市場は金利よりも資金ボリュームで決まるんだ(だから株や債券は暴落するぞ)というような情報もありますし,すでに市場に織り込まれている情報量がどの程度のものなのかもわかりませんから,実際に市場がどのような反応を見せるのか,見物といえば見物ですね。僕の円売りポジションもちょっぴりリスク減らしておこうかな・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 19:45| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 投資一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月05日

タイムイズマネーは本当時間こそ お金を出して「買う」べきものだね

 今日はおじいちゃん(先代住職)の三回忌法要のため多忙。エントリはちょっぴり手抜きでどうでもいい話題を。

 僕は雑誌好きでホントによく雑誌を買います。パッと内容を立ち読みして面白そうだったらすぐ買ってしまう。今日は鹿児島時代からちょくちょく買っている『Digital DIME』という雑誌(隔週)を紹介しよう。
サイトはこちら
今号はこちら

 今号(3/7号)は個人的に大事にスクラップしておきたい記事が特に多く,非常に充実していました。この雑誌は号によっては当たり外れが多いので(あくまで僕の主観です)よくよく立ち読みしてからでないと買わないのですが,文句無しに今回は大当たり。何が当たりかって言うと,万年筆・ボールペンの特集が組まれていたから。さらには尊敬する山根一眞氏の「スーパー書斎の遊戯術」というコラムでFujitsuのカラーイメージスキャナ「ScanSnap」が紹介されていたから。

 仕事をする上で,万年筆はどうしても必要になります。ボールペンでもいいけどインテリジェンスがない。やっぱり信用第一の僧侶という職業上,しょうもないステーショナリーを使うわけにはいきません(ん?勝手な思い込みか?)。で,文房具屋に行っては万年筆売り場で品定めをするのが好きなのですが,どうも違いというかメーカーごとのこだわりというか特色が掴みづらく,結局今まで購入には至っていません。そこへ来て今回の特集というわけで勉強させてもらいました。

 スキャナ「ScanSnap」については,こっちのブログ(→ リンク)でも書きましたが,実際にプロの物書きの活用例がわかると,僕もやってみたくなって買おうかどうか迷ってしまいます。まあ,寺の仕事をしているとそれほどのペーパー類は発生しませんが,雑誌好きの僕としてはすぐに部屋が雑誌で一杯になりますので,適宜片づけていかないといけません。必要なところだけちぎってスクラップにすりゃあコストゼロでいいんですけど,「検索」のしやすさという観点から見れば物足りない。やはりデジタルファイルの便利さを知ってしまうと(特にMacOSX 10.4 TigerのSpotlight機能の秀逸さを実感してしまうと)1分1秒が惜しい貧乏性な性格が災いして,何が何でもデジタルファイルにしたくなってしまいます。こりゃあひょっとしたらある種の病気かも(^^;

 でもちょっとした工夫で,資料検索の時間が短縮できるのなら,それってすごいことだと思いませんか?空いた時間を自分の趣味に当てる事もできるし,ゆっくり音楽を聞いて休む時間にしてもいい。とにかく時間に余裕を作るというのは,人生を豊かにする上で大事なことなんだろうと思います。そのために僕はお金を遣い,「時間を買い」ます。これは僕が好きな,お金の遣い道です。
posted by 時をかける僧侶 at 21:41| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月03日

ドルを買い支えてこのかたウン十年 もはや退けない我が国の未来

 前々エントリ「どれだけの負担をしろとおっしゃるの? ヤクザな国を喜ばすには」にNISSHAさんからいただいたコメントについて,僕の意見をまとめておこう。

 まず初めにお断りしておきますが,僕はNISSHAさんの,あるいは国民の大多数がこう考えているであろうという思想を否定するつもりはありません。この点,NISSHAさんも僕の意見を否定しておられるわけではないと言明されており,互いの立場や異論を尊重した議論ができることに,まず感謝したいと思います。

 では,コメントを見ていきます。

《NISSHAさん》ドルが基軸通貨であることによって、アメリカが儲かるというかというと、ポール・クルーグマンによれば、そんなことは「まったくない」そうです(注1)。
 確かに、「お札を刷って債権者に渡」すことができるのは、アメリカの特権ですが、「債務がなくなる」ことはありません。なぜなら、「お札を刷って債権者に渡」せば当然、ドルの価値が下がり、つまりドル安状態になるからです。すると、債権者は、目減りした分を見逃してくれるかというとそんなことは無いわけで、当然、利子率を上げてきますから、アメリカの債務は減りも増えもしません。
注1 Krugman,Paul.,“Who's Afraid Of The Euro ? ”,Fortune,1998/4

