2006年02月27日

どれだけの負担をしろとおっしゃるの? ヤクザな国を喜ばすには

 前エントリについてご批判コメントをいただきました。なかなか鋭いツッコミが入ったようですが,僕自身勉強になるのでじっくり見ていこうと思います。

《僕》いやいや,もうイラン攻撃は決まってるんだって。

《NISSHAさん》何を根拠に仰っているのかわかりかねますが、

 もちろん新聞・テレビの報道だけ見ていてもこの動きはわからないでしょうね。僕も言葉足らずでしたが,いくつかの事実をもとに論理的に類推すると「イラン攻撃は決まっている」という結論にならざるを得ないということです。僕がそのように考えるようになった強力な情報を一つあげよ,と言われるならば,前エントリで紹介した北野幸伯『ボロボロになった覇権国家(アメリカ)』風雲舎になります。著者のロジックはこうです。

  • アメリカは双子の赤字を抱えているのに破綻しないのは,ドルが基軸通貨だからである。お札を刷って債権者に渡せば債務がなくなる。しかしこの特権がなくなれば(ドルが基軸通貨でなくなれば)アメリカの財政破綻は間近に迫るようになる。
  • アメリカがイラクに攻め入る1年前,フセインが石油の決済通貨をユーロに変えると宣言し,フランスのシラク大統領がこれを容認した。つまり基軸通貨を巡って,ドルからユーロへのシフトが懸念された(実際,このあとのイラク戦争のときは,それまでは「有事のドル買い」が定石だったが,このときばかりはドルが売られた)。アメリカは激怒した。
  • ブッシュ大統領はイラン,イラク,北朝鮮を悪の枢軸と呼び,世界中のマスコミを巻き込んで,彼らを退治することが正義であるというプロパガンダを張った。
  • しかし,前のクリントン政権による好景気で反戦気分の高い世論をフセイン攻撃にもっていくには材料が不足していた。そこで9.11やビン・ラディンを利用して,イラクと関係が深いというウソを捏造したり,大量破壊兵器を隠しているというウソを捏造して国民世論を戦争賛成に転じさせて,イラクへ攻撃を開始した。
  • 戦争後,イラクにアメリカ支持政権が民主的に(笑)発足したが,なぜかシーア派を怒らせるような憲法をアメリカが押し付けた。当然,隣の国でシーア派が95%を占めるイランが怒り,反アメリカに凝り固まったアフマディネジャド政権が誕生したばかり。
  • さらにはラムズフェルド自身もイランの核兵器開発には10年かかると認めているのに,やたらと核問題を採り上げる。証拠もないのにテロ支援国家だと決めつけて,相変わらず世界中にプロパガンダを張っている。そのうち世界中でイラン攻撃は仕方がないという雰囲気が醸成される。
  • ここまではアメリカにとっては予定通りの展開。そもそもアメリカが「本当に」イラクに手を焼いているのであれば,わざわざイランを怒らせるようなことをしなくてもいい。ではなぜ?イランを攻撃しないといけない理由があるから。アメリカにとってはイラン無血開城だと困る理由があるから。
  • あとはアメリカ国内で9.11級の事件が起これば(起こせば)イランへの攻撃の理由は確実に作れる。難癖つけれる事件が起これば,それがイラン攻撃の契機になる。

 イスラエルの動き,そしてイランの後に攻めるであろうサウジアラビアの動きにはこれからも注視が必要でしょう。

※著者のメルマガ「ロシア政治経済ジャーナル」も読んでおいて損はないと思います。
 特に次の二つのバックナンバーは上記説明の該当部分になります(本書にも書かれています)。
http://blog.mag2.com/m/log/0000012950/90295319?page=8#90295319
http://blog.mag2.com/m/log/0000012950/90298305?page=8#90298305

《僕》イラン攻撃ということになれば石油価格は高騰するでしょう。でもアメリカが基軸通貨ドルを守るにはこれ以外に仕方がない。攻撃せずにユーロ体制への移行を指をくわえて見ていてはアメリカは双子の赤字で破産しますから。

《NISSHAさん》アメリカは石油の純輸入国ですから、石油価格が高騰すれば、アメリカ経済も打撃を受けることになります。「双子の赤字」とは、財政赤字と貿易赤字の両方の事を指すのですから、石油価格高騰は、貿易赤字だけでなく、アメリカの航空産業や自動車産業にも深刻な打撃を与え、国内経済を悪化させます。

 当然です。そんなことは十分承知のうえでしょう。大ざっぱに言って,ドルの基軸通貨制を放棄するのか,国内経済の悪化(軍需産業や石油メジャーなどは儲かるでしょうけど)を容認するのか,この両天秤で考えれば前者を採らざるを得ないだろうということです。

《僕》あとアメリカは世論を誘導するためにいくつか事件を起こせば準備完了という時期に来ているんですよ。

《NISSHAさん》イラクに対するコミットメントそのものについてアメリカの世論が消極的になりつつある今、イランへの武力行使を口にすれば、今年の中間選挙では確実に票を失うことになるでしょう。

 逆です。何か口実を作ってイランがアメリカにとって脅威であるという世論が作られれば(もうすでにそんな記事も出てますよ。例えばこれ。)イランへの武力行使表明は中間選挙にプラスに働くでしょう。

《僕》何でもアメリカの言うことを聞いておけってか?怒らせないように怒られないように事前に意向を忖度して優等生しなきゃいけないってか?
《僕》要するにアメリカが日本に提供してくださっているリスクと犠牲に日本は何も応えていないのはけしからんと,そう言いたいのだな?思いやり予算は?基地の治外法権は?CIAのスパイ容認は?

《NISSHAさん》本来、日本が自国の問題として解決しなければならない、安全保障の問題を、アメリカにおんぶにだっこで頼りきりだった以上、アメリカの要求する負担に応えることは当然です。アメリカは、慈善事業として日米安保条約を締結しているのではないのですから。
 そもそも、第二次世界大戦で世界を敵に回しながら、その後の60年で世界トップクラスの経済力を身につけ、中国を始めとする核保有大国とも、外交上対等な立場で交渉ができるようになったのは、安全保障の問題を始めとする、主権国家ならば当然に負担しなければならない義務を放棄し、「汚れ役」を全てアメリカに押し付けてきたことが背景にあることを忘れてはなりません。
「対米追従」が善であるとは言いません。しかし、日本が、日本に対して求められている負担を省みることなく、空想的な平和な世界に浸っている限り、日本にはアメリカを批判する資格などないのではないでしょうか。

 あまりにも優等生すぎるご回答だったので面食らいました。
「「汚れ役」を全てアメリカに押し付けて」って,外交ってそういうもんでしょう?他国がいやがる事をするのが「外交」です。百歩譲って「アメリカの要求する負担に応えることは当然」だとしても,僕は,思いやり予算だとかアメリカ国債買入だとか狂牛肉輸入だとか郵政民営化だとか会社法改正だとか,アメリカの繁栄のために日本人が汗水流して得たお金を注ぎ込むのは十分やってきたと思いますよ。まだ足りないって言うのですか?じゃあどこまでしてあげればいいんですか?日本が潰れるまでですか(笑)?

 僕は逆にここまでやってあげてるんだから批判ぐらいさせろ,こういう立場です。牛だっていい加減な検査だってわかってても輸入再開してやったじゃないか。こっちは閣議決定無視してまでシッポ振りながらフライングして再開してやったんだぞ,と(笑)。外資規制かける案を退けてまで郵政公社を解体するんだぞ,と。ホリエモンが余計なことしなければ三角合併で外資が日本企業を簡単に買収できるようにさせてやれたんだぞ,と(1年伸びただけ)。アメリカ幕府さまのために,いろんな手を使ってバカな日本国民を欺いてきたんだから,ちょっとの愚痴(批判)ぐらい言わせてよってね。

 外国と仲良くするのはNGOとかNPO,あるいは個人レベルでやってくれますよ。でもね,国益かけて戦ってんですよ,国は。アメリカを見てください。問題の会社を処分したのに牛肉を輸入再開しないのはけしからんって言ってるでしょう?本質的な部分の解決なんて何らされないくせに。でも,それがまともな外交なんですよ。今までアメリカ人も食べないようなくず肉を吉野家に売りつけて,いかにも日本人が喜びそうな味付けをさせて,見事に日本の国力を削いできたじゃないですか。彼らに「卑怯を恥じる」だとか「惻隠の情」を期待してはいけませんよ。だからこっちだって,今さら武士道をもちだして優等生である必要はありません。日本でも諜報員を養成してアメリカにスパイを送り込んでスキャンダル握りまくってやれ。アメリカ国債を大量に売り立ててやれ。ま,表向きはしばらくアメリカ様に跪く必要はありますがね。没落することが決まっている国と一蓮托生なんてまっぴらごめんです。
posted by 時をかける僧侶 at 22:50| 兵庫 ☁| Comment(3) | TrackBack(2) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月25日

ポチ保守もここまでくると見苦しい 産経新聞しっかりしろよ

 産経新聞のコラム「正論」に違和感を覚えたので,ちょっぴり思うところを書いておこう。

(Feb/20/06 産経新聞【正論】より引用開始)
【繰り返してならぬ日米同盟の危機 日本もリスクと犠牲負う覚悟を】
拓殖大学海外事情研究所所長・森本敏

(略)日本は,いまだ戦後の占領政策の負の遺産と,主権を失った状況下で作られた憲法の制約要因を払拭(ふっしょく)できないでいる。アジアでは確実に中国が台頭し,この勢いが続くとは思えないが,少なくとも軍事的な脅威が周辺に波及することだけは免れえない。日本は日米同盟をより緊密化して,米国のアジア戦略を相互補完する役割を果たす以外に,東アジアで国家の安定を効率的に追及する方法はない。しかし,その日米同盟関係は今,静かな危機を迎えつつある。
(引用中断)

 産経に寄稿する人たちはどうしてこうも中国人が嫌いなんでしょうねえ。「主権を失った状況下で作られた」日米同盟関係は払拭しなくてもいいんですかね?中共が日本に対していろいろ悪さをしたら怒るくせに,アメリカにいろいろ悪さされても日米同盟関係を維持するために泣き寝入りしているのが現実でしょう?アメリカには屈服しても仕方ないと思っているようですが,狡猾さにおいてはどっちもどっちです。アメリカを信用するのは表面だけで十分。