 まず,ご指摘のクルーグマン教授の論文に目を通さずに自説を展開する非をお許しください。
 アメリカも,いくらでもお札を刷って債務をチャラすればいいとは思っていないでしょう。ご指摘のとおりドルの価値が下るのは明らかですから。ただし,インフレになるのが悪いかというと一概にはそうとは言えないと思います。利子率の上昇以上に経済成長率が上るような経済のかじ取りができるのなら逆にウェルカムでしょうし,株や債券,土地(住宅含む)などの資産インフレを誘導できるのであれば,これによってさらに消費活動を活発化させることもできますので。実際に借金してでも自己の欲望をかなえるアメリカ国民の経済行動に支えられたり,考えられないようなイールドカーブが示現していたり(長期債大人気!)と,アメリカ経済は今のところ順調に推移していると言えます。

 ただし,この繁栄には大きな前提があります。クルーグマン教授やNISSHAさんは否定されるかもしれませんが,ドルが基軸通貨でなければ,このような繁栄は実現しなかったはずです。金本位制の下であれば,他国との貿易において赤字が発生すれば自国のゴールドが流出することになり,国富の毀損が生じますが,ドル本位制であるからこそ,ドルを刷って渡すだけで済んでいるわけです。これがユーロ本位に変われば,赤字を決済するためにアメリカはドルを売ってユーロを買うわけですが,慢性的な赤字が続くのであれば大変です。ドル安は物作りの苦手なアメリカ経済において「悪い」インフレを惹起しますし,当然,一地域通貨となったドル建て資産に海外からの投資が集まるという保証はありませんので,資産インフレなんて起ころうはずがありません。根本的に赤字体質を変える,というのも難しいでしょう。現実,他国のファイナンスなしでは自国経済を維持できないわけですから。

 以上のことから,僕はやはりアメリカ経済が活発で世界中から投資資金が集まっているのは,ドル本位制(基軸通貨制)であるからだと思います。また,NISSHAさんがご指摘のとおり,ドルを刷って放っておいたら必然的にドル安になるはずですが逆にドル高になっているのは,アメリカの経常赤字をファイナンスし続けている国が存在するからです。しかもこの国は自国通貨ベースではなく,ドルベースでファイナンスしています。債務者の国の通貨ベースでファイナンスするなんていう常識外れの愚行がまかり通っているのは,まさにドルが基軸通貨として認めさせられている証拠です。

kurojiboukoku.jpg どこの国のことかは多言を要しないでしょう。日本および中国です。中国については香港を合わせれば日本を越える外貨準備が積み上ってきていますが,日本のようにコントロールがきく存在ではないので,別次元の安全保障外交論で論じる必要があります。そこで日本について見ると,三國陽夫『黒字亡国ー対米黒字が日本経済を殺す』文春新書などに見られるように,日本は政府も企業も自国通貨高を恐れて,貿易黒字で得たドルを円転せずドルのままアメリカ国内への再投資に向かわせています。
 企業は円転しても国内はデフレで投資先が容易に見つからず,自社株買いぐらいにしか使えませんので,北米など海外に進出して現地で従業員を雇い(現地の雇用政策の一助になるので大きな反対が起こりにくいという利点もある),現地通貨での売上金回収・給与支払いを進めています。
 政府は「売らせてくれない」アメリカ国債が減価するのも嫌だし,アメリカの圧力もかなりきついので,ドル円レートが一定レベルを下回れば為替介入を余儀なくされています(介入についてアメリカが怒ってみせるのは有権者向けのパフォーマンスであり,日本以外にアメリカの赤字をファイナンスしてくれる国はないことぐらいは彼らも知っています)。今のようなドル高のときにアメリカ国債を売って,そのカネで日本の公債を消却するとか景気対策に使うとかできればいいのですが,隷従するしか道はない日本がアメリカの意向に逆らうことはできません。

 基軸通貨ゆえのこの特権をアメリカが容易に手放すとは考えられません。その特権をおびやかす存在を許さないために,世界一の軍事力を擁しているわけで,基軸通貨ドルを守ることはアメリカの外交政策の一極を占めるものだと言えます。