(引用再開)
(略)今,国際社会の最も深刻な懸念は,イランの核開発問題であり,中間選挙を控えた米国にとっても最優先課題だ。それはNPT(核拡散防止条約)体制の危機であると同時にイスラエルの国家安全保障上の問題であり,イランが核兵器をイスラム過激派テロリストに手交する潜在的可能性があるという問題もある。
 イランの核開発は,確信犯的で容易に解決できそうにないが,世界第二位の石油・天然ガス埋蔵量を有するイランは,国際社会の対応に高をくくっているところがある。国連安保理ですぐに制裁決議が通るとは考え難いが,石油価格がさらに高騰すれば世界経済に与える影響は甚大である。
(引用中断)

 いやいや,もうイラン攻撃は決まってるんだって。あとアメリカは世論を誘導するためにいくつか事件を起こせば準備完了という時期に来ているんですよ。イラクの時だって理由そっちのけで(しかもウソがばれた)攻撃したことを忘れちゃいけない。ビンラディンがイラクと無関係でも,大量破壊兵器がなくっても,後付けの理由なんてウソでもいいんですよ。攻撃して破壊していいなりになる民主国家(笑)を作れれば。だいたい,国連の決定を無視してイラクに攻め込んだ国が,NPT体制を守れなんて偉そうに言う権利なんてないでしょうが。・・・っていうのが本当の「正論」だぞ。わかったかい?「正論」の名の下に国民をだましちゃいかんよ。

 イラン攻撃ということになれば石油価格は高騰するでしょう。でもアメリカが基軸通貨ドルを守るにはこれ以外に仕方がない。攻撃せずにユーロ体制への移行を指をくわえて見ていてはアメリカは双子の赤字で破産しますから。

(引用再開)
日本はイランから原油輸入総量の15%ほどを輸入している。また,アザデガン油田開発にもかかわっている。そうした日本が,米国からはどのように見えるか真剣に再考すべきであり,過去の同盟危機を繰り返すべきでない。
(引用中断)

 要するにアメリカの機嫌を損ねないように,今のうちにイランとは手を切っておけということね。で?15%もの石油輸入はどこでカバーせいと言うの?足下見られた状況でロシアから輸入するってか?それともアメリカにお願いしてイラクから回してもらえってか?

(引用再開)
日本はイラクやインド洋に自衛隊を派遣して対テロ戦争を直接・間接に支援してきたが,それを今年,撤退させることが,米国だけでなく国際社会からどう見えるかも考えるべきである。
 米国が日本の撤退を歓迎するはずはなく,イラク新政権も同様であろう。イラクにおける自衛隊の貢献と実績が姿を消してしまうのはあまりに惜しい。イラク南部に日本としての人道・復興支援センターを設置して足跡を残すことを考慮すべきである。
(引用中断)

「正論」じゃなくて「本音」を書くなよ。自衛隊派遣の表向きの目的は「対テロ戦争を直接・間接に支援」するためじゃないだろう。こんなのモロに憲法違反でしょうが。しかも「足跡を残す」ために人道・復興支援センターというハコモノを作れときたか。じゃあまた防衛庁に談合でもさせますか(笑)。ちなみに今日の夕刊によれば撤退してもいいよとお墨付きをもらったみたいですよ。

(引用再開)
さて,米軍再編問題をめぐる協議が三月の最終報告に向けて続けられており,日米同盟協力を強化するための役割分担は順調に進んでいる。
 しかし,基地問題について米国側は,実質的協議は中間報告で決着しており,後は日本側の実行あるのみとの態度である。しかし,日本側の実施状況はあまりにお粗末だ。地元はこぞって反対し,沖縄への説得は条件闘争にもならない。施設庁問題も尾を引いて進展せず,米国側の失望は大きい。
(引用中断)

 だ・か・ら?米国の失望がそんなに怖いのか?何でもアメリカの言うことを聞いておけってか?怒らせないように怒られないように事前に意向を忖度して優等生しなきゃいけないってか?もうアメリカ国債買ってやんないぞっていうバーター交渉をしろとなぜ提案しないの?悪いのは日本,いけないのは日本,ダメなのは日本。産経新聞ってこういう戦後の日本の姿勢を批判していたんじゃなかったの?

(引用再開)
日中関係,日韓関係も靖国問題があって停滞気味だ。米国は日本側の対応に迷惑しているという態度であり,中国は米国に盛んに擦り寄っている。米国は国連安保理問題も日本の要望には乗れないという気持ちが強い。牛肉輸入問題も米国の対応にも問題はあったとはいえ,日本側のやり方に米国社会は納得していない。結局,日米関係でうまくいっているものは何もない。
(引用中断)

 ああ,もう。やっぱり日本が悪いんですか。牛肉問題も日本が悪いと。

(引用再開)
こうした問題が起こるのは国家の安全保障・外交・防衛政策が総合的に調整されていないからだ。この解決には安全保障・外交・防衛諮問会議を設置して,戦略的見地から政策を立案・調整することが求められる。
(引用中断)

 んで,その議長にはジャパンハンドラーズの一員が就くと。そうなれば日本の国益よりもアメリカの国益を優先する政策が出されるのは明らかですが,産経新聞はいつものように勇ましく「国益」を主張できるかな?

(引用再開)
同盟関係は,双方がリスクと犠牲を負いつつ,共通の利益を追求するのでなければならない。このまま事態が推移すると,米国は同盟強化について日本側の意欲と実行を疑うようになりかねない。それこそ同盟の危機である。この事態を切り抜けるのは政治の責任であり,その責任は大きい。
(引用終了)

 要するにアメリカが日本に提供してくださっているリスクと犠牲に日本は何も応えていないのはけしからんと,そう言いたいのだな?思いやり予算は?基地の治外法権は?CIAのスパイ容認は?

 いいようにアメリカにやられましょうよ,なんていうボケた主張を「正論」だとするなら,産経新聞,頭悪すぎるよ・・・。

 ちなみにこのエントリを書くにあたって,北野幸伯『ボロボロになった覇権国家』風雲舎を参考にしました。国際関係を理解するには欠かせない一冊ですね。↓
posted by 時をかける僧侶 at 18:18| 兵庫 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社説批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月23日

腐敗した世の中にこそ水滸伝 梁山泊に集うは誰ぞ

 結局,ホリエモンメール事件は民主党の弱さが露呈されただけっていう結末。ここまでお粗末な結果は想定外でした。何がお粗末かと言うと,武部幹事長を追いつめる事ができなかったことではなくて,他の重要なスキャンダルが隠れちゃったこと。主要6紙の社説でこの点に触れていたのは毎日新聞だけでした。
党内には前原氏ら執行部批判ももたげてきた。いつものお家騒動に,小泉首相から「ご苦労も多いと思う」と前原氏が同情される始末だ。
 加えて,耐震データ偽造事件や米牛肉輸入問題,官製談合事件など,まだ解明されていない数々の問題が,メール騒動で結果的に消し飛んでしまった罪も大きい。

 これで小泉政権はしばらく安泰でしょう。アメリカには見捨てられそうな政権ですが,9月までは情けない野党のおかげで命拾いできるでしょう。

 今よりもさらに二極化が進んでしまうのは仕方がない。国民が望んだ事だし(小泉支持という意味)。僕のような下層にいる人間にとってはもうこれ以上考えても良くなることはないだろうから,今日は全く話を変えてしまおう。



komadasuiko.jpg 先日,たまの休みで本屋に入り浸ったのですが,駒田信二氏訳の『水滸伝』がちくま文庫から出ているのを発見しました。昔,平凡社から出ていた文庫が絶版になっていたので古本屋でしか探せないかなと思っていた駒田訳本が再版されたらしい(出版社は異なりますが)。うーん,買おうかどうか迷いました。なんせこのブログの名前のもとになった本なんだから。

yokoyama.jpg そういえば僕が『水滸伝』と出会ったのは中学生の頃でした。横山光輝の漫画『三国志』を全巻読み終えて,その勢いで漫画の『水滸伝』を読んだのです。ただし,横山光輝は非常に子供思いの漫画家なので,もともと残虐な内容が多い『水滸伝』のうち子供には読ませるべきではない部分をカットして,上手に宋江ら108人の好漢や高キュウ(人偏に求)ら悪代官を描いた漫画でした。その頃は純粋だった僕も,梁山泊に集う好漢達に憧れを抱いて,世の中の悪い人間をこらしめれる立派な人間になりたいなあと思ったものでした。

sinsuiko.jpg さて,高校生になり国語能力が向上するにつれて,漫画ではなく文学として読みたいと思って手にしたのは吉川英治氏訳の『新・水滸伝』。横山光輝の漫画『三国志』の原作が吉川英治氏だったので,『新・水滸伝』も面白いに違いないと思って手にした本。しかし,読み進むうちにどうも漫画と違うなあという部分が多くでてきました。しかも訳者の吉川氏は4冊出したところで他界されましたので,結末がどうも尻切れトンボになってしまっていたのです。
 で,その頃はインターネットもありませんでしたから,吉川本以外の『水滸伝』が読みたいと思っても情報がなく,そもそも進学校で部活までやっていたので調べる時間もなく,受験を経て大学生になるまではその夢がかないませんでした。そして大学生になって自由な時間ができたので,大学の図書館の検索システムを使って,僕のニーズを満たしてくれそうな『水滸伝』を探したところ,けっこういろんな種類の『水滸伝』がヒット。紀伊国屋に出かけて立ち読みを開始しました(全部立ち読みする予定ではなくて面白そうだったら買おうっていうこと)。

komadasuiko2.jpg 調べれば調べるほど『水滸伝』の世界に引き込まれたことを思い出します。オリジナルの『水滸伝』は70回で終わるものと100回で終わるものと120回まで続くものなどがあり,それぞれで結末が異なります。例えば108人が梁山泊に揃ったところで終わっちゃったり,その後に賊軍退治をすれば罪を免除してやるという高キュウらの策略に乗ってしまって36人まで減ってしまったり,さらにその後の宋江や呉用,花栄,魯智深,林冲ら主要メンバーが国を憂いて死んでいく姿が描かれたり・・・。ちなみに横山光輝の漫画は100回本で駒田本は120回本でした。こりゃあ駒田本を読まなきゃいかんと思い,探したのですが,前述のとおり絶版。で,今回ちくま文庫から出ているのを見つけたというわけです。

 じゃあ今まで全くオリジナルの『水滸伝』を読んだ事はなかったのか?と問われれば,「そのとおり」です。『水滸伝』にまつわるいろんな本を見つけては購入していたので,好漢108人のあだ名と名前は完璧に覚えてたりしていましたが,それでもこの好漢はいつごろ出てきてどういうきっかけで梁山泊軍に加わったのか,などは詳しく知りませんでした(主要メンバーは知ってますけどね)。早く読みたいなあと,今でも思っているので,こうやってブログのエントリになったりするわけです。

 蛇足ですが,実は平凡社からめっちゃでっかい本で上中下3冊の駒田本が売っていた(文庫は絶版だった)のは昔から知っていました(大学図書館にも置いてた)。でもその頃の読書スタイルは電車で読むのがメインでしたので,あんなでかい本をかばんから取り出して読もうという気にはなれず,購入には逡巡していたのです。今は,amazonで見ても売っていないようです。さらに蛇足ですが,紀伊国屋には『水滸新伝』っていう同じくらい大きな本があって,これは社会人として鹿児島に飛び立つ直前に買いました。なんせオリジナル『水滸伝』で影の薄かった好漢にもスポットライトを当てて(そりゃ108人もおったらそういうキャラは何人か出てくるでしょうから)話を膨らましたやつですから,フリークとしては読んでおきたいと思ったのです。文庫では出ないだろうし。鹿児島では社会人1年目はとにかく時間があったのですぐに読んじゃったことを思い出しました。
※『水滸後伝』っていう,『水滸伝』のあとの時代に李俊(あだ名は混江竜)がもう一度山荘にこもって政府軍と戦うっていう内容のものもありますが,これはあまり面白くなさそうなのでパスしています。

kitakatasuiko.jpg 話を戻そう。いや,また鹿児島での話なんですが,鹿児島で仕事が軌道に乗ってがんばっていた当時,ハードボイルド作家の北方謙三が『水滸伝』をかなりアレンジして新しく小説化した本が刊行されました。すでに全19巻が完結していますが,その第1巻が刊行されたときに買おうかどうか迷ったんですね。だって,まだオリジナル読んでないし,北方謙三のハードボイルドの世界に引き込まれると,男くさ〜い『水滸伝』に染まってしまわないかとかね。で,そういう話を彼女にしたら,誕生日に1,2巻をプレゼントしてもらいました。ありがたく頂戴したのですが,ちょうど金融庁(当時)の検査が入るってことになって仕事が急に忙しくなってしまい,ちょっと読んだだけで置いてしまったんだっけ。結局その後3,4巻ぐらいまでは自分で買いそろえた記憶はあるのですが,その後は続きませんでした。うーん,そうか19巻で完結していたか。

 仏教大学のレポートも書き終わって,試験も残すところあと1教科のみとなり,ある程度落ち着いて読書できる時間ができそうです。半身浴しながら本を読もうかなとも思っていたので,ちょうどこの手の小説だったら都合がいい。復刻版の駒田本か,北方謙三のアレンジ版か,どっちにしようかな。今の心境としてはやっぱり面白さを考えて北方本かな。さてさてこれから毎夜,風呂で『水滸伝』三昧にふけることができますな。

(付記)
 僕の陳腐な知識では絶対にかなわないぐらいのマニアックな人たちはやはりいらっしゃるようで,かなりすごい『水滸伝』サイトを作っていらっしゃる方々がおられます。『水滸伝』フリークの方は一度ご訪問くだされ。
http://www.suikoden.com/index.html
http://www003.upp.so-net.ne.jp/toelkin/
posted by 時をかける僧侶 at 22:21| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月21日

武部さんどうしてジュニアは海外に?逃げてたら余計に怪しくないかい?

 世間ではホリエモンメールがどうだとかああだとか言われていますね。僕にとってはどうでもいい話なのでこの事件はスルーしておこうと思ったのですが,どうもマスコミの取材が要領を得ないので,なかなか払拭されない疑問点を書いておこうと思います。

 疑問点はいくつかありますが,やはり大事なのは3,000万円の受取口座の問題。民主党は証拠を握っていると言っていますがブラフかもしれません。永田議員といい前原代表といい全体の戦略が甘すぎるので,ブラフの可能性は案外高いと思います(僕だったらいきなり国政調査権発動なんて言わないぞ)。ま,明日になればわかることなんですけど,どんな名義の口座が出てくることやら。で,もし事実だとしたら(武部親子が認めれば),自民党として公認も推薦もしていないのに,応援には行くわ金はもらうわってことになるわけで,イエスマンは処刑されることになるんでしょう。アメリカも牛肉問題で小泉首相に冷たくあしらわれた直後のことなので助けてくれないでしょうし。
※→参考:増田俊男「時事直言」

 口座にカネが振り込まれた事実があるかどうかについてですが,国の権限で調査しろ!という民主党と,ガセネタだ,おまえらの情報を見せろ!という自民党がかみ合わない議論をしています。そもそも民主党が情報を出せるはずがない。ブラフじゃないとしても,個人の口座を勝手に調べる権限なんてありませんから(合法的な方法があるんだろうか?僕が無知なだけかも)。おそらくネタ元の人物が把握しているという意味なんでしょうけど,そりゃあネタ元が誰だか割れた日にゃあ個人情報保護法案で告発者がしょっぴかれるんだから,言えるわけがない。言っちゃったらもう二度とこの手の告発は民主党に集まらなくなって解党までいっちゃう。だから民主党に求めるのは無理。

 武部側はここまで読んでいるから無理難題をふっかけて,意地でも調査させないんでしょう(本気でやられたら自民党側が困ることになるという情報もあります)。そしてできるだけ時間稼ぎをして,民主党議員のザコを一人スキャンダルでしょっぴいて国民の関心をそっちに移してから,この事件をうやむやにするつもりでしょう。ヒューザーがホリエモンで消えちゃったのと同じパターン。

 想定外の動きとして民主党から情報が出ちゃうことも考えられますが,当然それなりの対策をとってあるであろう武部幹事長が強気でいるのは,本当に事実無根だからなのか,絶対に見つからない自信があるからのどっちか。でも,前者だとしたら何も次男がコソコソと海外に逃亡していなくてもいい話。堂々と名誉棄損で永田議員を訴えればいい。じゃあなぜ逃げ回っているのかっていう報道がマスコミからされないから僕なんかがこんなエントリを書いているわけだけど,後者だからだろうと考えざるをえません。

 そもそも次男が「カネもらったよ」って言うはずがないんだし,同じくホリエモンも獄中から否定しているようですが,起訴されてこれ以上罪状を増やしたくないんだから「うんそうだよ」って言うはずがない。でも簡単に口座が見つかるようだったら否定なんてできないので(これはこれで罪を重ねてしまうから)うまいこと隠しているんでしょう。しかも,否定していて逃げ切れるのなら自民党に貸しを作れるんだから,計算高い彼が否定することは別に不自然ではない。じゃあ,どうやって隠しているのか?

 あくまで憶測ですが(明日民主党が発表するのが事実かもしれません)スイスの口座だろうと思います。日本からスイスの銀行に振込みをするときは200万円相当以上なら外為法で届け出が必要なので,そんな足がつく方法をとることはなく,明らかになっているホリエモンのスイスのプライベートバンクの口座から武部ジュニアの口座へ資金移動させたんだと思います。スイスにたくさんカネを隠している政治家なんてわんさかおりますから,そのジュニアが口座をもっていたとしても不思議ではありません。しかも個人情報のガードの固さは世界一ですから,日本の司直ごときが調べられる領域でもありません。で,そんな大事な振込みはメールで依頼なんかしませんよね,いくらホリエモンでも。秘書あてにあんなメールを打つ事はあってもね。
※もちろんプライベートバンクは通常の振込みなんて儲けにならないことはやりませんが,政治がらみで特別手数料を渡すような取決めがあれば彼らとて断る理由もないでしょう。

 明日どの程度真相が明らかになるのかに注目すべき・・・なんですけど,まあ冒頭に書いたとおり僕にとってはどうでもいいんですよね,本音は。自民党だってイエスマン斬れば終わりの話でしょうし,国民全員が被害を被っているわけでもありませんから。武部はこんな悪いやつだ!とマスコミがやっちゃえば事件は収束するでしょう。投機家が大損したことなんてちっとも同情する必要はないし,政治家が企業からウラでカネもらっているのも今更って感じだし,私腹を肥やそうとした人間がどうなろうと知ったこちゃない。そんなことよりも僕としては国民全体の問題であるBSE牛肉問題とか農協改革の方が心配なんです。だからスルーしようと思ったんだけどね・・・(最初に戻る)。ちょっぴり続きます
posted by 時をかける僧侶 at 14:51| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月19日

口ずさむお経の話をしてみよう どうでもいいことなんだけれども

 今日は仏大の試験日。科目は「仏教書誌学」といって,経典に関する学問でした。って,ざっくり書くと余計にわかりにくいので,ちょっぴり詳細を書いておこう。

 そもそも今僕らが仏壇の前で読んでいる『般若心経』なり『法華経』なり『阿弥陀経』のような冊子型のものが存在するのは,質の良い紙が大量に入手でき,簡単にコピー(印刷)ができ,きちんと翻訳(サンスクリットなどのインドの言葉→中国語)されたものが現在も残っているという,暗黙の前提があるからです。「暗黙の」というのは,僕のような坊主だとか仏教学者ならしっかりと問題意識を持たないといけないけど,一般の人々はそこまで知らなくても普段読む分には問題ないという意味です。つまり,どの要素も欠けてしまえば現在仏壇の前でお経を読む事だって難しいわけですが,まさに「仏教書誌学」という科目はこの問題意識の部分を研究する分野なのです。

 例えば日本において質の良い紙が容易に入手できるようになったのは近代になってからでしょう。紙は紀元前に中国で発明されて,きちんとした製紙法は紀元後2世紀に蔡倫が発明したと言われています。この製紙法は751年のタラス河畔の戦いでヨーロッパに広まりました(高校の世界史でやりましたね)。今でこそコピー用紙500枚1,000円みたいな売られ方がされていますが,機械もない時代,紙すき職人による仕事を通してでしか紙は作られなかったわけですから,簡単に一般庶民が手に入れられるものではありませんでした。

 日本人が紙を大量に必要としたのは,世界的にも比類ない識字率を誇った徳川時代の寺子屋制度によるものであり,それまではセレブな人たちの「○○日記」とか歴史書などが特権階級の人たちにだけ印刷されれば良いだけの供給があればよかったのです。同じく徳川時代に仏教保護政策がとられたことで,一般大衆にも読経のチャンスが巡ってきましたが,経典の印刷もコストがものすごくかかっていた時代ですから,それほど普及していたわけでもないでしょう(詳細は未確認ですが)。質の悪い紙では保存もききませんし。ここまで,紙の問題も重要だったんだという話。