《NISSHAさん》アメリカは、大幅な経常赤字を抱えてはいますが(額面上では世界最大の赤字)、GDP費ではせいぜい1.5%程度であり、「これはイギリスの平均と同じくらいで,カナダの 2.2% より小さいし,オーストラリアの 4.2% とは比べものにならないくらい低い」数値です。GDP費1.5%の赤字で財政破綻するなら、これらの国々はとっくに財政破綻しているはずです。

 なるほど。相対的に見るとおっしゃるとおりですね。ただ,不勉強で申し訳ないのですが,モノとサービスの赤字と資本取引の赤字で区別すると別の見方ができると思います。オーストラリアの赤字と同列には議論しにくいのではないかと個人的には思います。データがさっぱり手元にないので説得力に乏しいわけですが・・・(そもそもアメリカは経常赤字を分けて考えていないと,藤巻さんの本で読んだような気がします)。

《僕》アメリカがイラクに攻め入る1年前,フセインが石油の決済通貨をユーロに変えると宣言し,フランスのシラク大統領がこれを容認した

《NISSHAさん》イラク攻撃の1年前といえば、イラクは国連による経済制裁の最中ですから、石油の輸出はせいぜい「食糧と石油の交換プログラム」に基づくもので、国連の管理下にありますから、フセイン政権に決済通貨云々を決める権限は無かったはずです。ただ、フランスとイラクの関係には、きな臭い部分があり、経済制裁終了後の石油利権や、かつてイラクがフランスから購入した兵器の代金の返済などをめぐって、フセインがフランスにイラク攻撃に反対するよう仲介を頼んでいた部分はあるようです。

 前半部分のご指摘はおっしゃるとおりです。それだけであれば,フセインが騒いだだけという結論に終わったはずですが,ご指摘のとおり,フランスのシラク大統領がイラクの石油利権と引き換えに国連に働き掛けてフセインの宣言を支持したのです(情報ソースは前出の『ボロボロになった覇権国家』)。だからこそ,アメリカは国連の決議を無視してまで戦争を起こさなければ,基軸通貨の覇権がユーロに傾いていってしまうと危機感を抱いたのだと思います。

《僕》しかし,前のクリントン政権による好景気で反戦気分の高い世論をフセイン攻撃にもっていくには材料が不足していた。そこで9.11やビン・ラディンを利用して,イラクと関係が深いというウソを捏造したり,大量破壊兵器を隠しているというウソを捏造して国民世論を戦争賛成に転じさせて,イラクへ攻撃を開始した。

《NISSHAさん》因果関係が逆です。冷戦終結後、久々の「平時」を謳歌していたのが、クリントン政権の時代でした。ブッシュJr.が政権についたときも、そのまま「平時」が継続するはずだったのが、9.11で冷や水を浴びせられたわけです。9.11でアメリカが受けた衝撃は、パールハーバーにも匹敵するといわれますが、これを境に、アメリカの世論は再び「戦時」に戻ってしまったのです。そもそも、テロは9.11以降に現れた特異な現象ではなく、イエメン事件やケニア・タンザニア在外アメリカ大使館爆破事件など、9.11以前にも対米テロはいくつか起きていました。それらのテロに深く関わっていると目されていたのがビンラディンだったのですが、「平時」モードのアメリカではそれほど関心は持たれなかったようです。
 かつてケナンが、「アメリカは一度挑発を受けると、歯止めが利かなくなる」様を頭の小さな巨獣に例えましたが、9.11後のアメリカの行動はまさにこれで、ブッシュJr.政権に、ネオ・コンのような理想主義者たちがいたことも、対アフガン、対イラク武力行使の要因かもしれませんが、むしろ世論に対して応えた、という面のほうが大きいといえます(注2)。
注2 ケナン,ジョージ.F.,『アメリカ外交50年』2005年4月,岩波書店