 そもそもお釈迦さまの時代には,紙がありませんでした。竹とか木片に文字を書く風習はあったのでしょうが,お釈迦さまが自ら筆を執って執筆作業をされたわけではありません。お釈迦さまが涅槃を迎えられてから弟子達が,如是我聞(かくのごとくをわれきけり)という形でお経を編纂していったわけです。これらの経典が中国に伝わり,インドの言葉から中国語に翻訳されていくわけです。そしてそれが朝鮮を通ったり,直接の形で日本に入ってきたわけですね。

 次に印刷術の話。今でこそボタン一つでコピーが簡単にとれますが,最初は書き写しでコピーをとりました。でもサンスクリット語を読める中国人なんていませんでしたから,シルクロードであちこち行き来していたパルティア国だとか周辺国の僧たちが中国語に翻訳したうえで,それを一生懸命コピったわけです。当然,字を写し間違えたりとか一行とばしちゃったりとか1ページまるまるとんじゃったりとかしてたんでしょう。でもなんとか書写されて複製が作られて中国に仏教ブームが到来するんですね。特に隋が出来るまでの五胡十六国時代なんて異民族が漢民族を支配するために仏教を利用したり(日本の蘇我・物部時代と同じ)したもんだから一気に仏教は広まった。それに伴って印刷術も発達して,書写も面倒くさくなって,整版によるがり版刷りの要領でどんどん複製が作られるようになります。そのうち木製の活字が作られて印刷のコストパフォーマンスも向上するわけです。で,日本は豊臣秀吉の朝鮮出兵で朝鮮の金属活字を分捕って日本に持ち帰ってきます。さらに電気の発明もあってコピー機が生み出されて今にいたるわけです。

 最後に「きちんと翻訳されたもの」について触れておこう。サンスクリット語から中国語に翻訳した人たちはたくさんいますが,時代によって言葉も変わりますから,いつの時代に誰が訳したかというのも実は大きな問題になってきます。ま,一般の皆様にはどうでもいい話ですが,坊主の僕には大事な話ってことで走り読みしてください。例えば皆さんご存知の『般若心経』は玄奘(三蔵法師)による訳文です。もちろん多くの人間が同じ『般若心経』を訳しているのですが,日本には玄奘訳しか残っていないかのような大普及です。名訳なんだから,まあいいでしょう。
 さて玄奘は唐の時代の人ですが,隋ができる前後の時代に鳩摩羅什っていう有名な翻訳家がいました。僕が毎朝本尊の前で読んでいる『阿弥陀経』はこの鳩摩羅什の訳によるものです。で,玄奘訳のものもあるんです。でも普及していない・・・。法然上人が『阿弥陀経』は鳩摩羅什訳のものにすべしと決めたから普及していないのかもしれませんが,訳の違いって気になりません?実は去年,仏大のスクーリングで,まさにこの訳の違いに注目した講義を受けましたが,けっこう鳩摩羅什と玄奘の性格が出ているというか,意訳と直訳の対比みたいな訳の違いがあるってことを学びました。余談ですがこの講義は,サンスクリット語,その日本語訳,鳩摩羅什訳,その日本語訳,玄奘訳,その日本語訳っていう6種類のお経(もとは『阿弥陀経』ですが)を対比して,3つの日本語訳の違いを探るものでしたが,なかなか面白かったです。
 話を元に戻すと,名訳なんだから玄奘訳の『阿弥陀経』でもよさそうなもんなのに,法然上人は何か理由があって(不勉強なため理由は知りません)鳩摩羅什の訳の方を選びました。ま,鳩摩羅什と玄奘の訳の内容が全く違うというわけではないし,宗祖がこっちって選んだんだから文句はありませんが。

 こうして,紙が揃い,コピーが簡単にでき,内容に疑義がないものだから,現在仏壇の前で我々がお経を読む事ができるということがわかりました。本当は「仏教書誌学」って,何年にどこそこでだれそれが印刷したのがどこどこに現存しているとか何だとか,そういうことがメインな学問なのですが,これじゃあマニアックすぎて説明も面白くないので,卑近な例で語ってみました。ま,これがわかったからと言って生活が楽になったりするわけじゃないですけどね。耳学問の一つとして役立ててください。



(雑記)
 試験対策は前日まであまり気が乗らず,ぶっつけ本番でしたが,試験場へ向かう電車の中で読んだ部分がどんぴしゃりでした。日ごろのお念仏のおかげかな(^^)
posted by 時をかける僧侶 at 18:28| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 布教活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月17日

この国もここまで堕ちたか情けなや 献金欲しさに国を売るとは

 ようやく現政権のデタラメぶりを新聞が書くようになってきました。官邸のマスコミ操作は限界点を越えてしまったということかもしれません。いままで小泉マンセーを繰り返してきたマスコミ達は相変わらず自らを省みる事などせず,さっさとレームダック政権を糾弾する側に立ちつつあります。いいよなあ,そんな姿勢で高給もらえるんだから。

 で,民主党が4点セットとか言って自民党を攻めているので,それはそれで勝手にやっといてもらって,僕はその他の現政権のデタラメについて見ていこうと思います。今日のテーマは,これ。

(Feb/14/06 共同通信より引用開始)
【外資企業の献金緩和 資金確保で自民検討】
 自民党は14日までに、外国人や外国法人の持ち株比率が高い企業からの政治献金を事実上、禁止している政治資金規正法の規定を緩和する方向で検討に入った。外資系企業による日本企業の買収が容易になる改正会社法が2007年に施行され、規制対象となる企業が増える事態を想定。資金ルートを確保する狙いがあり、公明党や民主党の同調を求めて今国会にも議員立法で改正案を提出、06年度中の施行を目指す。
 党改革実行本部(太田誠一本部長)が法改正に向けた問題点の洗い出し作業に着手。ただ、党内には「外国資本の意向が党の政策決定に影響を及ぼしかねない」との慎重論も残っている。
(引用終了)

 日本を代表する大企業の大株主に外人ばっかりが並んじゃったから,法改正して今までどおり献金してもらおうという法案です。非常に浅はかなことは言うまでもないと思いますが,「会社は株主のもの」という資本主義の前提に立てば,これがいかに売国的な法案であるかということも分かってもらわなければなりません。今週に入って外人達が日本株を次々と売っているようで,この傾向が続けば法案を成立させる意味が薄れてくるかもしれませんが,そのような事態にならなくても,こんな趣旨の法案が出されるという事態は危機的であると言わざるをえません。なにが,国益ですか。なにが愛国心ですかってなもんだ。君が代歌って日章旗を掲げてたら愛国心が芽生えるとか,しょうもないこと言ってないで,実損を出す前に実質的な愛国心をもり立てて国益を守るべきでしょう。

 「会社は株主のもの」という事実について簡単に論理をまとめておきます。献金するかどうかを決めるのは取締役会。誰を取締役に任命するかを決めるのは株主総会。株主総会での議案は多数決で決められるが,出席者の多数決ではなくて株式数の多数決。結局は大株主の意向が大きく影響するというわけです。会社の運営は株主次第だから,会社は株主のものです。少なくとも法律上は。この例で言えば,青い目の株主があの代議士に献金しておけと命じればやるしかなく,やらなければ取締役はクビになるしかない。サラリーマン取締役ばっかりの日本企業ですから,株主提案に正面切って反対できるサラリーマンは少ないでしょう。もちろん株主たちも少額の献金なんかには目はつけないでしょうけど,青い目の彼らは一丸となって,規制緩和を唱える代議士にジャンジャン献金することを命じることになり,粛々と献金は続くのでしょう。

 ちょっと悪く書きすぎましたか。でもよくよく考えていただきたい。ライブドア事件を皮切りに「会社は株主のものではない」とか言って息巻いている人種が多くなったのですが,僕も心情的にはそのとおりだと思うにしても,本気でそう言うのならこの法案を通してあげればいい。株主のものではない会社がする献金なんだから,問題ないでしょ。少なくとも法案に反対する理由はなくなります。今までどおり献金させてあげようよっていう法案なんですから。外人が支配する会社が日本の政治家に献金して,日本にとって不利な法律を作ったとしても問題ないという判断なんですから。ま,株主の意向を無視して,従業員の多数決で献金の是非を決められるっていう法律があるんなら教えてもらいたいもんですけど。

 さらに悪く書きすぎました。反省。ま,出家の身の僕が声を荒げて法案に反対してもしょうがないけどね。

 日本人って本当におめでたい人たちが多いなあ。ゼロ金利で得べかりし利息が154兆円もあったというのに(税金注入してもらった銀行がそんだけ儲けたっていうのに),またゼロ金利のキャリートレードと巨額の貿易黒字に抗するためのドル買いでアメリカに還流した資金で日本の企業が乗っ取られようとしているというのに,どうでもいいホリエモンとかライブドアの報道ばっかりで満足しているんだもん。異常なゼロ金利が続いているからこそ素人が株をやって,しかも株のキャピタルゲイン課税が10%で済むなんていう国のマネーゲーム奨励のおかげで,ホリエモンみたいな新人類が出てきたという事実をテレビでは誰も指摘しない(ネットでしか見られない)。いいのかなあ,こんな国で。神仏を敬う事も知らず,欲に埋もれた衆生がどんな目に遭おうと出家者にはどうでもいいことですけどね。
posted by 時をかける僧侶 at 21:29| 兵庫 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月15日

神戸にも空港ようやくできるってさ 恥さらす前にやめりゃいいのに

 いよいよ明日,神戸空港が開港します。全く期待していませんが,読売と東京が社説を載せてましたので軽く紹介してコメントをつけておきます。

(Feb/15/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[神戸空港開港]「滑走路の過剰をどう克服するか」

  • 多くの課題を積み残したまま“視界不良”のスタートだ。
  • 来年には関空の2本目の滑走路も完成する。滑走路の数は3空港5本となり,成田,羽田両空港の首都圏に並ぶ。関東の半分しかない関西の人口や,経済規模から,供給過剰は明らかだ。
  • 神戸空港には1日27便が就航し,国内7都市と結ぶ。
  • 神戸市は空港の隣接地を航空会社や物流企業に売却し,約3000億円の建設費の大半を返済する計画だ。だが,まだ6億円弱しか売れていない。着陸料収入も想定の半分以下と見込まれる。
  • 経営難に陥ったとしても,それは神戸市の自己責任だ。
  • 複数の空港を持つ場合,欧米では都心に近い空港は近距離便に限定するのが一般的だ。関西3空港でも,利用者利便に配慮しつつ,国内遠距離便は関空中心に路線を振り分けるべきだろう。
  • 無理のない運航には,騒音問題のためにタブー視されてきた陸域飛行を検討する時期に来ているのではないか。
  • 伊丹も関空開港後は廃港するはずだった。廃港は無理としても,整備費の地元負担がない国際空港から国内空港に変える議論を本格化しなければならない。
(引用終了)

 当たり障りのない社説ですが,相変わらず東京の人間が書いたら関西への「愛」が感じられませんねえ。ま,内容は間違っていないだけに悔しさはないですが。

 僕も就職してから長らく神戸市民ではなかったので(実は今も違ったりする)本当に神戸空港ができるんかいな?と思っていた口なのですが,やっぱり開港するらしい。しかも明日(笑)。そういやあ新聞で特集やってたなあっていう程度の認知度でした。もちろん土建屋さんとかは儲かって嬉しいんでしょうけど,市は3000億円の建設費返済原資が6億円しか集まっていない現状をどう考えてるんでしょうか。あれほど皆で反対署名集めたのに,利権が絡むと人間だめですね。

 反対運動で思い出したけど,当時の運動の先頭を切っていたのが現長野県知事の田中康夫氏。文学に興味のある人でこそ処女作『なんとなくクリスタル』で彼のことを知っていたとはいえ,当時は田中氏が何者であるかなんてほとんどの人が知りませんでしたね。僕は阪神大震災の復旧ボランティアに走り回っておられた氏の姿を知っているし,『神戸震災日記』も読んだし,愛読雑誌『噂の眞相』でコラムを読んでいたので注目していましたけど。その田中氏でも,住民投票に法的効果はないという厚い壁には泣かされました(長野では法的効果のある権限を使ってダム計画を壊しました)。反対多数を押し切って無茶苦茶な計画を提出してまでこぎつけた明日の開港,田中氏の胸中はどのようなものでしょうか。

(Feb/15/06 東京新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【神戸空港 地元の期待は大きいが】

  • 「東京から一万円ちょっとの低料金。しかも市内まで新交通システムで二十分弱。今後,増便も国際便も期待できる。首都圏でなぜもっと高く評価してくれないのか」。神戸市の大手企業の幹部は知名度の低さに不満顔だ。
  • 年間旅客数は三百十九万人と広島や宮崎空港並みの規模を想定している。
  • 飛行機が発着する空港の運営時間は午前七時から午後十時まで。一日の最大便数は三十便。国際線は認めないなどの制限がある。
  • 気がかりなのは航空需要の先行きだ。二〇〇二年度の国内航空旅客数は九千六百万人を超えたが,〇四年度は九千三百七十四万人まで減り,〇五年度も減少が予想されている。「のぞみ」など新幹線の高速化の影響がでたためとの分析が有力だ。
  • さらに関西三空港には「二〇〇九年問題」が控えている。同年中に東京国際(羽田)空港の四本目の滑走路の供用開始や,成田国際空港の平行滑走路二千五百メートル化が予定されている。首都圏空港がさらに拡充強化されれば,国内外の航空会社の関西離れが進む恐れがある。
  • 地方空港で重要なことは収支状況の明確化だ。大半の地方自治体は個別空港の収支状況を明らかにしていない。住民の税金を投入する以上,経営状況を公開すべきである。
(引用終了)

 東京新聞は最後に大事な事実を書いています。「大半の地方自治体は個別空港の収支状況を明らかにしていない」らしい。無茶苦茶な計画が認められた理由,想定されていた失敗,実際の損失の規模,それらが一切明らかにされない。できれば民間の監査法人が監査するぐらいのことまで法律で明文化して,きっちりとした形で住民に提示するというような誠意が欲しいところです。ま,神戸市民でもない僕がいろいろ注文つけても仕方がないことですがね。

 今日のエントリはこれでおしまい。かなり消化不良ですが,今日はお釈迦様の涅槃の日。我が寺で盛大に涅槃会を催しました。その関係でかなりお疲れ。また次回からがんばります・・・。
posted by 時をかける僧侶 at 22:59| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 社説批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月13日

貧困をデータで見れば見えてくる これでいいのか明日のニッポン

「貧困率」という言葉をご存知でしょうか?今日はこの貧困率の話をしよう。

 まず定義を見ていきますが,Wikipediaでは次のような定義を載せています(WIKIですから投稿ですが)。
貧困率(ひんこんりつ)とは,国家内の所得格差を表す指標の一つで,「年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない国民の割合」を示している。2002年の厚労省調査では,日本の一世帯当たり年間所得の中央値は476万円,この半分238万円以下が貧困率の対象である。OECDの最新のデータによれば,日本の貧困率は15・3%で,調査対象国中,メキシコ,米国,トルコ,アイルランドに次いで5番目に高かった。逆に,西欧諸国は大半が10%以下で,特に全調査国中最も低かったデンマークを筆頭に北欧諸国が低い。日本は,かつての調査では北欧諸国並みの水準で,「一億総中流」と言われたが,わずか10年余りの間に驚異的に貧富の差が拡大した事になる。

「平均値」ではなく「中央値」であることに注意してください。格差の度合いを調べるのですから「平均値」は適さないのです。メディアは不用意に「平均値」を使って我々の頭を混乱させようとすることが多いのですが,統計学は平均だけで成り立っているのではありません。数字データは説得力を持つ一方で,情報を受けとる側の知的水準が低ければ容易にだますこともできますから,こういう基本的な点については注意が必要です。

 貧困率の話に行く前にもう少し,平均値と中央値の違いについて見ていこう。
 例えば金融広報中央委員会が公表している「家計の金融資産に関する世論調査(平成17年)」(→サイト)では,きっちりと平均値と中央値を分けて公表されています。一部を引用すると,

  • 金融資産の平均保有額は1,085万円,中央値は400万円。前年対比では,平均保有額が前年を上回った一方,中央値は前年を下回る結果となった。

 こんな感じです。違い,わかりますか?このサイトは丁寧にも次のような注記が書いてあります。
 金融資産保有額の平均値が1,085万円と聞くと,「自分はそんなに多くの貯蓄をもっていない」と多くの世帯が実感とかけ離れた印象をもつ。平均値が,少数の高額資産保有世帯によって大きく引き上げられてしまっているためである。例えば,10世帯のうち9世帯が100万円を持っていて,残りの1世帯が1億円を持っている場合には,平均値は1,090万円になってしまう。当然,調査を受けた10世帯のうち9世帯は,調査結果が1,090万円と聞けば,その値に驚くだろう。今回調査では,保有世帯(金額無回答を除く)が1,836世帯,非保有世帯(保有額=0万円とみなす)が776世帯であったが,これらのうち約7割が平均値よりも保有額が少なくなっている。
 上記のような平均値の持つ欠点を補うために,ここでは平均値と並んで中央値を用いて一般的な家計像を捉えることとする。ここで言う中央値とは,調査対象世帯を保有額の少ない順(あるいは多い順)に並べたとき,中位(真ん中)に位置する世帯の金融資産保有額のことである。例えば自分の貯蓄額が中央値(今回は400万円)である世帯からみると,保有世帯のちょうど半分の世帯が自分の貯蓄額よりも多くの貯蓄を保有し,ちょうど半分の世帯が自分の貯蓄額よりも少ない貯蓄を保有していることになる。従って,中央値は世帯全体の実感により近い数字になると考えられる。

 格差が厳しい社会を調べる基準が平均値じゃあマズイってことがおわかりになったところで,貧困率の話にいきます。

 先ほどのWikipediaの定義にもあったように,最新データによれば日本はOECD諸国のうちワースト5位の貧困率です。僕が毎日参考にしているサイト「Nevada経済情報」のWorld Report(Jan/01/06)によれば,上位諸国はこんな感じです。

  • 1位 メキシコ 20.3%(過去最悪の21.7%から減少中)
  • 2位 アメリカ 17.1%(過去最悪の17.9%から減少中)
  • 3位 トルコ 15.9%(過去最悪の16.4%から減少中)
  • 4位 アイルランド 15.4%(10.6%から上昇中)
  • 5位 日本 15.3%(過去最悪を更新中)
  • 6位 ポルトガル 13.7%(過去最悪の14.6%から減少中)

 率直な感想としていかがでしょうか?
 メキシコ,トルコのハイパーインフレの話は有名ですから解説はいりませんね。アイルランドも人口が400万人程度の国ですから,大国と比べるのは無意味です。となると,アメリカと日本。貧富の格差がメチャ激しいアメリカと日本の差が縮まってきているぐらい,急速に日本の貧困率が上昇してきているようです。

(Jan/22/06 NIKKEI NETより引用開始)
【「貯蓄なし」世帯,最多の22.8%・金融広報中央委】
 金融広報中央委員会(事務局・日銀情報サービス局)の家計の金融資産に関する世論調査2005年版によると,貯蓄を「持っていない」と回答した世帯(2人以上)が22.8%を占め,1963年に調査を始めて以来最高になった。04年から0.7%上昇した。一方で日本の富裕層は世界で2番目に多いとの指摘もあり世帯間で2極化が進んでいる。
 貯蓄をまったく持っていない世帯は1996年以降,継続的に10%を超え03年以降は20%台に上昇している。推計では05年時点で貯蓄のない世帯数は約800万にのぼる。全世帯ベースでは23.8%が「貯蓄を保有していない」と回答。この項目で調査を始めた04年から0.9%上昇した。
(引用終了)

 これが現実です。日本は世界で比べれば豊かではなくて貧しいのです。一部の人間だけが豊かなだけで,一般国民は耐震偽造のマンションに住み,低金利なくせに手数料だけはバカみたいにとる銀行に騙され,BSE牛の肉をうまい早い安いと言って食い,財務諸表すら読めないのにローソク足だけ見て株を買い,後で見もしないトリノのテレビを一生懸命録画しているんです。次世代はというと,国語も満足にしゃべれないくせに英語を学び,円周率は3で,アボガドロ数は0.6×10^23で原子論すら習わない。そりゃ貧困だろーよ。

 このエントリで僕が言いたい事は,いまのままでも十分格差社会なんだから,これ以上の格差の拡大政策は進めるべきではないということ。薄っぺらいアメリカ讃美主義を続けてたら日本人の良い部分が全てダメにされて,日本人の大多数がアメリカの黒人みたいな扱いを受ける社会が生まれ,ご先祖様や建国の神々に対して申し訳ないという気持ちすら消えてなくなってしまうでしょう。そんなんでいいんですか?イランに難癖つけて戦争しようっていう国にどこまでも尻尾ふって付いていっていいんですか?大多数の貧民をあごで使う支配者達にとっては理想の国なんでしょうけど,ホントに「愛」がないなあって思うのは僕だけなのかな?