 9.11以前の対米テロに関心がもたれなかったのは「平時」モードだったからではなく,単純に他国におけるテロだったからでしょう。パールハーバーにせよ9.11にせよ,アメリカ本土が攻撃されたから「戦時」モードにチェンジしたのでないでしょうか。また,マスコミによる世論誘導を上手に操作したことも一助だと思います。その意味で,「戦時」モードへ転換させたのは決して偶然ではなく人為的なものだと僕は思っています。余談ですが,パールハーバーの奇襲攻撃はローズベルトは事前に知っていました。それを卑怯な奇襲だという世論に昇華させて対日戦争は正当化されました。9.11も同じです。いまやビンラディンとイラクに密接な関係などなかったことが明らかになっていますが,当時は世論誘導によってイラク攻撃を正当化しました。
※さらに余談ですが,このようなガセネタに乗って当時の小泉政権は自衛隊のイラク派遣を決定しました。ガセネタメールで民主党は謝罪(?)しましたが,小泉政権は開き直ってますね。日本のマスコミも民主党のバカばっかり相手にして,小泉政権のガセネタについては誰も指摘しません。ま,マスコミに期待しても無駄なんですけどね。

《僕》大ざっぱに言って,ドルの基軸通貨制を放棄するのか,国内経済の悪化(軍需産業や石油メジャーなどは儲かるでしょうけど)を容認するのか,この両天秤で考えれば前者を採らざるを得ないだろうということです。

《NISSHAさん》前述したとおり、アメリカにとっては、基軸通貨制は財政赤字と秤にかけるほど価値のあるものではありません。
 「石油価格高騰は、貿易赤字だけでなく、アメリカの航空産業や自動車産業にも深刻な打撃を与え、国内経済を悪化させます。」と述べたように、いわゆる軍需産業なども、石油価格高騰の影響を受けます。実際、9.11でも石油価格は高騰しましたが、ボーイング社などは、かえって、軍からの発注をカットされるなど、大打撃を受けています。

 前述のとおり,僕は基軸通貨制こそがアメリカの外交政策のキモだと思っています。アメリカの赤字体質はもはや変えられません。中国の対米黒字の増加をなんとかするために元の切上げを迫っているアメリカですが,放出されるであろうドルの受け皿の当てがあるからこそこういう動きが出るのでしょう。陰謀論かと思われるかもしれませんが,僕はこの問題を解くカギは日本の郵政民営化にあると睨んでいます。ま,余談ですが。

《NISSHAさん》「他国がいやがる事をするのが「外交」」という理解は極端だとは思いますが、少なくとも外交が駆け引きである以上、「汚れ役」を相手国に押し付ける場合もあることは確かです。しかし、ここで忘れてはならないのは、「汚れ役」を押し付けても、それを引き受けてくれる国が存在するということです。

 うーん。僕は日本がアメリカに「汚れ役」を押し付けれるほど力を持っている(いた)とは思いません。アメリカとしては,日本が「独自に」再軍備して,また自国を脅かす存在になってもらったら危険なわけで,自ら「汚れ役(?)」を買って出て,アジア戦略を遂行するために日本の首根っこを押さえつけてきたのだと理解しています。僕は今でも,日本独力による再軍備と核保有推進論者です。実現には相当な時間がかかると思いますが,これをやらずば,闘い散っていったご先祖様に申し訳がたちません。現状もアメリカの指示通り動くにしても,相応の報償を分捕ることが日本外交だと思っています(やっぱり極端かな)。

《NISSHAさん》アメリカは、伝統的に他国の安全保障に介入するのを嫌ってきた国ですので、冷戦勃発後も、他国と安全保障条約を締揃する際の基準として、ヴァンデンバーグ決議(1948年)を採用し、相手国に「軍事的に相応の自助努力」をすることを求めました。ですから、敗戦国であるドイツも日本も、再軍備を余儀なくされました。また、アメリカは「ただで」軍事力を提供してくれるわけではなく、アメリカの駐留費用は、相手国の負担となります。日本では、その費用が便宜上「思いやり予算」と名づけられていますが、NATO諸国を始めとする、アメリカと安全保障条約を締揃している諸国は当然に支払っている費用です。確かに、額面上は「高い」と言えるかもしれませんが、その分の費用を自国の核開発などに充てたところで、アメリカの「核の傘」に匹敵する抑止力を得られるか、というとそんなことは無いわけで、まぁ、抑止力の「リース料」と考えれば、安いのではないでしょうか。

 世界最大にして最狂のヤクザ国家アメリカに匹敵する抑止力はもちろん持てません。でも,国防の根本的な部分を考えてみてください。リース料を支払って本当にアメリカの兵隊さんは日本国民の命を守るために自分の命を投げ打ってくれるのでしょうか?ワシントンにいる人達がそのように指示しても,末端の兵士たちが命令どおりに動きますかね?イラク人捕虜を辱めたり,拷問したりを平気でする人達ですよ?人任せの国防という考え方は,現状仕方がない部分があるにせよ,ずうっとこのままでいいとは僕は思えません。

 かといって,一部のネット右翼のような,「中国・韓国はけしからん!奴らを成敗するために再軍備せよ!」という考えには賛同できません。あくまで抑止力としての日本再軍備であり,没落してゆくであろうアメリカとの縁切りのタイミングを量りながら,近くのアジア諸国と平和を保つ外交をするべきだと思っています。僕だって僧侶のはしくれ,人を殺したいという気持ちはありません。でも腕力にまかせた他国の外交に屈するわけにもいきません。常識論としての再軍備はこれからも提案していきたいと思っています。

《NISSHAさん》アメリカ側としては、日本側のある程度の負担は当然と考えている面があるので、日本側が「まだ足りないって言うのですか?じゃあどこまでしてあげればいいんですか?日本が潰れるまでですか?」と思ったとしても、「では、アメリカの代わりは存在するのか?」と聞かれてしまうと、返答に窮するわけです。確かに、日本に基地があることで、アメリカにもメリットがあるので、アメリカ側もある程度の「わがまま」は聞いてくれますが。

 アメリカの代わりは存在しないでしょう。だからこそ,独力による再軍備なんです。極論を言えば,アメリカまで届くミサイルさえ持たなければアメリカも許してくれると思います(単純かな?)。日本で軍需産業が盛んになり,国防関連の雇用も増えれば消費も戻るでしょうし,国防技術の洗練を通じて新たな産業が起こる事も考えられます(アメリカでのインタネット普及みたいなイメージ)。ま,少子化は一層進むかもしれませんけど。
 でも,最初の話に戻りますが,アメリカは基軸通貨ドルを守るための外交の一環として,日本の資金力を最大限に利用するはずで,現段階で日本が自由に振る舞う事は戦略上許されないでしょう。日本は売れないアメリカ国債を毎年買わされ,基地移転費用なども負担させられることになりますが,それもこれも日本の資金力を利用したドル制度維持のための戦略上,仕方がないことなのだろうと僕は思っています。で,仕方がないのだけど,ちゃんと日本にも分け前をきっちり寄越せ!というのが外交だと考えています(例えばタックスヘイブンに本社が設立されてあるほとんどの在日外資系証券会社などにも日本国内での稼ぎについては正式に課税させろ,とかね)。

《NISSHAさん》時をかける僧侶氏の考え方を否定するつもりは毛頭ありません。ただ、見方を変えて、「気前のいい同盟国」とアメリカを捉えたほうが、精神衛生上はよろしいのではないか、と私は考えます。
 ここでの議論は、私にとっても考えをまとめるいい機会となりました。

 ありがとうございます。僕も僧侶のはしくれ。他人さまの考え方,生き方を否定するつもりは全くありません。実りある議論ができれば,これ以上の刺激はありません。「こうあるべきだ」論のぶつけあいこそ,日本が活力をとりもどす原動力になるはずであり,この力さえ失って「他人の言うとおり動けば楽だ」という考えに傾倒してしまわないように,心ある人たちがペンをとり(ブログを作ったり発言したり)身近なところから日本復活の種を蒔き,見事成長させる事ができればいいなあと思っています。
posted by 時をかける僧侶 at 18:39| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月01日

みんすとう?かまうだけ無駄それよりも 巨悪を逃す愚を犯すまい

 前々エントリに続いて,前エントリにも大変勉強になるコメントをいただきました。非常にアカデミックな内容で,紳士的な対応をいただきましたので,当方としても大変感謝しています。健全な言論の交換こそがブログの真骨頂ですね。
 ところで,コメントくださったNISSHAさまへのお返事(?)は,ちょっといろいろと準備も必要なので(ここがオツムの弱い僕のダメなところ(^^;)数日勉強させていただくとして,今日はまた別の話をしよう。というのは,ここのところ民主党のバカっぷりが光ってしまって,大事な事件たちが国民の頭から忘却されそうになっているからです。

 崩れゆく民主党が今後どうなろうと,全く関心はありません。そんなことよりも大事な事実を忘れてはいけません。ここでは,日経新聞の社員によるインサイダー事件,伊藤公介議員の住宅業界との癒着問題,そして防衛庁の談合関連の話題を掘り起こしておきます。