 日本人100人中15人は中央値の半分にも満たない所得で生きているという惨状は,「改革」で回復できるのか?十分痛みに耐えたんじゃないのか?あと何万人の自殺者を出したら気が済むのか?坊主をやってて自殺者が多いのはつくづく身にしみて分かっています。でも遺体の前で,家族が号泣する横でお経を唱えなきゃいけない坊主の気持ちは,坊主でなきゃわかるまい。金持ちは一部の人間だけでいいから,大多数の人間に最低限の暮らしだけでも保障してやってくれ。希望すら持てなくなるような境遇は見逃さないでくれ。国民年金保険料が払えないからといって国民保険が使えなくなるとか,ヤミ金でホクホク顔の大阪の公務員が公園のルンペン達を面白そうに追っ払う映像は流さんでくれ。株で20億儲けた人間が2億円納税するだけで許される世界は見直してくれ(汗水流して20億儲けたら納税額は10億円・・・)。ホリエモンのケツばっかり追わんとヒューザーをやってくれ。トリノなんかよりもイランの映像を回してくれ。頼むから,外人にばっかり儲けさせないで,日本人が日本人として暮らせるような国にしようよ・・・。

(Jan/15/06 NIKKEI NETより引用開始)
【対日投資,10年で4倍に・政府が新目標】
 政府は日本企業への出資や買収などによる対日直接投資の一層の拡大に向け,新たな目標を打ち出す。2011年末の投資残高を2001年末に比べて4倍の26兆4000億円とすることを目指す。01年末からの5年間で倍増する現目標の達成にメドが付き,増加傾向を維持したい考えだ。
 小泉純一郎首相が20日召集の通常国会の施政方針演説で,大幅な投資増大を目指す方針を表明する。それを受け,政府は首相が議長を務め関係閣僚がメンバーとなっている対日投資会議を2月に開き,新目標を正式決定。今春にも規制緩和など投資促進策をまとめる段取りだ。
(引用終了)
posted by 時をかける僧侶 at 22:17| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月12日

アメリカも負けちゃいないぜ赤字額 属国いじめて知らぬ顔っすか

 アメリカ財政の話。
 日本の巨額の財政赤字の現状,それに対する的外れな財務省の増税方針などなど,日本の財政問題には皆さんいろいろと思うところがあると思いますが,僕は趣味で為替投資をやっているので,アメリカの財政状況にも敏感になっています。今週の金曜日にはアメリカの財政赤字が過去最悪を更新しましたが,その前に日経が次のような社説を載せていました。

(Feb/08/06 日本経済新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【楽観許さぬ米財政再建】

  • ブッシュ米大統領が2007会計年度の予算教書を提出した。
  • 米政府は政策的経費(裁量的支出)を切りつめた「緊縮型」と説明するが,増大する国防費や国土安全保障費は聖域扱いで,目標通りに財政赤字を減らせるかどうかは楽観を許さない。拡大を続ける経常収支赤字とあわせて米国の双子の赤字は,引き続き世界経済の大きなリスクの1つである。
  • 最大の不透明要素はイラクでの米軍駐留経費など国防関連支出の動向だ。国防費と国土安全保障費を除く裁量的支出は前年度比0.5%減らすが,国防費などの増額で裁量的支出全体では同3.2%増加する。しかもイラク駐留経費は今後数百億ドル規模で増額を迫られる可能性がある。
  • 1990年代後半に米国は財政再建を果たした。これは経済再生による税収増と同時に,冷戦終結に伴う国防支出削減という「平和の配当」が貢献した。
  • 足元の米経済は3%台の成長を続けているが,国防支出の聖域扱いが続く限り財政再建の道のりは険しいだろう。
  • さらに戦後のベビーブーム世代の現役引退が始まり,米国でも医療費など高齢化に伴う社会保障関連支出は増え始める。
(引用終了)
 
 アメリカの財政破綻が実現してしまったら,ざまあみろでは済みません。日本がたくさん買わされている米国債はパーになるし,アメリカの住宅バブルははじけ飛ぶだろうし(アメリカの住宅ローンは元本のほかに金利分まで貸し出す契約が増えている)大手企業の債券価格だって暴落するでしょう。しかし,そうなっていない大きな理由があります。ドルは基軸通貨であるということです。

 基軸通貨であることで,ドルは計り知れないメリットを享受しています。ドルは刷るだけで通貨になるので,赤字の分だけ刷って国債にしておけば,日本の国や企業のように忠実な金持ちが高金利につられて買ってくれる。また実需においても,19世紀にイギリスが植民地インドから富を搾取したのと同じ方法で,現在はアメリカが日本の富を搾取しています。つまり,インドのイギリス向け債権をポンド建てにさせることでインド国内への資金還流を回避させ,インドにデフレを強いる代わりにイギリスは未曾有の富の蓄積を実現したという方法を,アメリカが日本に対して実施しています。この悪循環が断ち切られない限り日本のデフレの抜本的解決なんてありえないのですが,基軸通貨がドルである以上はなかなか交渉も難しい。

 政治的にも,実力者が「アメリカ国債を売りたい」なんて言おうもんなら一気に潰されます(橋龍など)。郵政民営化で日本の勤労者のお金が合法的にアメリカに持ち出されて,アメリカの軍事費に使われるための国債買入に当てられることになりましたが,日本国民の多数が賛成したのだから自業自得。余談ですが,ホリエモンのマネーゲームを批判する日本のポチ保守たちが,去年の秋にはアメリカのマネーゲームや戦争のために日本の勤労所得の成果を海外放出させることを「改革」だと礼讃していたわけだから,何をかいわんや。勤労の精神を破壊しているのが自分たちだと気付いていない浅はかさ。僕はみじめだと思いますね。

 話を戻します。アメリカはドルが基軸通貨だから,こんな多額の赤字が発生していても内心ケロっとしていられます。でも実際は焦っている部分もあります。不穏な動きがあるからです。日本は属国だからガツンと叱り飛ばせば言うことを聞きますが,中国が聞かない。中国は日本の次にアメリカ国債を大量保有している国ですからできるだけコントロールしたいのでしょうけど,ま,無理な話。そもそも人民元の切上げなんてしたらアメリカ国債を大量に売る事になって,大変なのは実はアメリカなんじゃないの,っていう話もあるぐらいで,アメリカとしては産業界から苦情を言われて大変だからポーズだけ示しているにすぎません(これは単なる僕の見方です)。

 それから石油代金の支払いがドルベースからユーロベースになるかもしれないっていう話も不穏な動きの一つ。ま,これについてはイスラムのムハンマド(マホメット)の風刺画問題が出てきましたから見直しの気運は高まるかもしれません。ま,CIAあたりが仕組んでるんでしょうけど。

 アメリカとしては基軸通貨ドルを守らないと,すぐにでもインフレになってえらいことになって国民が暮らしていけなくなりますから,いざとなればどんなことでもやってくるでしょう。戦争なんて当たり前に起こすだろうし核爆弾を落とすかもしれません。もちろんそうなったらいけないから,世界中でアメリカをなだめるために,今後もドルで行きますみたいな宣言が行われるんでしょう。まあ勝手にやればいいけど。

 金本位制が崩れた後の基軸通貨の崩壊という経験は資本主義の歴史の中で発生していないわけですから,ドルがそうなっちゃったらどうなるかは予想もつきません。ユーロが取って代わるのかどうかもわかりません。イスラムを刺激しているようではユーロの信用もなかなか根付かないでしょうしね。日本の円をアジア共通通貨にするべえという提案もあるようですが,あれだけ中国韓国と揉めさせられてたら無理でしょう。やっぱり金とか石油の現物資産をベースにした通貨体系に移行していくのがベストなんだろうなあと,若干とりとめのない結論を出して,今日のところは終わっておこう。
posted by 時をかける僧侶 at 01:57| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月09日

住民を守れず何が国益だ 尻尾ふりふりポチぞ悲しき

 勇気ある言論なのかトンデモなのか,おそらく後者であろうと思われる社説が読売から出ました。読んでいない人がほとんどでしょうから,全文を引用します。

(Feb/07/06 読売新聞社説より引用開始)
[岩国住民投票]「安全保障政策は対象にならない」

     国の安全保障にかかわる政策は住民投票にはなじまない。無用の混乱を招くだけだ。
     山口県岩国市の井原勝介市長が,米海兵隊岩国基地への米空母艦載機移駐計画に対する賛否を問う住民投票を3月に実施する意向を明らかにした。
     岩国基地は,沖縄の普天間飛行場と並ぶ米海兵隊の航空基地である。海上自衛隊も基地を共同使用している。
     日米両政府は昨年10月,市街地にある米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機57機を岩国基地に移駐することで合意した。その代わりに岩国基地配備の海自の自衛隊機を海自厚木基地へ移駐し,負担を軽減する。
     井原市長は,米空母艦載機の移駐に対し,一貫して「白紙撤回」を主張してきた。日米合意を前に,市民団体などが市民の半数を超す約6万人の反対署名を市長に提出したことが背景にある。
     疑問なのは,市長自らの発議で住民投票を実施する方針を表明したことだ。
     岩国市の住民投票条例には,市長自ら発議できるとの規定がある。だが,市議会の多数は,受け入れを前提に,国との対話路線に転換すべきだと主張し,住民投票に反対している。強引に住民投票を実施すれば,市政が混乱しかねない。
     住民投票は3月12日の見通しだ。その直後の20日に岩国市は周辺7町村と合併する。4月には新市長選が行われる。新たな市の一部住民の意思だけを聞く住民投票になる。周辺7町村の首長,議長がこの時期に岩国市が住民投票に踏み切ることに反発するのも無理はない。
     住民投票は,市町村合併など純粋に地域の問題であれば有効な手段だ。岩国市の住民投票条例も「市の権限に属さない事項」は投票の対象外としている。
     市長は,住民投票をするのは米空母艦載機の岩国移駐案について国が意見を求めてきており,住民の意思を確認する必要があるからだと言う。
     しかし,在日米軍再編は国の安全保障の問題だ。岩国移駐案は,「市の権限」外であり,住民投票の対象にならないと考えるのが筋だろう。
     住民投票の結果に法的拘束力はない。だが,基地を抱える他の自治体に影響し,政府の在日米軍再編に関する調整作業が停滞することになりかねない。
     沖縄県名護市でも1997年12月,普天間飛行場返還の代替施設建設受け入れの是非をめぐり住民投票が行われた。反対が過半数を占めたが市長は受け入れを決定し,辞任した。その混乱が,普天間移設問題の長い迷走につながった。
     同じ轍(てつ)を踏んではならない。
(引用終了)

 市町村合併の前に実施する住民投票はどこまで効果があるのか,という問題については読売の言い分にも一理はあると思いますが,国が決めた事に市の分際で口出しするなという論調には「現時点では」到底賛成できません。もちろん「現時点」の問題点が解決されるのであれば,然るべきポストの人間が,日本の国益に照らして必要な基地であるということを市民を説得させることができれば,かまわないことだとは思います。

「現時点」での問題点について詳細を記す必要はないでしょう。幾度となく引き起こされた沖縄での痛ましい事件,去年の横須賀の女性殺害事件などなど,いずれも住民が犠牲になっていながら抜本的な問題解決がなされていません。もちろん米兵も人間ですから悪い事もするでしょう。それが悪いのではなくて,悪い事をした人間にふさわしい懲罰をかけることができない(日本が自主的にという意味)のが問題なのです。全くこの問題は解決していません。だから「現時点」では読売の社説には賛成できないのです。

 読売は小泉礼讃という使命を授かっている手前,立場的に国の施策を批判するわけにはいきません。だからすんなり進まない日米再軍備問題の不満のはけ口として住民投票を敵視するのでしょう。読売のそういう底の浅さは毎度のことだから笑って済ませられますが,国の安全保障問題なんだから住民の意見すら聴く必要はないというのはいかがなものでしょうか。それなりに理屈を通して社説を組み立てたようですが,これに「愛」を感じられますか?

 沖縄で住民投票したら反対だった
→それでも受け入れたから普天間移設問題が迷走している
→だから住民投票が悪なのだ
→そもそも「市の権限」外の話に住民投票は不必要だ
 という理屈。

 国民(市民)を守るのが「国益」だと思うんだけどなあ。北朝鮮・韓国・中国には文句言うくせに,アメリカに無茶苦茶に人権踏みにじられても文句言わないのが「国益」だと勘違いしていない?こそこそと東京で社説書いてないで現地の住民に「愛」を差し伸べなさいよ。



(追記)
 小泉批判の急先鋒,天木直人氏もこの問題にNOを突きつけております。興味のある方はご覧ください。
サイト

 さらに追記。
 未だにこんなニューズが出るんだよ。何が国益かしっかり考えなよ。

(Feb/09/06 琉球新報より引用開始)
【犯行米兵,なぜ帰国 タクシー強盗】
 北谷町のキャンプ瑞慶覧内で発生したタクシー強盗事件で,書類送検された2米兵のほかに3人目の容疑者がいることを公表せず,容疑者が帰国していた問題で,関係自治体や平和団体からは「許し難い行為だ」と米軍を糾弾する声が上がっている。事件発生から7日で1カ月。識者は「日本側が主体的に捜査できる仕組みが必要」と地位協定改定の必要性を指摘している。一方,県警は3人目の容疑者の身柄確保を米軍に要請するか検討している段階で,事情聴取の見通しも立っていない。外務省沖縄事務所は米軍に帰国理由を照会しているが,経緯は明らかになっていない。今後の米軍の対応が焦点となっている。
 3人目の容疑者がおり,事件後に帰国していた問題で,関係自治体や平和団体からは一斉に反発する声が上がった。
 野国昌春北谷町長は「基地内の犯行でありながら1人逃げていることには驚きだ。米軍の捜査に疑問を感じる。日米地位協定の限界を表している。凶悪犯として身柄を引き渡し,日本の警察が取り調べるべきだ」と話した。
 伊波洋一宜野湾市長は「被疑者が米軍の基地の壁によって守られ,逃走することはこれまで何度もあった。また起こったことを遺憾に思う。日米地位協定の抜本的見直しを視野に入れ,県警が基地内の犯罪をきちんと捜査できる環境をつくるべきだ」と地位協定の見直しの必要性を指摘した。
 新垣邦男北中城村長は「3人目の共犯がいて,既に帰国していたとは驚いた。あきれるというか,とんでもないこと。米軍側に緊張感がない証拠だ」と強調。「住民に対する米軍の事件事故が多すぎ,不安感を持っている。地位協定の改正がないと,事件事故は減らない。基地を抱える村長として日本政府に強く働き掛けたい」と話した。
(引用終了)
posted by 時をかける僧侶 at 19:28| 兵庫 ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | 社説批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月07日

西川くんケタの多さに気絶する 郵貯解体ハゲタカいらっしゃい

 更新1回サボっちゃいました。で,今日もレポートが忙しいので手短に,ひさびさの郵政の話。

(Jan30/06 REUTERSより引用開始)
【日本,外国企業に国内市場の一段の開放を=米財務副長官】
 米財務省のキミット副長官は,日本は国内市場を外国企業向けに開放するため一段の努力が必要だとの考えを示した。
 同副長官は,世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の公開討論で,「かなりの進展がみられるが,我々の前にはまだまだ機会がある」と述べた。
 また,「すでに日本に進出している企業にとって状況は良くなっているが,日本市場へ新たに進出する企業に機会を創出するという意味ではまだやるべきことがあると考える」と語った。
 さらに,特に郵便貯金について,日本企業と日本に進出する外国企業にとって公平な機会が与えられることを望むと述べた。
(引用終了)

 ダボス会議では日本はほとんど存在感なしって感じだったらしいのですが,言われる部分はちゃっかり言われて帰ってきたようです。よりによって「郵政のカネをよこせ」ってさ。

 渦中の郵便局もいろいろ動いているようです。

(Jan30/06 REUTERSより引用開始)
【郵政公社,郵便局で外債・外株・海外REIT・国内SRIファンドを販売へ】
 日本郵政公社は,海外債券や世界REIT(不動産投資信託)など新たに4種類の投信を郵便局で取り扱うことを決め,きょう,商品の公募をスタートした。
 公募する商品は1)海外債券ファンド(定期分配型),2)海外株式ファンド,3)世界REITファンド(定期分配型),4)国内株式SRIファンド──の4種類。(略)
 郵便局での投信販売は2005年末から上向いてきている。1月の販売額(手数料込み)は27日現在235億円を超えており,2営業日を残した段階で,単月で最高の販売額となった05年12月の販売額記録を更新したもようだ。
(引用終了)

 ま,僕はファンドなんて買う気全くなしだから勝手にしてくれていいんだけど,ホンマにおじいちゃんおばあちゃんがREITの仕組みを理解できて買ってくれるとは思えんね。投資好きな年寄りはそもそも郵貯にそんな機能を求めてはいないだろうし(証券会社がガッチリ掴んで離さんでしょう),ババひかされるのは相変わらず,「隣の奥さんが株で儲けてる」のを羨んで始めた素人投資家ってことになるんでしょう。自分の家の住宅ローン金利が上ってひぃひぃ言うのが先か,ファンドで儲けるのが先か。どっちにしても郵便局はファンドを売った手数料でホクホク。ま,せいぜい郵便局を儲けさせてやってよ。

 最後にこの記事のちょっと前に出された読売の社説を載せて終わります。

(Jan/25/06 読売新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
[日本郵政会社]「西川社長,自らの提言を読み返せ」

  • 民営化後に持ち株会社へ移行する「日本郵政会社」が発足し,社長に西川善文・前三井住友銀行頭取が就任した。
  • 郵政民営化が成功するかどうかは,計画の中身や,4社のトップに誰が就くかにかかっている。
  • 郵便貯金や簡易保険を通じて集められた巨額の資金は,財政赤字の穴埋めのほか,特殊法人に流れて非効率な事業を支えてきた。法人税免除など郵政事業への様々な優遇措置が公社による民業圧迫につながっていた。改革の狙いは,こうした構造を改めることにあった。
  • 西川社長は日本郵政が発足した後の記者会見で,「政府の介入があるとか,制約があるということは,絶対に排除しなければならない」と事業拡大へ向けた強い意欲を表明した。
  • 全国銀行協会の会長時代には,郵政改革への提言をまとめ,「民営化の移行期間中は,一定の業務制限が必要だ」と厳しい注文を,政府に何度も突きつけていた。
  • 計画を策定するに当たり,ぜひ提言を読み返してもらいたい。事業拡大に走るよりも,スリム化,効率化に力を入れることの重要性がわかるはずだ。
(引用終了)

 読売としては,郵政会社の社長という,昔の銀行協会の会長とは立場が全く異なるポストについた西川某に,銀行協会時代の提言を守れと言いたいらしい。相変わらず指摘の仕方にはセンスが見られません。業界団体で昔郵貯を批判していた人間が真逆のポストにつくことこそまず指摘しておくべきでしょうが。銀行は未曾有の利益を上げたっていう報道があったばっかりでしょう?そこの業界団体の長だった人間が庶民階級の金庫「郵貯」を解体する急先鋒であるというおぞましさを採り上げるべきでしょうが。この新聞は救いようがないね。
posted by 時をかける僧侶 at 13:52| 兵庫 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日米従属関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月03日

天皇制めぐる話は聞き飽きた 当事者抜きで何がしたいの?