 まず一つ目。

(Feb/27/06 NIKKEI NETより引用開始)
【日本経済広告社元局長をインサイダー取引で在宅起訴】
 中堅の広告会社,日本経済広告社(ADEX,東京・千代田)の元幹部社員によるインサイダー取引事件で,東京地検特捜部は27日,同社の沢中直人・元第8営業局長(48)=懲戒解雇=を証券取引法違反(インサイダー取引)の罪で在宅起訴した。沢中被告は起訴事実を全面的に認めているという。
 起訴状などによると,沢中被告は2004年5月10日,東証2部上場のキヤノンソフトウェアが株式分割に関する法定公告を新聞に掲載する契約を取ったと部下から報告され,同社が株式分割を決定したとの情報を入手。翌11日から31日までの間,本人名義で計4000株を約360万円で購入した。(略)
 同社株は公表前は1株900円前後で推移していたが,公表後の6月18日には1690円まで高騰。沢中被告は同日,4000株すべてを売り抜け,約290万円の売却益を得たという。
(引用終了)

 日経は自分のところの問題だからか,「中堅の広告会社,日本経済広告社」とかいう書き出しで,さも日本経済新聞社とは関係が薄いってことをアピールしたがっているようです。僕にとってはこういうところがマスコミ不信につながる原因の最たるものだと感じられるのですが。ま,それはおいておこう。内容は,てめえのところの社員がマネーゲームでイカサマしてるってもの。ずっとずっとライブドアとかホリエモンを散々批判してたのにね。空虚だね。

「小泉の波立ち」サイトでも言及されてましたが,ホリエモンは帳簿を誤魔化しただけでムショ入りなんだから,自分のところの社員がインサイダーしてたら,そりゃ自分たち自ら厳罰を望むべきですね。監督不行き届きで社長以下取締役は辞職するとか。だって,あれだけ連日ライブドア批判をしておいたんだから,自分たちの悪事に対しては甘々の処置はできないし,やっちゃいかんでしょう,普通の感覚なら。李下に冠を正さず。それとも,反省して「ライブドア批判やりすぎました,我々が不必要な批判を煽ったので既存のライブドア株主さまにご迷惑をかけました」という会見でも開きますか?
 
 ライブドアに関しては,こっそりと外資系ファンドがライブドア株を買い進めていますが,安値でたたき売った個人投資家の株を外資系ファンドが集めているんだって。ライブドアの資産(有形のものも無形のものも)はなかなか外人には簡単には手に入れにくいものだからねえ,彼らはライブドアの本当の価値がわかっているんでしょう。日本人は本当にバブルから何も学んでいませんね。企業価値を見極める能力のない人間がマネーゲームで株投機なんてするから,その道のプロ達のワナに簡単にひっかかる。成長しないって罪ですね。

 二点目。

(Feb/24/06 東京新聞より引用開始)
【政官業密着ぶり露呈 国交省幹部を飲食接待】
 元国土庁長官の伊藤公介衆院議員が,東京都内の建設会社に,マンション管理会社経営の三男とともに出向いていたことが二十三日,衆院政治倫理審査会で明らかになった。三男の会社はこの建設会社から約四千万円の清掃業務を受注したという。(略)
 この問題を指摘したのは民主党の長妻昭議員。三男との同行について「営業活動ではないか」と追及した。伊藤氏は「その会社には三男の知人もいる」「どういう時に行ったか覚えていない。営業では,できるだけ行かないようにしている」との弁明に終始した。
 三男の会社は,ヒューザーが販売したマンションの管理組合から排水ポンプの点検を受注したことを認めている。伊藤氏は一月の記者会見で,同社の活動実態について「取材を受けるまでまったく知らなかった」と釈明。公設第一秘書の二男や,政策秘書も役員を務めていたが,問題発覚後の一月下旬,辞任した。(略)
 長妻氏はさらに,昨年六月,伊藤氏が費用負担し,国土交通省住宅局長ら幹部六人と会食したことを指摘。国家公務員倫理法上,国会議員は利害関係者に該当しないが,事業者と判断されればその限りではない。「三男の会社のために行動すれば業者とみなされる。業者との五千円以上の飲食は,国家公務員の倫理法上,報告が必要」と追及した。
 同省住宅局総務課は「正直言って,おみやげもいただいているが,国会議員は利害関係者にはあたらないと判断している」と話している。