 皇室を巡るゴタゴタが注目され始めました。あちこちのブログで盛んに採り上げられているテーマなので,僕もついつい読み込んでしまっています。本来は天皇家のお家事情の話ですから,僕ごときがどうこう言う話ではないのでスルーするつもりだったのですが,朝日のおバカな社説が出たので,これを機会にちょっぴり語っておこうと思います。
 
 で,まずは朝日の社説を。

(Feb/02/06 朝日新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【寛仁さま 発言はもう控えては】

  • 皇位継承のあり方をめぐり,寛仁(ともひと)さまの発言が相次いでいる。
  • 神武天皇から連綿と男系が続いているからこそ皇統は貴重なのだ。戦後に皇籍を離れた元皇族を復帰させるなどして男系維持を図るべきだ。いずれもそうした趣旨の発言である。
  • 皇位継承は天皇制の根幹にかかわる問題だ。国民の間で大いに論議しなければならない。
  • 皇族にも様々な思いはあるだろう。自らにかかわることだけに当然だ。だが,それを外に向かって発言するとなると,どうか。改めて考える必要がある。
  • 今回の一連の寛仁さまの発言は,皇族として守るべき一線を超えているように思う。寛仁さまはインタビューで「皇族は政治にタッチしないという大原則があります」と述べている。その大原則に反するのではないかと考えるからだ。
  • 寛仁さまは皇位継承については「政治を超えた問題だ」と述べている。しかし,天皇制をどのようなかたちで続けるかは国の基本にかかわることで,政治とは切り離せない。
  • 天皇は日本国民統合の象徴だ。国民の意見が分かれている問題では,一方にくみする発言は控えた方がいい。これは皇族も同じである。
  • 寛仁さまひとりが発言を続ければ,それが皇室の総意と誤解されかねない。そろそろ発言を控えてはいかがだろうか。
(引用終了)

 これにキレたのが産経。今日の社説。
 
(Feb/03/06 産経新聞社説より引用者による要点箇条書きにて引用開始)
【朝日社説 「言論封じ」こそ控えては】

  • 寛仁さまが皇位継承について発言されていることに対し,朝日新聞は「発言はもう控えては」という社説を掲載した。違和感を覚える社説だ。
  • 寛仁さまは,皇位が男系で維持されてきたことを強調し,政府の「皇室典範に関する有識者会議」が一年足らずの議論で女系容認の結論を出したことを「拙速」と批判されている。
  • 寛仁さまの発言を批判することは言論の自由の範囲内であるが,その発言を封じようとする社説は,言論・報道機関として,守るべき一線を越えているように思われる。
  • もし,朝日の言論が封殺されるような事態が起きれば,言論の自由を守る立場から,産経は朝日を徹底して擁護するだろう。現に過去に起きた朝日へのテロ行為に対しても,この立場を貫いてきた。
  • 寛仁さまが言わんとしていることは,安易に女系を認める前に,いろいろな選択肢があり,あらゆる手を尽くすべきだという趣旨だ。それでも男系維持が難しければ「女帝・女系の議論に入っていけばいい」「最終的には皆さんのご判断を待つ」(雑誌『正論』三月号)とも言っている。
  • 皇位継承問題は,寛仁さまが指摘するように,政治を超えた日本の歴史と伝統文化の問題である。結論を急ぐべきではない。
(引用終了)
 
 僕の立場は産経支持です。反朝日と言った方がいいか。もともと僕は朝日の言論には「愛」を感じないので,無視すれば足りていたのですが,あまりにも酷いので引用しちゃいました。朝日の社説に違和感を感じた点をつらつら書いていきますと,

  1. 朝日は,皇族が自らの家庭問題に口を出すことすら「政治」問題だとしている。
  2. 「皇族として守るべき一線」の意味がわからない。
  3. 「天皇制の制度は政治とは切り離せない」と考えるのは,間違いを認められない心底からの左翼の人たちだけ。
  4. 「一方にくみする発言は控えた方がいい」って,寛仁さまは当事者だぞ。中立な発言を期待する方がおかしい。

 僕は以前から,天皇家のことは天皇家で話しあって決めてください,その後で立法手続(事務的なもの)をとったらよろしい,という考えです。門外漢が,ましてや権力の中枢にいる人間が口を出すことは歴史の反省からも控えた方がいいと思っています。天皇が日本の「象徴」となっているのは憲法上のことですが,憲法云々の前に「人間」なんですから,家族のことは家族で決めるのが当然でしょう?っていう思想です。当事者が口出しもできないような法案を立法府が勝手に決めたとして,従わなきゃいけないの?っていう考えです。

 この思想に立脚すれば上記のような違和感が浮かび上がるということです。
 特に2の「皇族として守るべき一線」って何?朝日が勝手に決めた一線なんて全く何の意味もない。日ごろから人権,人権と騒ぐくせに,なぜ皇族の人権を踏みにじるのだ?一般市民になった方達の言論統制をするっていうのは,産経じゃなくても誰もがけしからんと思うでしょう。大いなる矛盾。非常に気持ち悪いです。

 3にも補足説明が必要かな。
 天皇はそもそも「法の下の平等」の例外的存在。「法」で決められた「平等」とは何の縁もない。「法」を作って決めて施行するのが政治であるので,原則として天皇制は政治と切り離して考えるべき。朝日などの「過去の自らの間違いを認められない」言論人は,「法の下の」という部分を意図的に外して「平等」だけを叫ぶ傾向があり,それに追従する心底からの左翼たち(自分自身を省みれない人たち)の一団が加わって大合唱になって,日本人の半分が間違うことになっています。過去の日教組の教育の結果を見ればその惨状は明らかなわけですが,それでも「天皇制は政治とは切り離せない」と考える人はやっぱりまだ多い。
 
 そして悲しいというより憎むべきは,このような風潮を利用して小泉首相が皇室典範の改悪を強力に進めている事です。森前首相は反対派の集会に参加した森派の代議士を叱り飛ばし,首相は党議拘束をかけると息巻いています。あわれ,官房長官なんかにならされてしまった安倍長官も,これまでの反対姿勢を殺して賛成に転じました。こりゃあ次期首相になんか推せないぞ(笑)。

 天皇のお家問題は当事者の皇族同士で話し合って決めたらいいでしょ?祭事を○○宮さまに任していいんだろうかとか,多いに話あって結論を出して,立法府が事務的に法律を作ればいいんじゃないの?伝統を重んじる天皇家が男系を外すようなことはしないって。もっと信用してあげようよ。
posted by 時をかける僧侶 at 18:23| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 社説批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月01日

たぶん皆僕と同じ事思ってる でも怖いから誰も言わない

 狂牛関連ニューズで,二階堂ドットコムがマル秘情報を提供しています。

(Feb/01/06 nikaidou.comより引用開始) さて,先日背骨付肉が輸入されたが,なんとあれはアメリカと日本の両方の役人の大ポカであることが昨日判明した。農水省ルートいわく,
 「今回の輸入再開にあたり,事前にアメリカからのインボイス(どの部位を送りますよ,という事前の確認書と思ってください)が農水省にきた。実はそのインボイスには,ショートプレートなどの部位のほかに,「背骨付の肉」を送りますと書いてあったのだという。しかし,肉の部位というのは100種類以上あり,かなり専門の人間で無いとわからない。それに加えて英語で書かれていたものだから,農水省の下っ端はもう全然わからない。結局,ろくに確認せずOKという返事を出した。まさか,背骨付肉を送りますと書いてあるとは夢にも思わなかったのだろう。そして,当然ながら背骨付の肉が送られてきたわけだが,日本の検疫官は肉のプロ。箱を見ただけで「なんだこりゃ!」とすぐわかった」
 というのだ。(後略)(引用終了)

 事実かどうかは今後の報道を待たねばわかりませんが(いつものように官邸がマスコミに圧力をかけて潰すかもしれない)中川大臣のクビは間違いなく吹っ飛びますわな。何やってんだか。

 今回の事件で,結局アメリカ側はダメージしか受けていません。イメージは悪化するわ,いままで上手に隠してあった杜撰な管理体制がクローズアップされるわ,メキシコ経由での輸入がばれるわ(ウソ。まだばれてない)散々ですね。でも,待てよ。当然考えられるような根源的な事柄が議論されていないような気がしませんか?

 まず一つ。アメリカでBSEが発見されるまでに輸入されてきた肉は本当に大丈夫だったのか?ということ。
 それから,狂牛病のそもそもの原因とされる肉骨粉の話題がなぜされないのか?ということ。
 
 一つ目。3年前,狂牛病パニックでとりあえずアメリカ産牛肉の輸入を全部ストップしたわけですが,それ以前に日本に入ってきていた牛肉はそれこそ大量にあったわけで,これらが安全だったという証明はされていません。アメリカの検査があのような杜撰なものだったことが証明されたのにも関わらず,どのメディアも今までのことには触れません。ま,問題があったなんて言ってしまうと日本中大パニックになるので,事実であったとしても言えないのでしょうけど。
 吉野家カットと呼ばれるショートプレートは,危険部位である背骨周りの肉まで食べるアメリカ人でさえ食べない部位です。肉骨粉をたっぶり食べた鶏が出す糞に糖蜜をかけて牛に食べさせているような国ですし,これまでのアメリカ産牛肉のすべてについて当然疑問視されてしかるべきだとは思うんですけどね。誰も怖くてやりませんね。

 二つ目。肉骨粉を食べて異常プリオンが発生してBSEになるというのが一般的な説であるのにもかかわらず,相変わらずアメリカでの肉骨粉規制は強化されていません。もちろん,直接,牛に肉骨粉を与える事は禁止されていますが,豚・鶏の飼料に使う事ができますから鶏用に買ってきたエサを牛に食わせる事も制度上できてしまいます。アメリカは市場原理主義が行き届いている国ですよ。たくさん金儲けしたい畜産家は当然,成長を早めて肉付きが良くなる(つまり商品価値が早期に上昇する)ウラワザを使わない手はないでしょう。アメリカの検査が杜撰だの何だのとどうこう言う前に,こっちをなんとかせんといかんと以前から有識者は言ってきているわけですが,どうにもアメリカの畜産業界には通じていません。ハナから日本の言うことなんて聞くつもりもなかったんでしょうけど,結果として政治的な決着を急いで拙速につぐ拙速でミスがボロボロと重なって,彼らは何にも得るものがなくなっています。

 これらの点について,メディアほど最も重要な役割をもっている機関はないわけですが,ライブドア騒動と同じで本質になかなか触れようとしないメディアはその役割を放棄しています。何のために高給もらってんだか,全く。
 これまでの経緯を見ていると,大手のメディアほど,本質をずらして一般国民の注意をどんどん別のものに移動させていく手法が上手ですね(読売の社説なんて噴飯ものです)。とはいえ今ごろになって小泉政権の負の部分があれもこれもと噴出してきているのですが,今までツケを先送りしてきた分,反動も大きくなっていてメディアもさすがに擁護し続けるわけにもいかなくなっているっていうだけでしょう。今からでも遅くないから,しっかり反省して国民の「知る権利」を満足させてくださいよ。

※でもライブドアのように溺れた犬を棒でどつきまわすような態度は二度としないでね。

※ついでに書きますが,ライブドアの粉飾発覚でなぜ東証の株まで暴落したのか,いまだに論理的な説明をどのメディアも出しません。狼狽売りで・・・ってなんじゃ?狼狽したって悪い事したのはライブドアだけでしょうが。ちゃんと,マネックス証券が日中いきなりライブドア株の価値をゼロにしたことが原因だって強調しなさい。ちょこっと報道しただけで済ませやがって。
 ゴールドマン・ザックスが直前に日経225の先物プットを大量に仕込んでいたとか,ゴールドマンで働いていた人間が社長をしているマネックス証券がいいタイミングで先の発表をしたとか,証拠が挙がっているのに,毎日毎日ホリエモンばっかり。何やってんだか,全く。
posted by 時をかける僧侶 at 22:27| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(2) | アメリカ産牛肉問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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