 衆院政治倫理審査会に臨んだ伊藤公介元国土庁長官は,「ヒューザー」への公的支援を国土交通省に働きかけたことは「一切ない」ときっぱり否定。しかし,同省幹部の接待や,三男が経営する会社の営業活動などについて歯切れの悪い答弁が続くなど,疑念はさらに広がった。
 伊藤氏は冒頭,「政治倫理には反していない」などとする弁明書を読み上げた。だが,民主党の長妻昭議員が追及を強めると,伊藤氏の表情はとたんに険しいものに。(略)
(引用終了)

 伊藤議員は東京の町田選出。さて,以前はヒューザーとか耐震偽造問題をこのブログで盛んに採り上げていたのですが,ちょっとわけあってここ数ヶ月控えていました。というのは,先週の日曜日にありました,僕の同級生の友人,市川勝斗氏の町田市議選,初出馬で初当選がかかった大事な時期だったから。町田市民で僕のブログを見ている人なんていないと思いますが,たまに彼のブログにトラックバックを飛ばしたりしていましたので,彼の足を引っ張るようなことはしたくないと思い,控えてたのでした。市川君も立派に「先生」になられましたので,もういいだろうと。
※市川先生のブログはこちら

 伊藤議員も,耐震偽造した業者とつるんでたことを認めたんだったらいさぎよく辞職しようよ。ガセネタを認めた永田議員はたぶんやめるだろうから。メール問題なんかで吹き飛ばしてしまうなよ,こんな大事な案件を。小さなバカを叩いて巨悪を野に放つ。この国のマスコミはやる気あるんですかね?

 三つ目。

(Feb/28/06 asahi.comより引用開始)
【前審議官,「OBの生活のため」 防衛施設庁談合】
 防衛施設庁がゼネコンなどに発注した米軍基地工事をめぐる官製談合事件で,再逮捕された施設庁前技術審議官の河野孝義容疑者(57)が東京地検特捜部の調べに対し,「談合は長年の引き継ぎで,退職したOBの生活も考えるとやめられなかった」と供述していることが関係者の話でわかった。(略)
 調べによると,施設庁では,同庁ナンバー3で技術系トップの技術審議官が中心となり,OBを雇い入れた企業にその見返りとして工事を配分していた。施設庁時代の役職が高く,高額の給与を負担する必要がある幹部を受け入れた企業には高額工事を発注するなど,OBの待遇にまで連動した談合システムが引き継がれていた。(略)
 河野前技術審議官は空調設備工事3件をめぐる刑法の談合罪で起訴された後,岩国基地(山口県岩国市)や米海軍佐世保基地(長崎県佐世保市)の土木工事計5件に関する談合の疑いで再逮捕された。これらの工事が発注された04年1月〜05年3月当時,技術審議官を務めていたのは,河野前技術審議官とともに起訴・再逮捕された施設庁所管の公益法人「防衛施設技術協会」理事長の生沢守容疑者(57)だった。
 自衛隊法は退職後2年間,施設庁の工事を受注した企業への天下りを禁じているが,技術審議官OBらは防衛施設技術協会に2年前後在籍してからゼネコンなどに天下っていた。また,天下り規制にかからない民間企業にいったん在籍した後,これらの企業と関係が深いゼネコンや海洋土木会社に転籍したケースも明らかになっている。
(引用終了)

 民主党なんていつでも叩ける(自滅する)んだから放っておいて,こっちを問題視しなさいよ。これらの容疑者だけの逮捕だけで終わらせていいと思ってるんですかね,マスコミは。OBの生活のために談合するなんていうシステムが今の今まで続いていて,しかも見つけられるまでずっと続いていく気配だったということこそ,問題視しないといかんでしょう。国民の税金をちょろまかしてるっていうことの重大性をもっともっと国民に認識させないと。カネの亡者どもが樹海に入った,ざまあみろのライブドア事件とは違うんだからね。

 今日はこんなニューズも出てきたようですよ。
【陸自入札でも情報漏えい 防衛庁内部調査で判明】(Mar/01/06 Sankei Web)

 民主党なんて放っておけよ。前原じゃあもたないって,誰でもわかるでしょう?より大事な方を報道しないと,マスコミはいつまでたっても,日本株式会社の広報部からは昇格できないよ。
posted by 時をかける僧侶 at 23:39| 兵庫 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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